フッテージ

フッテージ “Sinister”

監督:スコット・デリクソン

出演:イーサン・ホーク、ジュリエット・ライランス、クレア・フォーリー、
   マイケル・ホール・ダダリオ、フレッド・ダルトン・トンプソン、
   ジェームズ・ランソン、ヴィンセント・ドノフリオ

評価:★★




 『フッテージ』で最も面白いヴィジュアルは、かなり早い段階に訪れる。ノンフィクション作家を家長に持つ家族が、以前殺人事件があった家に越してくる。その中でいちばん最初に怪現象に遭遇するのが12歳の長男だ。皆が寝静まった真夜中、廊下にぽつんと置かれた段ボール箱から突如飛び出してくるのだ。しかもエビ反り体勢で!当然顔は上下逆になるから、誰なのか一瞬では判別できない。「エクソシスト ディレクターズカット版」(00年)のスパイダーウォークを思い出す。怖い。だけど笑える。コレだ。

 ご丁寧に屋根裏部屋に映写機と共に置かれていた8ミリフィルムに残されている映像が、案外ソフトな描写で拍子抜けだ。大木に吊るされたり、車ごと焼かれたり、水中に引きずり込まれたり…確かに残酷なスナッフフィルムではあるものの、強烈なインパクトと呼ぶほどではない。思わずのけぞってしまうような悪魔的な画が欲しかったところだ。ただし、記録メディアがCD-RやUSBメモリでないのは悪くない。

 全然似ていないのに、次第に稲川淳二に見えてくるイーサン・ホークがこのフィルムに着目する。そもそもが家で起こった殺人事件の調査目的でやってきた彼は、映像が何を意味するのか突き止めようとするのだ。それなのに、あぁ、ホークの調査が生温いこと。書斎にこもってフィルムを映写、それをパソコンに落として分析するという地味な作業を、亀の歩みでこなしていく。家から出ることなく、フィルムを小出しに見ていくだけなのがまどろっこしい。ホークよ、足を使っててきぱき調査せんかい。そりゃベストセラーは夢のまた夢だ。

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コレクター

コレクター “The Factory”

監督:モーガン・オニール

出演:ジョン・キューザック、ジェニファー・カーペンター、ダラス・ロバーツ、
   メイ・ホイットマン、ソーニャ・ヴァルゲル、マゲイナ・トーヴァ、
   キャサリン・ウォーターストーン、ゲイリー・アンソニー・ウィリアムス、
   マイケル・トレヴィーノ、シンディ・サンプソン

評価:★




 呆れと不愉快を極める結末はひとまず後回しして、ジョン・キューザック演じる刑事の娘が誘拐される理由についてどうしても突っ込みたい。犯人は娼婦に狙いを定めて誘拐を続ける。キューザックの娘は娼婦ではないのに何故。彼女は反抗期真っ盛りの17歳。ほとんど娼婦のようなファッションと化粧ゆえに犯人が勘違いしたらしい。父親であるキューザックがそう読むというのも笑うけれど、もっと笑うのは演じるのが子ブタちゃんか子ダヌキちゃんにしか見えないメイ・ホイットマンだからだ。アヴリル・ラヴィーンやグリーン・デイのポスターを部屋に貼ったところで、子ブタか子ダヌキ。そりゃないだろう。大オチを聞かされても、そりゃないだろう。シュール!

 物語は犯人側と刑事側、ふたつの視点から交互に描かれる。犯人のダラス・ロバーツは冬のバッファロー、3年で7人もの娼婦を誘拐し、自宅の地下で彼女たちを飼う。キューザックとその相棒であるジェニファー・カーペンターは焦燥感を感じながら、辛抱強く犯人の行方を追う。最後まで観ればこの描き方を選んだ理由も分かるものの、ふたつの視点を用意したことでどうしても味わいは寝ぼけたものになる。犯人側に絞った描写にした方が締まったのではないか。

 実際、ロバーツによる娼婦たちの変態飼育生活こそ中盤の見せ場になる。口移しによる薬の受け渡し。日課のように刺す注射。お仕置きは鞭。良い子にしていれば、鎖付きではあるものの地上でデート。アニメーションを流しながら、彼女たちと合体するというのもキテいる。彼の目的は彼女たちを妊娠させ、家族を増やすことなのだ。ロバーツが楽しそうに飛ばす飛ばす。

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June 21 - 23 weekend, 2013

June 21 - 23 weekend, 2013

1 モンスターズ・ユニバーシティ|$20,587(4004)$82,429,469
2 ワールド・ウォーZ|$18,412(3607)$66,411,834
3 アンコール!!|$12,864(2)$25,728

4 マン・オブ・スティール|$9,814(4207)$210,078,153
5 The Attack|$9,126(3)$27,379
6 Lost and Found in Armenia|$7,604(1)$102,934
7 シージャック|$5,627(7)$5,627
8 マニアック|$5,571(1)$5,571

9 This is the End|$4,350(3055)$58,082,166
10 Fill the Void|$4,059(46)$629,684

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 一時は森久美子さんを倣って巨体歌手と化していたクリスティーナ・アギレラさんが、ダイエットに成功しました。オーディション番組「The Voice」でスレンダーな身体を披露したアギレラさん。フレッシュダイエットというデリヴァリーサーヴィスによるダイエット食品のおかげで痩せられたとのこと。が、アギレラさんはこれを否定。「ダイエット食品で痩せたわけではない」と怒っているとか。自力で痩せたことにした方がカッコ良いということでしょうか。別に痩せりゃ何でも良いと思いますが…。ちなみにフレッシュダイエットとは、カロリー計算された料理が届くサーヴィス。できるだけ楽したい怠け者…じゃなかった忙しい人向けと言えましょう。

