ANNIE アニー

ANNIE アニー “Annie”

監督:ウィル・グラック

出演:クヮヴェンジャネ・ウォレス、ジェイミー・フォックス、ローズ・バーン、
   キャメロン・ディアス、ボビー・カナヴェイル、デヴィッド・ザヤス、
   アドウェール・アキノエ=アグバエ、マイケル・J・フォックス、
   パトリシア・クラークソン、アシュトン・カッチャー、ミラ・クニス、リアーナ

評価:★★




 21世紀版『ANNIE アニー』は大恐慌時代から現代へと舞台が移されているものの、大筋は変わらない。幼いときレストランの前に捨てられた10歳の少女が、大富豪と出会う物語。毎度危険な設定だと思う。子どもの健気さに寄りかかった感動の押しつけを、本物のそれだと勘違いしやすい。ところが、その点は明るくクリアされる。少女がなかなか生意気でカラッとしているし、孤児が集まる施設を中心に受ける仕打ちにも陰湿さは感じない。

 ところが、見せ方が巧くないのだ。富豪が携帯会社の社長に設定されていたり、彼と少女が住むアパートの最上階が現代的なアイテムで占められていたり、終盤のアクション場面でインターネットが活用されたり、とにかく現代性を前面に出すものの、強調が過ぎたのか、かえって古臭く見える。それに引っ張られるように、物語が持つ普遍性もまた、新味なく映る。ニューヨークに魔法がかからない。

 ミュージカル場面もダメだ。歌える役者がジェイミー・フォックスしか出てないのも問題だけれど、何より演出がチープだ。一応ダンスらしきものが出てくるものの、機嫌が良い人が身体を揺らしているだけにしか見えないし、それをごまかすために編集で画を次々繋いでいくのがくだらないの何の。なんちゃってミュージカルでしかないものを、なぜここまで堂々と見せられるのか。

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ビッグ・アイズ

ビッグ・アイズ “Big Eyes”

監督:ティム・バートン

出演:エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ、ダニー・ヒューストン、
   ジョン・ポリト、クリステン・リッター、ジェイソン・シュワルツマン、
   テレンス・スタンプ、ジェームズ・サイトウ、デラニー・レイ

評価:★★★




 どこかの国の少女漫画とは違い、マーガレット・キーンの描く子どもたちの目には星など飛ばない。私(僕)って可愛いでしょう?なんて声も聞こえてこない。その代わりに目の奥底に宇宙が広がって見える。人は誰しも心の宇宙に他人には、いや自分でも解けない謎を抱えて生きている。

 『ビッグ・アイズ』から察するに、ティム・バートン監督はマーガレットの作品が好きだ。彼女が生み出す少年少女の目周りの仄暗さは、なるほどバートン・ワールドの住人のよう。映画の色合いはバートン映画にしては随分明るいけれど、それでもやはり脳天気にはならない。画面をキャンパスに見立てたバートンが動く絵を撮るように遊びながら、愛する芸術家への共鳴を実現させる。

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February 20-22 2015, Weekend

◆2月第3週公開映画BUZZ


“Wild Tales”
 配給:ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
 監督:ダミアン・ジフロン
 Budget:-
 Weekend Box Office:$85,100(4)
 OSCAR PLANET Score:83.0 BIG WAVE!
 Oscar Potential:外国語映画賞

“McFarland, USA”
 配給:ディズニー
 監督:ニキ・カーロ
 Budget:$17,000,000
 Weekend Box Office:$11,020,798(2755)
 OSCAR PLANET Score:70.4
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演男優賞:ケヴィン・コスナー
           助演女優賞:マリア・ベロ

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ジャッジ 裁かれる判事

ジャッジ 裁かれる判事 “The Judge”

監督:デヴィッド・ドブキン

出演:ロバート・ダウニー・ジュニア、ロバート・デュヴァル、
   ヴェラ・ファーミガ、ヴィンセント・ドノフリオ、ジェレミー・ストロング、
   ダックス・シェパード、ビリー・ボブ・ソーントン、レイトン・ミースター、
   ケン・ハワード、エマ・トレンブレイ、バルサザール・ゲティ

評価:★★




 都会でやり手弁護士として活躍するロバート・ダウニー・ジュニアが、母の葬儀のため田舎へ帰郷する。そこで待ち受けるのが、ダウニー・ジュニア曰く「ピカソの絵みたいな家族」で、中でも父ロバート・デュヴァルとの関係はよろしくない。その上父は、轢き逃げ事件で裁判にかけられる。父と息子は裁判の過程で、その関係を修復できるだろうか。

