ニューヨーク、恋人たちの2日間

ニューヨーク、恋人たちの2日間 “2 Days in New York”

監督・出演:ジュリー・デルピー

出演:クリス・ロック、アルベール・デルピー、アレクシア・ランドー、
   アレックス・ナオン、ディラン・ベイカー、ケイト・バートン、
   ダニエル・ブリュール、ヴィンセント・ギャロ

評価:★★★




 「パリ、恋人たちの2日間」(07年)から5年、まさかの続編『ニューヨーク、恋人たちの2日間』が登場。ジュリー・デルピー監督は女優としての代表作「恋人までの距離」(95年)を意識しているのか、登場人物が同じように歳を重ねている。「パリ」との違いとしてはまず、デルピーがメガネを外している場面が多いことを挙げておきたい。「パリ」はメガネ女子の魅力を弾けさせたところに大いなる価値あると考える者にはちょっと寂しい。メガネを外すとデルピーと言えど、5歳は老ける。

 とは言え才女デルピー、監督としては好調だ。デルピー扮するヒロインは現在、ディスクジョッキーであるアフリカ系の恋人とニューヨークに住んでいる。それぞれの連れ子も一緒だ。そこにフランスから父親と妹、その恋人が遊びに来る。たったそれだけの話で、事件らしい事件は起こらない。なのに面白い。一分に一回は吹き出すと言っても言い過ぎではないかも?!

 客の滞在は僅かな期間だというのに、その内容が濃いこと。マッサージ店、ヨガ教室、トレーニングジム、オシャレなカフェ。忙しなく動くばかりでなく、家にはマリファナの売人や呼び鈴の修理屋、助平な医師が次々顔を出す。その上、デルピーは写真展まで開くのだ。その場所場所で小さな衝突が起こる。

 この「小さな衝突」の描き方にデルピーの才能が注がれる。例えば、英語がフランス語に通訳される場面。単純な映画人なら全てを誤訳して笑いを誘うところだけれど、デルピーは少しずつ間違うことで生じるズレを貫く。予期せぬ客がやってきたときの喧嘩場面では、わざと相手に合わせないことで自分の主張を通すことから浮上するおかしみが溢れる。

 いよいよ女版ウッディ・アレンの匂いが濃くなってきたデルピーは、笑いという点だけ取り出せば、今のアレンを超えていると思う。早口の畳み掛け、大袈裟なジェスチャー、人を喰った場面転換。突然表れるスラップスティックなギャグ。アレンの財産を正しく引き継ぎながら、しっかりデルピー映画に染まっているのが良い。ほんのりと色香が漂う。哲学的要素が飛び出す場面では、ヴィンセント・ギャロが降臨。技あり一本。下ネタはくどいけれど。

 あ、でも登場人物が皆濃いのは、演じる俳優の持ち味によるところも大きいのかもしれない。やっぱり父親役ね。デルピーの実父だ。彼の前では、あのクリス・ロックが薄く見えるのが可笑しい。

 作中、デルピーがこんなセリフを言う。「私は他人と接するのが苦手なの。興味があるのは、他人との関係が変化していくことよ」。おそらくデルピーの映画は、それを表現したものなのに違いない。スマートにやり遂げている。ただ、この面倒臭いヒロインは、デルピー以外の女優にはできない。アレン映画がそうであるように、今後もキャスティングが重要になるはずだ。





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