イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所 “If I Stay”

監督:R・J・カトラー

出演:クロエ・グレース・モレッツ、ジェイミー・ブラックリー、
   ミレイユ・イーノス、ジョシュア・レナード、
   リアナ・リベラト、ステイシー・キーチ

評価:★★★




 チェロを生き甲斐にしている女子高生が、父母弟と一緒に乗った車で交通事故に遭う。幽体離脱した状態で、彼女は生死の境を彷徨う。自分以外は死んでしまった。生き延びたところで辛いだけではないか。病院で処置を受ける自分を眺めながら、彼女は己を振り返る。…こんな展開は彼女が助かるのかどうかなんて、考えなくても分かるというものだ。

 でも、『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』において、それはたいした問題ではない。ヒロインの生死のドラマは、プレゼントが詰め込まれた箱に過ぎない。重要なのはプレゼント。ここで言うプレゼントはクロエ・グレース・モレッツで、そう、これはモレッツを愛でるアイドル映画なのだ。

 思い返せば、これまでモレッツは異形の少女ばかりを演じてきた。コスプレの殺し屋から始まり、ヴァンパイアにオオカミ少女、最近ではサイキックガールまで演じた。それが今回、どこにでもいる普通の女の子役だ。今の興味はチェロと恋人のアダム、そしてジュリアード音楽院の合否通知だ。つまり素のモレッツを眺める気分が味わえる。可愛い。これ、重要。

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物語る私たち

物語る私たち “Stories We Tell”

監督・出演:サラ・ポーリー

評価:★★★★




 サラ・ポーリーは子どもの頃、兄姉たちに「パパに似ていない」とジョークを言われていたらしい。もちろん悪意はない。11歳のときに癌で母を亡くしたポーリーは、それから十数年後、ある事実を知ることになる。ポーリーはそれをドキュメンタリーにまとめ上げる。『物語る私たち』だ。

 舞台女優だった母の真の姿を追いかけるところから始まる。地味な父とは違い、明るく、気まぐれで、奔放な、太陽のような姿が見えてくる。母を語る父や兄、姉、友人たちが彼女を深く愛してきたことが手に取るように分かる。しかし、ある者が漏らす。「彼女は何かを隠していた」。

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November 21-23 2014, Weekend

◆11月第4週公開映画BUZZ


“The Hunger Games: Mockingjay - Part 1”
 配給:ライオンズゲイト
 監督:フランシス・フローレンス
 Budget:$125,000,000
 Weekend Box Office:$121,897,634(4151) Great!
 OSCAR PLANET Score:65.1
 Oscar Potential:主演女優賞:ジェニファー・ローレンス
           メイキャップ&ヘアスタイリング賞、視覚効果賞、主題歌賞

“Reach Me”
 配給:ミレニアム・フィルムズ
 監督:ジョン・ハーツフェルド
 Budget:-
 Weekend Box Office:-
 OSCAR PLANET Score:16.1 BIG BOMB!
 Razzie Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           助演男優賞:トム・ベレンジャー
           助演男優賞:シルヴェスター・スタローン
           助演女優賞:カイラ・セジウィック


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ニンフォマニアック Vol.1

ニンフォマニアック Vol.1 “Nymphomaniac: Vol. I”

監督:ラース・フォン・トリアー

出演:シャルロット・ゲンズブール、ステラン・スカルスガルド、
   ステイシー・マーティン、シャイア・ラブーフ、クリスチャン・スレーター、
   ユマ・サーマン、ソフィ・ケネディ・クラーク、コニー・ニールセン

評価:★★




 ラース・フォン・トリアーはどういうつもりで二部作に仕立てたのだろう。「Vol.2」(14年)を観ないことには分からないものの、単に興行的戦略が理由だとするなら『ニンフォマニアック Vol.1』がつまらないのも仕方がないか。タイトルがカタカナだと格好良く見えるものの、何のことはない、“ニンフォマニアック”は女の色情症患者を意味する。

 トリアーのセクシュアリティへの挑戦というのが、一応の触れ込みのようだけれど、パッと見た感じ、若い女が手当たり次第に(同じく性欲過多の)男たちと寝ている…と言うか、ヤッている場面の羅列だ。芸術映画だからと覚悟の上なのか、ステイシー・マーティンが大変潔い脱ぎっぷりだ。けれどちっとも、興奮しない。マーティンは綺麗な身体だし、知念里奈、或いはフィフィを映画向きにしたような顔立ちも悪くない(額がやたら広い)。なのに何故。

