オン・ザ・ロード

オン・ザ・ロード “On the Road”

監督:ウォルター・サレス

出演:サム・ライリー、ギャレット・ヘドランド、クリステン・スチュワート、
   トム・スターリッジ、ダニー・モーガン、アリス・ブラガ、
   エリザベス・モス、キルスティン・ダンスト、エイミー・アダムス、
   ヴィゴ・モーテンセン、テレンス・ハワード、スティーヴ・ブシェーミ

評価:★★★




 主人公は目撃・体験する出来事をメモ帳に書き留めている。短くて書き辛そうな鉛筆を使って。筆圧が強いこと、色が濃いことが容易に想像できる。ウォルター・サレス監督はメモを剥がしては画面にぺたぺたと貼り付けていく。ざっくばらんに。細かいことを気にすることなく。

 登場人物は後々文学の分野で、ビートジェネレーションを盛り上げた人々の分身だ。ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・S・バロウズはもちろん、その家族や恋人、友人が名前を変えて顔を見せ、その息遣いを立体的に見せていく。ニール・キャサディもいる。そう、原作はケルアックによる、あの「路上」だ。

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サイド・エフェクト

サイド・エフェクト “Side Effects”

監督:スティーヴン・ソダーバーグ

出演:ルーニー・マーラ、ジュード・ロウ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、
   チャニング・テイタム、アン・ダウド、ヴィネッサ・ショウ、
   カルメン・ペラエス、マリン・アイルランド、ポリー・ドレイパー、
   ジェームズ・マルティネス、メイミー・ガマー、ケイティ・ロウズ

評価:★★★




 インサイダー取引が原因で刑務所に入っていた夫が出所する。迎えるのは美しい妻だ。再会を喜ぶふたり。何しろ刑期は4年。決して短くない時間を妻はひとりで耐えてきた。新たな人生が始まる。そう思った刹那、妻は自殺未遂を起こす。妻にはうつ病に苦しんでいたのだ。命があって良かった。しっかり立ち直って欲しい。スティーヴン・ソダーバーグの罠は既に仕掛けられている。

 『サイド・エフェクト』の前半は妻をじっくり映し出す。「傷ついた小鳥」と形容される場面があるけれど、まさにその通り。そしてルーニー・マーラは見事なキャスティングだ。小さく細い身体。不安定さから逃れられない前髪。でも時折覗く強い眼差し。薬の副作用と戦いながら、人生を生きようとする女は、「ドラゴン・タトゥーの女」(11年)のリスベットが別世界に生まれてきたかのようだ。気がつけば、守ってあげたいと思わせる空気が画面に充満している。

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40歳からの家族ケーカク

40歳からの家族ケーカク “This Is 40”

監督:ジャド・アパトウ

出演:ポール・ラッド、レスリー・マン、
   モード・アパトウ、アイリス・アパトウ、ミーガン・フォックス、
   ジョン・リスゴー、アルバート・ブルックス、クリス・オダウド、
   ジェイソン・シーゲル、メリッサ・マッカーシー、レナ・ダナム、
   ロバート・スミゲル、テイタム・オニール、グレアム・パーカー、
   ライアン・アダムス、ビリー・ジョー・アームストロング

評価:★★




 いきなり映し出されるのはセックスシーンだ。バスルームのくもりガラスの向こうでは真っ裸の男と女が立ったまま「行為」をしている。ノリノリのふたり。なのに中断してしまうのは、男がバイアグラの使用を告白したからだ。これをきっかけに女の不満が噴出。40歳の誕生日を迎える女の「40歳なんて最低!」「40歳なんてクソ喰らえ!」という絶叫へと突き進む。いかにもジャド・アパトウ映画だ。

 『40歳からの家族ケーカク』は「無ケーカクの命中男 ノックトアップ」(06年)のスピンオフ。脇役として登場したポール・ラッドとレスリー・マンの夫婦が主役。なるほどふたりが大笑いを誘っていたことを思い出す。スタジオが金脈を掘り当てたと突っ走るのも分からないではない。倦怠期に入ったふたりを中心に、本家以上の笑いを弾けさせよう。アパトウは今、アメリカ喜劇界の中心的存在。勝ったも同然。けれどどうやら、アパトウの目的は他にあったらしい。

 アパトウがこの映画でやりたかったのは、家族自慢だ。中でも嫁を自慢したい。マンこそがアパトウのパートナーであり、その彼女を主人公に映画を撮る。夫冥利・監督冥利に尽きると思ったのかどうかは知らないけれど、アパトウがマンをいかに魅力的に見せるかに全力を注いでいることは間違いない。健康的で均整の取れたプロポーション。ほとんど目立たないシワ。美しくウェイヴした栗色の髪。役柄上は歳をとりたくないとサバまで読んでいるマンだけれど、そんな必要ないくらいに若々しく撮られている。これだけで十分幸せだろう。経営する洋服屋・雑貨屋の金の紛失問題や、夫との関係がぎくしゃくしていることなんて、些細なことではないか。ちなみにアパトウは、主人公夫婦の娘役ふたりまで自分の本当の娘たちにやらせている。

