ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 “Nebraska”

監督:アレクサンダー・ペイン

出演:ブルース・ダーン、ウィル・フォーテ、ジューン・スキッブ、
   ステイシー・キーチ、ボブ・オデンカーク、アンジェラ・マキューアン、
   メアリー・ルイーズ・ウィルソン、ランス・ハワード、デヴィン・ラトレイ

評価:★★★★




 100万ドルの宝くじが当たったと思い込んだ老いた父親とその付き添いの息子を主人公にしたロードムービー。…なんて書くとハートウォーミングな家族ドラマを連想するものの、どっこい『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』はアレクサンダー・ペイン映画。分かりやすく安易な、ちょっと放っておくと腐ってしまいそうなレシピには興味を示さない。

 まず、画が寂しい。モノクロの映像が選ばれているのは珍しいことではないものの、その寂しげな空気感は貴重ではないか。温か味や柔らかさを狙ったというよりは、ネブラスカの荒涼たる風景を強調したかったようだ。旅の途中に出てくるガソリンスタンドもレストランもバーも病院も、揃って物哀しい気分を誘う。

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ホビット 竜に奪われた王国

ホビット 竜に奪われた王国 “The Hobbit: The Desolation of Smaug”

監督:ピーター・ジャクソン

出演:マーティン・フリーマン、イアン・マッケラン、リチャード・アーミテイジ、
   ベネディクト・カンバーバッチ、オーランド・ブルーム、
   エヴァンジェリン・リリー、リー・ペイス、ルーク・エヴァンス、
   スティーヴン・フライ、ケン・ストット、ジェームズ・ネズビット、
   ミカエル・ハーシュブラント、シルヴェスター・マッコイ、
   エイダン・ターナー、ディーン・オゴーマン、グレアム・マクタヴィッシュ、
   ピーター・ハンブルトン、ジョン・カレン、マーク・ハドロウ、
   ジェド・ブロフィー、ウィリアム・キルシャー、スティーヴン・ハンター

評価:★★★




 「指輪物語」の前日譚として書かれた小説の新たなる映画三部作。二作目『ホビット 竜に奪われた王国』は基本的に、一作目「思いがけない冒険」(12年)と感じることはほぼ一緒だ。闇が世界を覆い尽くす前の冒険には翳りが乏しく、ドワーフだらけの画面は華やかではなく、加えて主要人物がオッサンばかりなのにギョッとする。ただし、世界観の説明が省かれる分、アクションの見せ場が次々出てくるのは有難く、目に残るヴィジュアルも少なくない。

 まずは大蜘蛛に襲われる場面だ。ただでさえ怖ろしいヴィジュアルの蜘蛛が大群で登場。脚の動きが実に気色悪く、その顔の造形もなかなかの迫力。彼らの糸でぐるぐる巻きにされた仲間たちが蜘蛛のエサにされそうになる画が悪夢的。この前の場面では、ビルボ・バギンズが木の天辺から美しい景色を眺めるショットがあり、その対比も効いている。

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キック・アス ジャスティス・フォーエバー

キック・アス ジャスティス・フォーエバー “Kick-Ass 2”

監督:ジェフ・ワドロウ

出演:アーロン・ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、ジム・キャリー、
   クリストファー・ミンツ=プラッセ、モリス・チェスナット、
   クロウディア・リー、クラーク・デューク、オーガスタス・プリュー、
   スティーヴン・マッキントッシュ、モニカ・ドラン、ロバート・エムズ、
   リンディ・ブース、ドナルド・フェイソン、オルガ・クルクリーナ、
   トム・ウー、アンディ・ナイマン、ダニエル・カルーヤ、
   ジョン・レグイザモ、リンジー・フォンセカ、ヤンシー・バトラー

評価:★★




 スーパーヒーローに憧れるオタク高校生が、インターネット経由で仕入れたスーツとマスクによりコスプレ、街の悪に立ち向かう様を描いた「キック・アス」(10年)は、今やカルト的な人気を獲得したアクション・コメディだ。ユーモアと暴力の絶妙のブレンドを実現したのが大きい。その続編となる『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』を観れば、中でも何が人気を博したのか、良く分かる。ヒット・ガールだ。

 何しろ出番が増えている。見せ場も満載だ。いきなりキック・アスに銃弾を浴びせて笑いかけるわ、相変わらずのアクロバティックな動きで悪を仕留めるわ、泣き真似をするわ、ピンクを積極的に取り入れた洋服で女の子らしさを見せるわ、普通の女の子になろうとしてもじもじするわ、ダンス部で格闘技を取り入れたパフォーマンスで圧倒するわ…。キック・アスより目立っているくらいだ。

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March 21 - 23 weekend, 2014

March 21 - 23 weekend, 2014

1 グランド・ブダペスト・ホテル|$22,329(304)$12,998,474
2 ダイバージェント|$13,874(3936)$54,607,747
3 Rob the Mob|$13,833(1)$13,833
4 God's Not Dead|$11,852(780)$9,244,641
5 ザ・スリル|$9,319(2)$18,638
6 Nymphomaniac: Volume I|$6,335(25)$158,369

