ローン・レンジャー

ローン・レンジャー “The Lone Ranger”

監督:ゴア・ヴァービンスキー

出演:アーミー・ハマー、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、
   トム・ウィルキンソン、ウィリアム・フィシュナー、バリー・ペッパー、
   ジェームズ・バッジ・デイル、ルース・ウィルソン、メイソン・クック、
   ブライアント・プリンス、ジェームズ・フレイン、スティーヴン・ルート

評価:★★




 『ローン・レンジャー』には縁がない。ラジオドラマ、コミック、TVシリーズ…いずれも縁がない。だからジョニー・デップがトントと名を変えてジャック・スパロウ役で再び登場しようが、脇に好みの性格俳優が揃えられていようが、さほど興味を惹かれなかったのだけれど、あら不思議、オープニングとクライマックスは思いがけず楽しんだ。理由は明らかだ。

 第一に列車と映画の相性が良い。舞台は鉄道の建設が進む西部開拓時代のテキサス。列車が荒野を駆ける場面が当然のように用意される。乾いた土地で風を切りながら、もくもくと煙を吹かしながら、景観をどんどん変えながら真っ直ぐに走る列車の気持ち良いこと。登場人物は列車の中で、屋根の上で、車輪の近くで立ち回りを繰り広げる。走る。飛ぶ。ぶら下がる。撃つ。アクションの基本が、空間を突っ切る列車の勢いとの相乗効果で豪快に弾けていく。

 加えてこの場面では、ジョアキーノ・ロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」が流れる。音楽が映画においていかに重要な役割を果たしているか、証明するかのような快感。そうか、縁がないと冷めつつも、TVシリーズの遺産は細胞のどこかで眠っているのかもしれない。クライマックスでは白馬シルヴァーに乗ったローン・レンジャーが、列車と並走しながら活躍。「ウィリアム・テル序曲」が列車と白馬、そして人間たちが入り乱れる混沌を見事にまとめ上げる。眠気が吹っ飛ぶ。それまでの退屈さもどこかに持ち去ってしまう。

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The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞 最終投票データ完全公開

The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞の
最終投票データを完全公開しました。

各部門の1位~5位は以下の通りです。

詳細はOSCAR PLANETをご覧下さい。


◆作品賞
 1. 世界ひとつのプレイブック(デヴィッド・O・ラッセル監督)
 2. ザ・マスター(ポール・トーマス・アンダーソン監督)
 3. 愛、アムール(ミヒャエル・ハネケ監督)
 4. ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(アン・リー監督)
 5. ジャンゴ 繋がれざる者(クエンティン・タランティーノ監督)

◆監督賞
 1. デヴィッド・O・ラッセル(世界にひとつのプレイブック)
 2. アン・リー(ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日)
 3. クエンティン・タランティーノ(ジャンゴ 繋がれざる者)
 4. ポール・トーマス・アンダーソン(ザ・マスター)
 5. セス・マクファーレン(テッド)

◆主演男優賞
 1. ホアキン・フェニックス(ザ・マスター)
 2. ダニエル・デイ=ルイス(リンカーン)
 3. ブラッドリー・クーパー(世界にひとつのプレイブック)
 4. デンゼル・ワシントン(フライト)
 5. ジョセフ・ゴードン=レヴィット(LOOPER ルーパー)

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August 23 - 25 weekend, 2013

August 23 - 25 weekend, 2013

1 グランド・マスター|$18,945(7)$132,617
2 Short Term 12|$14,052(4)$56,206
3 Drinking Buddies|$9,753(2)$19,505
4 Una Noche|$5,731(3)$17,194
5 The World's End|$5,667(1551)$8,790,237

6 Lee Daniels' The Butler|$5,307(3110)$51,760,625
7 Austenland|$4,840(23)$170,815
8 The Spectacular Now|$4,021(154)$1,904,412
9 We're the Millers|$3,787(3445)$91,287,318
10 In a World...|$3,786(75)$732,752

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 スタント大好きスターとして知られるトム・クルーズさんは、アクション場面を撮るとき、必ずしていることがあるそうです。それは「Tバック」を履くこと。「Tバック」とはもちろん、履くと尻の頬っぺたが丸出しになり、場合によっては露出狂にしか見えないアレです。バブル時代が終わって消えたかと思いきや、どっこいクルーズさんが履いていたとは、素晴らしい事実と言えましょう。クルーズさん曰く、快適度と柔軟性が抜群に良いのだとか。撮影現場には常時50着のTバックが用意されていて、いずれも新品。まさかの使い捨て!オークションで高く売れると思います。全く関係ないですが、ワタクシはボクサーパンツ派であります。

 Box Office。『怪盗グルーのミニオン危機一発』が公開8週目で興収3億5,000万ドルを超えました。アル・パチーノが務めるはずだった悪役をベンジャミン・ブラットが担当していますが、この声を日本語吹替版で手掛けるのは中井貴一だそうな。中井を見ると、どうしても橋幸夫を思い出すのは、ワタクシだけでしょうか。橋を見ても中井は思い出さないのですが…。あ、橋さんよ、夏ばっぱを覚えていてくれて、ありがとうございます。

