ヒステリア

ヒステリア “Hysteria”

監督:ターニャ・ウェクスラー

出演:ヒュー・ダンシー、マギー・ギレンホール、ジョナサン・プライス、
   フェリシティ・ジョーンズ、ルパート・エヴェレット、シェリダン・スミス、
   アシュリー・ジェンセン、ジェマ・ジョーンズ

評価:★★




 どんなものにも始まりというものがある。当たり前のように使っている道具でも、それを発明した人がいて、広めた人がいて、受け入れた人がいる。現代社会、ただの一度もお世話になったことのない人は僅かだと思われる「電動式マッサージ器」も例外ではない。堅苦しいか。はっきり書くと「ヴァイブレーター」、大人のおもちゃのことだ。

 『ヒステリア』は1,880年英国を舞台に、その誕生秘話を取り上げた喜劇だ。こんなに面白そうな題材を持ちながら、しかしその煮込みは半端に済まされる。道具が出来上がる件はあっさり処理されてしまうし、途中から「女性の権利」「女性の解放」を掲げた話に移行するのも全く説得力に欠ける(それまで女性の性欲はどう処理されていたと考えているのか)。ロマンティック・コメディ要素が組み込まれるのも、あまりに強引だ。

 けれど、愛敬は具えている。くりくりオメメのヒュー・ダンシー演じる青年医師は、大真面目な顔をして「治療」を施す。ヒステリーという名の病気だと診断された女たちの、身も蓋もない言い方を選ぶなら、女性器のマッサージがそれだ。女たちは若いのも老いたのも、恍惚の表情を浮かべる。そして喘ぐ。悦びに耽る。クソマジメなダンシーは、決してそれに動じない。欲情一切なし。照れもなし。ホントかよ!直接触れているのに?!真面目に取り組み過ぎて、黄金の右手が腱鞘炎になってしまうのが可笑しくて可笑しくて…。

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May 24 - 27 weekend, 2013

May 24 - 27 weekend, 2013

1 Before Midnight|$61,195(5)$305,975
2 ワイルド・スピード EURO MISSION|$31,995(3658)$117,036,995
3 Fill the Void|$26,701(3)$80,104
4 ハングオーバー!!! 最後の反省会|$14,138(3555)$62,051,829

5 スター・トレック イントゥ・ダークネス|$12,078(3907)$156,013,879
6 Frances Ha|$11,404(60)$888,912
7 Epic|$11,031(3882)$42,820,971
8 アイアンマン3|$7,212(3424)$372,775,931
9 What Maisie Knew|$6,795(27)$301,333
10 華麗なるギャツビー|$5,510(3090)$117,754,209

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 レオナルド・ディカプリオさんの隣に座って宇宙へ旅行できる権利がフランス、カンヌで開かれたチャリティ・オークションに出品され、120万ユーロ(約1億5,600万円)で落札されました。オークションの目録には「あるゲストとの生涯に一度の宇宙の旅」とだけ書かれていたそうで、ふむ、これはある意味ギャンブル!ディカプリオさんで良かった、ラッキー!…と思ったかどうかは、落札したというロシア人男性37歳に聞かないとワカリマセン。個人的に宇宙には興味あるのですが、行きたいとは思わないんだよなー。ディカプリオさんが横にいても、緊張しちゃって全然喋れないと思うし…。ちゅーか、120万ユーロって!

 Box Office。『アイアンマン3』が公開4週目で興収3億5,000万ドル、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』が2週目で1億5,000万ドル、『華麗なるギャツビー』が3週目で1億ドルを超えました。『ギャツビー』は現在日本で、「WHO IS YOUR GATSBY ~ギャツメンを探せ~」なるキャンペーンが展開されています。ジェイ・ギャツビーみたいな男を選ぶコンテストの模様。自分とは全く無縁のコンテストだということははっきり分かります。コスメ・ブランドのGATSBYの商品ならいくつか使っているんですけど…。

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陰謀のスプレマシー

陰謀のスプレマシー “The Expatriate”

監督:フィリップ・シュテルツェル

出演:アーロン・エッカート、オルガ・キュリレンコ、リアナ・リベラト、
   アレクサンダー・フェーリング、ニール・ネイピア

評価:★★




 まず思い出したのは、「フォーガットン」(04年)や「フライトプラン」(05年)だ。前者は人生から丸々息子が消え、後者は飛行機の中で息子が蒸発する。ちょっと前まで確かに目の前にあった存在を、自分以外の人間が認めない。もしかして自分がおかしくなったのか。ここではもっととんでもないものが消える。自分が勤めていた会社だ。数時間前まであったオフィスごと消失。上司も同僚もどこ行った!?働かなくて良くなった!とは喜ばない。バカバカしいけれど、映画なのだからこれぐらいの大きなホラでも無問題。