 多分それは、トリアーがこのセックス博覧会を真面目に撮っているのか、ギャグとして撮っているのか、いまいち見え辛いからだ。シャルロット・ゲンズブールがステラン・スカルスガルドに回想する形で話は進められ、その会話には強引な専門性が放り込まれるものの、トリアーがそれを確信犯的に笑い飛ばしているのか、よく分からない。そしてユーモアのどっちつかずは、観る者を混乱へと誘う。早い話、酷く真面目な人が無理矢理笑いを捻り出そうとしているように見えるのだ。

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悪童日記

悪童日記 “A nagy füzet”

監督:ヤーノシュ・サース

出演:アンドラーシュ・ジェーマント、ラースロー・ジェーマント、
   ピロシュカ・モルナール、ウルリク・トムセン、
   ウルリッヒ・マテス、ジョンジュヴェール・ボグナール

評価:★★★★




 もはや戦争は生き物だ。どれだけ辛辣な言葉を投げ掛けられても、悪辣な攻撃を受けても、決して怯まない。善悪の境界をも軽々と飛び越えて、歪んだ笑みを浮かべ続ける。ならば感情的になっても勝ち目はない。ハンガリー映画『悪童日記』は、それならばとその細胞の分析を試みる。

 第二次世界大戦末期のハンガリーに放り込まれるのは、まだ列車の中で走り回るような双子の兄弟だ。少年たちは母方の祖母の住む田舎へと、疎開を強いられる。もちろん優しい生活など待ってはいない。直接的な攻撃を受けることは稀でも、毎日がサヴァイヴァルだ。

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荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて

荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて “A Million Ways to Die in the West”

監督・出演:セス・マクファーレン

出演:シャーリズ・セロン、アマンダ・セイフライド、ジョヴァンニ・リビージ、
   ニール・パトリック・ハリス、サラ・シルヴァーマン、リーアム・ニーソン、
   ユアン・マクレガー、ジョン・マイケル・ヒギンズ、ビル・マー、
   ジェイミー・フォックス、ライアン・レイノルズ、パトリック・スチュワート

評価:★★★




 セス・マクファーレンの名前を世界に轟かせたのはもちろん「テッド」(12年)で、だから彼が西部劇を撮ると言って、昔ながらの渋いそれになるわけがない。何しろ30秒に一回の割合で投入されるのは、360度全方位、完全なる下ネタだ。クマのぬいぐるみの愛らしさが望めない分、嫌悪感を抱く人も相当数に上ると思われる。

 下ネタと言ってもマクファーレンの場合、大分ドライに処理される。ケイシー・アフレックを横に広げたような優しい顔立ちで、各パーツが全体的に下がり気味なのが下ネタ特有のベタつきを抑えるのだろうか。本人もそれを自覚しての(?)「主演」に踏み切る。実はハンサムの部類に入るマクファーレンを愛嬌があると受け入れられるかどうかは、彼の下ネタを受け入れられるかどうかと同義だ。多分。

 『荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて』において、話は重要ではない。マクファーレンが力を入れるのは、西部開拓時代の苛烈さだ。映画を通してだと過剰にクールに描かれがちな世界を笑い飛ばす、それに賭けている。教科書はメル・ブルックス?下ネタを装飾に使うのだ。必然的に付随する脱力感も狙い通りだろう。

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アイ・アム・ニューマン 新しい人生の見つけ方

アイ・アム・ニューマン 新しい人生の見つけ方 “Arthur Newman”

監督:ダンテ・アリオラ

出演:コリン・ファース、エミリー・ブラント、アン・ヘッシュ、
   スターリング・ボーモン、クリステン・ラーマン、
   M・エメット・ウォルシュ、ルーカス・ヘッジス、
   ニコール・ラリベルテ、デヴィッド・アンドリュース

評価:★★




 人生に絶望した男が水死を偽装し、偽のIDを使って新しい人生を始める。女はそんな男に助けられ、その旅路に同行する。…そんなわけで『アイ・アム・ニューマン 新しい人生の見つけ方』はコメディを思わせる設定なのだけど(40年代、50年代映画も連想させる)、そのトーンはひたすら深刻で暗い。主人公男女の言動は突飛でも、酷く生真面目な人間が作った映画だと察する。