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愛情は深い海の如く

愛情は深い海の如く “The Deep Blue Sea”

監督:テレンス・デイヴィス

出演:レイチェル・ワイズ、トム・ヒドルストン、サイモン・ラッセル・ビール、
   アン・ミッチェル、ジョリョン・コイ、カール・ジョンソン

評価:★★




 どうやらテレンス・デイヴィス監督はレイチェル・ワイズの横顔を気に入ったらしく、思い詰めた表情で窓から外を眺めるワイズの横顔をじっくり撮っている。確かに美しい。ガウンを着て、煙草を吹かし、その目はしかし、景色や道行く人などには興味がないようだ。何しろ女は、未遂に終わりはしたものの、自殺を図ったばかりだ。女の心の宇宙には何が広がっているのだろうか。

 話自体に目新しいところはない。テレンス・ラティガンによる1952年の戯曲を基にしている『愛情は深い海の如く』は、身も蓋もない言い方をするなら、不倫が不幸な結末を導くというだけのもの。戦後のロンドンを舞台にしていて、不倫相手の若い元パイロットが戦争の影を引きずっているものの、さほど物語上に奥行きをもたらすわけではない。それでも観るべきところは残っている。

 デイヴィスは文芸色を大切にしている。特に撮り方には気を遣っている。紗がかかっていてソフトポルノすれすれ、チープに見える危険を冒しながら、ほとんどが室内劇である画面の光と陰を丁寧に掬い上げている。陰の主張が大きいのはヒロインの心を映しているのだろう。それでも彼女を取り囲む壁紙、蝋燭、ライト、カーテン、花瓶、椅子…インテリアの数々が美しい。

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The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞 最終結果発表

The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞の
最終結果を発表しました。以下の通りです。



◆作品賞:世界にひとつのプレイブック(デヴィッド・O・ラッセル監督)

◆監督賞:デヴィッド・O・ラッセル(世界にひとつのプレイブック)

◆主演男優賞:ホアキン・フェニックス(ザ・マスター)

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終戦のエンペラー

終戦のエンペラー “Emperor”

監督:ピーター・ウェバー

出演:マシュー・フォックス、トミー・リー・ジョーンズ、初音映莉子、
   西田敏行、羽田昌義、火野正平、中村雅俊、夏八木勲、
   桃井かおり、伊武雅刀、片岡孝太郎、コリン・モイ

評価:★★




 昭和天皇とダグラス・マッカーサーが並んで収まった写真は、初めて見たときから忘れられない。マッカーサーの足の長さと言うか、腰の高さと言うか、下半身の立派さと言うか、とにかくその大きさにギョッとしたのだ。ふたりの間に微妙な距離があるのも色々な想像を巡らせることになった。何か庶民には理解し難い事情があるのではないかと、高尚なものから下衆なものまで想像は果てしなく広がる。『終戦のエンペラー』の作り手も、この一枚の写真を大切にして物語を創り上げたと察する。

 ただし、マッカーサーの活躍は限られている。GHQの元帥が直々に彼方此方動くはずもないから当然ではある。昭和天皇の戦争責任に関する調査を部下である日本文化の専門家に任せ、その報告を待ってのんびりしている。そのくせちゃっかり最後は美味しいところを持っていく。マッカーサーを演じるトミー・リー・ジョーンズ、ちょっと楽をし過ぎではあるまいか。代わりに動くのはボナー・フェラーズを演じるマシュー・フォックス。こちらは終始、硬い顔。日本人ばかりで緊張でもしているのか。

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ニューヨーク、恋人たちの2日間

ニューヨーク、恋人たちの2日間 “2 Days in New York”

監督・出演:ジュリー・デルピー

出演:クリス・ロック、アルベール・デルピー、アレクシア・ランドー、
   アレックス・ナオン、ディラン・ベイカー、ケイト・バートン、
   ダニエル・ブリュール、ヴィンセント・ギャロ

評価:★★★




 「パリ、恋人たちの2日間」(07年)から5年、まさかの続編『ニューヨーク、恋人たちの2日間』が登場。ジュリー・デルピー監督は女優としての代表作「恋人までの距離」(95年)を意識しているのか、登場人物が同じように歳を重ねている。「パリ」との違いとしてはまず、デルピーがメガネを外している場面が多いことを挙げておきたい。「パリ」はメガネ女子の魅力を弾けさせたところに大いなる価値あると考える者にはちょっと寂しい。メガネを外すとデルピーと言えど、5歳は老ける。

 とは言え才女デルピー、監督としては好調だ。デルピー扮するヒロインは現在、ディスクジョッキーであるアフリカ系の恋人とニューヨークに住んでいる。それぞれの連れ子も一緒だ。そこにフランスから父親と妹、その恋人が遊びに来る。たったそれだけの話で、事件らしい事件は起こらない。なのに面白い。一分に一回は吹き出すと言っても言い過ぎではないかも?!

