最愛の大地

最愛の大地 “In the Land of Blood and Honey”

監督:アンジェリーナ・ジョリー

出演:ザーナ・マリアノヴィッチ、ゴラン・コスティッチ、
   ラデ・シェルベッジア、ヴァネッサ・グロッジョ、
   ブランコ・ジュリッチ、ニコラ・ジュリコ

評価:★★




 映画監督アンジェリーナ・ジョリーはクソマジメだった。大スターである特権を最大限活用し、政治問題・社会問題に積極的に参加するジョリーらしく、『最愛の大地』で取り上げるのは1990年代初頭に始まったボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争だ。第二次世界大戦後、最悪の争いと呼ばれている内戦。世界にこの現実を知らしめなくては…。

 ジョリーがそう考えたのは不思議ではなく、したがって最も力を入れて描写されるのは、戦争のその凄惨な真実だ。非人間的な残虐行為が平然と行われる。女たちが連行される風景はユダヤ人狩りそのものだし、集団レイプの異様な雰囲気も強烈だ。女を盾にして敵陣に襲い掛かる描写も頭から離れない。本当にたった20年前の出来事なのか。

 ジョリーはかなり冷静に物事を見ている。直接的な描写が多いのは意図的なものだろう。そのためには役者たちにも過酷な演技を強いる。正しいメッセージを掲げるため、私が動かなくてどうするのか。そういう強い意志が全編に渡って感じられる。立派だ。立派だけれど、クソマジメ。重い気分ばかりが募り、映画としてどうこう言い難い雰囲気まで創り上げる。

 戦場シーンだけでは映画は成り立たないとばかりに放り込まれたメロドラマが、怖ろしく浮き上がっている。男がセルヴィア人で、女がムスリム。敵味方に分かれてしまった男女の恋愛の行く末が、ご都合主義たっぷりに描かれる。セリフがやけに説明的なこともあり、引き離されるふたりの感情もまた、冷静に見守ることになる。

 一度は逃げ出した敵陣へ女がスパイとして戻るだろうか。女の部屋から他の男が出てきたことですぐさま女の不貞を疑うだろうか。いくらふたりきりだからと言って、外へ堂々デートに出かけるだろうか。数々浮かぶ腑に落ちない点が積み重なり、ふたりへの不審までもが膨れ上がる。

 多分これは、戦争がふたりの心情にどんな変化を与えたのか、描こうという気配が感じられないからなのだろう。戦争に流されているようにしか見えなかったふたりが、突然別の人間に変貌を遂げている。

 主役男女を演じる俳優たちも、もうひとつ華に欠けるか。特に男を演じるゴラン・コスティッチが、ブラッドリー・クーパーとダニエル・クレイグをミックスして老けさせた雰囲気なのが気になって気になって…。口から飛び出てくるのが英語なのがトドメを刺す。英語の選択は、より多くの人に見てもらうためのジョリーの決断なのか。せっかく現地の俳優をキャスティングできたのに、ホワイ?





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