サイド・エフェクト

サイド・エフェクト “Side Effects”

監督:スティーヴン・ソダーバーグ

出演:ルーニー・マーラ、ジュード・ロウ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、
   チャニング・テイタム、アン・ダウド、ヴィネッサ・ショウ、
   カルメン・ペラエス、マリン・アイルランド、ポリー・ドレイパー、
   ジェームズ・マルティネス、メイミー・ガマー、ケイティ・ロウズ

評価:★★★




 インサイダー取引が原因で刑務所に入っていた夫が出所する。迎えるのは美しい妻だ。再会を喜ぶふたり。何しろ刑期は4年。決して短くない時間を妻はひとりで耐えてきた。新たな人生が始まる。そう思った刹那、妻は自殺未遂を起こす。妻にはうつ病に苦しんでいたのだ。命があって良かった。しっかり立ち直って欲しい。スティーヴン・ソダーバーグの罠は既に仕掛けられている。

 『サイド・エフェクト』の前半は妻をじっくり映し出す。「傷ついた小鳥」と形容される場面があるけれど、まさにその通り。そしてルーニー・マーラは見事なキャスティングだ。小さく細い身体。不安定さから逃れられない前髪。でも時折覗く強い眼差し。薬の副作用と戦いながら、人生を生きようとする女は、「ドラゴン・タトゥーの女」(11年)のリスベットが別世界に生まれてきたかのようだ。気がつけば、守ってあげたいと思わせる空気が画面に充満している。

 情報の落とし方が上手い。ソダーバーグは物語を語ることを急がない。妻を心から愛している夫や、たまたま彼女の担当になる精神科医、かつて彼女を診ていた主治医らを中心に、マーラと関わりを持つ人々を描きながら、後々に効いてくるそれを、蛇口から滴る水滴の速度で少しずつ落としていく。美しく都会的な映像に目を奪われ、しかしそれに気を取られていると、大切なものを見落としかねない。要注意。

 …とそう、中盤にある事件が起こり、物語は大胆に回転を始める。キーワードは副作用か。妻が精神を安定させるために飲む新薬には副作用がある。最も大きなそれとして出てくるのが夢遊病で、その古典的な匂いが嬉しい。一旦捻りが入ってからは、回転がなかなか止まらない。物語が次々表情を変えていく。

 精神科医を演じるジュード・ロウが目撃者になる。順風満々な人生が脅かされ、アッという間に極めて厳しい状況下に突き落とされる。かつては美青年だったロウの顔がどんどん歪んでいく。明らかに疲れの入った顔がグレッグ・キニアにしか見えないのに驚く。男はキニアからロウに戻れるだろうか。もがけばもがくほど行き場がなくなっていくところに、フラストレーションとある種の快感がある。

 そんなわけで結末は少々腑に落ちないのだ。ロウが迷宮に迷い込み、けれど何とか逆転の糸口を掴み、しかし結局最後には絶望に包まれる…という展開で良かったのではないか。ミステリーと新薬を絡ませる不敵さを見せながら、最後にはソダーバーグの方が薬負けしてしまったような…。まあ、これは好みの問題か。あまりに勝手なロウの妻こそが、最も怖ろしい人物だと言えなくもないし!?





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