 客の滞在は僅かな期間だというのに、その内容が濃いこと。マッサージ店、ヨガ教室、トレーニングジム、オシャレなカフェ。忙しなく動くばかりでなく、家にはマリファナの売人や呼び鈴の修理屋、助平な医師が次々顔を出す。その上、デルピーは写真展まで開くのだ。その場所場所で小さな衝突が起こる。

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The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞 ノミネーション投票データ完全公開

The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞の
ノミネーションの投票データを完全公開しました。

各部門の1位~5位は以下の通りです。

詳細はOSCAR PLANETをご覧下さい。


◆作品賞
 1. ジャンゴ 繋がれざる者(クエンティン・タランティーノ監督)
 2. ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(アン・リー監督)
 3. 世界にひとつのプレイブック(デヴィッド・O・ラッセル監督)
 4. 愛、アムール(ミヒャエル・ハネケ監督)
 5. ザ・マスター(ポール・トーマス・アンダーソン監督)

◆監督賞
 1. クエンティン・タランティーノ(ジャンゴ 繋がれざる者)
 2. アン・リー(ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日)
 3. ポール・トーマス・アンダーソン(ザ・マスター)
 4. デヴィッド・O・ラッセル(世界にひとつのプレイブック)
 5. セス・マクファーレン(テッド)

◆主演男優賞
 1. ホアキン・フェニックス(ザ・マスター)
 2. ダニエル・デイ=ルイス(リンカーン)
 3. ブラッドリー・クーパー(世界にひとつのプレイブック)
 4. デンゼル・ワシントン(フライト)
 5. ジョセフ・ゴードン=レヴィット(LOOPER ルーパー)

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August 16 - 18 weekend, 2013

August 16 - 18 weekend, 2013

1 Austenland|$10,166(4)$40,662
2 Blue Jasmine|$10,005(229)$9,421,764
3 Ain't Them Bodies Saints|$8,806(3)$26,419
4 Lee Daniels' The Butler|$8,400(2933)$24,637,312

5 The Spectacular Now|$7,516(55)$1,075,285
6 In a World...|$5,893(37)$321,614
7 We're the Millers|$5,403(3325)$69,697,649
8 Kick-Ass 2|$4,535(2940)$13,332,955
9 エリジウム|$4,168(3284)$56,001,138
10 プレーンズ|$3,603(3716)$45,338,402

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 先頃『マン・オブ・スティール』の続編の製作が発表され、そこにバットマンが登場することが話題になりました。遂にスーパーマンとバットマンが共演するということでコミック・ファンが熱狂しているわけですが、当然バットマンを誰が演じるのか、予想合戦が始まっています。今のところ名前が挙がっているのはジョシュ・ブローリンさん、ライアン・ゴズリングさん、リチャード・アーミテイジさん、ジョー・マンガニエロさん、マックス・マーティーニさん、マシュー・グードさん、ジェフリー・ディーン・モーガンさん、オーランド・ブルームさん、ウェス・ベントレーさんら。本人はやる気がないと言われていますが、クリスチャン・ベールさん再登板説もあります。スタジオが30代後半から40代にかけて、ある程度知名度のある俳優を希望しているようで、オッサン率が非常に高くなっています。個人的にはマイケル・ファスベンダーさんあたりが面白いと思うのですが、既に「X-MEN」シリーズでマグニートーを演じているから無理でしょうか。アッと驚く配役を期待しています。

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The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞 最終投票受付終了

The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞の
最終投票の受付は8月20日まででした。

投票して下さった皆様、どうもありがとうございました。

投票を逃がしてしまった皆様、
本日21日の夕方まで特別に延長して受け付けますので、
この機会を逃さずに是非。

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バーニー みんなが愛した殺人者

バーニー みんなが愛した殺人者 “Bernie”

監督:リチャード・リンクレイター

出演:ジャック・ブラック、シャーリー・マクレーン、マシュー・マコノヒー、
   ブラディ・コールマン、リチャード・ロビショー、リック・ダイアル、
   ブランドン・スミス、ラリー・ジャック・ドットソン

評価:★★★★




 結局ジャック・ブラックの個性を最大限に引き出せるのは、リチャード・リンクレイター監督なのかもしれない。『バーニー みんなが愛した殺人者』はブラックの魅力がぎっしり詰まった映画。ブラックの魅力により支えられていると言い換えることも可能だ。暑苦しくて、でも奇妙に愛敬たっぷりで、時に鬱陶しくて、でも友達にもなりたくて…。ただしこの映画、「スクール・オブ・ロック」(03年)のような明朗さとは異なる面白さで勝負する。

 ブラックが演じるのはテキサスの田舎にやって来た葬儀屋だ。名前をバーニー・ティーダと言う。オープニングではバーニーの優秀なところが講義という形で紹介される。ムダ毛の処理。肌の艶出し。見映えする化粧。器用さを隠せないブラックの手つきに唸る。美しい所作だ。でもちょっと待て。確かに鮮やかな立ち振る舞いだけれど、どこか胡散臭くもないか?