 『ジャッジ 裁かれる判事』は定石通りの展開を見せるものの、演技合戦が愉快なので画面から目を逸らせない。ヴィンセント・ドノフリオやビリー・ボブ・ソーントンら脇を固める俳優も充実しているけれど、やはりダウニー・ジュニアとデュヴァル、Wロバートの激突こそ見ものだ。最初はあからさまな衝突を避けていたふたりが、徐々に己の本音を晒していく。

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スパイ・レジェンド

スパイ・レジェンド “The November Man”

監督:ロジャー・ドナルドソン

出演:ピアース・ブロスナン、オルガ・キュリレンコ、
   ルーク・ブレイシー、イライザ・テイラー、カテリーナ・スコーソン、
   ビル・スミトロヴィッチ、ウィル・パットン

評価:★★




 「007/ダイ・アナザー・デイ」は2002年の映画だから、もう10年以上経つ。以来久々にピアース・ブロスナンがエージェントを演じる。これは危険だ。その間、イーサン・ハントとジェイソン・ボーンが活躍の場を広げ、ジェームズ・ボンドは引き継いだダニエル・クレイグが新たなイメージを打ち出した。今更ブロスナンがスパイに扮してもパロディにしか見えないのではないか。

 不安は的中する。『スパイ・レジェンド』でブロスナンが演じるピーター・デヴェローには、ハントのような優秀な仲間も、ボーンのような速さも、新星ボンドのような野獣性や高級感もなく、過去のキャラクターの焼き直しにしか見えない。花盛りのスパイたちの中で、個性が薄いのだ。彼が追いかけるロシアを絡めた謎も新味は薄い。

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シン・シティ 復讐の女神

シン・シティ 復讐の女神 “Sin City: A Dame to Kill For”

監督:ロバート・ロドリゲス、フランク・ミラー

出演:ミッキー・ローク、ジェシカ・アルバ、ジョシュ・ブローリン、
   ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ロザリオ・ドーソン、ブルース・ウィリス、
   エヴァ・グリーン、パワーズ・ブース、デニス・ヘイスバート、
   レイ・リオッタ、ジェイミー・キング、クリストファー・ロイド、
   ジェイミー・チャン、クリストファー・メローニ、ジュノー・テンプル、
   ジュリア・ガーナー、ステイシー・キーチ、レディー・ガガ、
   ジェレミー・ピーヴン、マートン・ソーカス、アレクサ・ヴェガ

評価:★★




 一作目(05年)同様、モノクロの映像に時折赤や黄色、青が落とされる。原作を意識しているのだろう、アクションやセリフは漫画的に処理され、コミックのページをめくりながら眺めるかのような気分を誘う。では、一作目との大きな違いはどこか。3D化が大きいだろう。元々動く漫画を思わせる画の特徴が強調される。これを美しいと見るか否か、意見は割れるはずだ。個人的には買わない。愛敬に通じるチープな味が弱まった。

 そんなわけで『シン・シティ 復讐の女神』、誰からも受け入れられようなんて気はさらさらないようで、ニッチを狙い撃ち。ロバート・ロドリゲスとフランク・ミラーは映像の精度を高めることに専念している。悪徳が栄えるシン・シティを創り込み、そこにキャラクターに見合った豪華スターを投入、ひたすら美とスタイルとエロを追い求める。

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殺意は薔薇の香り

殺意は薔薇の香り “Avant l'hiver”

監督:フィリップ・クローデル

出演:ダニエル・オートゥイユ、クリスティン・スコット=トーマス、
   レイラ・ベクティ、リシャール・ベリ、ヴィッキー・クリープス

評価:★★




 物語よりも映像に見入る。脳外科医の夫とその妻を描く『殺意は薔薇の香り』の舞台はパリの郊外。仕事は順風満帆。息子は独立、可愛い孫も授かり、何不自由ない暮らしを送る彼らの日常の風景が綺麗だ。緑豊かな場所にある豪邸。デザインがいちいち凝った家具や雑貨、趣味の良い食器、カーテン。ワインを飲んで一日を終えるのが似合うスマートな空間。

 見ようによっては空虚でしかないそこに、確かに生活は存在するとばかりに、その匂いを探り出す。夫婦が一緒に暮らしてきた時間や何気ない会話をくすぐり、人生の儚さと共に、映画ではお馴染みの「中年の危機」にも似た焦りを浮上させる。それをおフランス風に、ちょいとばかり気取りながら描く。うむ、フランス映画なのだから、これぐらいでちょうど良い?