 ムード自体は「ボーン・アイデンティティー」(02年)に通ずるものがある。主な舞台がヨーロッパ、ベルギーのブリュッセルで繰り広げられるし、アクション場面のカットの畳み掛け方もそう。基本的に自分以外信じられないという状況下も、主人公がCIAらしくプロらしい仕事ぶりを見せるのも意識しているところがあるのではないか。

 終幕の展開はもろ「96時間」(08年)だ。愛する娘を誘拐された主人公が怒り沸騰、娘を助けられればそれで良いとばかりに暴走を始める。父親と娘の間に流れる複雑な感情を予想以上に主張するあたりが、物語のくすぐりになっている。結局想い合っているふたりというのも予想通り。

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アルティメット・ファイター

アルティメット・ファイター “Fighting”

監督:ディト・モンティエル

出演:チャニング・テイタム、テレンス・ハワード、ルイス・ガスマン、
   ズライ・エナオ、ブライアン・ホワイト、フラコ・ナバハ、
   アンソニー・デサンド、ロジャー・グーンヴァー・スミス

評価:★★★




 『アルティメット・ファイター』はある種のアメリカン・ドリームを描いた映画と言って良いのかもしれない。アラバマからニューヨークに出てきたは良いものの、模造品を路上で売ることで小銭を稼いで生きているホームレスの青年が、格闘技の世界で才能を開花させていく。格闘技と言っても華やかなものではなく、アンダーグラウンドのそれであるところがポイントだ。いくら勝ち進んでも、大々的に世間に認められるようなことはない。

 金を稼ぐために身体を捧げる男たちの死闘が見所であることは言うまでもない。銃だとか爆弾だとかナイフだとか、映画で呆れるほど見せられる武器を持つことなく、己の身ひとつで戦いに挑む男たちは、装飾を剥ぎ取られた魂のようにも見える。とりわけ心優しき主人公はその感が強い。教会やコンビニ、豪邸、レストラン、高層ビルの屋上…試合が行われる場所が毎度違っているのも雰囲気が変わって良い。ストリングスや太鼓、笛といった格闘技には不釣り合いの楽器による音楽が流れるのも面白い。

 負け犬人生だった青年が、思いがけず自分の居場所を見つける。新しい恋にも出会う。けれど問題に直面し、しかし何とかそれを乗り越えようともがく。物語自体に目新しさはないものの、その背景となるニューヨークの風景が魅力的な表情を見せるのに注目だ。とりわけ夜の街が印象に残る。ネオン、街灯等の明るい光も、人々の会話も、タクシーの流れも、路地裏の佇まいも、皆寂しげだ。人は孤独な生き物。最終的にはひとりで生きていくしかないという真実が痛いほどに浮上している。ロサンゼルスではこうは行かない。

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死霊のはらわた

死霊のはらわた “Evil Dead”

監督:フェデ・アルヴァレス

出演:ジェーン・レヴィ、シャイロー・フェルナンデス、
   ジェシカ・ルーカス、ルー・テイラー・プッチ、エリザベス・ブラックモア、
   ランダル・ウィルソン、ブルース・キャンベル

評価:★★★




 とにかく悪魔にとり憑かれた女のメイクが怖いのなんの。見るからに何かに呪われている顔色。獣のように光る眼。濡れた髪を振り乱し、全身泥塗れ・血塗れになりながら襲い来る。派手なアクションも怖いけれど、物陰からそっと覗き見ているショットがキテいる。真夜中、突然この顔が目の前に現れたら、小便を漏らさないのは難しいだろう。

 オリジナル(81年)の登場から22年目にしてリメイクされた『死霊のはらわた』で最も讃えられるべきは、この憑かれた女の容姿をメイキャップにより表現したところだ。視覚効果はそこそこに、メイクを施された俳優の演技を基本に恐怖を魅せる。したがって超常現象が炸裂するような画はあまりないものの、白い肌をひりひり焼くような、鋭利なナイフで肌を裂くような、痛覚を刺激する恐怖が詰め込まれる。ホンキだ。ホンキでチビらせる気だ。

 そう、作り手はホンキになっている。ホンキで怖がらせに来ている。オリジナルは低予算ゆえのチープさが溢れていたし、サム・ライミ監督特有の悪乗り・悪趣味が愉快な味つけに繋がっていたけれど、ここにはそういうユーモラスなものを注ぎ込む余地はない。昨今流行りの方式だし、これはこれでありだと思う。けれど、ホラーと笑いはセットであってこそ、と考える者にはちょいと寂しい。

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ビトレイヤー

ビトレイヤー “Welcome to the Punch”

監督:エラン・クリーヴィー

出演:ジェームズ・マカヴォイ、マーク・ストロング、ピーター・ミュラン、
   アンドレア・ライズボロー、ジョニー・ハリス、ダニエル・メイズ、
   デヴィッド・モリッシー、ジェイソン・フレミング、エリス・ガベル、
   ダニエル・カルーヤ、ルース・シーン、ロバート・ポータル