 これは重要なポイントだ。物語はバーニーをどう捉えるのか、それを探ることに捧げられているからだ。バーニーは優しさと気遣いの人で、町に現れてからアッという間に人々の心を掴む。仕事は葬儀屋だけに留まらず、税金コンサルタント、カーテンの取替え、演劇指導、美術展の開催までやってのける。つまりほとんど町のマスコット、町のアイドルと化す。しかし、その彼が殺人を犯す。

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ペーパーボーイ 真夏の引力

ペーパーボーイ 真夏の引力 “The Paperboy”

監督:リー・ダニエルス

出演:ザック・エフロン、マシュー・マコノヒー、ニコール・キッドマン、
   ジョン・キューザック、メイシー・グレイ、デヴィッド・オイェロウォ、
   スコット・グレン、ネッド・ベラミー、ニーラ・ゴードン

評価:★★★




 1969年のフロリダ、モート郡で起こった保安官殺人事件を巡る謎が話の軸に置かれる。大手新聞社に務めるジャーナリストとペーパーボーイであるその弟が、死刑囚の婚約者の依頼を受けて調査すればするほどに、黒い霧が深まる。ただし、その謎解きが主役でないことは明白だ。

 別に話に魅力がないわけではない。いつもならジャーナリスト役を演じるだろうジョン・キューザックが死刑囚に扮していて、いかがわしさを全開にさせる。アリバイが出てきて無実の可能性を浮上させながら、しかし、死刑囚への疑惑は晴れることがない。そこから放たれる磁力が話を牽引する。終幕にはキューザックの怪演が前面に押し出される。狡猾さが画面を支配する。

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ラブ・トライアングル

ラブ・トライアングル “Your Sister's Sister”

監督:リン・シェルトン

出演:エミリー・ブラント、ローズマリー・デウィット、
   マーク・デュプラス、マイク・バービグリア

評価:★★★




 ある青年の一周忌を偲ぶ会が開かれる。その席で青年の知人が、一緒に「ホテル・ルワンダ」(04年)を観たと語る。そして翌日から彼はボランティア活動を始めたと…。嫌な話だ。故人を悪く言うのも嫌だけれど、美化が過ぎるのもまた敬意に欠ける行為だ。そう思った直後に青年の兄が、弟が本当に影響を受けた映画は「ナーズの復讐」(84年)だと言い、その打算的な部分を指摘する。弟は聖人君子ではなかった。いじめっ子だったとも言ってのける。場は凍りつくけれど、思わず膝を打ったのは言うまでもない。

 このオープニングだけでも『ラブ・トライアングル』が繊細な映画だと分かる。人間を崇めたり美しく見せようとしたりすることには興味がない。むしろ人間だからこそ過ちを犯す部分を丁寧に掬い取る。フェリーを使わなければならないとある島の冬の数日を舞台に、故人の兄(マーク・デュプラス)、故人の別れた恋人(エミリー・ブラント)、そのレズビアンの姉(ローズマリー・デウィット)、この三人の心の小波を、落ち着いた映像の中に封じ込める。

 物語が重要な映画ではない。ただし、可愛らしくも大胆なエピソードは多い。例えば、思いがけず出会った初対面のデュプラスとデウィットが夜の別荘で、その境遇を話す場面。長年の恋人と別れて落ち込んでいるデウィットをデュプラスが慰める。デュプラスは別れた女をアホだと言う。なぜなら「君の尻は最高じゃないか。柔らかそうだよ」。一見下品な男の下品な言葉でしかないものの、この男の心根の優しさをアッという間に悟らせる。デュプラスのクマ顔も良い味わいだ。

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31年目の夫婦げんか

31年目の夫婦げんか “Hope Springs”

監督:デヴィッド・フランケル

出演:メリル・ストリープ、トミー・リー・ジョーンズ、スティーヴ・カレル、
   ミミ・ロジャース、エリザベス・シュー、ジーン・スマート、
   ダミアン・ヤング、ブレット・ライス、マリン・アイルランド

評価:★★




 スティーヴ・カレルがカップル・カウンセリングの医師だった場合、一体全体どんな奇天烈なセラピーになるのか、想像を巡らせるのが普通だろう。無表情に夫婦の問題を聞きながら、しかし素っ頓狂な指示を出して真剣な男女を困惑させるのではないか。ところがこれが、いたってフツー。言葉の選び方が直接的なくらいで、その立ち振る舞いは平凡を極めると言って良いほどだ。

 そんなわけで『31年目の夫婦げんか』は、大変上品かつ真面目な映画になった。褒めてはいない。結婚31年目を迎える夫婦が、「真の結婚」を目指して奮闘する。奮闘なんて言っても、カウンセリングで心を解放させようというのが、アメリカ的と言うか頭でっかちと言うか。真面目カップルなら、これが一般コースなのか。

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August 9 - 11 weekend, 2013

August 9 - 11 weekend, 2013

1 In a World...|$23,514(3)$70,541
2 Snake and Mongoose|$20,254(1)$20,254

3 Blue Jasmine|$19,709(119)$6,041,246
4 The Spectacular Now|$14,031(19)$534,692
5 エリジウム|$9,077(3284)$29,807,393
6 We're the Millers|$8,104(3260)$37,908,179
7 プレーンズ|$6,005(3702)$22,232,291
8 パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海|$4,751(3031)$23,258,113

