お知らせ4

大分感想が溜まってしまったので

9月は月曜から金曜まで5日間を更新日にします。

相変わらず事前予約による更新のため

誤りがあってもすぐには訂正できません。

ご了承下さい。





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テーマ : ◇つぶやき◇
ジャンル : ライフ

MAMA

MAMA “Mama”

監督:アンディ・ムスキエティ

出演:ジェシカ・チャステイン、ニコライ・コスター=ワルドー、
    メーガン・シャルパンティエ、イザベル・ネリッセ、
   ダニエル・カッシュ、ハヴィエル・ボテット、ジェーン・モファット、
   デヴィッド・フォックス、ドミニク・クゾクリア

評価:★★★




 子どもが怪異に気に入られるホラー映画は珍しくない。お年寄りがとり憑かれるパターンは全然見かけないというのに、子どもは人間ではない何かの大好物なのだ。『MAMA』でも狙われるのは幼い命で、新味の感じられない設定にがっかりするものの、それでも気になるのは製作総指揮にギレルモ・デル・トロの名前があるからだ。ホラーに必要不可欠な「美」を感じさせてくれるかもしれない。

 期待は裏切られない。色彩感覚に敏感な画面の美しさはそれだけで見入るものがあるし、邸の設計を利用した構図での遊びも面白い。壁にできた不可思議な模様も異様なだけではない。誰でも一度は経験があるだろう、ロールシャッハ・テストを思わせるデザインで、そこから何が出てくるのか不安を煽る。舞台となる邸自体が、研究のために用意されたそれであることも、実験色の強いムード作りに貢献しているかもしれない。画面を飛ぶ蛾も、ある種の美に通じる存在だ。

 物語は怪異が少女姉妹を自分の世界に引き入れようとするお馴染みのものだけれど、それに奥行きが出ているのは「母性」への着目が丁寧になされているからだろう。姉妹は5年間怪異に育てられていて、ほとんど「狼に育てられた少女」状態。けれど、叔父とその恋人と暮らす内に少しずつ人間性を取り戻していく。姉妹にとっては怪異は母親であり、叔父の恋人もまた母親だ。ふたりの対照性が効いている。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

ポンペイ

ポンペイ “Pompeii”

監督:ポール・W・S・アンダーソン

出演:キット・ハリントン、エミリー・ブラウニング、キャリー=アン・モス、
   アドウェール・アキノエ=アグバエ、ジェシカ・ルーカス、
   ジャレッド・ハリス、キーファー・サザーランド

評価:★★




 火山噴火版「タイタニック」(97年)と言われても仕方のない構成を採っている『ポンペイ』は、同時に近年ちょっとしたブームになっている「筋肉男たちの肉弾戦」を意識した映画だ。奴隷であり剣闘士でもある主人公を考えれば、「グラディエーター」(00年)の影響と見るべきなのかもしれないけれど、戦闘シーンの迫力不足を考えると、同列に並べるのは恥ずかしい。

 なぜ迫力が感じられないのか、理由は一目瞭然。描写が生温いのだ。身も蓋もない言い方をするなら、主人公は殺し合いをする。奴隷として育てられた男が、襲い来る輩を次々血祭りに上げる。それにも関わらず、この映画、全然血が流れない。見せない工夫を選んでいるのではない。腫れ物に触るように戦闘シーンを撮っている。これはもう、レイティングを念頭に置いたがゆえだろう。R指定になることを恐れて、できる限りソフトな映像を心掛けた。けれど、その結果、ダイナミズムは完全に奪われた。主人公の戦友(アドウェール・アキノエ=アグバエが好演)の最後の戦いだけが痛みを感じさせるアクションだ。

 そうした戦いが長々と描かれる。何と驚くべきことに、幻の都市ポンペイをヴェスヴィオ火山の噴火が襲うのは、ラスト30分に入ってからだ。身分違いの恋が災害により引き裂かれそうになるという、ホント「タイタニック」そのまんまな要素をチープに描きながら、VFX満載のパニック映像が次から次へ。噴火の予兆を見せる場面は僅かで、大きな地震の後に突然火山の噴火が始まる。人々は逃げ惑うしかない。

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テーマ : 映画感想
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トカレフ

トカレフ “Tokarev”