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September 20 - 22 weekend, 2013

September 20 - 22 weekend, 2013

1 Enough Said|$58,200(4)$286,534
2 Rush|$37,458(5)$187,289

3 Wadjda|$7,396(9)$128,757
4 Prisoners|$6,386(3260)$20,817,053
5 Mother of George|$6,000(5)$57,200
6 Instructions Not Included|$5,518(978)$33,958,413
7 インシディアス 第2章|$4,375(3155)$60,157,078
8 Battle of the Year 3D|$2,292(2008)$4,603,177
9 マラヴィータ|$2,265(3091)$25,641,244
10 My Lucky Star|$2,174(23)$50,000

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 クリント・イーストウッドさんの息子として知られるスコット・イーストウッドさんがいよいよブレイクするかもしれないと囁かれています。これまでにもパパ イーストウッドの監督作品にチョイ役で顔を見せていましたが、今後はパパとは無関係の作品が続々公開予定。Town & Country誌ではグラビアを飾っています。同誌のインタヴューでは、これまではモデルを務めたり(当然のように筋肉マッチョ)、建設現場の作業員、バーテンダーやボーイといった仕事をしていて、パパに頼って生きてきたわけじゃないとアピール。また、普段はサーフィンや釣りを趣味にしていて、海辺にあるバーを経営。クラブ通いは好きではないのだとか。「スターになりたいわけじゃない。男の中の男になりたいんだ」という青いコメントにはあんぽんたんの気配もうっすら感じますが、でもまああの大御所の息子ですし、期待はしてしまいますね。あ、でも演技派は目指さないように。無難にクリス・ヘムズワース路線が良いと思います。

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マン・オブ・スティール

マン・オブ・スティール “Man of Steel”

監督:ザック・スナイダー

出演:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、
   ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、
   ラッセル・クロウ、アイェット・ゾラー、アンチュ・トラウェ、
   クリストファー・メローニ、ハリー・レニックス、リチャード・シフ、
   ディラン・スプレイベリー、クーパー・ティンバーライン

評価:★★★




 政治や芸術、娯楽に宗教が複雑に絡み合う今という時代、もはや単純なヒーローは求められていないのかもしれない。超人的な力を持つ者が弱き者を迷いなく助ける構図は、滑稽な匂いすら漂う。…となると、スーパーマンは分が悪い。スーパーマンこそ勧善懲悪の世界で輝いてきたスーパーヒーローだからだ。斯くしてザック・スナイダーは、宇宙から来たヒーローの神話を解体する。

 スーパーマンを異星人として見る眼差しが揺るがない。精神的には地球人でありながら、その力は宇宙規模のものだ。アメリカのシンボルであるスーパーマンを異星人として凝視することで、広い宇宙の小さな惑星のひとつにしか過ぎない地球に彼が存在する意味を探ったのが『マン・オブ・スティール』だ。

 …そんなわけでクラーク・ケント=スーパーマンは常に苦悩の表情を浮かべている。笑顔を見せるショットは極僅か。スーパーマンの最大の悩みはアイデンティティーの問題だ。望んだわけでもないのに特殊能力を持ち、それを隠して生きることを強いられ、人助けに走れば好奇の目に晒される。物語としては苦悩する青年の決意を描いたオペラのようだ。

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スウィート・エンジェル

スウィート・エンジェル “Sweet Vengeance”

監督:ローガン・ミラー

出演:ジャニュアリー・ジョーンズ、エド・ハリス、ジェイソン・アイザックス、
   エドゥアルド・ノリエガ、ジェイソン・アルディーン、
   エイミー・マディガン、スティーヴン・ルート、
   ルース・レインズ、ディラン・ケニン

評価:★★




 『スウィート・エンジェル』で後に残るのは結局、ヒロインを演じるジャニュアリー・ジョーンズの紫色のドレスだ。彼女は怒り心頭に発したとき、小汚い街の店でタダで手に入れたそれに身を包み、これ以上ないくらい念入りに化粧を施す。色に乏しいニューメキシコで完全に浮き上がる。そしてそれを気にすることなく、一人また一人とターゲットを撃ち殺していくのだ。何故そのドレスなのか、よく分からない。分からないけれど、ジョーンズは確かに綺麗だ。化粧映えする顔で、ガラリとイメージが変わる。

 映画の外観はしかし、至って真面目だ。自然光やランプの光を活かした優しい撮影。さり気なく後方に広がる雄大な自然。たっぷり投入されるロケーション場面。焦ることなくじっくり進む語り口。意味ありげな詩の引用。なんだかテレンス・マリック的というか、ポエムの世界に入り込んでいるというか、とにかく作り手は大いに真面目に演出している。その正体は漫画なのに、だ。

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スター・トレック イントゥ・ダークネス

スター・トレック イントゥ・ダークネス “Star Trek Into Darkness”