7 Bad Words|$5,805(87)$660,817
8 Le Week-End|$5,440(25)$200,188
9 Muppets Most Wanted|$5,324(3194)$17,005,126
10 Mr. Peabody & Sherman|$3,280(3607)$81,134,9

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 シャイリーン・ウッドリーさんは泥を食べてデトックスしているそうです。タクシーの運転手に勧められたというベントナイト粘土のサプリメントは、体内から重金属を浄化する効能があるそうな。ほんまかいな。なお、泥デトックスを行うと、う●こは鉄の匂いがするようです。また、歯を白くするためにはごま油が効くとのことで、ごま油で口をゆすいで吐き出すのを繰り返して、白さをキープしている模様。もう一歩で不思議ちゃん街道に入り込みそうです。それにしても…タクシーの運ちゃんの言うことを、そんなにあっさり聞いても良いものでっしゃろか。

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ダラス・バイヤーズクラブ

ダラス・バイヤーズクラブ “Dallas Buyers Club”

監督:ジャン=マルク・ヴァリー

出演:マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト、ジェニファー・ガーナー、
   デニス・オヘア、スティーヴ・ザーン、グリフィン・ダン、
   マイケル・オニール、ダラス・ロバーツ、ケヴィン・ランキン

評価:★★★




 1985年テキサス。ロデオを愛するカウボーイのロン・ウッドルーフは仕事場で倒れ、運び込まれた病院で余命30日だと告げられる。HIVに感染、既に発症しているのだという。とは言え、難病映画にはならない。ウッドルーフがそれを拒否するのだ。そして言い放つ。「この俺を30日で殺せるものなんてねぇ」。頼もしいではないか。

 そうして帰宅したウッドルーフが真っ先にやることが、煙草に飲酒、ドラッグ吸引、そして女を抱くことなのだから、呆れるやら可笑しいやら。けれど、この「俺の欲求は誰にも止められない」的なふてぶてしさが、案外生きる力に繋がっていることを見逃してはいけない。自分を諦めた時点で、人は急速に弱っていくものだろう。ウッドルーフはあくまで自分の命のために動き出す。くたばってたまるか。そういう男の佇まいが、弱々しくなるはずがない。

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ハリケーンアワー

ハリケーンアワー “Hours”

監督:エリック・ハイセラー

出演:ポール・ウォーカー、ジェネシス・ロドリゲス、ナンシー・ネイヴ、
   ジェーン・ジェイコブソン、ナタリア・サフラン、TJ・ハッサン、
   レナ・クラーク、ケシャ・バラード

評価:★★★




 ポール・ウォーカーが主演で、ハリケーン“カトリーナ”に襲われるニューオーリンズが舞台。…となると、どうしてもB級犯罪スリラーを想像してしまうのだけど、どっこい『ハリケーンアワー』は命というものに真摯に向き合った映画だ。俳優の私生活と映画の内容を安易に結びつけるのは気が進まないものの、事故死したウォーカーが死ぬ直前にこういう映画を遺したというのは、なんだか宿命めいている。

 カトリーナの直撃を受けようというそのとき、大きくはない病院にひとりの妊婦が担ぎ込まれる。赤ん坊は無事生まれるものの、母親は死亡。5週間早く生まれた赤ん坊は生命維持の保育器に繋がれる。カトリーナにより町の機能が麻痺する中、無責任と言うかご都合主義と言うか、父であるウォーカーと赤ん坊だけが病院に取り残されるという状況となる。父親は赤ん坊を守ることができるだろうか。

 極めて単純なサスペンスが設置される。保育器のバッテリーが3分間しか持たず、ウォーカーは3分毎にバッテリーを手動で充電しなければならない。つまり食料の調達も救助の呼びかけも栄養素の捜索も3分間でやらなければならない。ウルトラマン式ピンチの連続で、簡単な歯磨きぐらいしかできない3分という時間はさすがに短過ぎるだろう。あまりにすぐ時間が過ぎるので、ちょっとしたコント風に見えるのは損だ。

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大統領の執事の涙

大統領の執事の涙 “Lee Daniels' The Butler”

監督:リー・ダニエルス

出演:フォレスト・ウィテカー、オプラ・ウィンフリー、
   デヴィッド・オイェロウォ、ジョン・キューザック、ジェーン・フォンダ、
   キューバ・グッディング・ジュニア、テレンス・ハワード、
   レニー・クラヴィッツ、ジェームズ・マースデン、
   ヴァネッサ・レッドグレーヴ、アラン・リックマン、リーヴ・シュライバー、
   ロビン・ウィリアムス、クレランス・ウィリアム・サード、ヤヤ・アラフィア、
   ネイサン・エリス、マライア・キャリー、アレックス・ペティファー

