殺しのナンバー

殺しのナンバー “The Numbers Station”

監督:カスパー・バーフォード

出演:ジョン・キューザック、マリン・アッカーマン、リアム・カニンガム、
   リチャード・ブレイク、ブライアン・ディック、ルーシー・グリフィス、
   ジョーイ・アンサー、ハンナ・マリー

評価:★★




 オープニング場面。車の中で男がふたり、他愛ない会話をしている。不規則に並ぶ数字を元にメモを取る。数分後、ひとりがバーの中に入り、マスターと言葉を交わす。マスターは男に身の上話を打ち明ける。男はそれを聞き終わった後、用意していた銃でマスターを撃ち殺す。バーからひとりが逃走し、家に逃げ込む。男はそこに押し入り、無情に息の根を止める。それを目撃した娘と思しき女をしかし、男は殺せない。

 タバコの煙、グラスに入った酒、綿菓子のような雪、トレンチコート、銃弾…『殺しのナンバー』は、この場面だけでもカッコつけアイテムが勢揃い。照明も撮影も男の非情さを意識した匂いぷんぷんだ。ここに女子どもに対しては非情になりきれない人間らしさが加わることで、いよいよその美学は完成されるのだけれど、甘い。こういう甘ったるさは物語を安くすることしかしない。間違ったロマンティシズムだ。

 女は結局、男の同僚に殺されるのだけど、実はこれが物語の軸のひとつの装飾になっている。CIA捜査官の彼は英国の新しい任務地で、再び若い女を殺さなければならない状況に追い込まれる。今度はどうか、というわけだ。けれど、どうせまた殺せないだろうことは見え見えだ。物語を考えても、ジョン・キューザックが男を演じていることを考えても…。

 それにこの「女を殺せるか」という軸は途中から、「女を守れるか」というそれに置き換えられてしまうのだ。キューザックはホッとして女を守れるというものだ。卵フェイスがこのジャンルにあまりハマらないことを再確認しつつ、それにしてもいちばんのサスペンスを簡単に放棄するとはだらしない。

 もうひとつの軸となる命題は、「世界各地に送られた誤った指令を取り消すことができるか」。これに関してもオペレーターである女が驚異の冴えを見せて、数時間で事態が解決。怪我をしていることも、敵がいつ襲い来るのか分からない状況も、あっさりかわす。あぁ、頼もしいネエチャンだ。

 数字を使って世界各地に暗号を送る基地…という舞台は面白いのに機能せず。英国の田舎町、人里離れた寂しい景色の中にぽつんとそびえる建物は、コンクリートによる外観同様、内部も大変殺風景。二人一組・交代制になるその基地では、数字だけが時たま送られてきたり送ったり…。潜水艦に乗艦しているような圧迫感。男と女の間に何が起きても全くおかしくない風情だ。ニール・ジョーダンあたりなら、本物のロマンティックを散りばめて、上手く捌きそうな気がする。





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