監督:J・J・エイブラムス

出演:クリス・パイン、ザッカリー・クイント、ベネディクト・カンバーバッチ、
   アリス・イヴ、ゾーイ・サルダナ、ジョン・チョウ、サイモン・ペッグ、
   カール・アーバン、アントン・イェルチン、ブルース・グリーンウッド、
   ピーター・ウェラー、ノエル・クラーク、ナズニーン・コントラクター、
   アマンダ・フォアマン、レナード・ニモイ、クリス・ヘムズワース

評価:★★★★




 聞いた話では、J・J・エイブラムスは監督を手掛けるまで、特別「スター・トレック」のファンというわけではなかったらしい。それが功を奏したのだろうか、その世界観が大変分かりやすく描写される。もちろんコアなファンに向けたトリヴィアルな仕込みもふんだんに盛り込まれているに違いないけれど、それよりも何よりも、誰もが楽しめるSF空間を創り上げたのがお手柄だ。前作(09年)でキャラクターの紹介は終わっている。続く『スター・トレック イントゥ・ダークネス』は、宇宙を駆け巡るエンタープライズ号の乗組員たちの冒険がたっぷり描かれる。

 まず、エンタープライズ号の創り込みが愉快だ。前作ではさほどフックしなかったそのヴィジュアル面で大きな勝利を挙げている。割れた海の中や雲の下から宇宙船が浮上する画。破損して落下を余儀なくされる画。独特の外観もさることながら、内部の未来的なデザインが楽しい。ちょっと作り物めいているのは狙い通りなのだろう。ガジェット的な軽さが、良い意味で振り撒かれている。この船の隅々をカークやスポックが走り回るとき、どういうわけだか、船が生きているような感覚を抱く。

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スマイル、アゲイン

スマイル、アゲイン “Playing for Keeps”

監督:ガブリエレ・ムッチーノ

出演:ジェラルド・バトラー、ジェシカ・ビール、ユマ・サーマン、
   キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、デニス・クエイド、ジュディ・グリア、
   ノア・ロマックス、ジェームズ・タッパー、エイダン・ポッター

評価:★




 ジェラルド・バトラーが演じるのは、かつて世界的なサッカー選手だった男だ。デヴィッド・ベッカムとの共演経験もある。しかし、試合中の怪我により引退を余儀なくされてからは、仕事ないわ離婚するわの冴えない日々。その彼の人生が息子のサッカー・クラブのコーチを引き受けたことから再び動き始める。男は今なお愛している元妻の心と息子からの信頼を獲得できるだろうか。

 …というのが表向きのストーリーだ。人生の次のステージに進もうと必死にもがく男の物語と見せかけている。しかし、どっこい実は、流されて生きていれば幸運はやってくる…という人生を舐めたメッセージを大声で叫んだのが『スマイル、アゲイン』だ。まあ、本人が幸せならばそれも良いのだろうと思いつつ、あまりにも作り手の狙いとは別のところに着地するので、段々が怒りが沸いてくるのだ。

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夜明けのガンマン

夜明けのガンマン “Dawn Rider”

監督:テリー・マイルズ

出演:クリスチャン・スレーター、ジル・ヘネシー、ドナルド・サザーランド、
   ロックリン・マンロー、ベン・コットン、ケン・ヤンコー

評価:★★




 ギターの音色に重なる朗々とした歌声。セピア色の画面。木と土と埃だけの荒野を、馬に乗った男がとぼとぼと行く。コートにブーツ、帽子はいずれも草臥れていて、しかしそれは男の疲れではなく哀愁に繋がっている。男は小汚い小屋に身を寄せ、酒を呑み、ゆっくりと目を閉じる。

 …というオープニングから察するに、『夜明けのガンマン』は西部劇における男の美学を追求した映画と見て、間違いない。すっかり廃れてしまった西部劇と言えど、昔の名作に触れれば、条件反射で血が騒ぎ、胸躍る。その事実に目をつけ、それならばと美学の再生に挑んだのだろう。

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September 13 - 15 weekend, 2013

September 13 - 15 weekend, 2013

1 Mother of George|$22,500(1)$22,500
2 Final: The Rapture|$15,950(2)$31,900
3 Wadjda|$13,751(3)$41,253
4 インシディアス 第2章|$13,208(3049)$40,272,103
5 The Investigator|$8,517(11)$93,690

6 Instructions Not Included|$5,212(933)$27,193,410
7 マラヴィータ|$4,541(3091)$14,034,764
8 タイピスト!|$2,542(15)$61,353
9 Short Term 12|$2,464(63)$511,634
10 Riddick|$2,195(3117)$31,108,175

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 クロエ・グレース・モレッツさんにはお兄さんがふたりいて、どちらもゲイなのだそうです。雑誌のインタヴューに応えたモレッツさんは、どちらも酷いいじめを受けていたことを明らかにし、彼らを排除しようとする人間を許さないと発言しました。モレッツさん曰く「大人になり対処の仕方を学ぶまで、ゲイの兄たちは酷い扱いを受けていた。兄たちのことを悪く言う人は、私の人生に必要ないし、関わったりしない」。おぉ、カッチョイイ妹であります。ヒットガールを怒らせちゃいけません。モレッツさんの家族は本当に仲が良いそうで、兄たちもモレッツさんの活躍は誇りでありましょう。たとえ発育が良過ぎて、美少女とは言えなくなってきたとしても…。

 Box Office。公開5週目の『Lee Daniels' The Butler』と公開14週目の『This is the End』が共に興収1億ドルを超えました。『This is the End』の日本公開はあるでしょうか。ワインよりビールよこせ、みたいな出演俳優の顔ぶれを見ると、自分もその中に紛れ込めるんじゃないかと勘違いしそうになります。ジェームズ・フランコもいるのにね。ハハン。

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タイピスト!