評価:★★




 主人公のモデルになった人物は約30年間、七人の大統領に仕えてきた執事なのだという。政治に興味がないと言っても、アメリカの中枢で働くということは、歴史が動く瞬間を目撃するということだ。ドワイト・アイゼンハワーからロナルド・レーガンまで、どんな裏話が登場するのか身を乗り出すものの、教科書で習う以上のことは出てこないから拍子抜け。

 これはまことにおかしな事態で、と言うのも歴代大統領にはいずれも名の知れたスター俳優が起用されているのだ。全く似ていないのにメイクで無理矢理似せながら、しかしほとんど顔見せだけで終わるというのは、大統領にも俳優にも失礼ではないか。モノマネ・ショーの傍らで執事は、空気であり続ける。見所はほとんど角刈りな髪型で登場した演者のフォレスト・ウィテカーが次第に禿げていくメイク、そしてデリケートな照明に照らされた邸内部の家具や食器ぐらいだ。

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エージェント:ライアン

エージェント:ライアン “Jack Ryan: Shadow Recruit”

監督・出演:ケネス・ブラナー

出演:クリス・パイン、キーラ・ナイトレイ、ケヴィン・コスナー、
   ノンソー・アノジー、コルム・フィオール、ジェンマ・チャン、
   デヴィッド・ペイマー、カレン・デヴィッド、ペーター・アンデション

評価:★★




 トム・クランシーのベストセラー小説から飛び出したジャック・ライアンを演じるのは、クリス・パインで四人目になる。アレック・ボールドウィン、ハリソン・フォード、そしてベン・アフレック。一度か二度演じただけで、次のスターへとバトンタッチ。なぜそんな事態になってしまうのか。これはもう、ライアンという役柄の個性が薄いがゆえだろう。

 『エージェント:ライアン』はライアンがどんな人物なのか、大学時代から描き出す。白シャツの上にフード付きジャケットを羽織り、リュックサックを背負うどこにでもいる学生が、9.11のテロの影響を受けて、海兵隊入り。派遣先のアフガニスタンでヘリコプターを追撃され、仲間を助けた結果、背骨を折るほどの重傷を負う。病院で出会った看護師とは恋仲になる。スピーディに描写されるそれらが、ライアンの血とも肉ともならない。

 ジェームズ・ボンドなら女好きの凄腕。イーサン・ハントなら超人的身体能力とチームワーク。シャーロック・ホームズなら天才的推理力とジョン・ワトソン。ジョン・マクレーンなら悪運の強さと不死身の身体。人気シリーズの主役たちはいずれも個性が強く、彼らが出てくるだけで画面が持ってしまうところがある。ライアンはそれができない。敢えて売りを挙げるなら抜群の分析力になるということになるのだろうけれど、頭の良さはアクション映画のヒーローでは特別珍しいものではなく、むしろ平凡。頭の良さを理由にご都合主義を丸め込もうとする場合すらある。

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17歳

17歳 “Jeune & jolie”

監督:フランソワ・オゾン

出演:マリーヌ・ヴァクト、ジェラルディーヌ・ペラス、フレデリック・ピエロ、
   シャーロット・ランプリング、ヨハン・レイゼン、ファンタン・ラヴァ、
   ナタリー・リシャール、ロラン・デルペック

評価:★★




 17歳の少女が、親子どころか祖父と孫ほどに歳の離れた男たちとベッドを共にする。…と書くと、酷くセンセーショナルな印象を受けるものの、フランソワ・オゾンの興味はスキャンダラスにそれを飾り立てるところにはない。『17歳』は、まだ自分が見えていない若い魂がパリの街を浮遊する様を、そっと覗き見る。

 彼女が娼婦に堕ちる理由は語られない。夏を家族と共に避暑地で過ごした後、秋には既に金と引き換えに男たちに身体を差し出している。敢えて理由を描き込まないゆえに想像が広がるものの、夏の場面で意味ありげなカットが挿入されていて、これが妙に後を引く。

 実は少女はある夏の夜、同じくらいの歳のドイツ人少年と浜辺で行為に及んでいる。これが初めての体験だ。そのときの彼女は快感を愉しむ余裕などない。少年の腰の動きを虚しく感じていただけだろう。その際、ふと横を見ると、誰かが自分を見ている。それは彼女自身だった。まるで自分の魂と肉体が切り離されてしまったような…。

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March 14 - 16, weekend, 2014

March 14 - 16, weekend, 2014

1 グランド・ブダペスト・ホテル|$55,122(66)$4,776,981
2 Bad Words|$18,884(6)$113,301
3 Le Week-End|$14,536(3)$43,608
4 Veronica Mars|$6,833(291)$1,988,351
5 ニード・フォー・スピード|$5,729(3115)$17,844,939