9 2ガンズ|$3,715(3028)$48,638,050
10 ふたりのアトリエ ある彫刻家とモデル|$3,677(5)$45,100

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 化粧のせいか魔女顔に磨きがかかるサラ・ジェシカ・パーカーさんがアンチエイジングに励んでいます。…と言っても、大金をかけるのではなく、色々な種類のクリームを試しているのだとか。中でも気に入っているのはフランスのコスメブランド、ロレアルから発売されているガルニエのウルトラ・リフトという商品。日本円にして一瓶1,400円ほどだそうで、おぉ、これならば庶民でも買えそうです。パーカーさんは家事や育児にてんてこ舞いでも、肌ケアだけは抜かりなしと自信満々。ふむ、それならば万が一「セックス・アンド・ザ・シティ」シリーズの更なる続編の製作が決定したとしても、すぐさま取り掛かれるでしょう。

 Box Office。公開3週目の『ウルヴァリン:SAMURAI』が1億ドルを、7週目の『The Heat』が1億5,000万ドルを超えました。日本公開中のオムニバス映画『ムービー43』で、ヒュー・ジャックマンがとんでもない姿になっていました。これからどれだけ格好つけても、あの姿が思い浮かびそうで怖い…。ミュージカルで彼のファンになった皆様、覚悟してご覧下さい。

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俺のムスコ

俺のムスコ “That's My Boy”

監督:ショーン・アンダース

出演:アダム・サンドラー、アンディ・サムバーグ、レイトン・ミースター、
   エヴァ・アムリ、ジャスティン・ウィーヴァー、スーザン・サランドン、
   ジェームズ・カーン、ブレイク・クラーク、アナ・ガステヤー、
   ニック・スウォードン、トニー・オーランド、ヴァニラ・アイス、
   ミーガン・フェイ、マイロ・ヴィンティミリア、ウィル・フォーテ

評価:★★




 デブのバアサンがストリップ・ショーで緩く踊る。中学生と若い教師が学校でイケないことをする。ヴァニラ・アイスがカメオではなく何度も出てくる。中国人の使用人が出てきて邪険に扱われる。タマの位置を人前で調節する。オッパイで野球のボールを受ける。硬く大きくなったアレをパンツ越しに見せつける。

 まだまだ、終わらない。バアサンの写真を見ながらオナニーする。神父が過激な暴力に走る。大の大人の男たちがダイナーに向かってゾウのような小便を引っ掛ける。イロモノ扱いのバアサンとセックスに雪崩れ込む。人前で大便を洩らして尻を押さえながら逃走する。ウェディングドレスを着たマネキンとセックスする。汚物と精液塗れのドレスを舐める。オチが近親相姦で締められる。

 これだけ挙げれば『俺のムスコ』がどんな映画か分かろうというものだけれど、父と息子の関係という物語のテーマは意外に真面目に語られている方ではないか。良い父親ではなかったかもしれない。息子は受けるべき教育を受けられなかったかもしれない。けれど、父が息子に対して抱いている愛情は、茶化されていない。

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私が愛したヘミングウェイ

私が愛したヘミングウェイ “Hemingway & Gellhorn”

監督:フィリップ・カウフマン

出演:ニコール・キッドマン、クライヴ・オーウェン、デヴィッド・ストラザーン、
   ロドリゴ・サントロ、モリー・パーカー、パーカー・ポージー、
   サンディアゴ・カブレラ、トニー・シャルーブ、ラーズ・ウルリッヒ、
   サヴェリオ・ゲーラ、ピーター・コヨーテ、ダイアン・ベイカー、
   ジョアン・チェン、マーク・ペルグリノ、レミー・オーベルジョノワ、
   アンソニー・ブランドン・ウォン、ロバート・デュヴァル、
   ジェフリー・ジョーンズ、コニー・ニールセン

評価:★★




 文豪アーネスト・ヘミングウェイと彼の三人目の妻にして戦場特派員であるマーサ・ゲルホーン。いかにも濃いふたりは、当然のようにセックスまで濃いものだった。内戦下のスペインの安ホテル。空から爆弾が落とされ、建物が揺れ、窓が吹っ飛び、天井が崩れ、カーテンの向こうには炎が見えるというそのとき、ふたりは合体する。ヘミングウェイがゲルホーンを壁に押し付ける。ゲルホーンは一旦は跳ね除けるもの、欲情を押さえられず唇を押し返す。命の危険に晒されながらベッドに倒れ込む。男が尻を見せ、女は乳を晒す。生々しくも女の足が逆八の字におっ広がる。ふたりは喜びと快感に歓喜する。

 『私が愛したヘミングウェイ』はやけにメロドラマ部分に力が入っている。ラヴシーンがいずれも印象に残る。ヘミングウェイをクライヴ・オーウェン、ゲルホーンをニコール・キッドマンが演じていて、格闘技に挑むように互いを求め合う様が、体格の良いふたりらしく迫力があるのだ。キッドマンを撮る作り手の目がいやらしいのも特徴で、パンツ姿で通すキッドマンの尻のラインをじっくり見つめたり、戦時からしからぬ化粧で飾り立てたり、おでこから鼻のラインの美しさを強調した横顔を切り取ったり、歌まで歌わせたり、ふむ、これならばキッドマンは演じ甲斐があっただろう。綺麗だ。

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ヘンゼル&グレーテル

ヘンゼル&グレーテル “Hansel & Gretel: Witch Hunters”