評価:★★




 オープニングのアクションシークエンスが面白い。スタイリッシュな画面に突如アナログな魅力がこぼれて。犯罪グループが襲うのは、近未来を思わせるガラス張りの高層ビル。既に現金の強奪は済んでいる。ビル内にガスを流して警備員を眠らせるというベタな技を使い、後は逃走するだけ。闇夜を青い光が照らし、低音が響く音楽が流れる中、一味がバイクに乗り込む。これが中古屋で調達しました的な庶民臭さを具えていて、それなのにウィリーをカマす。その上、スーツに普通のカバンをリュックサック風に背負い、顔にはガスマスクというファッションだから堪らない。

 この奇妙な味わいはしかし、『ビトレイヤー』が目指したものではないらしい。その後は洗練を狙うことに熱心になるあまり、腹にガツンと来るようなざらついた感触を持ったアクションは封印される。スローモーションや突然のクローズアップが気恥ずかしい。オープニングのユーモラスな画面設計は、偶然の産物と見るのが妥当だ。

 物語はつまらない。中心に置かれる犯罪が、政治や警察の腐敗に繋がるというありきたりなものに終わっている。法を犯しそうにない者が実は悪人…というワンパターンのどんでん返しに頼る。基盤の弱さが露呈している。

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L.A. ギャング ストーリー

L.A. ギャング ストーリー “Gangster Squad”

監督:ルーベン・フライシャー

出演:ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ショーン・ペン、
   ニック・ノルティ、エマ・ストーン、アンソニー・マッキー、
   ジョヴァンニ・リビージ、マイケル・ペーニャ、ロバート・パトリック、
   ミレイユ・イーノス、サリヴァン・ステイプルトン

評価:★★




 不謹慎にもオープニングシーンに興奮する。1949年のロサンゼルスを牛耳っていたミッキー・コーエンが、ハリウッドの丘に立つ。目的はヘマをやらかした小者の処刑だ。そのやり口が強烈なのだ。手と足を鎖で納豆風に縛り上げる。鎖が繋ぐ先にあるのは車だ。怒りが頂点に達したコーエンは、静かに命令を下す。車が全速力で走り出し、身体が引き千切られる。バラバラになった身体をコヨーテが美味そうに喰う。

 思うにギャング映画で最も重要なのは、役者の顔だ。軟弱な顔が出てきてしまっては、全然気分が出ない。その点、『L.A. ギャング ストーリー』は優秀だ。コーエンを演じるのはショーン・ペンだ。このところ演技過剰が目立つペンだけれど、ここでは大芝居、大いに結構。存分にやってこそ輝くキャラクターだ。コーエンは単なる悪党ではない。その支配力は警察にも裁判所にも及ぶ。企業家としても絶大なる影響力を持つ。映画スター以上に時代のカリスマと言って良い。ペンが顔面を捩じれば捩じるほどに画面が活気づく。

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May 17 - 19 weekend, 2013

May 17 - 19 weekend, 2013

1 Frances Ha|$34,350(4)$137,398
2 スター・トレック イントゥ・ダークネス|$18,140(3868)$83,701,981

3 アイアンマン3|$8,442(4237)$337,661,977
4 What Maisie Knew|$7,999(4)$101,900
5 華麗なるギャツビー|$6,743(3550)$90,682,832
6 愛さえあれば|$3,132(22)$172,127
7 The Iceman|$2,813(165)$762,885
8 Augustine|$2,723(5)$13,616
9 コン・ティキ|$2,576(61)$419,738
10 Mud|$2,322(960)$11,656,971

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 日本の女子高生の投稿が発端だったという吹っ飛び写真ブームに、ジェシカ・アルバさんが乗っかって話題になっています。最初の吹っ飛び写真は、漫画「ドラゴンボール」に出てくるかめはめ波や魔貫光殺砲により吹っ飛んでいる瞬間を捉えたものでした。アメリカでは格闘ゲーム「ストリートファイター」の波動拳ヴァージョンが人気になっているそうな。アルバさんは彼女の夫役でしか見かけたことのないキャッシュ・ウォーレンさんとそれに挑戦し、見事な吹っ飛び場面を再現しています。おそらくキャリア最高の、渾身の出来映えじゃないでしょうか。ウォーレンさんも大股を開いてノリノリ。そんなことをしている暇があるなら仕事を探しなさい、なんて言ってはいけません。多分。夫婦仲が良くて何よりです。

 Box Office。公開3週目の『アイアンマン3』が興収3億ドルを超えました。一作目のプロジェクトがスタートしたとき、密かに「アイロンマン」と読んでいたのはここだけの話。どうでもいいですが、アイロンをかけるの、大好きです。

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アイアンマン3

アイアンマン3 “Iron Man 3”