タイピスト! “Populaire”

監督:レジス・ロワンサル

出演:デボラ・フランソワ、ロマン・デュリス、ベレニス・ベジョ、
   ショーン・ベンソン、ミュウ=ミュウ、メラニー・ベルニエ、
   ニコラ・ブドス、エディ・ミッチェル、フレデリック・ピエロ

評価:★★★




 ファッションやインテリアが最も優雅に映る時代はいつか。アメリカが1920~30年代だとするなら、フランスは1950~60年代ではないか。『タイピスト!』の時代は50年代後半、ドンピシャだ。テーブルやソファー、カーテンにライト、ベッドや壁紙といった家具や内装。淡い色をふんだんに用いてリボンやフリル、ストライプや花柄等を飛ばした衣服。編み込みやポニーテイル等の凝った髪型。あぁ、どの場面もおフランスの底力が炸裂する。

 中でも主役はタイプライターだ。50年代フランスにおいて女子の憧れの職業No.1は秘書で、タイプライターの早打ちができることはステイタスだったらしい。ヒロインは秘書を目指したことをきっかけに、タイプライターの魅力にとり憑かれる。タイプライターにも色々デザインがあって可愛いのなんの。パソコンのキーボードにはない温か味もたっぷり。

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エンド・オブ・ウォッチ

エンド・オブ・ウォッチ “End of Watch”

監督:デヴィッド・エアー

出演:ジェイク・ギレンホール、マイケル・ペーニャ、アンナ・ケンドリック、
   アメリカ・フェレーラ、ナタリー・マルティネス、フランク・グリロ、
   デヴィッド・ハーバー、ハイメ・フィッツシモンズ、モーリス・コンプト、
   コディ・ホーン、ショドレラ・エイヴリー

評価:★★★




 さすがにちょっと揺れ過ぎではないか。昨今の映画は「臨場感」という言葉を名目にして、カメラを上下左右に激しく動かす。その大半は画面に何が映っているのか分からない、酔いを誘う結果しか生まないというのに…。『エンド・オブ・ウォッチ』でもカメラは揺れに揺れる。カメラの内、二台は主人公ふたりに括りつけられている。あぁ、揺れない方が難しい。

 …と最初からやや呆れ気味だったのだけど、これがぐんぐん面白くなるから分からない。揺れるカメラが捉えるのは、ロサンゼルス市警で働く警官の生々しい日常だ。映画に出てくる警官は大きな正義を心に掲げていたり、腐敗にどっぷり浸かっていたり、両極端に走りがちだけれど、ここに取り上げられるふたりは、どこまでも人間臭い。そして、それを見せるためには、彼らにできる限り寄り添うことが必要不可欠だったのだろう。次第に腑に落ちる。

 そうして出来上がった画には、「警察密着24時!」みたいなタイトルをつけられそうだ。物語を引っ張るような事件は起こらない。警官が日常で出くわす「小さな事件」が積み重ねられる。けれど、小さくても、そこにはアメリカの重大な今が見える。危険とも密着する。人種差別。貧困。ドラッグ。宗教。人身売買。次々浮上する社会問題から滲み出す毒が、ふたりの警官の毛穴にじわじわ入り込む。

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素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー

素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー “Robot & Frank”

監督:ジェイク・シュライアー

出演:フランク・ランジェラ、スーザン・サランドン、ジェームズ・マースデン、
   リヴ・タイラー、ジェレミー・シスト、ジェレミー・ストロング

声の出演:ピーター・サースガード

評価:★★★




 『素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー』の舞台は近未来だ。現代と説明されても違和感のない空間に、ひょっこりハイテク機器が顔を出すのが楽しい。小型乗用車や薄型スケルトンの携帯電話が、森に囲まれた田舎に登場する。ハイテクが進み過ぎていない風景が広がるのにホッとする。

 最も大きく取り上げられるのは、介護ロボットだ。物忘れが酷くなったジイサンにプレゼントされるそれは、ジイサンの健康の管理を第一に動く。ダンボールを白く塗っただけに見えなくもないレトロスペクティヴな感じが可笑しい。動くスピードはのんびり。出しゃばってジイサンを押し退けることもない。万事慎ましいのが良い。もちろん料理や掃除、スケジュールの把握はお手の物。ロボットの中に人間が入って撮影したに違いないことを想像すると可笑しい。ピーター・サースガードの声もジャストフィット。少々動作音は煩いのだけど。

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ホワイトハウス・ダウン

ホワイトハウス・ダウン “White House Down”

