夜明けのガンマン

夜明けのガンマン “Dawn Rider”

監督:テリー・マイルズ

出演:クリスチャン・スレーター、ジル・ヘネシー、ドナルド・サザーランド、
   ロックリン・マンロー、ベン・コットン、ケン・ヤンコー

評価:★★




 ギターの音色に重なる朗々とした歌声。セピア色の画面。木と土と埃だけの荒野を、馬に乗った男がとぼとぼと行く。コートにブーツ、帽子はいずれも草臥れていて、しかしそれは男の疲れではなく哀愁に繋がっている。男は小汚い小屋に身を寄せ、酒を呑み、ゆっくりと目を閉じる。

 …というオープニングから察するに、『夜明けのガンマン』は西部劇における男の美学を追求した映画と見て、間違いない。すっかり廃れてしまった西部劇と言えど、昔の名作に触れれば、条件反射で血が騒ぎ、胸躍る。その事実に目をつけ、それならばと美学の再生に挑んだのだろう。

 ただ、既存の西部劇との差別化はもっと意識するべきだった。もはや死に掛けているジャンルとは言え、それをコピーするだけではいかにも物足りない。銃の引き金部分に指を突っ込んでくるくる回したり、二丁拳銃で応戦したり、早撃ちを披露したり…だなんて、ここに出てくる美学は当たり前のそれに彩られている。名作の縮小コピーにしか見えない。実はジョン・ウェイン主演の「夜明けの男」(35年)のリメイクだという事実を言い訳にはできない。

 せめてスケール感は維持して欲しかった。オープニングであれだけカッコつけながら、アッという間に話が小さなものにまとまっていく。覆面強盗団をめぐるサスペンスに絡められるのは、父と息子の問題であり、女との恋愛であり、仲間との友情であり、愛する人を失った復讐であり、兄妹の確執。これらが非常に狭い人間関係の中に押し込められる。ままごとではないはずなのに。

 悪玉として用意される人物の小物感も寂しいところ。強盗団の肩にはダブルクロス(裏切り)の焼印に入っている。…という設定は悪くないのに、その場凌ぎの安易な行動が多く、敵ながらアッパレと言いたくなる信念も、思わず後退ってしまうような残酷な怪物性も感じさせない。特に暴力に対する向き合い方が言い訳めいている。男らしくない。演じる俳優だけのせいではない。

 クライマックスは悪玉との激突になる。これが盛り上がらない。あまりにも不自然な展開を用意して(特にドナルド・サザーランドを絡める件)、めでたしめでたしでまとめている。別に「ワイルド・バンチ」(69年)のような歴史に残る銃撃戦など期待していない。せめてそれぞれの人物に見せ場を与える画面作りをして欲しい。せっかく捻くれた個性のクリスチャン・スレーターが主演しているのに、ただ出てくるだけで終わってしまった。





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