パシフィック・リム

パシフィック・リム “Pacific Rim”

監督:ギレルモ・デル・トロ

出演:チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊地凛子、
   チャーリー・デイ、ロブ・カジンスキー、マックス・マーティーニ、
   ロン・パールマン、バーン・ゴーマン、クリフトン・コリンズ・ジュニア、
   ディエゴ・クラテンホフ、芦田愛菜

評価:★★




 『パシフィック・リム』におけるいちばんの興味は、何と言っても、怪獣の出来映えだ。幼い頃から「ウルトラマン」や「ゴジラ」を愛してきた者からすると、怪獣に魅力がなければ話にならぬ。かつてハリウッドは、ゴジラを恐竜に仕立て上げるという愚を犯している。日本びいきのギレルモ・デル・トロが監督とは言え、不安が募るではないか。

 結論から言うと、うーん、やっぱりこれは「KAIJU」であって「怪獣」ではない。着ぐるみ感が薄いのは大きく目を瞑るにしても、下半身が頑丈で、どっしりしていて、尻尾が長くて、目がどこに向いているのか分かり難くて、動きにはコミカルな味があって…というのとは(例:ゴモラ、レッドキング)全然趣を異にする。怪獣ではなくモンスターに近い。

 この映画は怪獣映画であると同時にロボット映画でもあって、実はデル・トロのセンスはそちらの方面で色濃く出ている。日本のロボット・アニメーションよりも脚が長く、筋肉質(風)で、ずっとモダンなデザインなのには違和感を感じるのだけれど、神経同調システムなるものが取り入れられているのが設定として面白いばかりか、物語を大いに盛り上げる効果を上げている。

 ロボットはふたりで操縦する。極めて乱暴にまとめるなら、ふたりの意識を合体させ、心と身体を綺麗に一致させたとき、ロボットの力を何倍にも引き出すことができる。この単純なポイントに信頼や結束、自己犠牲や親子愛といったヒューマンな感情が塗される。デル・トロはそこに焦点を定め、非常に効率的にドラマを刺激している。ただし、「少年ジャンプ」風健全さが少々恥ずかしくも感じられる。

 ロボットが必要以上に早く動かないのが良い。姿形こそ「トランスフォーマー」(07年)のバッタモンを思わせるものの、動きに重みがあり、無闇に銃を乱射したり、ハイスピードで駆け抜けたりしない。これはかなり重要なことだ。人が操縦していることを常に思い起こさせる。ロボットが損傷を受けると、痛みまで感じる。人とロボットが通じ合っている感じは、ここから来ている。

 画面の光り方が下品なのは、デル・トロらしからぬもので残念無念。怪獣にまとわりつく蛍光色や、基地内・操縦室内のネオンカラーが美しくない。ごちゃごちゃして落ち着かないし、その光を強調するために周りが暗くなっているのが見辛い。怪獣が海から現れることもあって、いつも同じような景色になるのもどうか。

 怪獣映画では定番の、人々がビルとビルの合間を逃げ惑うショットが少ないのが寂しい。我々はロボットを動かすことはできない。ヒーローにはなれない。低いところを逃げ惑いながら、けれど大声を張り上げて仲間を応援する。逃げる人々こそ自分の分身だ。怪獣から必死逃げることは、そのまま映画に参加している証明にもなる。それを思うと、ちょっとした疎外感を感じてみたり…。

 我らが平たい顔族代表である菊地凛子が堂々たる主演女優だ。相変わらずマッチョ路線を崩さないチャーリー・ハナムと同じ画面に入っているのが不思議だ。やっぱりあの目が強力。睨みつけるときと哀しそうにするときの落差が、あぁ、何たることか、ちょっと可愛らしいとまで思ってしまった。





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