 その生真面目さが災いしたのか、ふたりが淋しん坊ごっこをしているように見える。彼らは人生のリセットを試みる。全てを捨ててやり直す。その決意の中途半端さが常に透けて見える不幸。ふたりは旅の途中、留守の家庭に忍び込んでは他人のふりをして過ごすことを繰り返す。その犯罪を責める気はないものの、彼らがはしゃげばはしゃぐほど画面は辛気臭くなる。

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ミリオンダラー・アーム

ミリオンダラー・アーム “Million Dollar Arm”

監督:クレイグ・ギレスピー

出演:ジョン・ハム、スラージ・シャルマ、マドゥル・ミッタル、
   ピトバシュ、アーシフ・マンドヴィ、レイク・ベル、
   ビル・パクストン、アラン・アーキン

評価:★★★




 スーザン・ボイルが英国のオーディション番組で注目された頃、インドから初めての大リーガーがふたり生まれた。その裏側では何が起こっていたのかを描く『ミリオンダラー・アーム』は、それほど良く出来た映画ではない。ディズニーらしく行儀良くまとめられているものの刺激は足りず、話はサクセスストーリーの雛型通りに進み、山の作り方は生温く、何より2時間を超える上映時間はこの内容では長過ぎる。

 中でもジョン・ハム(TVだと感じないのに、佇まいも演技もベン・アフレック風)演じるスポーツ・エージェントに関するエピソードは締まりがない。ふたりを10億人の中から見出した重要人物であることは間違いないものの、はっきり言って、彼や会社の台所事情や恋愛、精神的成長なんて、特に面白くはない。

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November 14-16 2014, Weekend

◆11月第3週公開映画BUZZ


“Beside Still Watersg”
 配給:トライベッカ・フィルム
 監督:クリス・ローウェル
 Budget:-
 Weekend Box Office:-
 OSCAR PLANET Score:69.3
 Oscar Potential:None

“Beyond the Lights”
 配給:リラティヴィティ・メディア
 監督:ジーナ・プリンス=バイスウッド
 Budget:$7,000,000
 Weekend Box Office:$6,200,284(1789)
 OSCAR PLANET Score:77.5
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
            主演男優賞:ネイト・パーカー
            主演女優賞:ググ・バサ=ロー

“Dumb and Dumber To”
 配給:ユニヴァーサル
 監督:ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー
 Budget:$40,000,000
 Weekend Box Office:$36,111,775(3154) Good!
 OSCAR PLANET Score:32.8 BIG BOMB!
 Razzie Potential:作品賞脚本賞
            主演男優賞:ジム・キャリー
            助演男優賞:ジェフ・ダニエルス
            助演女優賞:ローリー・ホールデン
            助演女優賞:キャスリーン・ターナー

フォックスキャッチャー “Foxcatcher”
 配給:ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
 監督:ベネット・ミラー
 Budget:-
 Weekend Box Office:$270,877(6) Great!
 OSCAR PLANET Score:81.2 BIG WAVE!
 Oscar Potential:作品賞監督賞脚本賞
            主演男優賞:スティーヴ・カレル
            主演男優賞:チャニング・テイタム
            助演男優賞:マーク・ラファロ
            助演女優賞:ヴァネッサ・レッドグレーヴ
            撮影賞編集賞、美術賞、衣装デザイン賞
            メイキャップ&ヘアスタイリング賞録音賞音響効果賞作曲賞

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HUNGER ハンガー

HUNGER ハンガー “Hunger”

監督:スティーヴ・マックイーン

出演:マイケル・ファスベンダー、リアム・カニンガム、リアム・マクレーン、
   スチュアート・グレアム、レイン・メーガウ

評価:★★★




 『HUNGER ハンガー』の主人公のボビー・サンズは、北アイルランドを語る上で避けては通れないIRAのメンバーだ。そして彼こそが、1981年に起こったハンガー・ストライキを先導した男だ。そのとき26歳。この若さで同志たちを結託させハンストを実現させるとは、一体全体いかなる男なのか、興味を惹かれずにはいられない。

 けれど、スティーヴ・マックイーン監督の関心はサンズの内面を深く掘り下げるところにも、IRA問題の核心を突くところにもない。IRAの活動を裁くことはしない。白黒つけることもない。マックイーンは過激な行動を凝視することで人間の尊厳について問いかける。

