マラヴィータ
監督:リュック・ベッソン
出演:ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、トミー・リー・ジョーンズ、
ディアナ・アグロン、ジョン・ディレオ、ジミー・パルンボ、
ドメニク・ランバルドッツィ、ヴィンセント・パストーレ、
スタン・カープ、ジョン・フレダ
評価:★★
カチューシャをつけたディアナ・アグロンが可愛らしい。三つ編みの髪をリボンで左側にまとめ、髪留めを飛ばしたスタイルも可愛らしい。『マラヴィータ』はそういう映画だ。マーティン・スコセッシが製作総指揮で、ロバート・デ・ニーロが主演で、ミシェル・ファイファーまで登場して、マフィアが題材で、「グッドフェローズ」(90年)が担ぎ出されても、本格派映画にはならない。それよりも何よりも、リュック・ベッソン映画だからだ。
「Mr.インクレディブル」(04年)はスーパーヒーローの家族、「アダムス・ファミリー」(91年)は人間ではない者の家族が主人公だった。それと同じノリで、『マラヴィータ』の主人公家族はマフィアに設定される。彼らはFBIの証人保護プログラムにより各地を転々として暮らしている。今度の行き先はフランスのノルマンディ。のんびりした田舎の空気を家族が乱す。…という設定・展開が一向に弾けないのは、マフィアでありながら家族の面々がいたって「普通」だからだ。
「普通」と言っても人殺しはするし、スーパーマーケットを爆破するし、テニスのラケットで人を殴るし、学校を都合良く支配する。けれど、父も母も娘も息子も、心の底では平穏無事な毎日を願う。これが彼らをつまらなくする。ご近所を招いてバーベキュー。楽しく会話。土産にドーナツまで持たせて庶民をアピール。普通の人間になりたいんだー。「妖怪人間かよ!」と突っ込みを入れたくなる彼らは、個性が希薄なのだ。