監督:パコ・カベサス

出演:ニコラス・ケイジ、レイチェル・ニコルズ、ダニー・グローヴァー、
   ピーター・ストーメア、マイケル・マグレイディ、マックス・ライアン、
   パシャ・リチニコフ、オーブリー・ピープルズ

評価:★★




 思いがけない大ヒット映画が出ると、それにあやかった亜流作品が出るのは常だけれど、フランス映画「96時間」(08年)からは未だに続々イミテーションが登場する。ズバリ、オヤジ暴走映画だ。普段は温厚なオヤジが娘のピンチに本当の姿を解禁、大暴走を繰り広げる。山より高く海より深い娘を想う父の気持ちが燃料になる。俺も娘のためなら同じようにやったるぜ!全世界のオヤジたちの鼻息が荒い。

 けれど、少しずつ設定を変えただけの内容ではオリジナリティが出るはずもなく、『トカレフ』も「96時間」な展開をベースに置いた類似クライム・スリラーに終わっている。復讐や暴力といった問題を考察するフリをしているものの、もちろんそれが目玉にはない。オヤジ暴走映画の見せ場はやはり、オヤジの暴走なのだ。

 ただ、「96時間」が面白かったのは、オヤジを演じたのがリーアム・ニーソンだったからという点を忘れてはいけない。アクション映画への出演はあったものの、基本はインテリジェントなイメージの強い文科系のニーソンが、突如アクションスターとしての輝き始める。そのギャップが面白かったのだ。手当たり次第にB級アクション映画に出ているニコラス・ケイジが暴走オヤジを演じても、新味は出ない。

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ニード・フォー・スピード

ニード・フォー・スピード “Need for Speed”

監督:スコット・ウォー

出演:アーロン・ポール、ドミニク・クーパー、イモジェン・プーツ、
   ラモン・ロドリゲス、マイケル・キートン、スコット・メスカディ、
   ラミ・マレック、ハリソン・ギルバートソン、ダコタ・ジョンソン

評価:★★




 『ニード・フォー・スピード』と名づけられている割に、何ともまあ、スピード不足の映画だ。確かにカーレースシーンはたっぷりあるものの、ストーリー展開がのんびりのろまで苛立ちを誘う。でもそれも仕方ない。単純にして乱暴な物語は、刈り込めば30分で収まる程度のものだ。それを二時間以上に引っ張る。公道での突然の車線変更よりも強引だ。

 レース中の故意の事故により友人を失った男が復讐のレースを挑む物語。まず、友人が死ぬまでが長い。キャラクター説明とカーレース愛を描くのにもたつくからだ。友人の死の罪を着せられて服役した後、憎き相手の元へ向かうまでも長い。バラバラになった仲間たちを一人ずつ集め、強引に女っ気を挿入し、ニューヨークからサンフランシスコまで大陸横断の旅。「西遊記」か、はたまた「桃太郎」か。やっと目的地に辿り着いてからも、なかなかレースは始まらない。

 中でも大陸横断の旅の支離滅裂なエピソードの数々には驚く。猛スピードで走行しながら給油する件や女が男の上に座って一緒にハンドルを握る件のバカバカしさもさることながら、突如彼らに懸賞金が賭けられて、彼方此方からそれを目当てにした刺客が襲い来るというのが、いつの時代なんだと唖然呆然。警察や一般市民まで巻き込んでの暴走もお構いなし。笑えるのなら大歓迎。でもこれは単純に、お寒い。

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ハミングバード

ハミングバード “Hummingbird”

監督:スティーヴン・ナイト

出演:ジェイソン・ステイサム、アガタ・ブゼク、ヴィッキー・マクルア、
   ベネディクト・ウォン、ジャー・ライアン、ヴィクトリア・ビューイック

評価:★★




 いきなり突きつけられるのは…ハゲは髪を伸ばしてはいけないという現実だ。いや、伸ばすのは自由なんだけど、量が少ないのに長髪になると、薄さが際立って全体の佇まいがかえって貧乏臭くなるというか何というか。ジェイソン・ステイサムは『ハミングバード』の冒頭でホームレスという設定ゆえ、髪を伸ばし放題。髪を切る金も余裕もないということなのだろう。ライヴァルは落ち武者だ。ステイサム、B級専門とは言え、アクションの帝王である君がそれで良いのか。伸ばした髪が自前だったら、ちょっと偉いけど。