6 Mr. Peabody & Sherman|$5,520(3951)$63,789,165
7 300<スリーハンドレッド> 帝国の進撃|$5,502(3490)$78,406,898
8 Ernest & Celestine|$4,395(9)$71,442
9 Tyler Perry's The Single Moms Club|$4,259(1896)$8,075,111

10 Non-Stop|$3,335(3183)$68,805,115

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 アメリカではセクシーな男性ランキングの上位常連であるジェイク・ギレンホールさんが、素っ裸でいるところをパパラッチされました。…と言っても新作映画『Everest』の撮影現場での話。どういう状況設定なのかは分かりませんが、ギレンホールさんは局部を隠しただけの状態で演技中。尻丸見えであります。そして男の裸ってやっぱりマヌケ。山登りの真っ只中でこんな格好になるのでしょうか。ばったり出くわしたクマもびっくり。風邪を引かれませんようお願いしますよ。それにしてもギレンホールさん、ちょっと前まで別の映画のためにダイエットしていたのに、この写真を見る限り、腹が結構立派な状態です。出ているのとは違いますが、若者の体型とも違うなぁ。あぁ、スターも確実に歳をとるのですねぇ。

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MUD マッド

MUD マッド “Mud”

監督:ジェフ・ニコルズ

出演:タイ・シェリダン、ジェイコブ・ロフランド、マシュー・マコノヒー、
   リース・ウィザースプーン、サム・シェパード、マイケル・シャノン、
   ジョー・ドン・ベイカー、レイ・マッキノン、サラ・ポールソン

評価:★★★★




 まだ身体的にも精神的にも成長過程にある14歳の少年と「俺を守ってくれるのは、このシャツと拳銃だけだ」と言いながら孤島でボートをねぐらにする謎の男の交流。『MUD マッド』がカミング・オブ・エイジ ストーリーとして、昔からよくあるパターンの映画であることは間違いない。けれど、退屈を誘うところはまるでない。それどころか時折新鮮な風が吹く。人間同士がぶつかりあるドラマとして、ずしり腹に来る場面もある。

 舞台となる南部の町と島が面白い。言わずと知れたミシシッピー川が流れるその町は、所謂憧れの町からは程遠い。少年が両親と一緒に暮らすボロ家は川の上に浮かんでいるし、近隣住民も似たり寄ったり。町中へ出ても若者たちは表面を格好つけるばかりで、中身があるようには見えない。いつかは出ていきたいと思っている者も多いだろう。川の底は見えない。泥の灰色で濁っている。町全体がそれにハマって抜け出せないみたいだ。

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エヴァの告白

エヴァの告白 “The Immigrant”

監督:ジェームズ・グレイ

出演:マリオン・コティヤール、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナー、
   ダグマーラ・ドミンスク、アンジェラ・サラフィアン、イリア・ヴォロック、
   グレン・フレシュラー、アントニー・コローネ

評価:★★★




 いきなり女が置かれる状況がとんでもない。1920年代、戦時下のポーランドから海を越えてアメリカ、ニューヨークへやって来るも入国審査で引っ掛かる。病気の妹は隔離され、自身も国へ還される寸前。そこに現れた紳士の手引きより間一髪難を逃れるも、紹介された針子の仕事がショーの踊り子に変わり、なのに行き着く先は娼婦ときたもんだ。頼りの叔母夫婦にも裏切られて絶体絶命。移民の女たちを使って売春を斡旋する偽紳士の言うことを聞くしかない。自由の女神がほとんどギャグアイテムに見える。

 そんなわけで『エヴァの告白』は堂々たるメロドラマだ。このジャンルで重要なのは女優だ。ヒロインにどれだけ感情移入できるか、或いは共感はできずともどれだけ興味を持てるか。マリオン・コティヤールはいつもより薄い化粧で現れ、しかし娼婦に堕ちてからはばっちりメイク。ジェットコースターに乗り込んだような人生に負けない、何としてでも生き延びるという意思が、目や佇まいから感じられる。

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LIFE!

LIFE! “The Secret Life of Walter Mitty”

監督・出演:ベン・スティラー

出演:クリステン・ウィグ、アダム・スコット、シャーリー・マクレーン、
   キャスリーン・ハーン、ショーン・ペン

評価:★★




 「虹を掴む男」(47年)のリメイクということは忘れても良いのではないか。随分毛色が異なる。ひょっとしたら原作となるジェームズ・サーバーの短編に近いテイストは『LIFE!』の方なのかもしれない。好きな女性に声もかけられず、会社では冴えない扱いを甘んじて受けている男が主人公。彼は現実逃避が趣味で、妄想の世界に真昼間から飛んでいく。そこでは彼はいつだって英雄だ。この完全なる喜劇テイストの内容を、ベン・スティラーはドラマ寄りに演出する。