監督:ローランド・エメリッヒ

出演:チャニング・テイタム、ジェイミー・フォックス、マギー・ギレンホール、
   ジェイソン・クラーク、リチャード・ジェンキンス、ジョーイ・キング、
   ジェームズ・ウッズ、ニコラス・ライト、ジミ・シンプソン、
   マイケル・マーフィ、レイチェル・レフィヴレ、マット・クレイヴン

評価:★★




 最近はマイケル・ベイに王座を譲っている感があるものの、ローランド・エメリッヒと言ったら破壊の人だ。それも地球規模での破壊を好む。場合によっては宇宙でも破壊する。だから、その彼が新しい舞台としてホワイトハウスをピンポイントで選んだのは意外だ。ホワイトハウスはアメリカのシンボルとして、2時間かけて破壊する価値があるということか。

 そう、これまでのエメリッヒの破壊は、「木端微塵」となるものが大半だったのに対し、『ホワイトハウス・ダウン』ではホワイトハウスの彼方此方が破壊されながらも、なんとか最後まで持ち堪える。一発目となる議事堂の大爆発の画も、一瞬で吹き飛ぶようなものではない。内部で炎が上がる画を不穏に切り取る。全部吹き飛んでしまっては映画にならないというのもあるだろうけれど、それよりもじっくり甚振っているような気配を感じさせる。由緒正しき歴史的建造物をサディスティックに弄っている。嗜好が変わってきたのだろうか。

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ワールド・ウォーZ

ワールド・ウォーZ “World War Z”

監督:マーク・フォースター

出演:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ジェームズ・バッジ・デイル、
   ダニエラ・ケルテス、デヴィッド・モース、ルディ・ボーケン、
   ファナ・モコエナ、アビゲイル・ハーグローヴ、マッシュー・フォックス、
   スターリング・ジェリンズ、ファブリツィオ・ザカリー・グイド

評価:★★




 ゾンビの飽和状態が続く。アメリカ人はどれだけゾンビが好きなのか、ゾンビ映画が途切れない。…となるとゾンビも進化を遂げる。両腕を挙げてのそのそと亀の歩みで迫ってきたのは遠い昔、最近はゾンビがヴァージョンアップ。どの映画もゾンビに個性を持たせようと必死だ。

 だけれどしかし、持たせる個性にも限りがある。工夫をしたつもりでも、どこかで見たようなそればかり。全速力で走ったり跳んだりは当たり前。ウイルス感染から始まるという設定も、普通だ。『ワールド・ウォーZ』では「音」に敏感に反応するゾンビが出てくる。これは弱い。音の聞こえた方向に駆けてくるなんて、別に特徴になるようなポイントではない。襲われてから約10秒でゾンビになるというのも新味なし。むしろ遅いくらい。ゾンビがどこかで見たゾンビに終わっている。

 加えてマーク・フォースター監督はアクション描写が巧くない。世界規模のゾンビ災害のため、画面の至るところに人が溢れているのだけれど、ごちゃごちゃするばかりで何が起こっているのか分からない。ゾンビが襲い掛かってくると、カメラも同様に落ち着きをなくすのもどうか。せめて編集だけでも落ち着いたまま、静かにできなかったか。

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September 6 - 8 weekend, 2013

September 6 - 8 weekend, 2013

1 Instructions Not Included|$11,366(717)$20,360,893
2 Riddick|$6,125(3107)$19,030,375
3 タイピスト!|$5,230(3)$15,690

4 Short Term 12|$3,597(26)$319,208
5 Austenland|$2,898(58)$732,278
6 In a World...|$2,753(102)$1,669,032
7 Lee Daniels' The Butler|$2,523(3330)$91,403,106
8 Drinking Buddies|$2,339(18)$143,834
9 Afternoon Delight|$2,255(25)$94,960
10 We're the Millers|$2,234(3445)$123,613,931

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 クリステン・スチュワートさんがザック・エフロンさんと交際することはないと伝えられています。スチュワートさんはエフロンさんのことはハンサムだと認めつつも、自分が付き合うにはマッチョ過ぎると考えているのだとか。スチュワートさんの好みは、もっと細身で、ジャズ・ミュージックを好んで聴くタイプとのことで、ふむ、ロバート・パティンソンさんはそうだったわけですね。細身の男はたくさんいても、ジャズ好きなのは少ないかも。稀少価値の高い男と言えましょう。ちなみにエフロンさんは、依然マッチョ街道まっしぐら。「マジック・マイク」(12年)の続編でストリップ・ショーを披露する気満々だと見て、良いですね?

