ローン・レンジャー

ローン・レンジャー “The Lone Ranger”

監督:ゴア・ヴァービンスキー

出演:アーミー・ハマー、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、
   トム・ウィルキンソン、ウィリアム・フィシュナー、バリー・ペッパー、
   ジェームズ・バッジ・デイル、ルース・ウィルソン、メイソン・クック、
   ブライアント・プリンス、ジェームズ・フレイン、スティーヴン・ルート

評価:★★




 『ローン・レンジャー』には縁がない。ラジオドラマ、コミック、TVシリーズ…いずれも縁がない。だからジョニー・デップがトントと名を変えてジャック・スパロウ役で再び登場しようが、脇に好みの性格俳優が揃えられていようが、さほど興味を惹かれなかったのだけれど、あら不思議、オープニングとクライマックスは思いがけず楽しんだ。理由は明らかだ。

 第一に列車と映画の相性が良い。舞台は鉄道の建設が進む西部開拓時代のテキサス。列車が荒野を駆ける場面が当然のように用意される。乾いた土地で風を切りながら、もくもくと煙を吹かしながら、景観をどんどん変えながら真っ直ぐに走る列車の気持ち良いこと。登場人物は列車の中で、屋根の上で、車輪の近くで立ち回りを繰り広げる。走る。飛ぶ。ぶら下がる。撃つ。アクションの基本が、空間を突っ切る列車の勢いとの相乗効果で豪快に弾けていく。

 加えてこの場面では、ジョアキーノ・ロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」が流れる。音楽が映画においていかに重要な役割を果たしているか、証明するかのような快感。そうか、縁がないと冷めつつも、TVシリーズの遺産は細胞のどこかで眠っているのかもしれない。クライマックスでは白馬シルヴァーに乗ったローン・レンジャーが、列車と並走しながら活躍。「ウィリアム・テル序曲」が列車と白馬、そして人間たちが入り乱れる混沌を見事にまとめ上げる。眠気が吹っ飛ぶ。それまでの退屈さもどこかに持ち去ってしまう。

 そう、その他の部分は退屈だ。個性の強いキャラクターを暴れさせるしか芸がないというのも大きいけれど、それよりも何よりも、舞台にたっぷり敷かれた砂に足を取られた演出なのが問題だ。映画における砂は、気をつけないと画面の湿気を全て奪い取る。湿気がなくなると画面がもたつく。画面がもたつくと物語が愚鈍に見える。基本だ。それにまんまとハマる。砂埃をものともしない工夫が全編に渡って必要だ。列車場面が痛快なのは、一面に広がる砂を超スピードで振り切っているからだ。逆に言えば、その他の場面は砂のせいで人物が思うように動けない。

 悪霊ハンター、トントをデップが演じてしまったことが問題だ。大スターのデップが演じることで、必然的に悪霊ハンターの出番が多くなり、それどころか物語の視線を乗っ取ってしまい、ローン・レンジャーとのバランスがおかしなことになっている。言動の燃料として復讐が置かれるため、過剰に暴力性が目立っているのも変な話。ピエロは脇にいてこそのピエロだろう。

 …というわけでデップがでしゃばりが目につく。それどころか美味しい見せ場もほとんど独り占め。…にも関わらず、ローン・レンジャーを演じるアーミー・ハマーが喰われなかったのは、ある意味奇跡だ。身体の動きがとても綺麗なのが大きい。ドタバタに走ってもヘナチョコなポーズを取らされても、決してバカに見えない。超のつく長身が大画面映えするのもプラスだ。ハマーは全米屈指の名門の出らしいのだけど、なるほどそれも納得、全体が気品に包まれている。もちろん良い意味で。本人に気取りがなく、ヘンテコな顔を平然とこなすのも好印象だ。

 そのハマーの想い人を演じるルース・ウィルソンに全く魅力がないのにはがっかり。トム・ウィルキンソンやウィリアム・フィシュナーらがそのままのイメージで登場するのも捻りがない。大金をかけて最新の技術を駆使しても、結局は保守的だ。昔の素材に再挑戦する折には意表を突くような思い切った技が必要だと改めて思う。





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