 Box Office。公開2週目の『マン・オブ・スティール』が興収2億ドルを、5週目の『Epic』が1億ドルを超えました。『マン・オブ・スティール』は来年早々と続編が公開されるとの一部報道がありましたが、いやー、それはやめた方が良いと思いますね。どう考えても時間が足りないでしょうよ。スーパーマンだからって、何でもかんでも早過ぎるのはよろしくないでしょう。特に夜は…。

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エンド・オブ・ホワイトハウス

エンド・オブ・ホワイトハウス “Olympus Has Fallen”

監督:アントワン・フークワ

出演:ジェラルド・バトラー、アーロン・エッカート、モーガン・フリーマン、
   アンジェラ・バセット、ロバート・フォースター、コール・ハウザー、
   フィンリー・ジェイコブセン、アシュレイ・ジャド、メリッサ・レオ、
   ディラン・マクダーモット、ラダ・ミッチェル、リック・ユーン

評価:★★




 そう言えば、ホワイトハウス内部を舞台にしたアクション・スリラーはあまり見ないかもしれない。最近だと「ホワイトハウスの陰謀」(97年)が思い浮かぶぐらいか。ドラマやロマンティック・コメディなら結構作られている気がするのだけれど…。克明に描いて、本物のホワイトハウスが危険に晒されてしまってはイカン…とでも思っているのか。違うか。

 そんなわけで『エンド・オブ・ホワイトハウス』。誰もやらないなら俺たちがやってやるとばかりに全編に渡ってホワイトハウスがメイン。テロリストが占拠、大統領を人質に取り、そこは戦場と化す。やるならとことんやるぜ。テロリストが北朝鮮なのに笑いながら、えっ、北を刺激して良いの?韓国トップを殺しても良いの?一緒に助けてあげれば?…と隣国民として不安になってみたり…。

 目指したのは、どう考えても「ダイ・ハード」(88年)だ。過去に傷を抱えた元シークレット・サーヴィスがホワイトハウス内部に潜り込んで孤軍奮闘。一人また一人とテロリストを倒していく。そのまま「ダイ・ハード」(或いはTVシリーズ「24 TWENTY FOUR」)の脚本として使えそう(オープニングがクリスマスなのは偶然?)。普通なら違いを明確にしようと捻りを加えそうなものだけれど、それすらなし。「何で俺が」とブツブツ文句を言いながら巻き込まれるのではなく、「よし、俺がやったる!」と自ら進んで火の中に飛び込んでいく違いぐらいしかない。実に分かりやすくアメリカ的な主人公像。

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G.I.ジョー バック2リベンジ

G.I.ジョー バック2リベンジ “G.I. Joe: Retaliation”

監督:ジョン・M・チュウ

出演:ドウェイン・ジョンソン、ブルース・ウィリス、チャニング・テイタム、
   エイドリアンヌ・パリッキ、レイ・スティーヴンソン、D・J・コトローナ、
   イ・ビョンホン、レイ・パーク、ジョナサン・プライス、エロディ・ユン、
   RZA、ルーク・ブラッシー、アーノルド・ヴォスルー、ジョセフ・マゼロ

評価:★★




 せっかく一作目(09年)に主演していた只今絶好調男チャニング・テイタムは、続編『G.I.ジョー バック2リベンジ』であっさり退場する。同じく現在飛ぶ鳥落とす勢いのジョセフ・ゴードン=レヴィットなど、影も形もない。一作目の出来映えを考えれば、シリーズから手を切りたくなるのも分かる。残ったのがイ・ビョンホンというのも意味不明。キャストをほとんど総入れ替えした結果、ますますオリジナリティは希薄になった。

 何しろ代わりに投入されるのは、ドウェイン・ジョンソンでありブルース・ウィリスだ。いや、ジョンソンの愛敬は買っているし、ウィリスの最近の再浮上は目を見張るものがある。けれど、筋肉バカスター界の最前線で活躍するふたりを前面に出し、脇をVシネマのチョイ役俳優みたいな者ばかりで固めたことで、80年代アクションの匂いが濃厚になったのはいただけない。強い者が世界を支配する!「エクスペンダブルズ」(10年)+「トランスフォーマー」(07年)+「RED レッド」(10年)。危うい正義が怖い怖い。

 そんなわけでアクション場面の大半で嵐のように銃弾が飛び交い、爆発が次々起こり、当然人々は何の躊躇いもなく殺されていく。バイクがミサイルになり、戦車がレーシングカーのように暴走する。前回のパリに続いて破壊されるのはロンドンだ。ビッグベンや大観覧車がアッという間に消え失せる。

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人生はノー・リターン 僕とオカン、涙の3000マイル

人生はノー・リターン 僕とオカン、涙の3000マイル “The Guilt Trip”

監督:アン・フレッチャー

出演:セス・ローゲン、バーブラ・ストライサンド、
   ジュリーン・ルネー=プレシアド、サブリナ・ゲバラ、
   ジョン・ファンク、ロバート・カーティス・ブラウン、
   キャシー・ナジミー、ミリアム・マーゴリーズ、ローズ・アブドゥー

評価:★★




 もしハリウッド女優が自分の母親だったら…。思いを巡らせたことは一度や二度ではない。孫がいておかしくない年齢の女優に限るとするならスーザン・サランドン、グレン・クローズ、ジェーン・フォンダ、ジェシカ・ラング、ダイアン・キートン、メリル・ストリープ…考えれば考えるほど恐ろしい気分になるのは何故。ジュリー・アンドリュース、ゴールディ・ホーンといった明るいイメージの女優ですら怖いのは何故。バーブラ・ストライサンドを想像して鳥肌が立つのも致し方なし。