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ムービー43

ムービー43 “Movie 43”

監督:スティーヴン・ブリル、ピーター・ファレリー、ウィル・グラハム、
   スティーヴ・カー、グリフィン・ダン、ジェームズ・ダフィ、
   ジョナサン・ヴァン・タルケン、エリザベス・バンクス、
   パトリック・フォーシュベリ、ブレット・ラトナー、
   ラスティ・カンデッフ、ジェームズ・ガン

出演:エリザベス・バンクス、クリステン・ベル、ハル・ベリー、
   レスリー・ビブ、ケイト・ボスワース、ジェラルド・バトラー、
   キーラン・カルキン、ジョシュ・デュアメル、アンナ・ファリス、
   リチャード・ギア、テレンス・ハワード、ヒュー・ジャックマン、
   グレッグ・キニア、ジョニー・ノックスヴィル、ジャスティン・ロング、
   セス・マクファーレン、スティーヴン・マーチャント、
   クリストファー・ミンツ=プラッセ、クロエ・グレース・モレッツ、
   クリス・プラット、デニス・クエイド、リーヴ・シュライバー、
   ショーン・ウィリアム・スコット、エマ・ストーン、ジェイソン・サダイキス、
   ユマ・サーマン、 ナオミ・ワッツ、ケイト・ウィンスレット

評価:★




 出来映え云々を語る作品では、もちろんない。初めから評価されることを放棄している。ファレリー兄弟のひとりであるピーターが仕掛け人となって作られたという『ムービー43』の唯一の売りは、オスカーを受賞するような名優を含む大スターたちがバカを極める、これだ。

 一応断わっておくと、バカにも色々種類がある。世の中にはオシャレを目指したバカやインテリがカッコつける目的でやってのけるバカも存在するから、要注意。ここにあるバカはほとんどが、不快さを引き出すことを目指した下品で思慮に欠けたバカだ。大スターがそれを見せることに何の意味があるのかと思うけれど、スターもたまにはバカをやって日頃のストレスを発散したいのかもしれない。代わりに観ているこちらのストレスが溜まっちゃうんだけどサ。

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最愛の大地

最愛の大地 “In the Land of Blood and Honey”

監督:アンジェリーナ・ジョリー

出演:ザーナ・マリアノヴィッチ、ゴラン・コスティッチ、
   ラデ・シェルベッジア、ヴァネッサ・グロッジョ、
   ブランコ・ジュリッチ、ニコラ・ジュリコ

評価:★★




 映画監督アンジェリーナ・ジョリーはクソマジメだった。大スターである特権を最大限活用し、政治問題・社会問題に積極的に参加するジョリーらしく、『最愛の大地』で取り上げるのは1990年代初頭に始まったボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争だ。第二次世界大戦後、最悪の争いと呼ばれている内戦。世界にこの現実を知らしめなくては…。

 ジョリーがそう考えたのは不思議ではなく、したがって最も力を入れて描写されるのは、戦争のその凄惨な真実だ。非人間的な残虐行為が平然と行われる。女たちが連行される風景はユダヤ人狩りそのものだし、集団レイプの異様な雰囲気も強烈だ。女を盾にして敵陣に襲い掛かる描写も頭から離れない。本当にたった20年前の出来事なのか。

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マジック・マイク

マジック・マイク “Magic Mike”

監督:スティーヴン・ソダーバーグ

出演:チャニング・テイタム、アレックス・ペティファー、マシュー・マコノヒー、
   マット・ボマー、ジョー・マンガニエロ、コディ・ホーン、
   オリヴィア・マン、アダム・ロドリゲス、ケヴィン・ナッシュ、
   ガブリエル・イグレシアス、ライリー・キーオ

評価:★★★★




 マシュー・マコノヒーの「さあ、ぶちかますぜ」というセリフから始まる『マジック・マイク』の最大の見所が、人気男優たちによるストリップ・ショーにあることは間違いない。ストリップという言葉には軽薄な匂いが付きまとうけれど、見れば分かる、そういうチープさは皆無だ。男の目から見ても、十分魅せるのだ。カッコイイ。そして笑える。

 傘や椅子、ターザンの縄や人形といった小道具が使われたり、作業服や水兵服、ミリタリー服を着用したコスプレがあったり、ギターを弾き語りしたり、客をステージに上げたりもする。出し物がなかなか多彩。けれど、ショーのいちばんの力になるのは、男たちの身体だ。

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トゥ・ザ・ワンダー

トゥ・ザ・ワンダー “To the Wonder”

監督:テレンス・マリック

出演:ベン・アフレック、オルガ・キュリレンコ、レイチェル・マクアダムス、
   ハヴィエル・バルデム、ロミーナ・モンデロ、チャールズ・ベイカー、
   マーシャル・ベル、タチアナ・シラン

評価:★★




 一陣の風が吹く。舞い上がるのは、目には見えない一枚の葉っぱだ。それは決して大地に落ちることなく、彷徨を続ける。あるときは恋に落ちた男女を、あるときは傷ついた幼馴染を、あるときは現実と信仰の狭間に落ち込んだ神父を…と見つめる対象を気まぐれに変え、しかも着地点は見つからない。

 …というわけで『トゥ・ザ・ワンダー』のテレンス・マリックはますます自分の世界に入り込んでいる。もはやストーリーすらない。旅先のフランスで電撃的に惹かれ合った男女から始まる画。その人生の断片が継ぎ接ぎで映し出されていく。観る者とのコンタクトはなく、そのイメージを重ね続ける。ほとんど自己陶酔。けれどかつてのマリックの自己陶酔は楽しかったと思い返してみたり…。