 見せ場は当然、妄想場面だ。冒頭、駅で電話の最中に妄想の世界に迷い込んだ彼は、何かを見つけると高所から飛び降り、窓を突き破って、家事で炎と煙が充満するアパートに突入する。救うのは愛する女性の愛犬だ。アッという間に犬を助けた彼は、それを彼女に手渡し、感謝の言葉を獲得する。前触れもなく突然妄想の世界。静かだった画面は、妄想場面との対比を狙ってのことだと言わんばかりの気合いの入れよう。視覚効果もばんばん投入される。

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セルフィッシュ・サマー

セルフィッシュ・サマー “Prince Avalanche”

監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン

出演:ポール・ラッド、エミール・ハーシュ、ランス・ルゴール、
   ジョイス・ペイン、ジーナ・グランデ

評価:★★★




 タイプの異なる男ふたりの珍道中を描く映画は珍しくない。大抵は何度も衝突を繰り返し、次第に心の内を曝け出し、分かり合い、それなりのゴールに辿り着く。『セルフィッシュ・サマー』も例に漏れない作品だ。けれど、ばっさり斬り捨てられない。何かが妙に心に引っ掛かる。珍道中が翳りを帯びている。

 背景となるのは1988年、前年に1,600棟が消失し、4名が死んだ山火事を経験したテキサスの森の中。主人公ふたりは夏の間、道路の修復作業をしている。杭を打ち、黄色いペンキで車線を引き…の単純作業の繰り返し。夜になっても街には帰らない、ちょっとしたキャンプ。森にテントを張って眠るのだ。森なのに緑がないという、人間で言えば服を脱ぎ去り全裸に近い状態の森で、ふたりは本当の自分と向き合わざるを得なくなる。

 ふたりの容姿が面白い。ポール・ラッドはオッサン体型にヒゲを蓄え、メガネをかけると、マリオの失敗作みたい。街に残してきた恋人を想って手紙を書くのが日課だ。エミール・ハーシュは四六時中女のことを考えているタイプ。それを恥じ入らず、バカさを隠さないのがいっそ気持ち良い。全然違うふたりを繋げるのはサロペットだ。作業着となるそれが、ふたりの心を擦り合わせる。サロペットなふたりが途端に哀愁をまとい始める。

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ラッシュ プライドと友情

ラッシュ プライドと友情 “Rush”

監督:ロン・ハワード

出演:クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール、オリヴィア・ワイルド、
   アレクサンドラ・マリア・ララ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、
   クリスチャン・マッケイ、デヴィッド・コールダー、ナタリー・ドーマー、
   スティーヴン・マンガン、アリスター・ペトリ、ジュリアン・リンド=タット

評価:★★★★




 1976年はフォーミュラワンの歴史に残るシリーズとして語り継がれているらしい。その主役となったのはジェームズ・ハントとニキ・ラウダだ。序盤はラウダが圧倒的リードを誇るも、中盤ハントが生まれ変わったような追い上げを見せる。そんな中、ラウダが大事故に遭って戦線離脱、その間にハントがポイントを積み重ねる。このままハントの逃げ切りかと思ったところでラウダが奇跡の復活を果たす。

 『ラッシュ プライドと友情』でロン・ハワードは、この表向きの物語の裏側を探る。ポイントはもちろん、F1レーサーふたりの人物像だ。毎年参戦する25人中ふたりが死ぬというF1グランプリで、レーサーは反逆者か変人か夢想家だと言われる。これに当てはめるならば、ハントは反逆者で、ラウダは変人になるだろうか。

 ハントは勝手気まま、自由奔放な性格で、四六時中女を傍らに置くプレイボーイ。与えられたマシーンをアッという間に自分の手足のように操る本能型。しかし、レース前には毎度、極度の緊張から必ず吐いてしまう弱さを具えている。大胆不敵さと繊細さが同居したハントを、クリス・ヘムズワースがカリスマ性たっぷりに演じる。ソー役のときよりも大分ほっそりするも、チャーミングな笑顔は健在。自ら太陽となり、ハントの傲慢さを輝かせる。

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March 7 - 9 weekend, 2014

March 7 - 9 weekend, 2014

1 グランド・ブダペスト・ホテル|$202,792(4)$811,166
2 300<スリーハンドレッド> 帝国の進撃|$12,979(3470)$45,038,460
3 The Face of Love|$8,220(3)$24,660
4 Mr. Peabody & Sherman|$8,187(3934)$32,207,057

5 Non-Stop|$5,085(3113)$52,568,530
6 LEGO® ムービー|$3,317(3290)$224,877,997
7 Son of God|$3,173(3271)$41,874,230
8 Bethlehem|$2,681(26)$69,700
9 ゼロ・グラビティ|$2,349(384)$271,814,796
10 グレート・ビューティー 追憶のローマ|$2,021(77)$2,440,678