 『人生はノー・リターン 僕とオカン、涙の3000マイル』ではストライサンドが暴走気味の母親に扮する。息子役がセス・ローゲンだからどんな風にまとめられるのかは想像通りなのだけど、ローゲンは明らかにいつもより控え目。お馴染みの毒はほとんど封印して、ストライサンドを立てる側に回っている。そりゃそうだ。ここで万が一、ストライサンドより目立ってしまった場合、2年後にはハリウッドから消えていることを覚悟せねばならない。…って、ストライサンドは良い人なのかもしれないけれど、(世間を知る)作り手がストライサンドに面倒臭いイメージを持っていることは間違いない。

 そんなわけでストライサンドは楽しそうだ。四六時中息子に電話。息子に着せたい服を購入。自分の友人たちとの食事会に息子を参加させる。息子の恋人にダメ出し。昔の恋人の名前を息子に命名。息子の仕事に口出し。そればかりかプレゼンに乱入。息子の性生活相談にまで入り込む。ローゲンがうんざりすればするほど可笑しい…と思い込んだ作り手の浅はかさよ。でもまあ、無難な作りでもあるのか。

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イノセント・ガーデン

イノセント・ガーデン “Stoker”

監督:パク・チャヌク

出演:ミア・ワシコウスカ、マシュー・グード、ニコール・キッドマン、
   ダーモット・マルロニー、ジャッキー・ウィーヴァー、
   フィリス・サマーヴィル、オールデン・エアエンライク、
   ルーカス・ティル、ラルフ・ブラウン

評価:★★★




 『イノセント・ガーデン』で初めて思ったのだけれど、ミア・ワシコウスカの地味な個性、つきまとうほの暗さは、ジェニファー・ジェイソン・リーに通じるものがある。ブロンドや赤毛ではなく、限りなく黒に近いブラウンの髪をセンター分けしたワシコウスカは、まるでチョウになる前のイモムシのようだ。ジトッと湿り気のある空気に包まれながら、土を這っているような…。でも、そんな自分を客観的に見つめてもいる。賢さは隠せない。

 ワシコウスカ演じる少女は、18歳の誕生日に父親を交通事故で亡くす。残された彼女と母親の前に所在不明だった叔父が突然現れ、それをきっかけに怪事件が続発する。…という話はさほど吸引力を持っていない。そのまんまと言うか、予測通りと言うか、火曜サスペンス劇場風と言うか…。捻られているようで、捻られていない。

 けれどそれでも面白いのはまず、事件を取り巻く細部描写が優れているからだ。舞台となる屋敷の外観。シンプルな美しさの映える内装。それを彩る趣味の良い家具。刺激的なアクセントを投下する雑貨。完璧な調和を見せる舞台が入念に観察され、完璧であるがゆえに漂い始める不穏な空気が見逃されない。カメラはその歪みを的確に捉える。不安を煽る構図の数々が効果的だ。妖気が画面に溢れ出ている。

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The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞 FYC Board(キャンペーン掲示板)オープン

The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞の開催に伴い、
FYC Board(キャンペーン掲示板)がオープンしました。

FYCとは「For Your Consideration」の略。

強力に推薦したい。
でも、他の方は忘れているかもしれない。
そんなときはこの掲示板を有効活用してアピールして下さい。

何度でも書き込んで構いません。
返信機能を使うことで、書き込みが上に上がります。
支持者が多いことを印象づけられるかもしれません。

書き込む際は、作品単位でお願いします。
例えば、作品Aの監督賞、作品Bの主演男優賞をプッシュしたい場合は、
スレッドを分けて下さい。

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June 14 - 16 weekend, 2013

June 14 - 16 weekend, 2013

1 The Bling Ring|$42,597(5)$212,987
2 マン・オブ・スティール|$27,720(4207)$128,681,486

3 Much Ado About Nothing|$7,027(23)$388,658
4 This is the End|$6,782(3055)$33,027,297
5 Fill the Void|$5,015(18)$396,669
6 Hannah Arendt|$4,471(6)$153,333
7 Lost and Found in Armenia|$4,138(2)$82,710
8 グランド・イリュージョン|$3,574(3082)$80,705,956
9 The Purge|$3,210(2591)$51,962,845
10 ワイルド・スピード EURO MISSION|$2,840(3375)$219,723,955

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 股関節を負傷してコンサートツアーを中止、療養中のレディー・ガガさんが、最近イライラしているそうです。TVシリーズ「Chicago Fire」で消防士を演じてブレイク、療養中も献身的に世話をしてくれた恋人テイラー・キニーさんが、新作映画で共演しているキャメロン・ディアスさんと接近中だと噂されているからです。近い筋によると(誰よ?)、キニーさんとディアスさんは仕事の後に一緒にレストランに出かけるなど、プライヴェートでも仲良しこよしなんだとか。キニーさん、浮気するなら、ガガさんが弱っている今と考えたのでしょうか!まあ、浮気しても自宅のベッドで修羅場を迎えるという、100年前の漫画のような出来事は起こらないと思われます。多分。

 Box Office。『スター・トレック イントゥ・ダークネス』が公開5週目にして興収2億ドルを超えました。主演のクリス・パインは先日、モデルのドミニク・ピークと破局しましたが、既に新しい恋人がいるようで、同じくモデルであるアマンダ・フランセスがその人だそうな。ハハーン、さては「第二のレオナルド・ディカプリオ」になるつもりですネ!

