ワールド・ウォーZ

ワールド・ウォーZ “World War Z”

監督:マーク・フォースター

出演:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ジェームズ・バッジ・デイル、
   ダニエラ・ケルテス、デヴィッド・モース、ルディ・ボーケン、
   ファナ・モコエナ、アビゲイル・ハーグローヴ、マッシュー・フォックス、
   スターリング・ジェリンズ、ファブリツィオ・ザカリー・グイド

評価:★★




 ゾンビの飽和状態が続く。アメリカ人はどれだけゾンビが好きなのか、ゾンビ映画が途切れない。…となるとゾンビも進化を遂げる。両腕を挙げてのそのそと亀の歩みで迫ってきたのは遠い昔、最近はゾンビがヴァージョンアップ。どの映画もゾンビに個性を持たせようと必死だ。

 だけれどしかし、持たせる個性にも限りがある。工夫をしたつもりでも、どこかで見たようなそればかり。全速力で走ったり跳んだりは当たり前。ウイルス感染から始まるという設定も、普通だ。『ワールド・ウォーZ』では「音」に敏感に反応するゾンビが出てくる。これは弱い。音の聞こえた方向に駆けてくるなんて、別に特徴になるようなポイントではない。襲われてから約10秒でゾンビになるというのも新味なし。むしろ遅いくらい。ゾンビがどこかで見たゾンビに終わっている。

 加えてマーク・フォースター監督はアクション描写が巧くない。世界規模のゾンビ災害のため、画面の至るところに人が溢れているのだけれど、ごちゃごちゃするばかりで何が起こっているのか分からない。ゾンビが襲い掛かってくると、カメラも同様に落ち着きをなくすのもどうか。せめて編集だけでも落ち着いたまま、静かにできなかったか。

 登場人物の処理も腑に落ちない。意味ありげに登場する重要人物たちが、たいして活躍することなく、あっさり散っていく。彼らはゾンビのエサとして出てきたに過ぎないのか。序盤に出てくる若いウイルス学者の扱いなど、唖然とする。主人公の家族が海に浮かぶ指揮母艦で待機するという設定も、電話の絡んだサスペンス以外、全然活かされないのに拍子抜け。

 ひょっとするとこの処理は、ブラッド・ピットが主演であることを忘れさせないためなのかもしれない。ピットが演じるのは元国連捜査官ではあるものの、その身体能力は一般人と何ら変わりない。目の下の弛みに年齢を強烈に感じさせながら、ピットがクールなポジションを崩さない。普通を普通に見せないスターの力をもっと信用しても良かったのではないか。

 行動力・判断力を示すエピソードが限られているため、胸に残るようなキャラクター像にはなっていない。感染を防ぐため瞬時に腕を切り落としたり、ゾンビを外に放り出すため手榴弾で飛行機に穴を開けたり…という大胆不敵なエピソードを畳み掛けるべきだった。

 …と長々書いたのは、全てアクション映画として観た場合だ。終幕に思ったのだけれど、ひょっとしてこれは推理映画・ミステリー映画として観るべきなのではないか。主人公がゾンビの謎を解き明かす、そのヒントを一緒に集める映画なのではないか。「ダ・ヴィンチ・コード」(06年)あたりと同じ系列に属する。もしそうなら、もっと画面の隅々まで観察したなら、新たな発見があるかもしれない。

 どこかで見たようなヴィジュアルが続く中では、エルサレムに作られた防御壁の周りをゾンビが取り囲むショットはなかなか良かった。ゾンビがゾンビを踏み台にして、地上から壁の頂上を目指す。地獄から抜け出そうともがく者たちを思わせる。エルサレムだけで話を膨らませられる可能性を感じる。





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