 ハンストの前には毛布と糞尿を用いた抗議が4年に渡って繰り広げられる。囚人服を着ることを拒否し、全裸にまとうのは決して洗濯がなされない毛布。自らの身体から排出された糞を壁一面にこすりつけ、尿は床に垂れ流す。蛆が沸き、ハエが飛び交う空間。見た目や匂いはもちろん不快、やってのける本人たちも相当苦しいだろう。

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アバウト・タイム 愛おしい時間について

アバウト・タイム 愛おしい時間について “About Time”

監督:リチャード・カーティス

出演:ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ、
   トム・ホランダー、マーゴット・ロビー、リンゼイ・ダンカン、
   リディア・ウィルソン、リチャード・コーデリー、ジョシュア・マクガイア

評価:★★




 『アバウト・タイム 愛おしい時間について』の主人公は過去にだけタイムトラヴェルできる家系の男なのだという。その方法というのが、暗闇で拳を握り、行きたい場面を思い浮かべるという単純なもので、いくら何でももう少し考える余地があったのではないかと思う。けれど、すぐさま気づく。あぁ、これも計算なんだ。

 恋愛映画の名手と呼ばれているらしいリチャード・カーティスは、快感のツボを押さえるのが得意な人だ。ツボを押すことに、もっと言うならツボを効果的に押すことに全力を捧げる。タイムトラヴェル法で言うなら、そのヘナチョコな感じを、かえって可愛らしく映るところにまで持っていく。大袈裟にするのではなく日常の一部として描くことで、「親近感」とやらを浮上させる。

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ファーナス 訣別の朝

ファーナス 訣別の朝 “Out of the Furnace”

監督:スコット・クーパー

出演:クリスチャン・ベール、ウッディ・ハレルソン、ケイシー・アフレック、
   フォレスト・ウィテカー、ウィレム・デフォー、ゾーイ・サルダナ、
   サム・シェパード、デンドリー・テイラー、ビンゴ・オマリー

評価:★★




 序盤にいきなり、嬉しいカットがある。ウッディ・ハレルソンとウィレム・デフォーが同じ画面に入るのだ。般若顔俳優界のトップに君臨し続けるハレルソンと、爬虫類系俳優界で他の追随を許さないデフォーが、同じ空気を吸う。ただそれだけで、何と画面が濃くなることか。俳優の個性は侮れないと改めて思う。

 『ファーナス 訣別の朝』には他にもクセモノが次々登場する。主役を張れるスターたちの豪華アンサンブル。スコット・クーパーは彼らの出し入れに気を遣わなければならなかったはずだけれど、残念、少々荷が重かったか。どの場面も過剰に重苦しく、彼らの演技まで息苦しく見える。クセモノが揃えられても有効活用はなされない。

 印象としてはジェームズ・グレイ映画が近く、60年代・70年代映画の線を狙ったようにも見える。過剰な装飾は剥ぎ取られ、ドクドクという人物の心音を丁寧に捉えようとする気配がある。しかし、それを意識するがあまり、作品がまとうムードまでもが停滞から抜け出せなくなってしまった。

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記憶探偵と鍵のかかった少女

記憶探偵と鍵のかかった少女 “Mindscape”

監督:ホルヘ・ドラド

出演:マーク・ストロング、タイッサ・ファーミガ、サスキア・リーヴス、
   リチャード・ディレイン、インディラ・ヴァルマ、ノア・テイラー、
   アルベルト・アンマン、ブライアン・コックス

評価:★★




 主人公の中年男は他人の記憶を覗き見ることができるのだという。その能力を使って多数の刑事事件を解決してきた。記憶の中に入り込み、真実を晒すことにより、こんがらがった謎の糸を解く。男を演じるのはいかにもデキそうなクールハゲのマーク・ストロング。勝算は大きい。

 …はずだったのが、見事にコケる。いちばん拙かったのは、記憶に入り込む作法が練られなかったことだ。記憶に入り込むという、いかにも映画的な設定を用意しながら、その方法が向かい合って座り、手を握り、目を閉じる…というのだもの。画がつまらない。

 記憶の中でも主人公は退屈を極める。彼は観客でしかないため、記憶を目撃することしかできない。どれだけ陰惨な出来事が起こっても、目を見開き、じっと耐えるのみ。ハリー・ポッターの「憂いの篩」風。何でもありになるのを避けたとも言えるけれど、記憶の中での自由度がもっと高かったなら、物語が違う角度から輝き始めたのではないか。それに挑んでこその映画なのではないか。男の過去を絡めるだけでは温い。