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トラッシュ! この街が輝く日まで

トラッシュ! この街が輝く日まで “Trash”

監督:スティーヴン・ダルドリー

出演:リックソン・テヴェス、エドゥアルド・ルイス、
   ガブリエル・ウェインスタイン、マーティン・シーン、ルーニー・マーラ、
   ワグネル・モウラ、セルトン・メロ

評価:★★★




 「走る」という動きは映画ととにかく相性が良い。フォレスト・ガンプは走った。イーサン・ハントも良く走る。アンジェリーナ・ジョリーも結構走る。スクリーンを突き破るような快感が走る人物の芯に宿り、それがいつしか観る者に伝染するのだ。『トラッシュ! この街が輝く日まで』は追う者、追われる者の物語のため、走るショットが多い。なるほど、快感だ。

 加えて走るのは三人の少年だ。拾った財布に懸賞金が賭けらていることを知った三人がその秘密を探り、いつしか警察に追われるようになる。14歳の命は運動量が抜群に多い。全速力の走りが風を起こし、周りを揺らし、新しい何かを手に入れる。その瞬発力こそ、何物にも代え難い。

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February 13-15 2015, Weekend

◆2月第2週公開映画BUZZ


フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ “Fifty Shades of Grey”
 配給:フォーカス・フィーチャーズ
 監督:サム・テイラー=ジョンンソン
 Budget:$40,000,000
 Weekend Box Office:$85,171,450(3646) Great!
 OSCAR PLANET Score:40.0
 Razzie Potential:作品賞監督賞脚本賞
           主演男優賞:ジェイミー・ドーナン
           主演女優賞:ダコタ・ジョンソン

“Kingsman: The Secret Service”
 配給:20世紀フォックス
 監督:マシュー・ヴォーン
 Budget:$81,000,000
 Weekend Box Office:$36,206,331(3204) Good!
 OSCAR PLANET Score:66.1
 Golden Globe Potential:主演男優賞:コリン・ファース

ラスト5イヤーズ “The Last Five Years”
 配給:ラディアス-TWC
 監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
 Budget:$2,000,000
 Weekend Box Office:$42,042(3)
 OSCAR PLANET Score:64.8
 Oscar Potential:主演男優賞:ジェレミー・ジョーダン
           主演女優賞:アンナ・ケンドリック

“The Rewrite”
 配給:イメージ・エンターテイメント
 監督:マーク・ローレンス
 Budget:-
 Weekend Box Office:-
 OSCAR PLANET Score:55.5
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演男優賞:ヒュー・グラント
           助演女優賞:マリサ・トメイ

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96時間 レクイエム

96時間 レクイエム “Taken 3”

監督:オリヴィエ・メガトン

出演:リーアム・ニーソン、フォレスト・ウィテカー、マギー・グレイス、
   ファムケ・ヤンセン、ダグレイ・スコット、サム・スプルエル、
   リーランド・オーサー、ジョニー・ウエストン

評価:★★




 カーヴが続く山道で追突された車が崖下へと転落する場面がある。運転しているのは主人公ブライアン・ミルズだ。岩に何度も打ちつけ回転しながら落ちていく車。ようやく止まったと思ったらもちろん爆発・炎上する。断るまでもなくニーソンは無事なのだけど、どうやって助かったのか、もはや説明もされない。いや、一応後にそれらしい説明は出てくるのだけど、詳細は誤魔化される。

 ミルズだから良いのだ。演じるのがリーアム・ニーソンだから良いのだ。『96時間 レクイエム』は作り手がそういう意識で撮った映画だ。娘を溺愛するミルズが暴走機関車と化し、悪漢を懲らしめる。ミルズは無敵であり、不死身であり、だからどんな窮地も切り抜けられる。方法は重要ではない。そんな安心感を前提にして、爽快なアクションが出来上がると思ったら大間違い。脚本が酷い。

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テーマ : 映画感想
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やさしい本泥棒

やさしい本泥棒 “The Book Thief”