監督:シェーン・ブラック

出演:ロバート・ダウニー・ジュニア、グウィネス・パルトロウ、
   ドン・チードル、ガイ・ピアース、レベッカ・ホール、
   ジェームズ・バッジ・デイル、ジョン・ファヴロー、
   ステファニー・ショスタク、ベン・キングスレー、マーク・ラファロ

評価:★★★




 今更ながら思うのは、マーヴェルが生み出したヒーローの世界は繋がっているということだ。キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイ…「アベンジャーズ」(12年)では遂に共闘が実現したのも記憶に新しい。彼らは同じ世界に生きている。別にエンドクレジット後に、ゲスト出演があるからというわけではない。

 …とわざわざ断わったのは、「アベンジャーズ」の根底にあった精神の健全性が、受け継がれていることを感じる場面が多かったからだ。ヒーローもまたひとりの人間だ。頭脳明晰でも特殊能力を持っていても苦悩する。アイアンマン=トニー・スタークは「アベンジャーズ」の戦いにより自分こそが最強の存在ではないことを思い知り、パニック発作まで引き起こす。彼は一体、それをどう乗り越えるだろうか。『アイアンマン3』のテーマだ。

 アイデンティティーの問題に落ち込んだスタークを救うのが、子どもというのが嬉しくなる。テネシーの雪の町に住む少年との出会いがスタークの闘志を再点火させる。自分を理解してくれる人の一言が、彼を窮地から救い出す。この流れが好もしいのは、ヒーローが、アイアンマンが子どもにとって憧れの存在であるということを思い起こさせてくれるところだ。そうだ、ヒーローはヒーローでなければならない。辛くてもヒーローでなければならない。それでこそヒーローだとエールを贈る。そして子どもは、いつしか大人になる。そう、我々はずっと前、確かに子どもだった。

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ラストスタンド

ラストスタンド “The Last Stand”

監督:キム・ジウン

出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、ジョニー・ノックスヴィル、
   フォレスト・ウィテカー、ロドリゴ・サントロ、ジェイミー・アレクサンダー、
   ルイス・ガスマン、エドゥアルド・ノリエガ、ピーター・ストーメア、
   ザック・ギルフォード、ジェネシス・ロドリゲス

評価:★★★




 頼んでもいないのに「アイル・ビー・バック」と宣っていたアーノルド・シュワルツェネッガーが、律儀にも帰ってきた。主演作に限れば「ターミネーター3」(03年)以来、実に10年ぶりだ。けれど期待などできるはずもない。「エクスペンダブルズ2」(12年)で足腰の弱りようを見せられたばかりなのだから、当然だ。一時引退したことで、身体がめっきり老け込んだ。このまま隠居して、健康生活を送ってくれた方がホッとするというものだ。

 ところが、どうやら作る側もシュワルツェネッガーの肉体の弱体化には気づいたらしい。「しまった。シュワルツェネッガーがジイサンになっている!」。が、そこはしたたか。それを逆手に取って、老いが表面化した保安官という役どころを用意。ジイサン、まだまだ頑張りまっせ!その姿を売りにする。ちょっと前のクリント・イーストウッド映画式作法だ。それに撮影にも大いに気遣いが感じられる。シュワルツェネッガーの下半身がほとんど映らないのだ。映っても一瞬か遠くからか、或いは静止させたまま動かさないか。下半身が頑丈でないと、アクションは見映えが悪くなる。それを知っている人の演出だ。

 韓国で腕を磨いたというキム・ジウン監督の演出の冴えは他にも見られる。FBI監視下からの麻薬王の脱出劇は、前半の見せ場だ。巨大磁石を用いた護送車ごとの吊り上げ。オランダのサッカーユニフォームを散りばめた替え玉逃走。検問を突破するときの三段階作戦。ヘリコプターを撒くときのスピード調整。悪役の知恵というものが輝く。麻薬王を演じるエドゥアルド・ノリエガのセクシーなスパニッシュアイも大いにプラスだ。

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ハッシュパピー バスタブ島の少女

ハッシュパピー バスタブ島の少女 “Beasts of the Southern Wild”

監督:ベン・ザイトリン

出演:クヮヴェンジャネ・ウォレス、ドワイト・ヘンリー

評価:★★★★




 物語の舞台となるバスタブは湿地帯にある。鬱蒼と生い茂る草木。見慣れぬ生き物が普通に生きる沼地。ちょっと歩けば泥が身体にこびりつく大地。鬱陶しいほどに飛び回る昆虫。喰う寝るを繰り返しながら戯れる家畜。大木の上に作られた家。そこにある必要最小限の生活道具。整理はされていない。当然暮らしは原始的になる。はっきり言って、衛生的ではない。ちょっと外れたところから、土手の上に工場が見えるのがシュールだ。