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ジャージー・ボーイズ

ジャージー・ボーイズ “Jersey Boys”

監督:クリント・イーストウッド

出演:ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、
   ヴィンセント・ピアッツァ、クリストファー・ウォーケン、マイク・ドイル、
   レネー・マリーノ、エリカ・ピッチニーニ、キャスリン・ナルドゥッチ

評価:★★★★




 楽曲が有名だからもちろんザ・フォー・シーズンズのことは知っている。ただ、思い入れはない。リード・ヴォーカルを務めるフランキー・ヴァリの声質が好みではないからだ。現役バンドならMaroon 5のアダム・レヴィーンが近い声質だろうか。甘く爽やかと評価される歌声の甲高さが脳天に突き刺さるようで…。

 それにも関わらず胸躍るのは、これはもう、クリント・イーストウッド監督の趣味の良さが隅々から感じられるからだ。『ジャージー・ボーイズ』はそのザ・フォー・シーズンズの栄光と没落を描く。イタリア系移民の町で育った青年たちがバンドを組み、苦労を積み重ねがららもブレイク、しかしどんなに踏ん張っも頂点からは落ちることしかできなくて…というこの手の物語の典型をはみ出すことはせずに、しかしそれでも興味を惹きつけてやまない。鮮やかだ。

 鮮やかと言っても、華やかさを追求しているわけではない。むしろ華美な装飾は避けられる。これが良い。画面に原色はほとんど登場しない。灰色や茶色をベースにした色合いでまとめられ、時に意識的に作られた影が効果的な主張を見せる。照明の力も大きく、何が起こっているわけでもないどの場面でも、本物の気品が感じられる。大袈裟に言うなら、たとえセリフの一切を排除して、この画を並べただけでも楽しめるほどに。

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November 7-9 2014, Weekend

◆11月2週第公開映画BUZZ


“The Better Angels”
 配給:アンプリフィ
 監督:A・J・エドワーズ
 Budget:-
 Weekend Box Office:-
 OSCAR PLANET Score:50.0
 Oscar Potential:主演男優賞:ジェイソン・クラーク
           主演女優賞:ダイアン・クルーガー

ベイマックス “Big Hero 6”
 配給:ディズニー
 監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムス
 Budget:$165,000,000
 Weekend Box Office:$56,215,889(3761) Great!
 OSCAR PLANET Score:81.8 BIG WAVE!
 Oscar Potential:作品賞、脚本賞、録音賞音響効果賞アニメーション映画賞

“Elsa and Fred”
 配給:ミレニアム・フィルムズ
 監督:マイケル・ラドフォード
 Budget:-
 Weekend Box Office:-
 OSCAR PLANET Score:43.2
 Oscar Potential:主演男優賞:クリストファー・プラマー
           主演女優賞:シャーリー・マクレーン

インターステラー “Interstellar”
 配給:パラマウント
 監督:クリストファー・ノーラン
 Budget:$165,000,000
 Weekend Box Office:$49,661,813(3561) Great!
 OSCAR PLANET Score:73.0
 Oscar Potential:作品賞監督賞脚本賞
           主演男優賞:マシュー・マコノヒー
           主演女優賞:アン・ハサウェイ
           助演男優賞:マイケル・ケイン
           助演女優賞:ジェシカ・チャステイン
           撮影賞編集賞美術賞、衣装デザイン賞
           視覚効果賞録音賞音響効果賞作曲賞

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バツイチは恋のはじまり

バツイチは恋のはじまり “Un plan parfait”

監督:カスカル・ショメイユ

出演:ダイアン・クルーガー、ダニー・ブーン、アリス・ポル、
   ロベール・プラショル、ジョナタン・コエン、ベルナデット・ル・サシェ、
   エチエンヌ・シコ、ロール・カラミー、マロン・レヴァナ

評価:★★★




 ヒロインの家系の女たちは、必ず最初の結婚に失敗するのだという。今の恋人と結婚を成功させたいヒロインはそこで、全く愛していない男との結婚を画策、そしてすぐに離婚しようとする。つまりはとんだバカ女だ。観客はこのバカ女を愛することができるだろうか。

