ハングオーバー!!! 最後の反省会

ハングオーバー!!! 最後の反省会 “The Hangover Part III”

監督:トッド・フィリップス

出演:ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキス、
   ジャスティン・バーサ、ケン・チョン、ジョン・グッドマン、
   ヘザー・グラハム、ジェフリー・タンバー、メリッサ・マッカーシー、
   マイク・エップス、サーシャ・バレス、ジェイミー・チャン

評価:★★




 息子の暴走に呆れ過ぎて死んでしまった父親の葬儀で、アラン(ザック・ガリフィアナキス)が無駄に高く美しい歌声を響かせる場面。アランが質屋のデブ女(メリッサ・マッカーシー)と目が合った瞬間、電撃的に恋に落ちる場面。以上二点が『ハングオーバー!!! 最後の反省会』で大笑いできるポイントだ。残りの場面の停滞感にギョッとする。これは本当に「ハングオーバー」シリーズなのか。

 確かに二作目(11年)は一作目(09年)の焼き直しだった。舞台をタイに移して同じことを繰り返した怠慢映画だった。作り手も反省したのかもしれない。今回は思い切り舵を切る。前二作とは明らかに異なる海に挑む。その勇気は立派だけれど、破天荒コメディがダーク・コメディに姿を変え、アクション・コメディへと突っ走り、終いにはサスペンスにまで突き進むとは…。常にシリアスな空気につきまとわれ、笑いたくても笑えない窮屈な穴にまで落ちていく。このシリーズにそれを求めている人は、どれだけいるだろう。

 シリーズの原動力になっていたのは、どこに向かうのか、いつ爆発するのか分からない喜劇のエネルギーだった。無意味にハンサムなブラッドリー・クーパー、生真面目さが頓珍漢なエド・ヘルムズ、言動が全て混乱に結びつくガリフィアナキス。三人のバランスが絶妙で、どんな事態に出くわしても意表を突いた笑いを弾けさせるところに快感があったのだ。それをほとんど放棄している。話に筋を作り、サスペンスを盛り上げることに必死になるあまり、クーパーは話の進行役に終わり、ヘルムズはいてもいなくても問題なし、ガリフィアナキスだけがいつものように大騒ぎして浮き上がるという落ち着かない気分が前面に出る。

 アクションやスリラーの方向に向かうにしても、作り手が笑いも盛り込もうとしていることは明白で、その中途半端さが画面に表れているのが辛いところ。タイの刑務所から脱獄する場面や豪邸の金塊を盗み出す場面、高層ホテルの屋上からぶら下がる場面…いずれも笑いと一緒に別のものを獲得しようとして、生温いばかりか笑えもしないという悲劇的な結果に終わっている。

 大体からして、序盤から不吉ではあった。ペットとして飼うべくアランに買われたキリンが高速道路で遭う悲劇。あるものが高速を転がり、車のフロントガラスにめり込んでしまう。これのどこに笑えば良いのか。思い切り引いてしまうのが冷静な反応だろう。ブラックジョークを狙って、不快なところにハマるギャグが多いのが特徴だ。

 その上、「感動」まで浮上させようと欲張る。終わってみればこのシリーズはアランの成長の物語になっていて、あぁ、なんて野暮な話に貶めるのだろうと落胆する。ここに出てくる男たちは、成長しないから良いのだ。どれだけハチャメチャに暴れても、怒られても、落ち込んでも、決してめげないところにこそ、愛すべきチャームがあったのに、成長だなんて大きな裏切り行為だ。古田新太と双子だと思われるケン・チョンの出番を増やして喜んでいる場合ではない。





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