 けれど奇妙に惹きつけられる。自分ならばせいぜい一日ぐらいしか生きられないだろうと承知しつつ、それでもこの場所が放つ匂いに抗えない。ここには文明社会の装飾を剥ぎ取った姿がある。剥き出しになるのは、「生」と呼ばれるものに違いない。限りなく純粋に近い。その音が静かに聴こえてくる。

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17歳のエンディングノート

17歳のエンディングノート “Now Is Good”

監督:オル・パーカー

出演:ダコタ・ファニング、ジェレミー・アーヴァイン、パディ・コンシダイン、
   オリヴィア・ウィリアムス、カヤ・スコデラー・リオ

評価:★★★




 自分が死ぬと分かったら、そのときを迎えるまでどうして生きたら良いのか。この問い掛けはよほど人の心を捉まえて離さないものらしい。難病映画の多くがそれをテーマに話を展開させるし、「死ぬまでにしたい10のこと」(03年)「最高の人生の見つけ方」(07年)「私だけのハッピー・エンディング」(11年)等そのままズバリ、やりたいことリストを作る映画もわんさかある。生きるって素晴らしい!自分らしくいるって最高!…というお馴染みの結論を導くのが常だ。

 『17歳のエンディングノート』もそのまんまな映画だ。17歳の少女が白血病で余命を告げられる。この手の映画が嫌なのは、泣かせを感動と勘違いした作法が目立つからだ。案の定この映画も、その方向に向かう。後半、いよいよ死期が迫ったときの泣かせ攻撃には思わずため息が漏れる。

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ジャッキー・コーガン

ジャッキー・コーガン “Killing Them Softly”

監督:アンドリュー・ドミニク

出演:ブラッド・ピット、スクート・マクネイリー、ベン・メンデルソーン、
   リチャード・ジェンキンス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、
   レイ・リオッタ、サム・シェパード、ヴィンセント・カラトーラ

評価:★★★




 裏社会、ある組織の賭場がストッキングを被った二人組の男に襲われる。かつてそこでは雇われ支配人が狂言強盗を働いたことがあり、今度もまた、彼の仕業に仕向けようという二人組の思惑が働いている。襲撃は成功する。組織が動く。凄腕の殺し屋ジャッキー・コーガンが雇われる。真相が静かに探られる。

 …という出足の部分だけで、クールな犯罪スリラーを想像する。それに見合った画面が出てきて興奮する。アンドリュー・ドミニク監督ならではの美意識が煌く。冷静なカメラワークや光や闇の切り取りが冴える。殺しの場面には特に力が入られる。スローモーション。生き物のように映る雨や血。聴覚を刺激する音響。殺し屋を演じるのが顔に疲れが出てきたブラッド・ピットで、肩の力の抜け具合が悪くない。

 けれど、『ジャッキー・コーガン』の真の面白さは別のところにある。ポイントになるのは、2008年という背景だ。ウォール街から始まった経済危機が深刻な影を落とし、アメリカ中が大統領選挙に沸いているとき。庶民の暮らしは打撃を受け、心は弱くなり、希望を見つけようと誰もがもがいている。そしてそれは、裏社会もまた例外ではないということが大いに意識されていて、その空気感は犯罪スリラーというよりむしろ、ブラック・コメディと呼ぶに相応しい。

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May 10 - 12 weekend, 2013

May 10 - 12 weekend, 2013

1 アイアンマン3|$17,053(4253)$284,946,699
2 華麗なるギャツビー|$14,169(3535)$50,087,184
3 What Maisie Knew|$8,187(3)$55,712
4 The Iceman|$6,580(17)$239,392
5 コン・ティキ|$3,852(22)$225,497
6 愛さえあれば|$3,718(10)$88,164
7 Mud|$2,976(852)$8,555,621
8 Peeples|$2,259(2041)$4,611,534
9 In the House|$1,795(34)$222,545
10 Renoir|$1,748(86)$1,291,576

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 浮気騒動後も結局別れることなくずるずる関係を続けているせいか、バカップルの匂いが濃くなってきたロバート・パティンソンさんとクリステン・スチュワートさんですが、彼らには共通の趣味があるそうです。どちらもカラオケが大好きだそうで、最近パティンソンさんはスチュワートさんのためにカラオケマシーンを購入したのだとか。そのマシーンはミニステージ、スクリーン、ミラーボール付きのものとのことで、ふむ、そういうのがちゃんと置けるスペースがある家に住んでいるところが、スターであります。足の踏み場のない部屋に住んでいる庶民とは違うわー。ちなみにパティンソンさんが最も得意とする楽曲は、ロビー・ウィリアムスさんの「Angels」だとか。歌詞の意味を考えると、スチュワートさんにこの曲を歌ってあげるのはやめた方が良いかもよ。

 Box Office。公開2週目の『アイアンマン3』が興収2億5,000万ドルを突破しました。今回アイアンマンのスーツ装着シーンを見て、なんとなく思い出したのが「ヤッターマン」だったりします。いや、全然違うんですけど…。変身シーン、好きだったな。出動場面で乗り込む動物型のメカも、その口から出てくるビックリドッキリメカも好きだったな。「キューティーハニー」と並び、もう一度見たい懐かしのアニメーションです。