 マリックがここで確かなものとして提示するのは、時の流れのみだ。時間だけはどんな人間にも平等に流れるものだ。しかし、その他の物はどんどん変化を見せる。良い方にも、悪い方にも…。とりわけ愛は身勝手に表情を変える。その落差が物哀しい。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

パシフィック・リム

パシフィック・リム “Pacific Rim”

監督:ギレルモ・デル・トロ

出演:チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊地凛子、
   チャーリー・デイ、ロブ・カジンスキー、マックス・マーティーニ、
   ロン・パールマン、バーン・ゴーマン、クリフトン・コリンズ・ジュニア、
   ディエゴ・クラテンホフ、芦田愛菜

評価:★★




 『パシフィック・リム』におけるいちばんの興味は、何と言っても、怪獣の出来映えだ。幼い頃から「ウルトラマン」や「ゴジラ」を愛してきた者からすると、怪獣に魅力がなければ話にならぬ。かつてハリウッドは、ゴジラを恐竜に仕立て上げるという愚を犯している。日本びいきのギレルモ・デル・トロが監督とは言え、不安が募るではないか。

 結論から言うと、うーん、やっぱりこれは「KAIJU」であって「怪獣」ではない。着ぐるみ感が薄いのは大きく目を瞑るにしても、下半身が頑丈で、どっしりしていて、尻尾が長くて、目がどこに向いているのか分かり難くて、動きにはコミカルな味があって…というのとは(例:ゴモラ、レッドキング)全然趣を異にする。怪獣ではなくモンスターに近い。

 この映画は怪獣映画であると同時にロボット映画でもあって、実はデル・トロのセンスはそちらの方面で色濃く出ている。日本のロボット・アニメーションよりも脚が長く、筋肉質(風)で、ずっとモダンなデザインなのには違和感を感じるのだけれど、神経同調システムなるものが取り入れられているのが設定として面白いばかりか、物語を大いに盛り上げる効果を上げている。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

August 30 - 2 weekend, 2013

August 30 - 2 weekend, 2013

1 Instructions Not Included|$29,823(348)$10,378,558
2 Short Term 12|$7,704(16)$199,719
3 Lee Daniels' The Butler|$6,066(3330)$79,466,378
4 Austenland|$5,019(52)$490,000

5 Drinking Buddies|$4,977(12)$88,766
6 In a World...|$4,811(92)$1,306,047
7 We're the Millers|$4,728(3445)$113,240,012
8 You Will Be My Son|$4,725(6)$83,189
9 Blue Jasmine|$4,502(1179)$21,774,000

10 グランド・マスター|$4,247(749)$3,377,378

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 行方不明になっていたジェレミー・レナーさんの愛犬ヘミちゃんが見つかりました。フレンチ・ブルドッグのヘミちゃんは7月19日にロサンゼルスのレナーさんの自宅から脱走。レナーさんはFacebookにヘミちゃんを捜すページを作成し、見つけてくれた人には謝礼として5,000ドルを用意していると呼びかけていました。ヘミちゃんは自宅から300キロも離れたところで見つかったそうです。えっ、そんなに動くもんなの???ブルドッグ、すげぇ(ということにしておいた方が面白いですよね?)。ちなみに帰宅したヘミちゃんは、早速GPS機能付きの首輪と名札をプレゼントされたそうです。さらにちなみに、ワタクシはパグかマメシバ、或いはジャック・ラッセル・テリアを飼いたいです。

 Box Office。『ワールド・ウォーZ』が公開11週目で2億ドルを、『パシフィック・リム』が8週目、『We're the Millers』が4週目で1億ドルを突破しました。『パシフィック・リム』はコケてしまいましたが、海外成績は3億ドル突破と結構な数字。中でも中国では1億ドル以上稼いでいて、これは実に日本の10倍に当たります。何故。中国人は怪獣好きなの?ロボット好きなの?

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テーマ : 興行収入ランキング
ジャンル : 映画

欲望のバージニア

欲望のバージニア “Lawless”

監督:ジョン・ヒルコート

出演:シャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン、
   ミア・ワシコウスカ、ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、
   ガイ・ピアース、デイン・デハーン、クリス・マクギャリー、
   リュー・テンプル、ノア・テイラー

評価:★★★




 禁酒法時代。ヴァージニア州。三兄弟。足の悪い友人。密造酒。腐敗した権力。刑事。取締官。帽子。犯罪。トラック。ギャング。銃。薬莢。美しい女。ダンス。煙草。教会。ドレス。伝説。この時代のセンスは本当に素晴らしい。時代の象徴として登場するアイテムのいちいちが、実に大人っぽく優雅で、危険だ。『欲望のバージニア』はこの時代の危うさを平然と切り取る。ただし、どこかコミカルだ。