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 受賞はできなかったのに、やっぱりオスカーで話題を振り撒いたジェニファー・ローレンスさん。昨年はレッドカーペットでハンバーガーを注文して周囲を仰天させましたが、今年はちゃんとおやつ持参で参加したとか。クラッチバッグの中にはビーフジャーキーやキャンディが入っていたそうで、うーん、どこまで行ってもセレブリティっぽくない娘っ子です。そう言えば授賞式では、式の真っ最中、ローレンスさんがピザを本気食いしているところがしっかり映っていました。ドレスが汚れる心配はしないんですな。

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オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主

オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主 “Odd Thomas”

監督:スティーヴン・ソマーズ

出演:アントン・イェルチン、アディソン・ティムリン、ググ・バサ=ロウ、
   ニコ・トルトレッラ、パットン・オズワルト、ウィレム・デフォー、
   レオノール・ヴァレラ、マシュー・ペイジ、ケイシー・メッサー

評価:★★★




 死者が見える能力を持つ主人公…と聞くと、どうしても「シックス・センス」(99年)を思い出してしまうけれど、『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』はそれよりも、TVシリーズ「ミディアム 霊能者アリソン・デュボア」(05~11年)が近いのではないか。死者が暗号のように出してくるヒントを基に、主人公が事件を解決へと導く。推理劇の趣が共通している。

 オッド・トーマスはレストランで働く気ままなフリーターで、優秀な助手タイプの彼女持ち。死者が現れるとサインを読み取り、彼らの成仏の手助けをする。とんだお人好しだ。ボダッハと呼ばれるプレデターを思わせる悪霊がいるところには殺人事件あり。どういうわけだか最近このボダッハが大量発生中。その事件解決が主軸になるものの、一向にサスペンスは盛り上がらない。そしてそれで良い。

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恋のときめき乱気流

恋のときめき乱気流 “Amour & turbulences”

監督:アレクサンドル・カスタネッティ

出演:リュディヴィーヌ・サニエ、ニコラ・ブドス、ジョナタン・コエン、
   アルノー・デュクレ、クレマンティーヌ・セラリエ

評価:★★★




 ひゃあぁぁ、可愛い。『恋のときめき乱気流』はその言葉を引き出せれば、作り手の勝利という映画だ。話自体は他愛ない。ニューヨークからパリへのフライト。ビジネスクラスで隣同士になった元恋人の男と女が、過去を振り返りながら情熱を再燃させる物語。出会いはタクシーの相乗りというよくあるパターン。夢や進路、女性問題が障壁となるのもお馴染み。アパートを訪ねてみたら、他の女がいたという矢口真里をお手本したエピソードまで出てくる。

 しかし、そんなことどうでも良い。ヒロインを演じるリュディヴィーヌ・サニエが近年ベストの愛らしさを発散するからだ。真っ白な肌。たっぷりのマスカラ。入念なアイメイク。凝ったヘアスタイル。着せ替え人形と化して洋服をとっ替えひっ替え。これだけ創り込んでいるのに、ちっともケバくならないのが偉い。

 飛行機に乗り込むときの白シャツの上にカーディガンを羽織るファッションが、サイフを忘れて愉快なサザエさんになる一歩手前の可愛さ。時折80年代テイストが入るのも楽しい。前衛芸術(彫刻)の創作に励む場面では、黄色い長靴まで履いちゃった。どうする?辛抱堪らん。

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ミッドナイト・ガイズ

ミッドナイト・ガイズ “Stand Up Guys”

監督:フィッシャー・スティーヴンス

出演:アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキン、
   ジュリアナ・マルグリーズ、アディソン・ティムリン、ルーシー・パンチ、
   ルーク・マーゴリス、ヴァネッサ・フェルリト、キャサリン・ウィニック

評価:★★




 人生の黄昏時を迎えたジイサンたちを主人公にしたコメディとなると、どうしても「老い」をギャグとして機能させる作りになるらしい。若い頃はできたことやサマになったことと段々縁遠くなる。ジイサンたちが勃つ勃たないで言葉を交わし、薬局で高血圧や胃腸炎、緑内障の薬を調達。若い女をナンパして罵倒され、ドラッグが効き過ぎて気絶までしてしまう。

 これを寂しく思うのは多分、演者がアル・パチーノであり、クリストファー・ウォーケンであり、アラン・アーキンだからだろう。ハリウッドの荒波を頼もしく生き抜いてきた彼らが、あぁ、遂に自らの老いを認めることになったかと感じ入るのだ。そう言えば、なんだか身体が一回り小さくなったようにも見える。

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スノーピアサー

スノーピアサー “Snowpiercer”

監督:ポン・ジュノ

出演:クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、ティルダ・スウィントン、
   ジェイミー・ベル、オクタヴィア・スペンサー、ユエン・ブレンナー、
   アリソン・ピル、コ・アソン、ジョン・ハート、エド・ハリス、
   ルーク・パスクァリーノ、ケニー・ドーティ、スティーヴン・パーク