監督:ブライアン・パーシヴァル

出演:ソフィー・ネリッセ、ジェフリー・ラッシュ、エミリー・ワトソン、
   ベン・シュネッツァー、ニコ・リールシュ、バルバラ・アウア

評価:★★★




 1938年のドイツ、ミュンヘン近郊の田舎から始まる。そう、『やさしい本泥棒』の物語は戦争が影を落とす。母親と別れ、弟に先立たれ、里子に出された少女が、戦時下を駆け抜ける。鍵を握るのは、本だ。字の読めなかった少女が文字を覚え、少しずつ本来の明るさを取り戻していく。

 …という話のはずだけれどしかし、「本が持つ力、芸術が持つ力が心の豊かさに結びつく」という流れにはさほど吸引力がない。少女の活字・本への執着が弱いし、「泥棒」もあっさりした描写に留まる。まっさらな日記にまつわるエピソードは取って付けたように急ぎ足で済まされる。家の地下室や防空壕の中で物語を語って聞かせる件のように、少女と本の関係を念入りに描き込むべきだろう。

 とは言え、それを差し引いても見入る部分は多い。まず、キャラクターが良い。色に乏しい田舎町の質素な暮らし。少女は真ん丸の目に現実を懸命に映し出す。本を愛し、新しい父と母を愛し、友人を愛し、突然の訪問者を愛する。彼女のイメージは白だ。そしてその白のイメージが濁らないのが面白い。戦争の闇に触れ、黒が落とされそうなものなのに、彼女は白のままだ。翳りを帯びることはあっても、白を維持する。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

あと1センチの恋

あと1センチの恋 “Love, Rosie”

監督:クリスティアン・ディッター

出演:リリー・コリンズ、サム・クラフリン、クリスチャン・クック、
   タムシン・エガートン、スーキー・ウォーターハウス、
   ジェイミー・ビーミッシュ、ジェイミー・ウィンストン

評価:★★




 子どものときから仲良しこよしの男女が互いを想いながら、しかし友達以上の関係にはなかなかなれない様が描かれる。…と書くと「恋人たちの予感」(89年)を連想してしまうけれど、『あと1センチの恋』はそれとは較べられないほど子どもっぽい印象が付きまとう。主演がリリー・コリンズとサム・クラフリン、若手ふたりだからではない。彼らが賢く見えないのが原因だ。

 目の前にご馳走があったら、迷うことなくそれに飛びつくふたり。よくよく考えればその料理は安物の材料で作られたニセモノでしかないのに。ふたりは結ばれるのに(そう、これは分かり切った結末だ。そしてそれで問題ない)30年近くかかる。そしてそうなってしまったのは、いつもいつも後先考えずに行動するからだ。一回だけならまだしも、何度繰り返せば気が済むのだ。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

第57回グラミー賞授賞式鑑賞メモ

第57回グラミー賞授賞式の感想を箇条書きでつらつらと。


●司会はまたまたまたまたLL・クール・J。いや、ホント、さすがに続け過ぎ。他にも人材はいると思ふ。

●AC/DCのパフォーマンスで幕開け。「Rock Or Bust」「Highway To Hell」を連続演奏。もう続けてくれているだけで有難い気分。昨年は哀しいニュースが飛び込んできたけれど、うん、長く活動して欲しい。ブライアン・ジョンソンは腹が出たなぁ。ハンチング帽にシャツ、本当にグラミーのステージか…なんて思えるのが可笑しい。最初のパフォーマンスゆえか会場もたっぷりカメラに抜かれるけれど、皆笑顔。トニー・ベネットの横で目化粧が強烈なレディー・ガガがノリノリ。何だか改めてスゴイ画。[★★]

●Best New Artist。プレゼンターはテイラー・スウィフト。ターコイズブルーの脚見せドレスにピンクのハイヒール。もはや余裕。貫禄すら感じさせる。受賞は当然のようにサム・スミス。臙脂色のスーツがなかなかオシャレ。ボーイ・ジョージに似ているのは気のせいなのか。楽曲よりもそちらの方が気になる人。目にはちょっとアラン・カミングも入っていると思う。口調も物腰も柔らか。シンプルなスピーチ。

●女優なんだからもっと着飾って欲しいスーツ姿のアンナ・ケンドリックがアリアナ・グランデを紹介。楽曲は「Just A Little Bit Of Your Heart」。このアイメイクは失敗じゃないかなぁ。どうやら日本びいきの人のようなので、まあ、いいか。緊張のせいか、声はあまり出ていない。[★★]