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ルビー・スパークス

ルビー・スパークス “Ruby Sparks”

監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス

出演:ポール・ダノ、ゾーイ・カザン、アネット・ベニング、
   アントニオ・バンデラス、スティーヴ・クーガン、エリオット・グールド、
   クリス・メッシーナ、アーシフ・マンドヴィ、トニ・トラックス

評価:★★★




 スランプ中の若い作家が創造した小説のヒロインが、現実の世界に現れて作家と恋に落ちる。モテない男子の妄想のような設定。作家を演じるのが、オタク的容姿をしたポール・ダノだからホッとする。まんまるの顔。のび太風メガネ。ひょろひょろの身体と長い手足。おどおどした振る舞い。恋愛偏差値は間違いなく低そうなダノだから、男にとって都合の良い展開でも寛容な気分で見ていられる。イタイと言うか、怖いと言うか、身近にいそうな人物像。

 けれどやっぱり、『ルビー・スパークス』のポイントとなるのは、理想の女の子として登場するタイトルロールを演じる女優だろう。脚本も手掛けたというゾーイ・カザン(なんとエリア・カザンの孫娘だ)は「中の上」ぐらいの容姿で、安心感を抱かせてくれるのがイイ。茶色の髪。ブルーの目。人懐っこい笑顔。肌は適度に露出気味。ご近所で住んでいそうな、ちょっと頑張れば手が届きそうな、男を顔だけで判断するようなことのなさそうな、案外貴重な親しみやすさだ。

 作家の妄想は暴走気味だけれど、これがなかなか男心を突いたもので苦笑い。初めて家に現れるとき、自分のシャツをパジャマ代わりに着て(もちろん彼女が着るとだぼだぼ)、起きてきたばかりの自分を迎えるなんていうベタなシチュエーションが可笑しい。チェリーピンクやコバルトブルー、ロイヤルブルーといったヴィヴィッドカラーの洋服で着せ替えごっこ。性格も良くて、甘え上手。作家は当然のようにお調子こいて、彼女を自分好みに書き換えていく。男って、男って…。

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カルテット! 人生のオペラハウス

カルテット! 人生のオペラハウス “Quartet”

監督:ダスティン・ホフマン

出演:マギー・スミス、トム・コートネイ、ポーリーン・コリンズ、
   ビリー・コノリー、マイケル・ガンボン

評価:★★




 どうやらその老人ホームは街中から離れた田園地帯にあるらしい。自然がたっぷり残る静かな環境の中、ホームは凛とした雰囲気を守って建っている。品の良いカーテンを通して届く、優しい陽射し。曲線豊かな建築構造に、丸味を帯びたテーブルや椅子。ふかふかのソファやベッド。主張し過ぎない鏡や絵画、スタンドライト。壁紙は淡い色で、インテリアの多くは落ち着いた茶色になっている。スタッフは皆親切で、そこに住む者たちは自由気ままにやりたいことをしている。あぁ、なんと心地良い空間。そして思うのは…。

 思うのは一体全体、いくら払えば入居できるのだろうという身も蓋もない疑問だ。けれど、そんなことを言ったら、ダスティン・ホフマン監督は哀しむだろう。泣いちゃうかもしれない。ホフマンが目指したのは、世間の中心から遠くに離れて生きる老人たちに光を当て、その逞しい佇まいを讃えることなのだから。ホフマンの登場人物たちへの視線に嫌味はない。彼らへの敬意こそ命、みたいな。

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天使の分け前

天使の分け前 “The Angels' Share”

監督:ケン・ローチ

出演:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショウ、ガリー・メイトランド、
   ウィリアム・ルアン、ジャスミン・リギンズ、ロジャー・アラム、
   シヴォーン・ライリー、チャーリー・マクリーン

評価:★★★




 青年は暴力沙汰を起こして少年刑務所に入っていた。子ども時代は父や母の愛をまともに受けた記憶がない。恋人の家族とは折り合いが良くない。赤ん坊が生まれたのは嬉しいけれど、仕事の当てはない。寝場所の確保のために友人宅を転々としている。さらには昔から仲の悪い奴等に、相変わらず目をつけられている。どうして生きていけばいい。お先真っ暗だ。

 …というわけでスコットランド、グラスゴーを舞台にした『天使の分け前』はいかにもケン・ローチらしい主人公像になっている。ところが、作品から受ける印象はいつもとはちょいと違う。現実をとことん追いかけて、希望を木っ端微塵に打ち砕くような、頭でっかちなことはなされない。意外や、喜劇色が強いのだ。冒頭、無人駅での迷惑行為場面から笑いがふんだんに意識されている。それどころか、光まで見える。それで良いのか、ローチ!