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マニアック

マニアック “Maniac”

監督:フランク・カルフン

出演:イライジャ・ウッド、ノラ・アルネゼデール、
   ジュヌヴィエーヴ・アレクサンドラ、リアーヌ・バラバン、
   アメリカ・オリーヴォ、サミ・ロティビ、モルガンヌ・スランプ、
   サル・ランディ、ジャン・ブロバーグ

評価:★★




 子役の頃のイライジャ・ウッドは可愛らしかった。陶器のような肌。さらさらでくるくるの髪。真っ青な目。命を与えられた人形の容姿により、子役俳優界をマコーレー・カルキンと共に引っ張った。汚れを知らない魂が人間の姿を借りるとこうなるのだと納得した。そのウッドが、『マニアック』では殺人鬼を演じる。

 ウッド演じる男は、そんな職業があったのか、マネキンの修復家だ。夜な夜な街に出かけては好みの女に目をつけ、殺害を繰り返す。そして遺体から髪の毛を剥ぎ取る。本物のウィッグは部屋中に並べられたマネキンに被せられる。男はマネキンに語り掛ける。…とまあ、大変な精神の病みようで、ウッドの虫を殺すことさえなさそうな空気感が、変態性と奇跡的な合致を見せる。ハマっているのだ。

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バレット

バレット “Bullet to the Head”

監督:ウォルター・ヒル

出演:シルヴェスター・スタローン、サン・カン、サラ・シャヒ、
   アドウェール・アキノエ=アグバエ、クリスチャン・スレーター、
   ジェイソン・モモア、ジョン・セダ、ホルト・マッキャラニー、
   ブライアン・ヴァン・ホルト、デイン・ローデス

評価:★★




 美容に興味があるのは女だけだと考えられがちだけれど、もちろん男だって関心がないわけではない。誰だって自分を良く見せたい願望は具えているものだろう。美しくなることにとり憑かれた者は、続いて積極的に金をかけて身体を直しにかかる。美への願望に限りはない。女の場合の美は分かりやすいのだけれど、男だとやや複雑になる。単に美を目指す者もいる。ただ、ある種の男は「マッチョな俺」にこだわる。全身筋肉の俺はカッコイイ。その代表こそ、シルヴェスター・スタローンだ。

 『バレット』のスタローンを見て、いよいよ危険水域に突入したことに慄く人は多いだろう。マッチョを目指したはいいけれど、ほとんど人造人間的なそれになってしまったからだ。スタローン66歳、同年代の俳優と較べたら、二の腕を中心に筋肉の不自然な盛り上がりは一目瞭然。柔らかさが全くなく、舗装されていない山道のようにデコボコ。そこに血管がミミズのように浮き上がっている。普通の筋力トレーニングでつけた筋肉には見えない。ドーピング疑惑はますます濃くなる。歩くホラーだ。

 困ったことにスタローンは、その筋肉の美を疑っていない。無駄脱ぎという形で見せびらかしにかかるのだ。お直し効果により目周りはつっぱり、目自体はぱっちり、口がやけに可愛らしい。それなのに裸は人造人間。肩から胸・背中にかけては悪趣味なタトゥーが入っている。「マッチョな俺」絶好調。思うにスタローンは、銃なんか持つべきではない。裸で人を殺せる。

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オブリビオン

オブリビオン “Oblivion”

監督:ジョセフ・コシンスキー

出演:トム・クルーズ、モーガン・フリーマン、オルガ・キュリレンコ、
   アンドレア・ライズボロー、ニコライ・コスター=ワルドー、
   メリッサ・レオ、ゾーイ・ベル

評価:★★★




 『オブリビオン』はまず、SF映画らしくヴィジュアルで勝負に出る。爆発したまま空に浮かぶ月。高度3,600メートルの地点にそびえ立つ基地。最先端のテクノロジー。球体のコックピットを備えた戦闘機。生物のように動き回る無人飛行機。宇宙からの侵略を受け、地球人が土星の月に移り住んだ2077年。SFではお馴染みの荒れ果てた地球を登場させ、しかし新鮮味を失うことなく映し出すこと。ジョセフ・コシンスキー監督はその重要性に気づいている。

 画面が全体的に白っぽいのが印象的だ。生命体反応がほとんどない地球は、余計な装飾が全くない。荒涼たる大地や何もない砂漠も白い。色すらも無駄なのかもしれない。奇妙に美しくも違和感を感じる色合いが胸をざわつかせる。空の青や僅かに残された緑がそれゆえ、鮮烈に映る。

 美術を中心にした創り込みが冴えているのに、アクション場面はつまらない。空中アクションは戦闘機から発射されるレーザー光線の応酬で、TVゲームでも見せられているみたい。「スター・ウォーズ」(77年)の病とも言う。地球の監視員である主人公が手にする武器も銃口がライトになったマシンガンぐらいだし、メカとの闘いを強いられるゆえ肉体と肉体がぶつからないもどかしさがある。

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グランド・マスター

グランド・マスター “The Grandmaster”

監督:ウォン・カーワイ

出演:トニー・レオン、チャン・ツィイー、チャン・チェン、
   マックス・チャン、ワン・チンシアン、ソン・ヘギョ、
   チャオ・ベンシャン、シャオ・シェンヤン、
   ユエン・ウーピン、ラウ・カーヨン、チョン・チーラム、カン・リー

評価:★★★




 アジアの才能は武術(カンフー)映画を撮らなければならないという掟でもあるのだろうか。アン・リーも、チャン・イーモウも、チェン・カイコーも武術映画を撮り上げた。いずれもワイヤーアクションにポイントを置いた武術シーンの映像美で魅了する。ブルース・リーの師であるイップ・マンの知られざる実話を基にした『グランド・マスター』で、ウォン・カーワイは彼らに近づくことができるだろうか。