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テーマ : ◇つぶやき◇
ジャンル : ライフ

アイアン・ソルジャー フォートブリス陸軍基地

アイアン・ソルジャー フォートブリス陸軍基地 “Fort Bliss”

監督:クローディア・マイヤーズ

出演:ミシェル・モナハン、ロン・リヴィングストン、マノロ・カルドナ、
   ベンガ・アキナベ、エマニュエル・シュリーキー、フレディ・ロドリゲス、
   パブロ・シュライバー、ダッシュ・ミホーク、オークス・フェグリー、
   ジョン・サヴェージ、ドリュー・ギャレット

評価:★★★




 ひょっとすると女が兵士だと、世間の多くは「女なのに偉い」と感心するのかもしれない。男女平等を叫んでも、どうしてもそういう短絡的な考えは出てくる。それに肉体的な差から生まれる歪も見逃されるべきではない。けれど、問題はそれだけではない。ヒロインは車両隊列に同行して負傷した隊員を治療する衛生兵だ。アフガニスタンでの15か月の勤務の後、彼女は幼い息子と再会する。しかし、息子は自分を忘れ、夫の新しい恋人に懐いている。

 『アイアン・ソルジャー フォートブリス陸軍基地』は帰国してから始まる彼女の戦いを描く。幼い息子とは一から関係を築かなければならない。基地での新しい仕事に就くも、部下は問題児が多い。車の修理工と出会い惹かれ合うも、関係はなかなか深まらない。非常にデリケートな題材ゆえ、心からの敬意と温かな眼差しが慎重に注がれる。

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February 6-8 2015, Weekend

◆2月第1週公開映画BUZZ


ジュピター “Jupiter Ascending”
 配給:ワーナー・ブラザース
 監督:アンディ・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー
 Budget:$176,000,000
 Weekend Box Office:$18,372,372(3181) zzz...
 OSCAR PLANET Score:33.6 BIG BOMB!
 Oscar Potential:美術賞、視覚効果賞、録音賞、音響効果賞
 Razzie Potential:作品賞監督賞脚本賞
           主演男優賞:チャニング・テイタム
           主演女優賞:ミラ・クニス
           助演男優賞:エディ・レッドメイン

“Seventh Son”
 配給:ユニヴァーサル
 監督:セルゲイ・ボドロフ
 Budget:$95,000,000
 Weekend Box Office:$7,217,640(2875) zzz...
 OSCAR PLANET Score:28.1 BIG BOMB!
 Oscar Potential:視覚効果賞、録音賞、音響効果賞
 Razzie Potential:作品賞監督賞脚本賞
            主演男優賞:ベン・バーンズ
            助演男優賞:ジェフ・ブリッジス
            助演女優賞:ジュリアン・ムーア

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MUSIC 2014

2014年によく聴いた音楽についてアレコレ。

 2014年初めは前年に引き続きザ・ストライプスの『Snapshot』ばかり聴いていた(昨年の記事)。それに代わって四六時中流すくらいに気に入ったのは、グラミー賞授賞式直後に手に入れたイマジン・ドラゴンズの『Night Vision』だ。それまでにもシングルヒットが次々出ていたので耳に馴染んでいたバンドだけれど、アルバムを聴いてみると、音作りが新しくて楽しいの何の。あぁ、オルタナティヴ・ロックという言葉が初めて腑に落ちたような感覚を覚えた。音楽の可能性を果てしなく感じさせてくれる音が詰まったアルバム。やっぱりグラミー賞で見せた、ケンドリック・ラマーとのコラボレーション「Radioactive」は、このバンドを象徴していた気がする。

 このアルバムに入っている楽曲の多くは空で歌えるくらいに聴き込んだ。ネット上に溢れるLylic Videoをフル活用していたら耳や口が勝手に覚えた。それまでLylic Videoの存在価値って何だろうと思っていたのだけど、ふむ、こうやって使えるじゃないの。あんまり凝り過ぎたLylic Videoはダメ。ちゃんと歌詞が自然に目に飛び込んでくるように作られたものがベスト。なお、『Night Vision』でいちばん口ずさんで気持ち良いのは、やっぱり「It's Time」ね。一時期、サビが頭から離れなくなって困ったわさ。