 …というからかいが恥ずかしくなる映画だから驚く。髪を早速切り落として(いきなり坊主になってハゲを見せつける潔さ。もちろん貧乏臭さは一気に消える)、高級スーツを装着。いつもの調子で悪漢とガンガン戦うのかと思いきや、どっこい、どうやらこれは現代社会が抱える闇を伝えることこそを第一目的に置いた真面目な内容だと分かる。

 ステイサムが演じるのはアフガニスタン帰りの元特殊部隊の軍曹で、彼が抱える心の闇が大々的に取り上げられる。PTSD、心的外傷後ストレス障害というヤツだ。それに加えて貧困やアルコール、犯罪組織、性犯罪といったロンドンの裏社会の問題が次々浮上する。復讐という概念への考察も見られる。ステイサムの役柄をブラッド・ピットやブラッドリー・クーパーあたりが演じても違和感はないのではないか。もちろん作品の外観からB級色は薄れるだろうけれど。

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グランド・ブダペスト・ホテル

グランド・ブダペスト・ホテル “The Grand Budapest Hotel”

監督:ウェス・アンダーソン

出演:レイフ・ファインズ、トニー・レヴォロリ、F・マーレイ・エイブラハム、
   エドワード・ノートン、マチュー・アマルリック、シアーシャ・ローナン、
   エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、レア・セドゥー、
   ジェフ・ゴールドブラム、ジェイソン・シュワルツマン、ジュード・ロウ、
   ティルダ・スウィントン、ハーヴェイ・カイテル、トム・ウィルキンソン、
   ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン

評価:★★★★




 タイトルになっている『グランド・ブダペスト・ホテル』が期待通りに美しい。1932年、ヨーロッパにある仮想の国ズブロフカ共和国にあるそのホテルをパッと見て思い出したのは「picturesque」という形容詞だ。作中にも出てくる。「絵画のように美しい」といった意味合いで、まさにどこを切り取ってもアンダーソンの美意識が炸裂する。ペールピンクの外観。真っ赤な絨毯やエレヴェーター。紫をベースにしたホテル従業員たちのユニフォーム。鍵がクロスされたホテルの紋章。美術や衣装だけでも凝っているのに、そこにあの独特の左右対称の構図が盛り込まれる。嫌でも目に焼きつく。

 ロバート・アルトマンならば、この舞台で思い切り遊ぶところだけれど、意外やアンダーソンは冒険好きの人だ。積極的にホテルから飛び出して物語を語る。思えばこれまでの作品でも、一カ所に留まった作品はほとんどない。アドヴェンチャー映画と言い換えても良いほどに、運動量が多いのがアンダーソンなのだ。

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オースティンランド 恋するテーマパーク

オースティンランド 恋するテーマパーク “Austenland”

監督:ジェルーシャ・ヘス

出演:ケリー・ラッセル、JJ・フィールド、ブレッド・マッケンジー、
   ジェームズ・キャリス、ジョージア・キング、ルパート・ヴァンジッタート、
   リッキー・ウィトル、ジェーン・シーモア

評価:★★




 何度も言っているけれど、ケリー・ラッセルの静かで押しつけがましくない演技はダイアン・レインのそれに似ている。この手の俳優はどんなジャンルにも溶け込むもので、ロマンティック・コメディも悪くない。どれだけドタバタに走ってもやり過ぎないので、適度な現実感が保持され、気持ち良くヒロインに肩入れできるのだ。ここでのラッセルもメグ・ライアンやキャメロン・ディアスが演じたらきゃんきゃん煩くなりそうなところを、軽やかに魅せる。老け方が自然なのも、レイン的と言えるかもしれない。

 英国の作家ジェーン・オースティンは本当に人気があるようで、彼女の小説の映画化はもちろんのこと、モチーフとして用いた関連映画も次々登場している。『オースティンランド 恋するテーマパーク』ではオースティン好きの30代アメリカ女が、英国にあるオースティンのテーマパークで恋を繰り広げる。…その割にはオースティンや作品への愛情はほとんど感じられないけれど…。