 相変わらず、この監督は話にはさほど興味を示さない。1930年代から50年代にかけての中国で、武術界の頂点に立つのは一体誰か…という一本軸はあるものの、勝負を賭けるのはやはり、ヴィジュアルだ。話の筋を追うことに懸命になり過ぎると、手応えは得られないだろう(流派が整理できていないし、話と話を繋げる接着力が弱い)。彼は脚本らしい脚本を用意しないことで知られている。良くも悪くもウォン・カーワイ映画だ。

 けれど、さすがに画面は面白い。武術映画にしては珍しくワイヤーアクションは控え目。スローモーションや早回し、カット割りの妙、視覚効果による背景の描き込みに力を注ぎ込み、破壊力のある美を追求している。地面に落ちる雨は一粒一粒が銃弾のように打ちつけ、雪は桜が舞うように降りしきる。壁は吹っ飛び、押し車はぺちゃんこになり、ネオンや列車、階段があまりにも優雅な装飾となる。

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The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞

The 21st Planet Movie Awards/第21回プラネット映画賞

対象:2013年1月1日~6月30日の間に東京で劇場公開された作品

ノミネーション投票期間:2013年7月1日~20日
最終投票期間:2013年8月1日~20日




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June 7 - 9 weekend, 2013

June 7 - 9 weekend, 2013

1 Much Ado About Nothing|$34,388(5)$171,941
2 The Purge|$13,430(2536)$34,058,360

3 Before Midnight|$10,528(50)$1,460,103
4 Hannah Arendt|$7,291(5)$104,082
5 グランド・イリュージョン|$6,305(3020)$60,914,914
6 Fill the Void|$6,023(13)$260,014
7 The East|$5,575(41)$336,002
8 Lost and Found in Armenia|$5,537(9)$49,829
9 ワイルド・スピード EURO MISSION|$5,205(3771)$202,812,580
10 The Internship|$5,147(3366)$17,325,307

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 飛ぶ鳥落とす勢いのジェニファー・ローレンスさんは、先日カンヌ国際映画祭に出席するためフランスを訪れた際、マクドナルドに駆け込んだのだそうです。現地ではゴージャスなフランス料理が出てきましたが、全く口に合わず、フランス語を話せる友人と共にマックに向かったとのこと。その際、ローレンスさんは「私を飢え死にさせる気かしら」「本物の食事が食べたいわ」と呟いていたとか…。庶民派一直線のローレンスさんらしいゴシップと言えましょう。ちなみにワタクシも100年に一度くらいはマックに行きますよ。ちゃっかりクーポン券を持ってネ!

 Box Office。公開3週目の『ワイルド・スピード EURO MISSION』が興収2億ドルを、3週目の『ハングオーバー!!! 最後の反省会』が1億ドルを超えました。『ハングオーバー!!!』にはキリンが出てくるようですねぇ。長らく可愛がっていたキリンのぬいぐるみは友人の息子にあげました。どうしてるかなぁ。ヨダレべったりかなぁ。

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闘魂先生 Mr.ネバーギブアップ

闘魂先生 Mr.ネバーギブアップ “Here Comes the Boom”

監督:フランク・コラチ

出演:ケヴィン・ジェームズ、サルマ・ハエック、ヘンリー・ウィンクラー、
   グレッグ・ジャーマン、ジョー・ローガン、ゲイリー・ヴァレンタイン、
   シャリース、バス・ルッテン、レジー・リー

評価:★★




 ケヴィン・ジェームズの印象がいつもとは違っていることに、真っ先に気づく。ジェームズを分かりやすく言うなら、「弾力デブ俳優」といったところだろうか。小太り体型がグミのような弾力を持っていて、ちょっと物が当たっても、それを漫画のように跳ね返してしまいそうな身体の持ち主。そのジェームズ、いつものようにデブには違いないものの、ここでは若干シャープに見える。弾力性はあまり感じない。いや、それどころか脂肪の下に締まった筋肉が見えるような見えないような…。ジェームズよ、さては役作りに励んだな。

 『闘魂先生 Mr.ネバーギブアップ』で高校の生物教師を演じるジェームズは、総合格闘技に挑戦することになる。映画にはUFCが協力、多数の格闘家がゲスト出演している(日本から一瞬、石井慧が登場)。当然試合場面があり、それを様になるように見せるためには身体作りをしなければならない。ジェームズは呑気で陽気な個性をいつもより抑え込み、真面目顔で役に取り組んでいる。でもまあ、そう簡単に個性というものは消せるものではない。開巻の登校場面のスタイルに笑う。黒いジャケットにジーンズ。サングラスにブーツ。ごついバイクに跨って走る様。格好つけてもファッションをキメても、どこか抜けている。

 ただ、話をシリアスに語るだけなのには違和感あり。笑いはジェームズの佇まいに全て任せて、「決して諦めない心」を掲げて物語を語ることに懸命だ。経費削減により音楽の授業が削られることになり、ジェームズはひょんなことから授業存続のために必要な48,000ドルを格闘技のファイトマネーで稼ぐことになる。浮かび上がるのは教育、移民、経済等が抱える問題…。どれもこれも大切なそれだけれど、ジェームズ映画で真面目顔で語られてもなぁ。

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ビル・カニンガム&ニューヨーク

ビル・カニンガム&ニューヨーク “Bill Cunningham New York”

監督:リチャード・プレス

出演:ビル・カニンガム

評価:★★★★




 迂闊だった。どうしてこれまでビル・カニンガムのことを知らずに生きてこられたのだろう。The New York Timesでコラムを書いているカニンガムは、50年以上に渡ってニューヨークの街角を歩く人々の姿を切り取ってきたファッションフォトグラファーだ。年齢は80歳を超える。ファッション界の大物とも顔見知りだし、おそらくファッションに興味のある人の間では相当な有名人でもあるだろう。ただ、その仕事はよく知られていても、彼自身はヴェールに包まれている。『ビル・カニンガム&ニューヨーク』はその謎を解き明かす。