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ホーリー・モーターズ

ホーリー・モーターズ “Holy Motors”

監督:レオス・カラックス

出演:ドニ・ラヴァン、エディット・スコブ、エヴァ・メンデス、
   カイリー・ミノーグ、エリーズ・ロモー、ミシェル・ピッコリ、
   ナースチャ・ゴルベワ・カラックス、レダ・ウムズンヌ

評価:★★★★




 物語を追い掛けることに必死になると、わけが分からなくなる。主人公の初老の男は銀行家として家を出ながら、しかし向かう先は銀行ではない。女ドライヴァーのいる真っ白なリムジンに乗り込んで始めることと言ったら、特殊メイクを施した変装だ。別人に化けた男は到着したパリの道端で、物乞いの老婆として時間を過ごす。リムジンに戻ると、今度はモーションキャプチャーのパフォーマーへと姿を変える。しかもこれを、一日かけて何度も繰り返す。

 まず、何と言っても、現実と夢の境を揺らめく空間が魅惑的だ。男は変装を変える度、まるで異なる場所に姿を現す。けれどそれらは、夢現という言葉で繋がっている。細部まで豊かな美術。光と影をくっきりと捉える撮影。極力排除された音。…どこででも見かけそうで、けれどどこかからくり屋敷めいた空間。果たして今見えているものは現実のものだろうか。

 何人もの別人に扮装していく主人公の姿からは、人は誰しも仮面を被り、幾通りもの人生を歩んでいることを読み取ることが可能だ。しかし、それで終わっては味気ない。当たり前が過ぎるのではないか。『ホーリー・モーターズ』はレオス・カラックスが、映画という芸術を考察した作品として観るのが、断然面白い。

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リンカーン

リンカーン “Lincoln”

監督:スティーヴン・スピルバーグ

出演:ダニエル・デイ=ルイス、トミー・リー・ジョーンズ、サリー・フィールド、
   ジョセフ・ゴードン=レヴィット、デヴィッド・ストラザーン、
   ジェームズ・スペイダー、ハル・ホルブルック、ジョン・ホークス、
   ジャッキー・アール・ヘイリー、ブルース・マッギル、ジョセフ・クロス、
   ティム・ブレイク・ネルソン、ジャレッド・ハリス、リー・ペイス、
   グロリア・リューベン、マイケル・スタルバーグ、ルーカス・ハース、
   デヴィッド・オイェロウォ、S・エパサ・マーカーソン

評価:★★★




 エイブラハム・リンカーンと言えば、第16代アメリカ合衆国大統領だ。今なお、最も愛されているリーダーと言われる。『リンカーン』は彼を主人公に置いた史劇で、となると警戒心が働くのも仕方がないだろう。歴史に名を刻む、知らぬ者がいない偉大なリーダー。その功績を並べ立てたり、美談集としてまとめ上げたり、偉人を不自然なほどに崇めたり…危険な罠はごろごろ見受けられる。

 スティーヴン・スピルバーグ監督は罠を切り抜ける。いや、偉人伝の沼に僅かにハマったように思われもするのだけれど、そのままずるずると引きずり込まれるようなことにはならない。伝記映画にしなかったのが正解だ。晩年の大仕事である奴隷制度の廃止の中でも、合衆国憲法修正第13条の可決に向けての攻防に絞ることで、物語を引き締めている。

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May 3 - 5 weekend, 2013

May 3 - 5 weekend, 2013

1 アイアンマン3|$40,946(4253)$174,144,585
2 The Iceman|$21,987(4)$87,946
3 What Maisie Knew|$21,480(1)$21,480
4 愛さえあれば|$9,187(4)$36,746

5 コン・ティキ|$5,293(14)$107,273
6 Cinco de Mayo: La batalla|$4,179(20)$83,586
7 Mud|$3,751(576)$5,168,217
8 The Reluctant Fundamentalist|$2,464(35)$129,979
9 Pain & Gain|$2,285(3287)$33,830,390
10 In the House|$2,138(22)$137,804

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 デミ・ムーアさんの元に桜満開の春がやってくるかもしれません。現在50歳のムーアさんと交際が噂されているのは、ハード・ロック社御曹司にしてレストランを営むハリー・モートンさん。モートンさんは32歳ということで、ムーアさんが年下好きであることは間違いないと思われます。しかーし!それよりも面白いのは、モートンさんがムーアさんの娘であるルーマー・ウィリスさんの元交際相手であるということです。ウィリスさんは嫌がっているそうですが、そりゃそうでしょう。モートンさんはプレイボーイとしても知られているそうで、交際が本当なら、今後どろどろしたものが見られる可能性大。どうぞこじれちゃって下さい。ひゃっほう。

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コズモポリス

コズモポリス “Cosmopolis”