 ハリウッドならキャメロン・ディアスかケイト・ハドソンが飛びつきそうなこのヒロインとしてフランスが賭けるのはダイアン・クルーガーで、これがドンピシャのハマり具合だ。兎にも角にも可愛くて、綺麗で、美しくて…クルーガー、その美貌は知っているつもりだったけれど、ここまでとは…とうっとり。これが『バツイチは恋のはじまり』の命だ。

 演出の情熱の八割はクルーガーを輝かせることに捧げられている。背景がケニア、フランス、ロシアと次々変わり、その度にクルーガーの衣装や化粧、ヘアスタイルを次々チェンジ。プールに落ちてずぶ濡れになり、髪を濡らしたままバスローブを羽織り、そのまま街中を歩くなんてショットも出てくる。

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わたしは生きていける

わたしは生きていける “How I Live Now”

監督:ケヴィン・マクドナルド

出演:シアーシャ・ローナン、ジョージ・マッケイ、トム・ホランド、
   ハーリー・バード、アンナ・チャンセラー、ダニー・マケヴォイ、
   ジョナサン・ラグマン、コーリー・ジョンソン、ダーレン・モーフィット

評価:★★★




 ジョージ・マッケイがシアーシャ・ローナンの傷口を躊躇いなく舐める。ローナンを油断させたところでマッケイが彼女を川の中に突き落とす。なんだ、少女漫画か…と気を抜いていると、その後に訪れるハードな出来事の数々に面食らう。『わたしは生きていける』の多くは、第三次世界大戦勃発後の英国が舞台なのだ。

 視点が完全に子どものそれに限られていているのがミソだ。それも俗世界から切り離された田舎に住んでいる子ども。それを表現するため、アメリカからやって来たローナンを寂しがり屋のツッパリ少女風にしたのは単純過ぎる。空港に降り立ったローナンは、パンダのようなアイシャドウ、鼻にピアス、ヘッドフォンからは大音量のロック。何ともまあ、刺々しい。

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NY心霊捜査官

NY心霊捜査官 “Deliver Us from Evil”

監督:スコット・デリクソン

出演:エリック・バナ、エドガー・ラミレス、オリヴィア・マン、
   ショーン・ハリス、ジョエル・マクヘイル、クリス・コイ、
   ドリアン・ミシック、マイク・ヒューストン、オリヴィア・ホートン

評価:★★




 エリック・バナ演じるニューヨーク市警巡査部長は霊感が強い。聞こえないはずのものが聞こえ、見えないはずのものが見える。それゆえなのか、彼は悪魔が絡んだ殺人事件に遭遇する。進歩的な若い神父と共に、バナは心霊捜査に乗り出す。実話ベースってアナタ、どこまでが本当なのか。さすが悪魔祓いが職業として存在するアメリカ、どこまでも行っちゃって下さい。

 この設定は実は、TVシリーズ「ミディアム 霊能者アリソン・デュボア」(05~11年)に似ている。霊能力を持つ主婦が警察に協力、霊の助けを借りたり霊を出し抜いたりしながら、事件を解決へと導く。『NY心霊捜査官』はその男性版のように見える。ただ、バナはまだ、自分の能力を有効活用していない。悪魔絡みの事件に遭遇したばかりで、能力を自覚していないのだ。

 …というわけで、映画の大半はバナが悪魔と遭遇しながらもそれと気づかず、恐ろしい現実を次々見せつけられる様を映し出す。この繰り返しが単調だ。スパイダーマンやスーパーマン、或いはバットマン等、ヒーロー映画の一作目だと主人公がヒーローとして目覚めるまでがダイナミックに綴られる。この映画も同じパターンなのに、心霊パワー云々の限界なのか、何ともまあ地味。

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ゲッタウェイ スーパースネーク

ゲッタウェイ スーパースネーク “Getaway”

監督:コートニー・ソロモン

出演:イーサン・ホーク、セレーナ・ゴメス、ジョン・ヴォイト、
   レベッカ・バディグ、ブルース・ペイン

評価:★




 元レーサーのイーサン・ホークが乗り込む盗難車は「シェルビー・マスタング GT500 スーパースネーク」と言うらしい。あまり格好良いデザインだとは思わないものの、カーマニアには嬉しいチョイスなのかもしれない。最強の市販車という触れ込みもある。『ゲッタウェイ スーパースネーク』から伝わる唯一のこと、それはこの車が丈夫にできているということだ。