 カニンガムは所謂有名人には興味がない。彼がカメラを向け続けるのは道行く人々だ。「最高のファッションショーは、常にストリートにある」と言ってのけ、ニューヨークで生活する人々の着こなしを撮り続ける。彼が興味を持っているのは洋服であり、それを自分の身体の一部として馴染ませている人こそが、彼にとってのスターなのだろう。「ファッションは鎧」、洋服を見れば、その人が分かるのだ。その面白さをカニンガムは知っている。一見「有名人を撮らないパパラッチ」だけれど、全く性質が違う。

 そうして出来上がった写真の多くが、躍動感に満ち溢れていること!ポーズを取った写真よりも日常生活の一部を切り取った写真がユニークだ。紙面に選ばれるのは、洋服を着ることで自分を表現している人たちだ。スタイリストによって一流ブランドを着せられている有名人なんかではない彼らの、唯一無二の個性を楽しむ。人は誰一人、同じではない。カニンガムは言う。「誰でもセンスはある。ただ勇気がないんだ」。恐れることなく洋服と一体化した者を、カニンガムは愛する。

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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命 “The Place Beyond the Pines”

監督:デレク・シアンフランス

出演:ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、エヴァ・メンデス、
   デイン・デハーン、レイ・リオッタ、ベン・メンデルソーン、
   マハーシャラ・アリ、エモリー・コーエン、ローズ・バーン、
   ブルース・グリーンウッド、オルガ・メレディス

評価:★★




 『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命』は大きく分けて三つのパートから成る。いちばん最初のパートを担当するライアン・ゴズリングの職業が、バイク乗りというのがなかなかロマンティックだ。類い稀なる運転技術を持つゴズリングはそれを活かし、巨大な球体の中でアクロバティックな技を披露することで金を稼いでいる。勝手気ままな生活。ゴズリングの細身で、でも脱ぐと筋肉質の身体とバイクの相性が良い。

 その彼の前に昔の女と自分の赤ん坊が現れる。一気に孤独の匂いが立ち込めるのが面白い。家族ができることで、しかし彼は孤独というものを知る。ゴズリングは養育費を手に入れるため銀行強盗に走る。悪い行動に向かえば向かうほど、心の純真無垢なものが露になる。父性と密着しているのが切ない。

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愛さえあれば

愛さえあれば “Den skaldede frisør”

監督:スザンネ・ビア

出演:ピアース・ブロスナン、トリーヌ・ディアホルム、キム・ボドニア、
   セバスチャン・イェセン、モリー・ブリキスト・エゲリンド、
   パプリカ・スティーン、クリスティアーヌ・シャウンブルク=ミュラー、
   ミッキー・スケール・ハンセン、チーロ・ペトローネ

評価:★★★




 原作は山村美紗だっけ?…と思わず混乱するのは、主演女優のトリーヌ・ディアホルムが山村紅葉にそっくりだからだ。若干ジャッキー・ウィーヴァーも入っているけれど、紅葉の気配の方が濃厚だ。こぼれ落ちそうに大きな目の破壊力。笑ったときの口元もヴァラエティ番組で見かけるときの紅葉そのままだ。ただし、目は血走っていない。おかげで奇麗。年齢に見合った美しさだ。

 紅葉…じゃなかったディアホルムのいちばんの魅力は、ブルーの瞳ではないか。吸い込まれそうなブルーがミステリアス。どうやら画面は彼女のブルーを大いに意識した配色になっている。オープニングだけでグリーンの壁紙、ブロンドのウィッグ、ピンクのカーディガン…いずれもブルーの瞳との対比が鮮烈な印象を残す。もちろんイエローのレモンも見事なバランス。他俳優もブルーの目が多いのは偶然か。

 そんなわけで『愛さえあれば』、ピアース・ブロスナンがイタリアで恋に落ちる。仕事人間だった彼がイチコロになる。デンマークでの交通事故による出会いこそ最悪だけれど、一旦自分の気持ちに気づいてからは、だてに100年スケコマシやってないぜと積極性を見せる。彼らの子どもたちの結婚ごっこはどうでも良い。大人のふたりを見ていたいと思わせる。ブロスナンは何をやってもチープさが拭えない人だけれど、この歳になってくると、それが味に変換される。遠目とは言え、ベランダに上半身裸で現れたときの出っ腹はあまりにも衝撃的だったけれど…。

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ティモシーの小さな奇跡

ティモシーの小さな奇跡 “The Odd Life of Timothy Green”

監督:ピーター・ヘッジス

出演:ジョエル・エドガートン、ジェニファー・ガーナー、CJ・アダムス、
   ロン・リヴィングストン、ダイアン・ウィースト、オデイア・ラッシュ、
   ローズマリー・デウィット、リン=マヌエル・ミランダ、コモン、
   M・エメット・ウォルシュ、ロイス・スミス、
   デヴィッド・モース、ショーレ・アグダシュルー

評価:★★




 ティモシーと名乗るその少年は、「鉛筆の町」で工場と博物館で働くグリーン夫妻の前に現れる。若い夫婦は不妊治療が失敗に終わり、子どもを持つことを諦めたばかりだ。嵐の夜、やって来た少年の足首には不思議なことに緑の葉っぱが何枚も生えていた。その上、全身泥まみれ。それもそのはず、彼は裏庭の畑の下から生を受けたのだ。ゾンビかよ!