監督:トミー・ウィルコラ

出演:ジェレミー・レナー、ジェマ・アータートン、ファムケ・ヤンセン、
   ピヒラ・ヴィータラ、トーマス・マン、ピーター・ストーメア、
   デレク・ミアーズ、イングリッド・ボルゾ・ベルダル、ヨアンナ・クーリグ

評価:★★




 世界的に有名な童話の本気の映画化はまだまだ続く。誰もが知っている話だと世界観を伝えやすいし、ちょっと脚色をするだけで感心してもらえる可能性は高い。なるほど分かる気がする。「赤ずきん」や「白雪姫」、「不思議の国のアリス」に続くのは「ヘンゼルとグレーテル」だ。なかなか地味なところを突いたものだ。『ヘンゼル&グレーテル』は正確には、少年少女が主人公ではない。あれから数十年、魔女ハンターとなった兄妹が描かれる。なかなか思い切ったと言える。ヘンゼルなんて、お菓子の家で暴飲暴食したせいで、糖尿病という設定だ。うぉー。

 果たしてヘンゼルは男らしく、グレーテルもまた男らしく成長した。ヘンゼルは「マトリックス」(99年)のネオから借りてきた革コートを着こなし、グレーテルはキャットウーマン風のレザースーツをスタイリッシュに見せる。血気盛んな彼らは、魔女を見つければ、身体を張って襲い掛かる。機関銃やクロスボウを傍らに置いて、常に戦闘態勢。魔女よりも獰猛な感じが可笑しいやら呆れるやら。グレーテルなんて、魔女相手ではないけれど、いきなり頭突き攻撃だ。

 兄妹が対決する魔女たちのメイクはどうにかならなかったのか。顔を白く塗ってひび割れさせただけの安易さで、「ヘル・レイザー」(87年)失敗版みたい。仮面ライダーや戦隊物の悪役として通用しそうな感じじゃないか。大魔女を演じるファムケ・ヤンセンはメイクすると、面影全くなし。ちゅーか、マドンナにしか見えない。魔女たちの集会場面はコスプレ・ショーの趣き濃厚だ。関係ないが、魔女が操るトロールはガレッジセールのゴリそのまんま。

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25年目の弦楽四重奏

25年目の弦楽四重奏 “A Late Quartet”

監督:ヤーロン・ジルバーマン

出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、
   クリストファー・ウォーケン、マーク・イヴァニール、イモジェン・プーツ、
   リラズ・シャルヒ、ウォーレス・ショーン、マドハール・ジャフリー

評価:★★★




 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンを取り上げた映画は何本も観ているはずなのに、不勉強なことに記憶にない。晩年に書いたという「弦楽四重奏曲第14番」という楽曲があり、7楽章からなるそれは、全てを絶え間なく演奏しなければならないのだという。つまり演奏中に調弦が必要になっても、演奏が終わるまでそれは叶わない。音楽家たちは狂ったままの音で着地点を見つけることを強いられる。

 それをモチーフにした映画が『25年目の弦楽四重奏』だ。弦楽四重奏団フーガの、完璧に思われたカルテットを楽曲になぞらえる。第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ…それぞれの奏でる人生の音色が狂いを生じていく様を描き出す。彼らは狂いとどう向き合うのだろうか。

 思わず洒落臭いと思う。凡人には縁のない楽器を操る人々の生き方。それを一流作曲家の楽曲と照らし合わせる。それこそ知識や教養、気品なくしては手掛けられない技。作り手の自己陶酔の匂いが漂ってくるようではないか。実際序盤はその傾向が強い。良い人たちなのだろうけれど、インテリ臭が鼻につくと言うか。もちろん僻み根性も入る。

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NO ONE LIVES/ノー・ワン・リヴズ

NO ONE LIVES/ノー・ワン・リヴズ “No One Lives”

監督:北村龍平

出演:ルーク・エヴァンス、アデレイド・クレメンス、リー・ターゲセン、
   ローラ・ラムジー、デレク・マジャール、アメリカ・オリーヴォ、
   ボー・ナップ、ブローダス・クレイ、リンジー・ショウ

評価:★★




 北村龍平監督については詳しくない。名前は知っているものの、作品は観たことがない。ただ、『NO ONE LIVES/ノー・ワン・リヴズ』だけでも、彼が暴力に対してこだわりを見せる人だということはよく分かる。描写をソフトにして「逃げる」ようなことは絶対しないタイプ。残酷さを傍らに置きながら、それと真正面から向き合う男。

 田舎の窃盗団と殺人鬼の対決は、したがってホラー式に描かれる。殺人鬼に目をつけられた者たちが一人ひとり、特別な方法により殺されていく。あまりに残虐無慈悲で、身の毛がよだち、でも思わず笑えもしてしまうのがポイントだ。ターゲットを仕留めるためにの罠の張り方が周到で、人の身体が豪快に吹っ飛んでいく。

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August 4 - 6 weekend, 2013

August 4 - 6 weekend, 2013

1 The Spectacular Now|$49,354(4)$197,415
2 Blue Jasmine|$37,174(50)$2,845,115
3 The Canyons|$13,351(1)$13,351
4 2ガンズ|$8,945(3025)$27,059,130
5 The Artist and the Model|$8,450(2)$16,900
6 Europa Report|$7,414(3)$22,243