 舞台はブルガリアの首都ソフィア。妻を誘拐されたホークがどこからかの指示によりクリスマスの街中を激走する。歩道はもちろん、階段やスケートリンク、発電所等あらゆる場所を突っ切るその車は、当然のことながら彼方此方に車体をぶつける。大破してもおかしくないクラッシュも一度や二度ではない。けれど、それをものともせずヤツは何でもかんでもなぎ倒す。うん、丈夫な車だ。

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猿の惑星:新世紀(ライジング)

猿の惑星:新世紀(ライジング) “Dawn of the Planet of the Apes”

監督:マット・リーヴス

出演:アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン、
   ケリー・ラッセル、トビー・ケベル、ニック・サーストン、
   ジュディ・グリア、コディ・スミット=マクフィー、J・D・エヴァーモア

評価:★★★




 『猿の惑星:新世紀(ライジング)』は「創世記(ジェネシス)」(11年)の10年後の物語だ。ウイルスが蔓延、生き残った人間は極僅か、という近未来設定ではお馴染みの舞台が用意される。猿たちはウイルスとは無縁のまま森の深くで着実に生活の質を向上させてきた。そして人間と猿が、再び出会う。始まるのはもちろん、生き残りを賭けた戦いだ。共存の気配は最初からほとんど感じられない。

 猿のリーダーはシーザーだ。アンディ・サーキスが颯爽と演じる。立ち姿が実に美しい。ただし、10年という年月はシーザーを老けさせた。それも当然、シーザーは嫁を貰い、長男も立派に成長、さらには次男が誕生したばかりだ。長男との関係は上手くいっているとは言い難く、腹心の同志だったコバとの仲もぎくしゃくしている。猿の社会も辛いよ。

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October 31-2 2014, Weekend

◆11月第1週公開映画BUZZ


“Before I Go to Sleep”
 配給:クラリウス・エンターテイメント
 監督:ローワン・ジョフィ
 Budget:-
 Weekend Box Office:$1,843,347(1902) zzz...
 OSCAR PLANET Score:43.4
 Oscar Potential:主演男優賞:コリン・ファース
           主演女優賞:ニコール・キッドマン
           助演男優賞:マーク・ストロング

“Horns”
 配給:ラディアス-TWC
 監督:アレクサンドル・アジャ
 Budget:-
 Weekend Box Office:$107,544(103) zzz...
 OSCAR PLANET Score:45.5
 Oscar Potential:主演男優賞:ダニエル・ラドクリフ
           メイキャップ&ヘアスタイリング賞

“Nightcrawler”
 配給:オープンロード・フィルムズ
 監督:ダン・ギルロイ
 Budget:$8,000,000
 Weekend Box Office:$10,441,000(2766)
 OSCAR PLANET Score:84.6 BIG WAVE!
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演男優賞:ジェイク・ギレンホール
           助演女優賞:レネ・ルッソ
           撮影賞、編集賞、録音賞、音響効果賞、作曲賞


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ニューヨーク 冬物語

ニューヨーク 冬物語 “Winter's Tale”

監督:アキヴァ・ゴールズマン

出演:コリン・ファレル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、
   ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、
   ウィリアム・ハート、ウィル・スミス、エヴァ・マリー・セイント、
   マット・ボマー、ルーシー・グリフィス

評価:★




 1916年ニューヨーク、コリン・ファレルは裏社会で生きている小悪党だ。その彼が泥棒に入った邸宅の令嬢と恋に落ちる。令嬢は結核で余命僅かで、「21歳なのにキスも知らない」と嘆く。この70年代の少女漫画みたいなこってこての設定に赤面していると、中盤に急転直下、物語は思いもかけない方向に走り出す。

 『ニューヨーク 冬物語』は多重人格を患っているかのような映画だ。少女漫画風の恋愛が描かれていたのが(泥棒がハートを盗む云々の会話に驚愕)、突然魔王やら悪魔やらが現れてホラーテイストが混じり、ファレルが橋から落ちればタイムトラヴェル。行き着く先は2014年で、主人公は「俺は一体誰なんだ?」と記憶喪失へ。そこから先には難病映画的要素が混じり、時空を超えた使命が紛れ込み、気がつけば決闘が始まり、ラストシーンに至っては笑って見送るしかないという…。

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リスボンに誘われて

リスボンに誘われて “Night Train to Lisbon”

