彼女はパートタイムトラベラー

彼女はパートタイムトラベラー “Safety Not Guaranteed”

監督:コリン・トレヴォロウ

出演:オーブリー・プラザ、マーク・デュプラス、ジェイク・ジョンソン、
   カラン・ソニ、ジェニカ・バージェレ、クリステン・ベル、
   ジェフ・ガーリン、メアリー・リン・ライスカブ

評価:★★★




 ヒロインを演じるオーブリー・プラザは、所謂美人ではない。膨らんだ頬はもう少しでおたふく顔に突入しそうだし、顔のパーツの主張が妙に強いのも違う気がする。とりわけ目の力が強力だ。スーザン・サランドンと張り合うことが可能な大きさの上、怖ろしく据わった三白眼なのが迫力があるというか怖いというか。当然始めはギョッとする。少々引いて見てしまう。けれど気がつけば、あぁ、可愛らしくも見えてくるのが『彼女はパートタイムトラベラー』の底力だ。

 プラザに相応しい役柄が用意される。甘ったるさを排除した女で、人生に期待は抱いていない。希望も持っていない。父親に処女であることを見破られてしまうような女だ。戻れるならば過去のいつを選ぶか話題になったとき、「人が殺し合いをしていたアステカ時代」だと平然と応える。「妖精やドラゴンを見たくない?」なんて続けもする。要するに辛辣な性格。でも、それを可笑しく見せるのがプラザの偉いところ。

 プラザが恋に落ちる相手が…これがまたかなりキテいる。「一緒に過去に戻ろう」という新聞広告を出す中年男で、どうやら彼はタイムマシンを作り、一緒に過去に戻る同行者を探しているらしい。果たして彼は頭が狂っているのか、それとも本当に時間旅行ができるのか。マーク・デュプラスがいかがわしさを湛えながら、でも純粋さを忍ばせる好演を見せる。プラザの強烈な存在感にも呑まれていない。

 新聞社のインターンのプラザはデュプラスの正体を探るべく近づくのだけれど、それがそのままデートになるのが可笑しい。…と言っても通常のそれとはまるで違う。山の中を走ったり、腕立て伏せをしたり、空手や射撃に取り組んだり、ほとんど筋力トレーニング。タイムマシンの材料を調達するべく盗みに入ったり、山奥で焚き火だけのミニキャンプもある。ある種の男が泣いて喜びそうなメニューだけれど、理想のデートとは全く違っていて、でもそれがふたりの個性をくっきり浮かび上がらせる。

 プラザと一緒に取材に向かう先輩役のジェイク・ジョンソンと同じインターン役のカラン・ソニがさり気なく良い味だ。ただのちゃらんぽらんに見えたジョンソンが意外な純情を覗かせたり、100年後も童貞っぽいソニが思い切った行動に出たり…。ふたりをちょこまか動かすことで、主人公カップルを「政府に追われる」状況に追い込むのが楽しい。デートにちょっとだけサスペンス色が入るのだ。

 登場人物のすったもんだを眺めていると、時間というものの価値について考えさせられる。今我々が生きているこのときは、他の何事にも変えられない。主人公カップルは過去を目指すけれど、彼らの結末が幸せに思えるのは、今を生きている感じが忘れられていないからだ。登場人物への愛情と時間への敬意に溢れた脚本が素晴らしい。





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