 このテーマパークはオースティンの小説世界を再現したもので、客もその世界の住人として一定期間暮らすことになるのが売り。緑豊かな景観。咲き乱れる花々。充実した邸。品のある家具や食器。相応しい絵画。従業員と客は美しい衣装に身を包み、とりわけ女たちは髪を複雑に結い上げて、我こそがヒロインとばかりに、その空間で生きる。設定自体はなるほど、オースティン好きには堪らないのかもしれない。

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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 “Inside Llewyn Davis”

監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン

出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、
   ギャレット・ヘドランド、F・マーレイ・エイブラハム、
   ジャスティン・ティンバーレイク、スターク・サンズ、アダム・ドライヴァー

評価:★★★★




 呆れるほどフットワークの軽いコーエン兄弟が手掛ける『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』は、ボブ・ディラン登場前夜、1961年のニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジのフォークミュージック・シーンが舞台だ。主人公ルーウィン・デイヴィスが冒頭で歌い上げる「Hang Me, Oh Hang Me」の「俺の首を吊るしてくれ」のフレーズにギョッとする。

 そう、これはフォークが盛り上がる華やかなる瞬間を封じ込めた映画ではない。敢えて言うなら、メランコリックな空気感を味わう映画だ。デイヴィスの佇まいからして憂鬱だ。オスカー・アイザックがハンサムな容姿を髭もじゃで隠し、体型もオヤッさん風にチェンジ。左手にギター、右手に猫を抱えて町をとぼとぼと歩く姿よ…。

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X-MEN:フューチャー&パスト

X-MEN:フューチャー&パスト “X-Men: Days of Future Past”

監督:ブライアン・シンガー

出演:ヒュー・ジャックマン、ジェームズ・マカヴォイ、
   マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、
   ハル・ベリー、ニコラス・ホルト、エレン・ペイジ、
   ピーター・ディンクレイジ、ショーン・アシュモア、
   オマール・シー、エヴァン・ピーターズ、ダニエル・クドモア、
   ファン・ビンビン、エイダン・カント、ブーブー・スチュワート、
   イアン・マッケラン、パトリック・スチュワート、アンナ・パキン、
   ファムケ・ヤンセン、ジェームズ・マースデン

評価:★★★




 「X-MEN」シリーズが他のアメコミ映画と大きく異なるのは、人間ではないヒーロー=ミュータントがぞろぞろ出てくることだ。善玉も悪玉も個性的な面子が次々登場。単独で主役になれそうなキャラクターの雨霰状態。早い話、「X-MEN」の世界観の中だけで「アベンジャーズ」(12年)風に「ヒーロー総出演」の仕込みが可能になる。「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(11年)で若き日のヒーローも描いたことで、ますますその色は濃くなった。

 『X-MEN:フューチャー&パスト』はまさに「X-MEN」版「アベンジャーズ」の趣で、これまでに出てきたミュータントたちが過去と未来で暴れ回る。ファンからしてみたらこれ以上ないシチュエーションになるのだろうけれど、これが上手くいったかどうかは怪しい。何しろこれまでのキャラクターに加えて、サーヴィス満点に新ミュータントも出てくる。けれど、彼らの個性が活かされたアクションが見せられたかと言うと、能力を確認している間に終わってしまったというのが正直なところだろう。未来と過去の結びつけ方もいかにも強引で、終わってみれば未来はおまけのような扱いだ。

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俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトル in ニューヨーク

俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトル in ニューヨーク “Anchorman 2: The Legend Continues”

監督:アダム・マッケイ

出演:ウィル・フェレル、クリスティーナ・アップルゲイト、ポール・ラッド、
   スティーヴ・カレル、デヴィッド・コークナー、クリステン・ウィグ、
   ジェームズ・マースデン、ミーガン・グッド、ジョシュ・ローソン、
   ディラン・ベイカー、ジュダ・ネルソン、フレッド・ウィラード、
   グレッグ・キニア、クリス・パーネル、ハリソン・フォード、
   サシャ・バロン・コーエン、マリオン・コティヤール、ウィル・スミス、
   キルスティン・ダンスト、ジム・キャリー、ティナ・フェイ、
   リーアム・ニーソン、エイミー・ポーラー、ジョン・C・ライリー、
   ヴィンス・ヴォーン、カニエ・ウエスト