7 ウルヴァリン:SAMURAI|$5,434(3924)$94,638,740
8 スマーフ2 アイドル救出大作戦!|$4,539(3866)$27,109,260
9 死霊館|$4,182(3115)$107,956,907
10 怪盗グルーのミニオン危機一発|$3,160 (3207) $326,411,585

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 酒癖の悪さで知られるキーファー・サザーランドさんがストリップを披露しました。これまでにもストリップクラブのステージに乱入したり、バーで大暴れして追い出されたりという失態をやらかしていたサザーランドさんですが、今度は撮影先のカナダのカルガリーのバーでお酒が進み、上半身裸になっての大騒ぎを繰り広げたそうです。…ということらしいのですが、うーむ、上半身裸くらいじゃ驚かないなぁ。それこそ全部脱ぎ去ってあられもない姿をパパラッチされてくれないと。10年以上前、マシュー・マコノヒーさんがマリファナ吸いながら素っ裸でボンゴを叩いて逮捕された事件には全く敵いませんよ。じゃあ、どうしたら勝てるのかと言ったら、素っ裸でリンボーダンスとか…?

 Box Office。公開3週目の『死霊館』が興収1億ドルを超えました。ヴェラ・ファーミガは「サイコ」(60年)の前日譚となるTVシリーズ「Bates Motel」も好調。エミー賞候補にも挙がっています。このシリーズでノーマン・ベイツを演じているのは、まさかのフレディ・ハイモア。いつも泣き顔を見せていたあの子役です。大きくなって可愛さが完全に消滅、あぁ、このままフェイドアウトしていくんだね…と思ったところでこのシリーズに出会い、息を吹き返しました。人生、何が起こるか、ワカリマセンな。ちなみに現在のハイモアは、なぜだか眉毛が異様にご立派。毛生え薬でも使っているのでしょうか。

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偽りの人生

偽りの人生 “Todos tenemos un plan”

監督:アナ・ピーターバーグ

出演:ヴィゴ・モーテンセン、ソレダ・ヴィシャミル、
   ダニエル・ファネゴ、ハヴィエル・ゴディーノ、
   ソフィア・ガラ・カスティリオーネ、オスカル・アレグレ

評価:★★




 ヴィゴ・モーテンセンがアルゼンチンの風景に無理なく馴染んでいる。何でもモーテンセンは幼少期をアルゼンチンで過ごしたらしい。湿度が高いデルタ地帯。移動にはカヌーやボートが使われる田舎。スペイン語を流暢に操りながら、モーテンセンがその息遣いを生々しく画面に定着させる。ズバリ、絵になる男。

 しかし、だからと言って映画まで面白くなるわけではない。アイデンティティーを盗む物語は、古今東西頻繁に見かける。最近だとフランスから「ビッグ・ピクチャー」(10年)という映画が発表された。『偽りの人生』ではモーテンセンが兄の、それも双子の兄のアイデンティティーを盗む。一卵性双生児だから、人生を乗っ取るのにも都合が良い?そうしてモーテンセンはあろうことか、兄の知り合いだらけである湿地帯に乗り込んでいく。強引。とんでもなく強引。

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マーヴェリックス 波に魅せられた男たち

マーヴェリックス 波に魅せられた男たち “Chasing Mavericks”

監督:カーティス・ハンソン、マイケル・アプテッド

出演:ジョニー・ウェストン、ジェラルド・バトラー、エリザベス・シュー、
   アビゲイル・スペンサー、レヴェン・ランビン、テイラー・ハンドリー、
   クーパー・ティンバーライン、ハーリー・グラハム、キーガン・ブース

評価:★★★




 22歳の若さで死んだというジェイ・モリアリティはおそらく、サーフィンを愛する人の間では相当有名なのだろう。世界最大級の大波との勝負に勝ったからではない。大波との勝負に挑む勇気により有名になった。彼はいかにしてそれを成し遂げたのか。『マーヴェリックス 波に魅せられた男たち』はそれを探り出す。

 …と言っても、ここに描かれるモリアリティの挑戦劇に、選ばれた者しか経験できない「何か」など見当たらない。波を愛する少年が手解きをしてくれる師と出会い、楽しくも厳しいトレーニングを受ける。その過程に男運が悪く自堕落な生活を送る母親への悩み、年上の幼馴染との恋、サーファーになるきっかけをくれた友人との衝突等が塗される。スポーツ物の典型。普通だ。酷く、普通だ。

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コンプライアンス 服従の心理

コンプライアンス 服従の心理 “Compliance”

監督:クレイグ・ゾベル

出演:ドリーマ・ウォーカー、アン・ダウド、パット・ヒーリー、
   ビル・キャンプ、フィリップ・エッティンガー

評価:★★★




 お世辞にも旨そうには見えないファストフード店に電話が入る。警察だと名乗る男が、若い女性従業員に窃盗容疑がかかっていることを告げる。男は女店長に捜査協力を要請。電話越しの指示により、若い女が丸裸され、屈辱的なポーズを取らされ、さらには性的暴行まで受けることになる。何と実話だというからひっくり返る。それも一軒や二軒ではない。アメリカで数百件も起こったというからびっくり仰天。映画はマクドナルドで起こった事件を基にしているとのことだけれど、こうなるとマクドナルドだけの問題ではないことは明白だ。痴漢冤罪事件や母さん助けて詐欺にも通じるところがある。

