トゥ・ザ・ワンダー

トゥ・ザ・ワンダー “To the Wonder”

監督:テレンス・マリック

出演:ベン・アフレック、オルガ・キュリレンコ、レイチェル・マクアダムス、
   ハヴィエル・バルデム、ロミーナ・モンデロ、チャールズ・ベイカー、
   マーシャル・ベル、タチアナ・シラン

評価:★★




 一陣の風が吹く。舞い上がるのは、目には見えない一枚の葉っぱだ。それは決して大地に落ちることなく、彷徨を続ける。あるときは恋に落ちた男女を、あるときは傷ついた幼馴染を、あるときは現実と信仰の狭間に落ち込んだ神父を…と見つめる対象を気まぐれに変え、しかも着地点は見つからない。

 …というわけで『トゥ・ザ・ワンダー』のテレンス・マリックはますます自分の世界に入り込んでいる。もはやストーリーすらない。旅先のフランスで電撃的に惹かれ合った男女から始まる画。その人生の断片が継ぎ接ぎで映し出されていく。観る者とのコンタクトはなく、そのイメージを重ね続ける。ほとんど自己陶酔。けれどかつてのマリックの自己陶酔は楽しかったと思い返してみたり…。

 マリックがここで確かなものとして提示するのは、時の流れのみだ。時間だけはどんな人間にも平等に流れるものだ。しかし、その他の物はどんどん変化を見せる。良い方にも、悪い方にも…。とりわけ愛は身勝手に表情を変える。その落差が物哀しい。

 …という見方は強引だろうか。解釈の余地が広過ぎて、どうとでも言えるのが今のマリック映画だ。どんな頓珍漢な言葉を並べても、それもひとつの解釈として成立してしまうほどに曖昧で、そこのところがかえって居心地悪く感じられる。ほら、作品を得意気に分解し、解き明かした気でいる批評家の顔が次々浮上するではないか。セリフよりも膨大に膨れ上がったナレーションが短く切り刻まれ、まるで暗号のように呪文のように流れては消えてく。解き明かしたと思っても、正解はない。

 ただ、不思議と退屈さとは無縁なのだ。これだけ作家が我侭に振る舞っているのに、ある種の中毒性は具えている。イメージを切り貼りする編集。エマニュエル・ルベツキによる撮影、音符が見えるように流れる音楽。マリックの技はまだまだ可能性を秘めている。

 役者の中ではオルガ・キュリレンコが最も熱烈に取り上げられている。演出が空滑りしているため、彼女のプロモーションフィルムのような趣すらある。整った横顔、長くエレガントな睫毛が目に焼きつく。ただ、キュリレンコは少々「演技」をし過ぎた嫌いがある。他の役者が我を押さえ込んでナチュラルに漂っていたのと較べると、「女優」の顔が目立つ。そのせいで演じる女の愚かさが過剰に際立ってしまった。官能も思いの外、冴えない。獰猛さと密着したそれを引き出して欲しかった。





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