私が愛した大統領

私が愛した大統領 “Hyde Park on Hudson”

監督:ロジャー・ミッチェル

出演:ビル・マーレイ、ローラ・リニー、オリヴィア・ウィリアムス、
   サミュエル・ウエスト、オリヴィア・コールマン、エリザベス・マーヴェル、
   エリザベス・ウィルソン、エレノア・ブロン、アンドリュー・ヘイヴィル、
   マーティン・マクドウガル、ナンシー・ボールドウィン

評価:★★




 第32代アメリカ合衆国大統領フランクリン・デラノ・ルーズヴェルト邸こそが、最大の見もの。緑に囲まれた田舎に佇むその邸は、ホワイトハウスから政治色を取り除いたらこうなるのではないかと連想する落ち着いた外観。ベッド、カーテン、鏡、花瓶、シャンデリア、食器、カクテル、書棚…内装も家具も趣味の良いものばかり。とりわけ壁紙が部屋毎に別に用意されていて可愛らしい。それに合わせた色彩設計になっているのが目の保養。

 『私が愛した大統領』の第一の着目点はルーズヴェルトの従妹デイジーとの存在だ。母や妻、秘書といった女たちに囲まれたルーズヴェルトは、デイジーとの関係に安らぎを見出す。物語はデイジーとルーズヴェルトの再会から始まり、デイジーによるナレーションと共に、ふたりが急接近していくまでがダイジェスト調に描き出される。車に乗ったふたりが、紫色の草花が咲く野原を駆ける場面が気持ち良い。

デイジーの紹介が終わった後は、政治の匂いが僅かに漂い始める。「英国王のスピーチ」(10年)に詳しいジョージ六世とその妻エリザベスが、アメリカとの関係強化を目的に、ルーズヴェルト邸にやってくる。戦争に突入しようとしている英国を代表してやってきた国王夫妻は緊張の面持ちなのだけど、それが高まれば高まるほど可笑しい。サミュエル・ウエストとオリヴィア・コールマンの演技が絶妙。ちょっとした漫才みたいだ。

 英国王夫妻とルーズヴェルト大統領の掛け合いは大きな見せ場で、実際結構な時間を割いて描かれる。それにも関わらずさほど心に残らないのは、慎重な腹の探り合いが見られないからだ。ルーズヴェルトは最初から態度を決めている。そしてその上で切るカードは、「人情味」というやつなのだ。

 別に人情を否定するわけではない。むしろ積極的に支持したい。けれど、それに寄り掛かるばかりでは、途端に腐臭が漂い始めるということを、どれだけ覚悟しているのか。ルーズヴェルトの妻エレノアがセッティングしたという先住民族のパフォーマンスとホットドッグを使ってメデタシメデタシとまとめ上げるのは、おめでたいというものだ。

 ある展開があって導き出されるルーズヴェルト像が、スケベオヤジ以上でも以下でもないのが問題だ。国民から愛され、何期も大統領任務を務め上げたルーズヴェルト。彼の問題を人情味という言葉だけで処理しようとしているのが見え見えで、登場人物がいくら納得しようと腑に落ちない。もっと非人間的な側面を強調してこそ生きる人物像ではないか。これはビル・マーレイの愛敬不足だけが原因ではない。

 加えて、大統領を退屈な女たちが囲む。デイジーはアッという間に語り部になってしまうし、妻エレノアは悪妻色が強調されるだけ。母親は煩いババアだし、後半突然せり出してくる秘書はいくらなんでも説明不足だろう。女優たちは完全なる無駄遣い。歴史の陰に女ありとでも言いたげな相関図ができそうだけれど、それぞれの方向に向いた矢印は消えて見えなくなりそうに、頼りない。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