 登場人物の愚かさが目につく『コンプライアンス 服従の心理』はしかし、それを強調したいだけではない。卑劣な犯罪行為の糾弾が第一目的でもない。現実に起こってしまった事件を通して、人間はある種の状況下においては驚くべき行動に走ることを描き出す。彼らは特別な人間ではない。我々の分身であることを強調する。

 おそらく犯人は、何軒もの店に電話をかけたはずだ。そして多くは取り合われることなく切られただろう。ではなぜ、この店では犯人の思惑通りに事が進んだのか。店長の心理状態を中心に、さり気なくその理由が散りばめられている。前日に起こった仕事のミス。誰のミスなのか、特定できていないもやもや。朝から忙しく余裕のない金曜日。彼女には心にゆとりがなく、そればかりか、ミスの挽回やスムーズな仕事を意識した動揺に支配されている。副店長や容疑のかかった女とのやりとりからすると、若い女へのやっかみや嫉妬に似た何かも抱いていたようだ。そこに放り込まれるのが「警察」という言葉。どうやら「本部」も協力しているらしい。店長の心の隙間が、魔法の言葉により埋められ、彼女は思いがけない怪物に変身する。

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詩人、愛の告白

詩人、愛の告白 “Confession d'un enfant du siècle”

監督:シルヴィ・ヴェレイド

出演:シャルロット・ゲンズブール、ピート・ドハーティ、
   リリー・コール、アウグスト・ディール、フォルカー・ブルッフ、
   ギョーム・ガリエンヌ、カロル・ロシェ、ジョゼフィーヌ・ドゥ・ラ・ボーム

評価:★★




 フランスの詩人アルフレッド・ド・ミュッセが年上の作家ジョルジュ・サンドとの関係を下敷きに書いた私小説「世紀児の告白」の映画化というと、「年下のひと」(98年)が記憶に新しいところ。『詩人、愛の告白』はしかし、それとはまるで趣を異にする。ミュッセとサンドとの恋愛関係を深く掘り下げようという気配は感じられない。

 そうなったのはおそらく、プロジェクトの最初からあったに違いないアイデアに原因があるのではないか。真っ先に目につくのは、ミュッセを音楽界の問題児ピート・ドハーティが演じていることで、これはもう絶対ドハーティありきの企画だったはずだ。ドハーティがミュッセだったらどうだろう。どうやら一部の人は、「問題児でありながら死ぬほどにロマンティック」というイメージをドハーティに抱いているらしい。

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July 26 - 28 weekend, 2013

July 26 - 28 weekend, 2013

1 Blue Jasmine|$102,011(6)$612,064
2 ウルヴァリン:SAMURAI|$13,536(3924)$53,113,752

3 死霊館|$7,349(3022)$83,945,017
4 怪盗グルーのミニオン危機一発|$4,725(3476)$306,812,720
5 Fruitvale Station|$4,314(1064)$6,272,535
6 Tiny Times|$4,098(3)$12,294
7 The Way, Way Back|$3,889(886)$9,077,255
8 Turbo|$3,607(3809)$56,183,245
9 Grown Ups 2|$3,561(3258)$101,764,582
10 REDリターンズ|$3,096(3016)$35,011,553

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 「世界にひとつのプレイブック」(12年)でオスカーを獲得したジェニファー・ローレンスさんですが、オスカー像は自宅ではなく実家にあるそうです。自宅にあると来客に自慢しているようで嫌だったというローレンスさん。トイレに行く途中の廊下に置いていたところ、見かねた母親が「こんなところに置くべきじゃない」とケンタッキーの実家に持って行ってしまったとか。今ではピアノの上に飾られているそうで、ふむ、オスカー像にとってもそちらの方が幸せじゃないかと思われます。ちなみにローレンスさんは、コミック・コンでジェフ・ブリッジスさんと初対面したときの動画も話題になっています。ジャック・ニコルソンさんと対面したときも大興奮のローレンスさんでしたが、今回も素晴らしい反応。途中からブリッジスさんのインタヴュアーと化していました。こうなると大物にどんどん会わせてみたいわー。

 Box Office。公開4週目の『怪盗グルーのミニオン危機一発』が興収3億ドルを、6週目の『モンスターズ・ユニバーシティ』が2億5,000万ドルを、3週目の『Grown Ups 2』が1億ドルを超えました。アダム・サンドラーの前作「俺のムスコ」(11年)をDVDで観ました。邦題でいきなり下ネタか!と突っ込みつつ、ふむ、なるほどぴったりのタイトルではないかと思われます。

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The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞 最終投票受付スタート

The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞の
最終投票の受付がスタートしました。

作品賞、監督賞、主演男女優賞、助演男女優賞の全6部門。
受賞に相応しいと思われる候補作品、候補者がない場合は、
無理に選ぶ必要はありません。

最終投票の受付期間は、「2013年8月1日~20日」になります。
お時間があるときにどうぞ。

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