評価:★★




 あれから9年、忘れた頃に奴らは帰ってきた。ウィル・フェレル演じるサンディエゴのアンカーマン、ロン・バーガンティと仲間たちを主人公にした「俺たちニュースキャスター」(04年)は、フェレルが頭角を現してきた頃の映画で、当時の自分には彼の魅力がちっとも分からなかった。そして今もまだ、分からない。レッド・ホッド・チリ・ペッパーズのチャド・スミスのばったもんにしか見えないのに、何なんだ。

 とは言え、最近は以前のような嫌悪感は薄れてきた。慣れたのだ。フェレル主演作は次々作られるし、その演技のアプローチが全く変わらないところを見ると、それもまた受け入れられている要素なのだろう。幼稚園児が駄々をこねているだけにしか見えない者は、少数なのだ。

 フェレルに慣れると、作品そのものの構造が見えてくる。「俺たちフィギュアスケーター」(07年)や「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」(10年)が思いの外楽しめたのは、そのおかげ。ストーリーラインやギャグの入れ方への芸がくっきりするのだ。『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトル in ニューヨーク』で言うなら、CNN創設期をパロディにしながらメディアをおちょくる組み立て方が頑丈であることが良く分かる。

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マンデラ 自由への長い道

マンデラ 自由への長い道 “Mandela: Long Walk to Freedom”

監督:ジャスティン・チャドウィック

出演:イドリス・エルバ、ナオミ・ハリス、ドニー・キゴロギ、
   リアード・ムーサ、リンディエ・マチギザ、
   ジス・ドゥ・ヴィリエ、ファナ・モコエナ

評価:★★




 一体全体、これまで何度ネルソン・マンデラを映画で見てきたのだろう。南アフリカを象徴するシンボルであるマンデラの人生は、そのまま南アにおける人種差別社会の歴史でもある。マンデラは社会と闘い続けたファイターなのだ。刑務所内で身体を鍛えるシーンがなくても、彼の精神的な戦いは手に取るように分かる。

 そんなわけで斬り口が重要になるマンデラ映画だけれど、『マンデラ 自由への長い道』はいたって普通の作りだ。幼少期から始まる物語は、マンデラの人生の転換期を定点観測。悪しきアパルトヘイトが生み出した現実と共に、人生の大半を刑務所で生きることを余儀なくされたマンデラの過酷な生き方を切り取る。まあ、分かりやすいと言うより、もはや今更の感の拭えない見せ方だ。それぐらいマンデラは、南アの世界に留まらない人物になったのだ。

 そもそもマンデラの聖人化がつまらない。最初の結婚時に見せる人間的未熟さ以外は本当に立派な人物で、不屈の精神で人生の荒波を生き抜いていく様には頭を下げるしかない。けれど、その立派さが次第に宗教めいてくるのはどうなんだろう。南アの黒人がマンデラに縋る理由。カリスマ以外のものが見えないがゆえの平坦さが気になる。他の誰かでは駄目だったのはどうしてか、それが浮上しない。

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ディス/コネクト

ディス/コネクト “Disconnect”

監督:ヘンリー=アレックス・ルビン

出演:ジェイソン・ベイトマン、ホープ・デイヴィス、フランク・グリロ、
   ミカエル・ニクヴィスト、ポーラ・パットン、アンドレア・ライズボロー、
   アレクサンダー・スカルスガルド、マックス・シエリオット、
   コリン・フォード、ジョナ・ボボ、ヘイリー・ライム

評価:★★




 群像劇の形を選んだ映画は少なくないけれど、『ディス/コネクト』で反射的に思い出すのはポール・ハギス映画だ。社会派色の強い題材だとアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥあたりもそうだけれど、絆と呼ばれるものへの注意の向け方はハギスが近いと思う。画面の低い温度もハギス的ではないか。

 ヘンリー=アレックス・ルビン監督が選んだ題材はネット社会だ。20年前、10年前とは全く異なるそれの抱える闇を露わにする。なるほどタイムリーだ。無線LANやらスマートフォンやらの普及により、もはや人はどんな時どんな場所にいてもインターネットに繋がることができる。そしてそれはFacebookやTwitterといったSNSによる人間関係を構築する。

 闇なのに色彩に富む。成り済まし問題や特定人物へのヒステリックな中傷。こんなところにまでシラッと入ってくる性産業に、他人の個人情報の搾取とそれによる実害。まあ、いずれもよくニュースで聞く話。作り手はしかし、その構造を見せる気はなかったようで、そこが物足りない。闇を支える人間心理や金の流れ、司法の取り組み、警察・FBIの動きは表面を撫でただけで済まされる。

