マジック・マイク

マジック・マイク “Magic Mike”

監督:スティーヴン・ソダーバーグ

出演:チャニング・テイタム、アレックス・ペティファー、マシュー・マコノヒー、
   マット・ボマー、ジョー・マンガニエロ、コディ・ホーン、
   オリヴィア・マン、アダム・ロドリゲス、ケヴィン・ナッシュ、
   ガブリエル・イグレシアス、ライリー・キーオ

評価:★★★★




 マシュー・マコノヒーの「さあ、ぶちかますぜ」というセリフから始まる『マジック・マイク』の最大の見所が、人気男優たちによるストリップ・ショーにあることは間違いない。ストリップという言葉には軽薄な匂いが付きまとうけれど、見れば分かる、そういうチープさは皆無だ。男の目から見ても、十分魅せるのだ。カッコイイ。そして笑える。

 傘や椅子、ターザンの縄や人形といった小道具が使われたり、作業服や水兵服、ミリタリー服を着用したコスプレがあったり、ギターを弾き語りしたり、客をステージに上げたりもする。出し物がなかなか多彩。けれど、ショーのいちばんの力になるのは、男たちの身体だ。

 チャニング・テイタムやアレックス・ペティファーら筋肉自慢の男たちがステージ上で繰り広げるパフォーマンスは、芸術的だ。露出だけで持たせようという卑しさは見当たらない。それぞれが身体にこびりついたリズム感を弾けさせ、凡人にはなし得ないアクションを実現させる。腰の動きを中心に、実に頼もしい。

 これは急所だ。何しろ男の身体なんてものは、どんなに鍛え上げられていたとしても、マヌケさからは逃れられない。往々にして女の身体は美しく淫らに映るものだけれど、男の身体は均整が取れていたとしてもどこか滑稽。ところが、ここに生きる男たちは男の身体にまつわるそれを、最小限に押さえ込む。尻の割れ目やら、卑猥な腰つきやら、ナルシスト臭濃厚な立ち振る舞いやら、バカにも見えるところを残しながら、それでいてクール。映画の勝利だ。

 選ばれた男たちの身体がマッチョ過ぎない程度に鍛えられているのはもちろんだけれど(大腰筋が素晴らしい)、それよりも注目すべきは、女たちが投げ込んだ金をパンツに挟み込んだときの「画」ではないか。どの俳優もあまりに似合っていて笑う。いくら踊ることができても、ヒュー・ジャックマンやトム・クルーズでは成立しない。

 スティーヴン・ソダーバーグはこうした作品の売りを理解し、娯楽的かつ芸術的な映画の線を太く逞しく描いていく。顔のアップを避けたり、会話と会話を被せたり、画面の色合いで遊んだり、アーティスティックな技も散りばめながら、将来に悩む青年の青春ドラマという基本の物語を大切にしている。テイタムの過去の実話を基にしているらしいけれど、ふむ、雇われ的ポジションでの仕事の方が生き生きするのが今のソダーバーグだ。

 青年のストリップという仕事に対する向き合い方が誠実だ。ストリップこそ天職だと胸を張るばかりではない。着地点もそこにはない。ストリップで稼ぐことへの若干の引け目や不安と彼は闘っている。一生ストリッパーで生きる、それも良いだろう。けれど、違う人生もある。そのもがきに人間らしさを見る。

 そういう意味の比較対照として、劇場のオーナーであるマコノヒーの存在は重要だ。若くはない彼は、既にこの世界で生きることに腹を括っている。若さも肉体美も永遠に続くことはないと気づきながら、それでもマコノヒーはストリップを選ぶ。ボンゴもギターも歌声も披露するマコノヒーの凄味とおかしみよ。ラストに見せるダンスパフォーマンスには、覚悟を決めた男の輝きがある。アッパレ。

 もちろんテイタムが良い。優しい顔とピカピカした肉体のギャップ。知性は一切感じさせないものの、ハートはたっぷり持っている。キレの良いダンスを繰り出しながら、人生を彷徨う姿がイイ。テイタムが見せる苦悩は、青春そのものという気がする。





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