評価:★★★




 物語よりも何よりも、舞台設定の奇抜さが目を引く。温暖化対策として撒かれた薬品が寒冷化を招き、生物のほとんどが絶滅した近未来の地球。生き残った人々は一年かけて地球を一周する列車の中で暮らしている。列車の中は貧富の差が激しく、後部車両に住む最下層の人々が、富裕層が快適に暮らす前部車両を目指す。

 どれだけ長い列車だよ。車幅が広過ぎるだろう。いつの間にレールを作ったんだ。たったこれだけで突っ込み所満載なのだけど、ポン・ジュノの語り口の巧さゆえか、非常に寛容な気分で見られる。やっぱり車両毎に表情が変わるのが新鮮だ。最後部車両こそ灰色のスラム街を思わせるものの、他はカラフルでシュールな世界観が炸裂。庭園あり、水族館あり、サウナあり、寿司バーあり、学校あり、美容院あり、クラブあり、歯医者あり、肉屋あり…。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

The 22nd Planet Movie Awards/第22回プラネット映画賞 最終投票データ完全公開

The 22nd Planet Movie Awards/第22回プラネット映画賞の
最終投票データを完全公開しました。

各部門の1位~5位は以下の通りです。

詳細はOSCAR PLANETをご覧下さい。



◆作品賞
 1. ゼロ・グラビティ(アルフォンソ・キュアロン監督)
 2. キャプテン・フィリップス(ポール・グリーングラス監督)
 3. クロニクル(ジョシュ・トランク監督)
 4. スター・トレック イントゥ・ダークネス(J・J・エイブラムス監督)
 5. 死霊館(ジェームズ・ワン監督)

◆監督賞
 1. アルフォンソ・キュアロン(ゼロ・グラビティ)
 2. ポール・グリーングラス(キャプテン・フィリップス)
 3. ギレルモ・デル・トロ(パシリック・リム)
 4. J・J・エイブラムス(スター・トレック イントゥ・ダークネス)
 5. スティーヴン・ソダーバーグ(マジック・マイク)

◆主演男優賞
 1. トム・ハンクス(キャプテン・フィリップス)
 2. チャニング・テイタム(マジック・マイク)
 3. デイン・デハーン(クロニクル)
 4. ジョン・ホークス(セッションズ)
 5. ジェフリー・ラッシュ(鑑定士と顔のない依頼人)
 6. ジェイク・ギレンホール(エンド・オブ・ウォッチ)

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テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

February 28 - 2 weekend, 2014

February 28 - 2 weekend, 2014

1 The Bag Man|$14,616(2)$29,231
2 Non-Stop|$9,345(3090)$28,875,635
3 Son of God|$7,853(3260)$25,601,865

4 LEGO® ムービー|$5,525(3770)$209,138,440
5 Beijing Love Story|$3,818(11)$387,000
6 Repentance|$3,298(152)$501,290
7 風立ちぬ|$3,059(496)$1,953,947
8 ゼロ・グラビティ|$2,616(340)$270,478,831
9 ウルフ・オブ・ウォールストリート|$2,418(505)$114,570,292
10 それでも夜は明ける|$2,375(411)$50,336,296


【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 バレンタインデーにカミングアウトしたエレン・ペイジさんとバイセクシャルだと告白済みのエヴァン・レイチェル・ウッドさんが一緒にランチしているところを目撃されました。もちろんウッドさんにはジェイミー・ベルさんというダンナがいます。三角関係だったら面白かったのですが、その後の続報がないところを見ると、ただの友人同士のランチだった模様。まあ、そういうのが好きな方は色々と想像できる組み合わせではないでしょうか。

 Box Office。公開4週目の『LEGO® ムービー』が興収2億ドルを突破。この映画にはバットマンやらスーパーマンやらヒーローも続々登場。既に続編製作も決まる人気ぶりですが、今月下旬公開の日本でも受けるでしょうか。全然盛り上がりを感じないのですが…。ワーナーさんよ、他の映画も含めて、プロモーション、何とかなりませんかい。

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テーマ : 興行収入ランキング
ジャンル : 映画

泥棒は幸せのはじまり

泥棒は幸せのはじまり “Identity Thief”

監督:セス・ゴードン

出演:ジェイソン・ベイトマン、メリッサ・マッカーシー、ジョン・ファヴロー、
   アマンダ・ピート、ティップ・“T.I.”・ハリス、ジェネシス・ロドリゲス、
   モリス・チェスナット、ジョン・チョウ、ロバート・パトリック

評価:★★




 デブに関する考察がたっぷり。デブは何でも大袈裟になる。化粧も、洋服の柄もデザインも、身につけるアクセサリーも大袈裟になる。しかも、意外に少女趣味だ。花柄に吸い寄せられたり、リボンを好んだり、ピンクに囲まれたり、もう一歩でメルヘンの世界。さらには自己愛も強めだ。部屋に肖像画を飾ることもある。もちろんくだらない偏見に満ちている。