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ラスト・ベガス

ラスト・ベガス “Last Vegas”

監督:ジョン・タートルトーブ

出演:マイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、
   ケヴィン・クライン、メアリー・スティーンバージェン、
   ジェリー・フェレーラ、ロマニー・マルコ、ロジャー・バート、
   ジョアンナ・グリーソン、マイケル・イーリー、ブレ・ブレア

評価:★★




 最近の映画界はやたら老人が元気だ。人生の終盤に入った彼らの溌剌とした姿は確かに頼もしいのだけれど、さすがに拝跪が過ぎるのではないか。…なんて思っても『ラスト・ベガス』にはちょいと引き寄せられる。何と言っても、面子が濃いのだ。

 主演四人の名前を並べただけでも迫力があるし、そこに動く画まで入ってくるとどうだ。役作りなのか妙に黒々しているせいで目周りのお直しが浮き上がって怖いマイケル・ダグラス。例のスマイルを浮かべてもはや遊んでいるようにしか見えないロバート・デ・ニーロ。普段より羽目を外して不真面目さを強調した役どころを楽しんでいるモーガン・フリーマン。ハンティング帽とメガネを装着するとスティーヴン・スピルバーグそっくりになるケヴィン・クライン。とりわけダグラスとデ・ニーロが一緒に入る画が、うーん、貴重と言うかキワモノ的と言うか。

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バージニア その町の秘密

バージニア その町の秘密 “Virginia”

監督:ダスティン・ランス・ブラック

出演:ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、ハリソン・ギルバートソン、
   エマ・ロバーツ、エイミー・マディガン、キャリー・プレストン、
   トビー・ジョーンズ、イヤードリー・スミス、ルーカス・グラビール

評価:★




 何が落ち着かないって、ジェニファー・コネリーが落ち着かない。日本人好みの整った顔立ちは以前と変わらないものの、金髪が恐ろしく浮いているのが原因だ。コネリーと言ったらやっぱり黒髪。流れる長い髪の美しさは、ある意味トレードマークだ。それが今回プラチナブロンドに染め上げられ、しかし眉毛は黒いまま、口紅を赤く、肌を白くすると、何かの冗談かと思うほどに画面に馴染まない。おそらく狙いもあるのだろう。エキセントリックな側面を強調したかったのに違いない。けれど、さすがに物語に集中できないのは拙いのではないか。

 コネリーが演じるのは、海辺の田舎町で思春期の息子と暮らすシングルマザーだ。20年に渡って町の保安官の愛人として生きている。ところが、保安官が政界に進出することが決まり、彼女に冷たくなったことから事態はややこしくなる。物語を大切にするというよりも、保安官の政界入りをきっかけに人間関係が揺れる様に着目した作り。これが滅法つまらない。理由は明らかだ。

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ブルージャスミン

ブルージャスミン “Blue Jasmine”

監督:ウッディ・アレン

出演:ケイト・ブランシェット、アレック・ボールドウィン、ルイス・C・K、
   ボビー・カナヴェイル、アンドリュー・ダイス・グレイ、
   サリー・ホーキンス、ピーター・サースガード、
   マイケル・スタルバーグ、アルデン・エーデンライク

評価:★★★★




 真っ先に連想するのは「欲望という名の電車」(51年)だろうか。「サンセット大通り」(50年)の気配も香る。意外なのは『ブルージャスミン』を手掛けたのがウッディ・アレンということで、最近のコメディの調子を抑え気味にして、夫の逮捕をきっかけにしたヒロインの転落のドラマを酷く冷静に、いやほとんど冷徹に見つめている。とりわけ「欲望という名の電車」は意識したというより、オマージュを捧げたと言って良いのではないか。

 ヒロインのジャスミンはいけ好かない女だ。追われるようにニューヨークからサンフランシスコへ向かう飛行機で隣に座ったバアサンに延々身の上話を聞かせるオープニングから、共感の大半を拒否する。ニューヨーク社交界の煌びやかで、そして空虚なる世界でしか息のできない女の哀れ。けれどそれは彼女自身が望んで手に入れたもので、同じものを望まない者を蔑んでいる。

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