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WORST 2014

2014年 WORST10


1. インターステラー “Interstellar”
 監督:クリストファー・ノーラン
 出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン
 度が過ぎるノーランの真面目さと陶酔色の強いはったりの相性が悪く、おかげで中途半端な「とんでも映画」に。

2. トランセンデンス “Transcendence”
 監督:ウォーリー・フィスター
 出演:ジョニー・デップ、レベッカ・ホール、ポール・ベタニー
 分かりやすく良識派に回った作り手にSFセンスなし。ヴィジュアルの平坦さが退屈な物語にトドメを刺す。

3. 8月の家族たち “August: Osage County”
 監督:ジョン・ウェルズ
 出演:メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー
 オクラホマの自然が背景にあるのに、牢獄のように窮屈な画面。頭の固い優等生演技に全てが呑まれる。

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BEST 2014

2014年 BEST10


1. 6才のボクが、大人になるまで。 “Boyhood”
 監督:リチャード・リンクレイター
 出演:エラー・コルトレーン、パトリシア・アークェット、イーサン・ホーク
 12年をかけて撮影した甲斐のある「時の流れ」の味わい。装飾を避け、その存在感を信頼するその目の確かさ。

2. アデル、ブルーは熱い色 “La vie d'Adèle - Chapitres 1 et 2”
 監督:アブデラティフ・ケシシュ
 出演:アデル・エグザルコプロス、レア・セドゥー
 人間という生き物の本能が、美醜そのまま映像化されるインパクト。肉体の絡みから放たれる磁力。

3. グランド・ブダペスト・ホテル “The Grand Budapest Hotel”
 監督:ウェス・アンダーソン
 出演:レイフ・ファインズ、トニー・レヴォロリ、シアーシャ・ローナン
 殺人事件の謎とアドヴェンチャー、この監督ならではの美的感覚が奇跡的な融合を見せる。

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サンバ

サンバ “Samba”

監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ

出演:オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、
   タハール・ラヒム、イジア・イジェラン

評価:★★★




 エリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュは真面目な題材をコメディに仕立てて考えさせる二人組のようで、「最強のふたり」(11年)で身障者を取り上げたのに続き、『サンバ』では深刻な移民問題を物語の軸に通す。移民支援センターで出会ったセネガル出身の男と仕事に燃え尽きて心が疲れている女の掛け合いを手堅くまとめる。

 二人組の秘密兵器はまたもや、オマール・シーだ。長身が気持ち良いアフリカ系のシーは、「最強のふたり」でそうだったように、陽の存在感の持ち主だ。けれど、決して脳天気には映らない。陽の彼方此方がどこか翳りを帯びているからだ。明るさの裏に人知れぬ哀しみが漂う。その個性が出国を余儀なくされそうな主人公サンバの役柄に慎ましく溶けていく。「最強のふたり」とは違い、役柄が受けに回っているところがあるため、何時でも何処でも人々の太陽として輝くというわけにはいかないものの、それでも彼の眺めは相変わらず良い。

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バッドガイ 反抗期の中年男

バッドガイ 反抗期の中年男 “Bad Words”
手紙 旅行 心の旅 照明 マジック 手品 ショー
監督・出演:ジェイソン・ベイトマン

出演:キャスリーン・ハーン、ローハン・チャンド、ベン・ファルコーン、
   アリソン・ジャニー、フィリップ・ベイカー・ホール

評価:★★★★




 アメリカのスペリング大会はドキュメンタリー映画「チャレンジ・キッズ 未来に架ける子どもたち」(02年)が詳しい。大人でも知らない難解な単語を大勢が見守る中綴れるか否か、子どもたちが競い合う。ここで頂点に立つのはある種のアメリカン・ドリームだ。『バッドガイ 反抗期の中年男』の主人公ガイは40歳にして、このコンテストを荒らす。規則の穴を突いてまんまと全国大会に出場、大人気なく子どもたちを負かしていく。もちろんコメディだ。

 ガイをジェイソン・ベイトマンが演じるのは無理があるのではないか。「モンスター上司」(11年)の好演にもあるように、ベイトマンは十八番は無個性の気弱な男だ。ブラックな笑いが彼方此方で弾ける物語を引っ張るタフなエネルギーとは無縁ではないか。…と思ったのだが…。