 笑いの性質をよく表す例を挙げる。クレジット・カードのID泥棒がきっかけで知り合ったジェイソン・ベイトマンとメリッサ・マッカーシーが野宿することになり、焚き火を囲んで横になっている。ちょっとしたキャンプ。すると足元から巨大なヘビが登場、ベイトマンのズボンの中へ侵入する。悲鳴を上げてパンツ一丁になるベイトマン。しかし、ヘビは気がつけば首元に巻きついているではないか。ベイトマンに撃退を頼まれたマッカーシーは、火つき棒により追い払おうとするも、途中からパニックになる。火がヘビもベイトマンも直撃、悲惨な状態で朝を迎えることになる。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

ザ・ハリウッド

ザ・ハリウッド “The Canyons”

監督:ポール・シュレイダー

出演:リンジー・ローハン、ジェームズ・ディーン、
   ノーラン・ジェラード・ファンク、アマンダ・ブルックス、
   テニル・ヒューストン、ガス・ヴァン・サント

評価:★




 舞台は映画業界だ。一本の映画の製作現場。登場人物は映画プロデューサーやその部下、彼らの恋人だ。華やかなるセレブリティ社会の内幕を描く…作品ではもちろんない。シドニー・シェルダン風の確信犯的に安っぽい物語が用意された『ザ・ハリウッド』のいちばんの見所は、エロティック描写にある。

 何しろ主演男優のジェームズ・ディーン(James Deen。Deanではない)は、アメリカが誇る人気ポルノ男優というのだもの。その割りにはさほど脱いでなかったけれど、まあ良い。ディーンはあくまでヒロインの引き立て役のはずだ。呼び物になるのはヒロインのリンジー・ローハンであり、彼女がフルヌードを見せるところなのだ。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

マリー、もうひとつの人生

マリー、もうひとつの人生 “La vie d'une autre”

監督:シルヴィー・テステュー

出演:ジュリエット・ビノシュ、マチュー・カソヴィッツ、オーレ・アッティカ、
   フランソワ・ベルレアン、ダニエル・ルブラン、ヴァーノン・ドブチェフ

評価:★★




 オープニングから困惑する。ジュリエット・ビノシュが妙に若作りをしているのだ。それもそのはずビノシュは26歳という設定。20代に見せるのなんてちょろいわよとばかりに、ロングヘアにウェイヴをかけるだけじゃなく、花柄のシャツにジーンズを合わせてしまった。この図々しさはいかにもビノシュだけれど、やっぱり呟かずにはいられない。一体全体どうなってるんだ?

 ただし、若作りビノシュに耐えなければならないのは冒頭だけだ。『マリー、もう一つの人生』のヒロインは誕生日パーティで前から目をつけていた男を寝技に持ち込む。あぁ、なんて素敵な誕生日!ところが目が覚めると、その日から15年も経っていた。私、41歳のオバサンになってるわ!どうしたら良いの?まるでビノシュ版「ビッグ」(88年)だけれど、26歳から41歳になっても、たいして精神的な成長はなかったりする。

 ちょっと前のメグ・ライアンがハマりそうなヒロインだ。意中の相手と結婚していて(離婚寸前だが)、子どももいる。大企業で仕事ばりばりの高給取り。家政婦もベビーシッターも雇っている。大きな家だ。高級な家具もたっぷり。場所は何と、エッフェル塔のすぐ下だ。つまり悠々自適ライフ。コメディの匂いをぷんぷんにさせながら、意外なほど弾けないのはビノシュが基本的にシリアスな女優だからだろう。少しぐらい金持ちライフを楽しんだらどうか。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

アメリカン・ハッスル

アメリカン・ハッスル “American Hustle”

監督:デヴィッド・O・ラッセル

出演:クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、ブラッドリー・クーパー、
   ジェニファー・ローレンス、ジェレミー・レナー、ルイス・C・K、
   マイケル・ペーニャ、アレッサンドロ・ニヴォラ、ジャック・ヒューストン、
   シェイ・ウィガム、エリザベス・ローム、ロバート・デ・ニーロ

評価:★★★★




 優れた監督は大抵、得意な技を持っている。カメラワークを凝る監督がいれば、美術や衣装を創り込む監督もいる。編集が冴え渡る監督がいる一方、物語や人物の魅力を信じる監督もいる。そしてデヴィッド・O・ラッセルはズバリ、演技の力を最大のエネルギーにする監督だ。『アメリカン・ハッスル』で確信を得る。

 得意技は映画の個性に繋がる。役者に似つかわしい役柄を与え、その力を思いがけない方向から捻り出す。ハンサムな俳優(クリスチャン・ベール、ブラッドリー・クーパー)に滑稽味を加え、真面目な印象の女優(エイミー・アダムス)をゴージャスに着飾らせ、若い女優(ジェニファー・ローレンス)を大阪のオバチャン風味に染め上げる。無理はしない。しかし、極めて効率的な「演技の解放」を実現する。これまでに見たことのない俳優たちがそこにいる。

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