 『ティモシーの小さな奇跡』という邦題が分かりやすい。少年を迷いなく自分たちの子どもとして受け入れた夫婦とその周りの人々に小さな幸せが降り注ぐ。死にかけた老人が大笑いする。新しい鉛筆のアイデアが顔を出す。博物館長の頑なな心が柔らかくなる。音楽会やサッカーの試合も盛り上がる。日常生活の中に潜む小さな幸せが大切にされ、皆の顔が笑顔になる。人が笑う、何気ないけれど、何物にも代え難いそれを繋げていくのは、なるほどディズニー映画だ。

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May 31 - 2 weekend, 2013

May 31 - 2 weekend, 2013

1 Hannah Arendt|$31,270(1)$31,270
2 The East|$19,258(4)$77,031
3 The Kings of Summer|$14,741(4)$58,962

4 Before Midnight|$13,042(31)$774,083
5 グランド・イリュージョン|$10,002(2925)$29,254,674
6 ワイルド・スピード EURO MISSION|$9,540(3686)$171,003,965
7 Fill the Void|$8,236(6)$150,055
8 アフター・アース|$8,092(3401)$27,520,040
9 シャドー・ダンサー|$5,336(2)$10,672

10 スター・トレック イントゥ・ダークネス|$4,681(3585)$181,537,381

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 パーフェクトボディの持ち主であるアマンダ・セイフライドさんは15歳ぐらいの頃、今よりももっと胸が大きかったそうです。トークショウに出演したセイフライドさんは、当時今よりも大きくて奇麗なバストだったと告白。でもハリウッドに来てダイエットしたところ、DカップがCカップに萎んでしまった模様。ただ、それでも現在もジョギングすると、胸が揺れてあごに当たってしまうようで、じゃあDカップのときは歩くだけで突風が吹いていた可能性がありますネ!ちゅーか、胸って大きさも大切かもしれませんが、形も大事だと思いますよ。美しい形をキープできるよう、ブラジャーには気を遣いましょう。

 Box Office。『ワイルド・スピード EURO MISSION』が公開2週目で興収1億5,000万ドルを突破しました。ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーはこのシリーズにより、あと10年は食っていけるでしょう。まことに羨ましい。一発当てるのが大切なんだなぁ。

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モネ・ゲーム

モネ・ゲーム “Gambit”

監督:マイケル・ホフマン

出演:コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、
   トム・コートネイ、スタンリー・トゥッチ、アンナ・スケラーン、
   クロリス・リーチマン、伊川東吾、ジェラード・ホラン

評価:★★




 『モネ・ゲーム』は邦題通り、クロード・モネの名画「積みわら」に踊らされる人々を描いたコメディ。「泥棒貴族」(66年)のリメイクということは、この際忘れる。連作「積みわら」の一作を何が何でも手に入れたい大富豪から大金をせしめるべく、彼にいつもこき使われている美術鑑定士が、贋作と偽者の所有者を用意する。古めかしくも懐かしくもある設定。ストーリー自体はもろ好みだ。

 それなのにこの映画、全然笑いが弾けない。笑いがまた次の笑いを呼ぶ仕掛けらしきものはたっぷり用意されているのに、何故。原因のひとつは、笑いのワンパターン化だろう。当然のことながら、鑑定士の計画通りに事は進まない。思惑が外れてポカーンと口を開けることしかできない鑑定士を笑う、そのギャグだけで勝負する。その度胸はある意味立派、けれどパンツ一丁のコリン・ファースをホテル中歩き回らせるだけで、10分以上引っ張るってアンタ…。ドリフターズじゃないんだから。いや、ピンク・パンサーの気配も少々…。

 驚くべきことに、脚本を手掛けているのはコーエン兄弟だ。名前を弄ったおかしみはなるほど彼らっぽいし、事態がどんどんわけの分からない方向に転がっていくのも、らしい。しかし、話の展開はやけに幼い。大抵のコーエン兄弟映画は、予想外の先に待っているものまでもが読めなくて、なおかつ奥深いものなのに、ここでは分かりやすい着地点に向かい、それで良しと満足気だ。

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ブルーノのしあわせガイド

ブルーノのしあわせガイド “Scialla!”

監督:フランチェスコ・ブルーニ

出演:ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ、フィリッポ・シッキターノ、
   バルボラ・ボブローヴァ、ヴィニーチョ・マルキオーニ、
   ジュゼッペ・グアリーノ、プリンス・マヌベジヤ、
   アリアンナ・スコンメニャ、ジャコモ・チェッカレッリ

評価:★★★




 主人公のブルーノは元教師で、今はタレントの自伝の執筆(ゴーストライター)と家庭教師(補習塾)により稼いでいる。ある日、ひとりの生徒の母親が彼に告げる。「息子の父親はあなたよ」。そして6カ月、マリに行っている間、彼の面倒を看て欲しいと言う。斯くしてブルーノと彼を父親とは知らない息子ルカ15歳の共同生活が始まる。

 またか…と思う。映画において大変ありふれた設定と物語。ふたりが衝突しながらも、次第に心を通わせていく過程が、「ちょっと良い話」風にまとめられるのだろう。そして案の定、その方向に向かう。平坦で安易、臭い人情話の快感は、自慰行為に似たものに感じられて、どうも気持ちが悪い。

 …なんて構えながら眺めていたのが、あら不思議、次第に心地良く感じられてくるではないか。多分それは、イタリア特有の陽気な空気が理由なのだろう。太陽の照り具合。風の流れ方。空気に含まれる水分。…イタリアのそれらは心を解放に向かわせる。寛容を誘う。問題をちっぽけに見せる。

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ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮

ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮 “En kongelig affære”