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January 30-1 2015, Weekend

◆1月第5週公開映画BUZZ


“Timbuktu”
 配給:コーエン・メディア・グループ
 監督:アブデラマン・シサコ
 Budget:-
 Weekend Box Office:$45,110(4)
 OSCAR PLANET Score:93.4 BIG WAVE!
 Oscar Potential:外国語映画賞

“Black or White”
 配給:リラティヴィティ・メディア
 監督:マイク・バインダー
 Budget:$9,000,000
 Weekend Box Office:$6,213,362(1823)
 OSCAR PLANET Score:44.4
 Oscar Potential:主演男優賞:ケヴィン・コスナー
           助演女優賞:オクタヴィア・スペンサー

ワイルドカード “Wild Card”
 配給:ライオンズゲイト
 監督:サイモン・ウエスト
 Budget:-
 Weekend Box Office:-
 OSCAR PLANET Score:36.3
 Razzie Potential:主演男優賞:ジェイソン・ステイサム

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ベイマックス

ベイマックス “Big Hero 6”

監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムス

声の出演:ライアン・ポッター、スコット・アツィット、T・J・ミラー、
   ジェイミー・チャン、デイモン・ウェイアンス・ジュニア、
   ジェネシス・ロドリゲス、ダニエル・ヘニー、マヤ・ルドルフ、
   ジェームズ・クロムウェル、アラン・テュディック

評価:★★★★




 てっきり兄弟愛をほのぼの描くのかと思ったら、何の何の、思い切りアメリカン・コミックのノリではないか。それもそのはず原作はマーヴェルなのだという。ひょっとしたら将来は、『ベイマックス』登場キャラクターがスパイダーマンやアイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカと並んだ画が見られるのかもしれない。

 亡き兄が遺したロボット、ベイマックスが可愛らしい。風船でできたシロクマのような巨体はシンプルを極め、けれどペンギン風よちよち歩きの微笑ましさや後ろから人を抱き締めるときのソファーのような安心感は、その心の大きさを感じさせるのに十分。表情が変わらないまま、どこか恍けた味が発散されるのが面白い。

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毛皮のヴィーナス

毛皮のヴィーナス “La Vénus à la fourrure”

監督:ロマン・ポランスキー

出演:エマニュエル・セニエ、マチュー・アマルリック

評価:★★★




 マゾヒズムの語源にもなったレーオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」の舞台化がなされることになり、演出兼脚本の男が、遅れてやってきた謎めいた女のオーディションをすることになる。出てくるのはこのふたりだけ。元々が戯曲であり、当然舞台臭が強くなる。けれど、これが案外気にならない。

 男を演じるマチュー・アマルリックが監督のロマン・ポランスキーそっくりの雰囲気で出てくるのが可笑しい。しかも、この題材でヒロインに起用するのは、己の妻であるエマニュエル・セニエだ。そう、そこかしこにポランスキーの茶目っ気が顔を出し、しかも安定の演出で物語るものだから、舞台臭云々より先に、その世界観に引きずり込まれてしまうのだ。

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マップ・トゥ・ザ・スターズ

マップ・トゥ・ザ・スターズ “Maps to the Stars”

監督:デヴィッド・クローネンバーグ

出演:ジョン・キューザック、ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、
   オリヴィア・ウィリアムス、サラ・ガドン、エヴァン・バード、
   ロバート・パティンソン、ジャスティン・ケリー、ニーアム・ウィルソン、
   エミリア・マッカーシー、キャリー・フィッシャー

出演:★★




 舞台は映画の都、ハリウッド。そこで悪夢という名の迷宮に迷い込む人々が描かれる。しかも監督はデヴィッド・クローネンバーグだ。…と来れば、新たなる「サンセット大通り」(50年)か、或いは第二の「マルホランド・ドライブ」(01年)か…と期待するのは健全な流れ。それなのに一向に悪夢が広がらない。流行りの「機能不全の家族の物語」として、こじんまり膝を抱える。

 クローネンバーグはハリウッドを笑い飛ばす。裏表のある人々。日常的なセラピーやマッサージ。物を言う金。生意気な子役。人気の凋落。広がるドラッグ。枕営業。リメイクの量産。ステージママ。傲慢が許され、むしろそうでなければ生き残れない現実。けれどコレ、別に今更の話でもあり、なぜクローネンバーグが取り上げるのか、それが浮上しなければ意味がない。魑魅魍魎の世界はどこ。

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テーマ : 映画感想
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