スウィート・エンジェル

スウィート・エンジェル “Sweet Vengeance”

監督:ローガン・ミラー

出演:ジャニュアリー・ジョーンズ、エド・ハリス、ジェイソン・アイザックス、
   エドゥアルド・ノリエガ、ジェイソン・アルディーン、
   エイミー・マディガン、スティーヴン・ルート、
   ルース・レインズ、ディラン・ケニン

評価:★★




 『スウィート・エンジェル』で後に残るのは結局、ヒロインを演じるジャニュアリー・ジョーンズの紫色のドレスだ。彼女は怒り心頭に発したとき、小汚い街の店でタダで手に入れたそれに身を包み、これ以上ないくらい念入りに化粧を施す。色に乏しいニューメキシコで完全に浮き上がる。そしてそれを気にすることなく、一人また一人とターゲットを撃ち殺していくのだ。何故そのドレスなのか、よく分からない。分からないけれど、ジョーンズは確かに綺麗だ。化粧映えする顔で、ガラリとイメージが変わる。

 映画の外観はしかし、至って真面目だ。自然光やランプの光を活かした優しい撮影。さり気なく後方に広がる雄大な自然。たっぷり投入されるロケーション場面。焦ることなくじっくり進む語り口。意味ありげな詩の引用。なんだかテレンス・マリック的というか、ポエムの世界に入り込んでいるというか、とにかく作り手は大いに真面目に演出している。その正体は漫画なのに、だ。

 そう、外観こそシリアスだけれど、ちょっと細部を探れば分かる。復讐に走るヒロインの造形を見れば、物語の細胞は深刻さとは程遠い。牧師に気に入られなかった者が簡単に排除されてしまう西部の町で、コミカルな要素を持たない登場人物は、殺されるヒロインの夫ぐらいではなかろうか。

 町を裏で牛耳る牧師が唱える宗教は捩れたそれでしかなく、神云々を持ち出してはいるものの、ほとんどカルト。大真面目に神に訴える姿が頓珍漢だ。ジェイソン・アイザックスが可笑しい。新たに町にやってくる保安官も怪しい。ベストの上に羽織るジャケットはスカイブルー。不釣り合いなチェックのパンツを履き、長い長い白髪の上には帽子が乗っかる。演じるのは何とエド・ハリスだ。どこからどう見ても内田裕也なのがスゴイゾ。あの奇怪な踊りは何なのだ。出てくる意味もない。ロケンロール!

 ヒロインも含め、平凡から程遠い感覚の者を揃えながらしかし、作り手はその可笑しさに気づかない。それがはっきり分かるのは、ヒロインによる復讐方法だ。衣装こそ紫というキツい色を選んで目立つものの、殺し方はというと、単純な銃殺しか出てこない。肛門を狙ったり、裸でおびき寄せたり、というのが僅かに目を引くぐらいか。ここは思い切ったカッコつけポーズを連発し、笑いと快感を煽るべきだったのではないか。見習うべきは「デスペラード」(95年)だ。

 尤も、ジョーンズの佇まいにそれが似合いそうな要素は全くない。酷く真面目なのだろうか、ユーモアを受け入れる隙も放出する余裕も一切ないのがジョーンズだ。例えコミカルに演出されても、それをあっさり殺してしまうタイプ。アイザックスやハリスとの絡みで伝わってくるのは、女優ジョーンズの緊張だけだ。しかもそれが物語の緊張には結びつかない。綺麗でも、そこから広がるものがない美貌。ひょっとしてジョーンズに気を遣ったがゆえのシリアス演出なのだろうか。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