スプリング・ブレイカーズ

スプリング・ブレイカーズ “Spring Breakers”

監督:ハーモニー・コリン

出演:ジェームズ・フランコ、ヴァネッサ・ハジェンズ、セレーナ・ゴメス、
   アシュレイ・ベンソン、レイチェル・コリン、グッチ・メイン

評価:★★★★




 春休みのフロリダのビーチ、音楽とダンスと裸に熱狂する若者たちに向かって、DJのジェームズ・フランコが言い放つ。「ビキニとケツこそが人生だ!(Bikinis and Big Booties, y'all, that's what life is about!)」。『スプリング・ブレイカーズ』はこのセリフを映像化した映画だ。バカバカしく聞こえるそれを大真面目に描き出し、なおかつ成功させてしまったのが、何だかスゴイゾ。

 何と言っても、ヴィジュアルの面白さ。「スプリング・ブレイク」という言葉を呪文に、女の尻とそれに覆い被さるビキニをしつこく映し出す。原色を微妙に外し、しかしキツメの色を恐れることなく並べながら…。いずれのビキニも身体に食い込んでいるのが偉い。そう、若い身体というものは、肉が余り気味になるものだ。特に腹から尻にかけてのそれをじっくり撮っている。撮って、撮って、撮り続け、強引にも詩情を捻り出すのに笑う。

 配役が重要だ。メイン四人はいずれも童顔で少女の匂いをたっぷり残す女優たちだ。ディズニー・チャンネル出身の者が混じっているというのが分かりやすい。幼く、あどけなく、まだ熟していない身体が、犯罪の世界に嬉々として揉まれる様に宿る、不思議なエロス。それがビッチと密着する。

 四人をビッチへ定着させようとするのがフランコの役どころで、これが何ともまあ、異様な雰囲気を醸し出している。髪を複雑に編み込み、前歯は銀色一色、瞳の奥はがらんどうで、鍛えられた身体のタトゥーから危険な匂いを立ち上がらせる。変態を恐れることなく、四人と戯れる様よ。ドラッグ、銃、高級車を武器に、彼は地獄への使者となる。

 そう、広がるのは悪夢だ。ここでは良識など、何の役にも立たない。退屈な日常から逃れ、いつもとは違う自分に生まれ変わりたいと臨んだ旅が、悪夢に呑み込まれていく。血が流れ、涙が溢れ、絶叫が空気を切り裂く。深い森に迷い込んだ四人の悪夢は、彼女たちに優しくもあり、辛くもあり…、驚くべきことに多面性に富んでいる。

 悪夢が色っぽいのだ。彼女たちが初めて入る世界は褒められたものではない。けれど、そこには「自我の解放」に似た自由さが、確かにちらつく。あくどくて、陰惨で、卑劣で、残酷で、猥雑で…でもなんだか尊いものでも見せられているかのように眩しい。そればかりか、悪夢を積極的に振り払った者には辛辣な眼差しが向けられる。悪夢の中でしか、額にユニコーンが縫い付けられたピンクの目出し帽は被れない。

 ブリトニー・スピアーズの「Everytime」をフランコが歌う場面が良い。決して歌唱力がある方ではないフランコがピアノを弾き語りする画と、美しいオレンジの夕日、そして犯罪場面が被さっていく。そのときにふと思ったのだ。この愚かな四人はひょっとして、ただ一人の人間なのではないか。少女Aの黒く輝く青春を想像の世界に誘ったのがこの画なのではないか。気がつけば、ほの暗さと翳りが狂乱を奥深くしている。





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