ウルヴァリン:SAMURAI

ウルヴァリン:SAMURAI “The Wolverine”

監督:ジェームズ・マンゴールド

出演:ヒュー・ジャックマン、TAO、福島リラ、真田広之、ハル・ヤマノウチ、
   ウィル・ユン・リー、ブライアン・ティー、スヴェトラーナ・コドチェンコワ、
   ファムケ・ヤンセン、ジェームズ・フレイザー、ルーク・ウェブ、
   イアン・マッケラン、パトリック・スチュワート

評価:★★




 ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じるのは、これが6度目だという(カメオ出演を含む)。一作目の公開が2000年だから、もう13年も演じている。ウルヴァリン役に必要不可欠な鋼の肉体の維持を思うと、頭が下がる。コミックファンからも支持を受けるわけだ。「X-MEN」シリーズからのスピンオフとしてウルヴァリン・シリーズができたのも納得するしかない。既に揺るぎない世界観の中でウルヴァリンは生きている。ただ、この『ウルヴァリン:SAMURAI』は、受ける印象がこれまでとは異なる。理由は明らかだ。舞台がミステリアス・ジャパンなのだ。

 冒頭のウルヴァリンはべっくらこいたことに、1945年8月9日の長崎にいる。原爆が落とされたときウルヴァリンは、炎をもろに浴び、皮膚がただれながらも例の治癒能力で悠々生き延びる。平たい顔族としては非常に複雑な気分を誘う幕開けに、しかし戸惑っている暇はない。現代のジャパンに再び降り立ったウルヴァリンの画が、予想以上に強烈なことになっている。外国人の目から見た日本はどうしても違和感を感じるものだけれど、障子と畳が美しい日本家屋の裏にいきなりハイテクルームが登場したり、忍者が大量に出てきたり…というあからさまなズレよりも、現実との僅かなズレの方が引っ掛かる。わざわざパチンコ屋を疾走したり、ラブホテルに泊まったり、新幹線に乗ったり、日本食を食べたり、着物を着たり…ウルヴァリンにそれをやらせるか。いや、そこれこそがミステリアス・ジャパンなのか。日本家屋が「キル・ビル」(03年)と同じ匂いなのは偶然か。

 けれど結局のところ、欧米人は日本の土地に決して馴染まないということに尽きる。どこからどう見ても日本人とは造形の違うジャックマンは、もはや吸っている空気が日本人とは違う気がする。小さな顔に長い手足。190センチ近い長身。ボリュームたっぷりの筋肉。抜群のスタイル。彼が日本の建築物の中に入ると、窮屈そうに見えていけない。こんな狭いところに来て頂いてすみませんね…なんて卑屈なセリフでもぼやきたくなる。日本でハリウッド映画を撮るというのは、でもこういうことなのだ。

 せっかく日本に来たというのに、それを活かしたアクションが僅かなのは寂しい。寺を舞台にしながら、新幹線を舞台にしながら、漁村を舞台にしながら、アクションはどこかで観たようなものに限られる。日本は背景としてでしか、機能していないと言い換えることも可能だ。

 そういう意味で、畳の間でのウルヴァリンと真田広之の一騎打ちは貴重と言える。美しい殺陣で見せる真田に、ウルヴァリンのジャックマンがパワー勝負で挑むのが可笑しい。ただ、真田の役柄はつまらない。てっきり日本男児を象徴するような役柄かと思いきや、何と器の小さなそれであることよ。そりゃウルヴァリンに勝てるわけがない。

 ヒロインはウルヴァリンと男女の仲になるTAOということになるのだろう。けれど、より面白い女性キャラクターを演じるのは、ユキオという名の戦士を演じる福島リラだ。役柄には新味はない。けれど、福島がそれを補って余りあるインパクトを残す。完全なる逆三角形の輪郭(顎が未発達)。切り揃えられた赤毛。射るような眼差し。鮮やかなるアクション。一度観たら忘れられない佇まいだ。福島はミュータントと対決する場面がある。どう見ても、ミュータントよりミュータントらしい。異形の美しさ。デヴォン青木の対抗馬が遂に現れた。リリー・コールもびっくりだ。

 それにしても黒幕の描写は、アレで良いのだろうか。恩を仇で返すというヤツで、日本が昔から尊んできた精神とまるで結びつかない。物語の中で最も重要なところなのではないかとすら思うのだけれど…。





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