 合図は悪徳取締官を演じるガイ・ピアースの登場だ。眉毛がなく、髪が脂でべっとり。センターの分け目に一センチほどの剃り込みが入っているのが、異様な雰囲気だ。ピアースはこの男の変態性を前面に押し出す。オーヴァーアクトでありながら、しかし浮き上がらない技を見せ付け、映画の漫画的な側面を明らかにする。ピアースが投入されることで世界観が明瞭になる。代わりにジョン・ヒルコート映画特有の詩情が放棄されるのは大いに残念だけれど、それをしてまでも選ばれた世界の風景は、確かに魅力的だ。本能的な部分が分かりやすく刺激される。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

アイアン・フィスト

アイアン・フィスト “The Man with the Iron Fists”

監督・出演:RZA

出演:ラッセル・クロウ、ルーシー・リュー、カン・リー、バイロン・マン、
   リック・ユーン、デヴィッド・バウティスタ、ジェイミー・チャン、
   ダニエル・ウー、パム・グリアー

評価:★★




 『アイアン・フィスト』はこんなモノローグから始まる。「武器作りに必要なものが三つある。“良質の鋼”、“1400度の炎”、そして“命を狙う者”だ。叢林村には全てが揃っていた」…。妙に気取った言い回しだけれど、ワカラン。何故命を狙う者が必要なのか、ワカラン。そして案の定最後まで観ても、ワカラン。でも作り手はそんなこと、全然気にしていない。大らかでいいじゃないか。

 …と思える人向きの映画だ。19世紀、武装集団が割拠する中国で、男と女が命を賭けたゲームに興じる。ただし、その戦いはカンフーにはならない。格闘技と大まかに言うのも違う気がする。金塊の行方を巡って身体を張る彼らは皆、全身に武器を装着し、残酷の限りを尽くす。ブラックスプロイテーション映画の変化球版とした方がまだしっくり来る。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

8月までに公開された作品の中でオスカーの可能性があるのは…? 2013

※この文章は、アカデミー賞専門サイトOSCAR PLANETのために書いたものの転載になります[先行公開]。




 前回のアカデミー賞のノミネーションは、通常よりも二週間近く早い1月10日に発表されました。アカデミーは賞レースシーズンを短くしたいと考えているようで、最終的には授賞式を1月に開くつもりだという報道もありました。少しずつスケジュールが前倒しになっているのは、その証拠だと言われています(ただし、今シーズンに限れば、ソチオリンピックとのバッティングを避けるため、授賞式は前シーズンよりも遅い3月に開かれます)。

 各スタジオはアカデミーに振り回されているように見えます。スケジュール次第でキャンペーン期間や内容がガラリと変わってくるからです。以前のような3月下旬開催であれば、年末に封切り、賞レースシーズン中ずっと劇場でかけておく方が記憶に残りやすく有利でしたが、キャンペーン期間が短くなれば、短期間で、より効率的なキャンペーンが求められます。そのためには映画の公開時期も念入りに考えなければなりません。

 面白いのは上半期に封切られた映画のキャンペーンは、賞シーズンに封切られた映画のキャンペーンとは異なってくる点です。上半期映画は賞レース中、劇場では見られないため、投票会員へのスクリーナーの大量送付を中心にキャンペーンが行われます。そしてそのスクリーナーの送付開始時期も年々早まっています。今年はフォーカス・フィーチャーズが『プレイズ・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命』の、ロードサイド・アトラクションズが『Mud』のスクリーナーを8月上旬に発送しています。

 会員へのスクリーナーの発送は好評のようです。会員は忙しく、劇場や試写室に足を運ぶ時間がなかなか取れないのが悩みの種と言われています。スクリーナーがあれば、時間が取れたときに鑑賞できるからです。そして、スクリーナーによるキャンペーンの方が効果的との分析も出ているのです。したがってスタジオは以前ほどには早い時期に賞狙いの映画を封切ることに抵抗がなくなっているようにも見えます。最近は8月以前の公開作から候補が生まれることが多くなりました。昨年主要部門に候補を送り込んだのは「ハッシュパピー バスタブ島の少女」ぐらいでしたが…。

 では、今年はここまでどんな作品が支持されたのでしょうか。今回は第86回アカデミー賞(主要6部門)が9月上旬に開かれたとしたらどうなるか考えてみました。対象は今年の1月から8月までに公開された作品となります。もちろん違う意見の方も多いでしょうが、それほど大差ないはずです。




◆作品賞
Before Midnight(リチャード・リンクレイター監督)
Blue Jasmine(ウッディ・アレン監督)
Fruitvale Station(ライアン・クーグラー監督)*
Lee Daniels' The Butler(リー・ダニエルス監督)*
Mud(ジェフ・ニコルズ監督)

◆監督賞
ウッディ・アレン(Blue Jasmine)
ライアン・クーグラー(Fruitvale Station)*
リー・ダニエルス(Lee Daniels' The Butler)*
デヴィッド・ローリー(Ain't Them Bodies Saints)
ジェフ・ニコルズ(Mud)

◆主演男優賞
チャドウィック・ボウズマン(42 世界を変えた男)
イーサン・ホーク(Before Midnight)
マイケル・B・ジョーダン(Fruitvale Station)*
マイケル・シャノン(THE ICEMAN/氷の処刑人)
フォレスト・ウィテカー(Lee Daniels' The Butler)*

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