監督:ニコライ・アーセル

出演:マッツ・ミケルセン、ミケル・ボー・フォルスガード、
   アリシア・ヴィキャンデル、トリーヌ・ディルホム、デヴィッド・デンシック、
   トーマス・ガブリエルソン、サイロン・メルヴィル、
   ベント・マイディング、ハリエット・ウォルター、ローラ・ブロ

評価:★★★




 デンマークでは誰もが知っている史実を基にしているらしい『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』でいきなり面食らうのは、国王クリスチャン七世の人物造形だ。心を病んでいるという設定のようだけれど、英国から呼び寄せた妻を木の陰から覗き見る登場場面から、ほとんど「バカ殿」にしか見えないのだ。無礼で、気まぐれで、政治のことは無関心で、本当にアイーンと一発カマしそう。演じるミケル・ボー・フォルスガードの掴み所のない所作も顔のパーツが全て中央に寄っているのも奇妙奇天烈。頭にこびりつく。

 マッツ・ミケルセン演じる町医者ストルーエンセはまず、この国王の心を掴む。侍医として宮廷に招かれる。この国王に合う医者などいるのかと思うものの、演劇好きの血が共鳴し合い、アッという間に相思相愛。国王と侍医の間に仄かに同性愛めいた匂いが流れるのが可笑しい。侍医は王の心にぐいぐい入り込む。

 侍医はその上、王妃の心も掴む。王に食って掛かる気の強い王妃を、アリシア・ヴィキャンデルが演じていて、ミケルセンとは親子ほどに年齢が離れているのに、抜群のケミストリーを見せる。ラヴシーンにおけるヴィキャンデルの中の「女」が美しく、いやらしい。ミケルセンは余裕の態度で、王妃を虜にしていく。

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テーマ : 映画感想
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愛しのクイニーアマン

 「クイニーアマン」というパンの名前を覚えたのは、もう10年以上前のことになるだろう。調べてみたところ、どうやら当時はちょっとしたブームが巻き起こっていたらしい。ブームは知らなかったのに何故名前を記憶しているのかというと、懐かしの「ポストペット」を使っていて、うさぎのムーン(名前)のおやつとして入手したからだ。二文字ほど入れ替えたり並べ変えたりしたらデンジャラスな言葉になりそうな点も、記憶に残った理由だと思われる。

 それが今年に入ってすぐ、ひょんなことからクイニーアマンを貰う機会があった。食してみたところ、これがなんともまあ美味しくて美味しくて、ほとんど感激してしまったのだ。近所のスーパーマーケットに入っているパン屋さんで買われたというそのパン、お値段、たったの100円。これはもう、これから週に二回は食べるが良いというお告げであろう。そんな風に張り切っていたところ、ところが、そのパン屋さんが閉店してしまったではないか。一粒の涙がこぼれ落ちる。

 が、あの味をこのまま諦めるのは惜しい。他のパン屋でも焼いているかもしれない。これはもう新たなるクイニーアマンを求めてパン屋巡りするべきではないか。そう思い立ち、実は1月から名古屋駅にあるパン屋を中心にクイニーアマン食べ比べをしていたのだった。クイニーアマン、クイニーアマン、美味しいクイニーアマンよ、寄ってこい。

 色々調べて回ったところ、パン屋にクイニーアマンを置いてある確率は、大体50%ほどだ。値段は150円から250円ぐらいまでまちまち。パン一個に250円というのは、我が金銭感覚からすると高いと感じてしまうのだけれど、もしあの味を得られるのであれば、それぐらいは仕方がない。250円で天国へ行けるのであれば、むしろ安いと言える。地獄に落ちるしかない悪人たちも、250円出せば天国に行けるのだ。

 5月31日現在のWikipediaによると、クイニーアマンは「フランスのブルターニュ地方における伝統的な洋菓子の一種」。名前にはブレイス語でバターの意味があり、「強力粉と薄力粉を混ぜたものにドライイースト、砂糖(グラニュー糖)、塩、バターを加えてブリオッシュ風の生地を作り、冷蔵庫でしばらく寝かせ」て作るとのこと。バターの愉快な匂いに包まれた、甘くて香ばしい味わいを創り出した偉大なる人物は、おフランス人のイヴ=ルネ・スコルディアというパン職人らしい。1860年ぐらいのことらしく、なんと150年も前からおフランス人はクイニーアマンを楽しんでいたのだ。衝撃だ。日本人は饅頭だけで満足している場合ではない。これはもう、エイブラハム・リンカーンと同列に語るべき人ではないか。スコルディアさん、今まで名前を存じ上げなくてアイム・ソーリー。

 調査では、コンビニも含め、約6軒からクイニーアマンを入手することができた。スコルディアさんが生み出した味を再現できているパン屋は(いや、スコルディアさんのクイニーアマンは食べたことがないけど)、その内3軒だ。硬過ぎたり甘過ぎたり、我が舌を満足させられなかったパン屋よ、更なる修行を積むが良い。

 ここでは、及第点のクイニーアマンの中でも、最も美味しかったパン屋を挙げる。じゃじゃーん、No.1は…DONQさんのクイニーアマンです!!!!!

 名駅では近鉄パッセの地下に入っているパン屋さん。神戸に本社があるパン屋さんで、どうやら全国に店舗があるらしい。DONQでは元々のクイニーアマンにカラメルやパイの要素を盛り込んだ「クイニィアマンレテュー」として販売していて、一個252円。特にパイ生地のオリジナリティがよろしい。あまりの美味さに、家族や知り合いに次々差し入れをしたのだけれど、差し入れた先では毎度感動の嵐が吹き荒れていた。そうでしょう、そうでしょう。これがクイニィアマンレテューの実力ですよ。

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