監督:ビレ・アウグスト

出演:ジェレミー・アイアンズ、ジャック・ヒューストン、メラニー・ロラン、
   マルティナ・ゲデック、アウグスト・ディール、ブルーノ・ガンツ、
   レナ・オリン、クリストファー・リー、
   シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ

評価:★★




 スイスのベルンで教鞭を執る主人公は、自殺しようとしていたところを救った若い女が残した一冊の本に魅せられる。そしてそこに挟まっていたポルトガル、リスボン行きのチケットを使って、衝動的に夜行列車に乗り込む。授業中の生徒を放り出し、仕事を投げ出し、校長からの電話に無視を決め込む。この冒頭から、あぁ、そう言えばジェレミー・アイアンズは破滅型の男が似合う俳優だったと思い出す。

 もしかしたらアイアンズの、かつての十八番的演技が見られるのではないか。『リスボンに誘われて』はその淡い期待をあっさり裏切る。本に綴られた言葉の魔法にかけられた彼は、著者の人生を探り始める。何とアイアンズは、ほとんど狂言回しの役割しか果たさないのだ。アイアンズの役割は、好きになった作家の人生を覗き見ることのみ。衝動の先にあるものがこれでは、破滅型の男なんかではなく、とんだうっかり男だ。行く先々で人々の心癒す、なんて持ち上げてくれるな。

 調査中に散見されるご都合主義に呆れる。作家の周辺人物の大半はリスボンに住んでいるという安易さもさることながら、いとも容易く目標に到達するので、今度はラッキー男へと変身だ。何しろ転んだことで壊れたメガネを新しくするために訪れた医師の叔父が作家の関係者だった…なんて偶然を平然と語るのだ。

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー “Guardians of the Galaxy”

監督:ジェームズ・ガン

出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、
   ジャイモン・ハンスゥ、ジョン・C・ライリー、グレン・クローズ、
   ベニチオ・デル・トロ、リー・ペイス、マイケル・ルーカー、
   カレン・ギラン、ジョシュ・ブローリン、ロイド・カウフマン

声の出演:ブラッドリー・クーパー、ヴィン・ディーゼル、ロブ・ゾンビ、
   セス・グリーン、ネイサン・フィリオン

評価:★★★




 同じマーヴェル・コミックが原作の失敗作「ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]」(05年)を連想する。人種も性別も能力も異なる異形の者たちがヒーローとして集まるからだ。バラバラの個性の彼らをどうやってまとめるべきか。ジェームズ・ガン監督は「FF」が気づくことさえなかったこの難題を、そもそものテーマに掲げる。「アベンジャーズ」(12年)がそうだったように、テーマは「団結」だ。

 ただ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は「アベンジャーズ」よりそれを浮かび上がらせるのは難しかったはずだ。「アベンジャーズ」はそれぞれの自己紹介が終わっていたのに対し、ここに出てくる者たちは初登場の者で揃えられる。おまけに正義心なんて持ち合わせていない。つまり馴染みのないはみ出し者たちを手際良く紹介し、宇宙を舞台にストーリーを語り、アクションで魅せ、最後には団結させねばならぬ。

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フランシス・ハ

フランシス・ハ “Frances Ha”

監督:ノア・バームバック

出演:グレタ・ガーウィグ、ミッキー・サムナー、アダム・ドライヴァー、
   マイケル・ゼゲン、パトリック・ヒューシンガー、グレイス・ガマー

評価:★★★★




 グレタ・ガーウィグ演じるヒロイン、フランシスの言動はことごとく裏目に出る。モダンダンサー見習いの27歳は、ブルックリンで親友とルームシェアをしながら、毎日すってんころりん。でもバカだとかマヌケだとか、そんな感じは受けない。いつまで経っても成長しないダメ女とも違う気がする。だってフランシスは地下鉄で、外せなくなった指輪をはめた指のむくみを取るために、手を頭の上に掲げながら、「何だか私、はてなマークみたいね」なんて言うのだ。敢えて言うなら、他の誰でもない女の子だ。

 フランシスがいつも走っているのが可笑しい。実際に走っている場面も多いのだけど、常に喋り続けてもいて、これが疾走感に繋がる面白さ。フランシスでもきっと、降りかかる災難の数々に落ち込みもするだろう。でも、もじもじいじいじするのは嫌い。だから大都会の街中を走ることでそれを吹っ切るのだ。

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