監督:デヴィッド・クローネンバーグ

出演:ロバート・パティンソン、ジュリエット・ビノシュ、サマンサ・モートン、
   サラ・ガドン、ポール・ジャマッティ、マチュー・アマルリック、
   ジェイ・バルチェル、ケヴィン・デュランド、
   ケイナーン、エミリー・ハンプシャー

評価:★★




 俺は気に入った絵画があれば、美術館ごと買い上げる金を持っている。顔も整っているし、体格も悪くない。目をつけた女も抱き放題だ。つまりこの世は俺のものだ。白いリムジンはもうひとつの家だ。この中から部下を、会社を、世界を操作する。簡単なことだ。なのに、あぁ、何故こんなに虚しいんだ…。

 『コズモポリス』の主人公の心の叫びは…何と言うか、実に分かりやすい。資本主義社会の恩恵を十分過ぎるほどに受けながら、皮肉なことに、だからこそ人生が虚無感に包まれていくという、大変“真っ当”な闇に呑まれていく。満ち足りているのは人生の外観だけ。青年じゃなくても、案外見かける贅沢な苦悩でしかない。

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ザ・ワーズ 盗まれた人生

ザ・ワーズ 盗まれた人生 “The Words”

監督:ブライアン・クラグマン、リー・スターンサール

出演:ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・アイアンズ、デニス・クエイド、
   オリヴィア・ワイルド、ゾーイ・サルダナ、ベン・バーンズ、
   ノラ・アルネゼデール、ジョン・ハナ、J・K・シモンズ

評価:★★




 ブラッドリー・クーパーが演じるのは売れない作家だ。新婚旅行先のパリで彼は、新妻と一緒に入った骨董品屋で古びたバッグを手に入れる。ニューヨークで彼はバッグの中から素晴らしく描き込まれた誰かの原稿を発見。それを自分名義の小説として発表、瞬く間に富と名声を得る。その彼に老人が近づき、小説は自分が書いたものだと告げる…。

 盗作した男と本物の作者。作者は小説家を強請りに来たのだろうか。どう考えてもスリラーになりそうな展開だけれど、『ザ・ワーズ 盗まれた人生』はしかし、そちらの方向に背を向ける。何しろ小説家はすぐに自分の非を認める。妻に真実を告白する。出版社にも謝罪する。本物の作者に償いをしようとする。

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ダーク・タイド

ダーク・タイド “Dark Tide”

監督:ジョン・ストックウェル

出演:ハル・ベリー、オリヴィエ・マルティネス、ラルフ・ブラウン、
   ルーク・タイラー、マーク・エルダーキン

評価:★




 作中、最もデンジャラスなのは凶暴なサメではなく、ハル・ベリーのボディだ。簡単に折れてしまいそうに細い身体なのに、出るべきところはめりはりたっぷり。褐色の肌も実にセクシー。40代半ばだなんて、奇跡だ。この美貌により男たちを殺すことさえ可能だろう。女たちは今すぐ、毎日どんなエクササイズをしているのか、探りを入れるべきだ。肌を露出することに抵抗がないようなのも、頼もしい。

 ただし、海に潜るときはボディスーツを着用しなければならないのは誤算だった。ビキニスタイルは地上だけ。水に浸かるときは、色気も何もあったものではない、真っ黒のウェットスーツ。そしてゴーグル。スピードスケートの選手じゃないんだからさー。顔すら判別不能では、話にならん。

 どんな映画でも選べそうなベリーなのに、サメ映画を選ぶとは立派じゃないか。…なんて思っていたのだけれど、この『ダーク・タイド』、目指しているのはどうもB級ホラーなんかではないらしい。何しろサメがベリーとその周辺人物たちを襲うのは、オープニングとクライマックスのみ。後は大変お行儀良い立ち振る舞いで泳いでいる。どこからどう見ても悪人面なのに、良いんかそれで!

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サイレント・ハウス

サイレント・ハウス “Silent House”

監督:クリス・ケンティス、ローラ・ラウ

出演:エリザベス・オルセン、アダム・トレーズ、ヘイリー・マーフィ、
   エリック・シェファー・スティーヴンス、ジュリア・テイラー・ロス

評価:★★




 最近はホラー映画の製作にも苦労の跡が見えるものが多い。ファンも目が肥えてきたから、二番煎じ映画には小煩くなる。ドキュメンタリー風に見せるのはすっかり定番だし、オバケ屋敷スタイルもまたかと思われて終わりだ。そこでそのふたつを組み合わせてみたのが『サイレント・ハウス』だ。85分間ずっとカメラを回し続ける、ドキュメンタリー風オバケ屋敷映画。こりゃ新しいものが生まれるぞ!作り手の鼻息が荒い。どっこい、実はウルグアイ映画のリメイクというのは、この際忘れようじゃないか。

 基本は家の中に潜む何者かが、ヒロインとその父と叔父を襲うというもの。光の射し込まないその家で、ランタンや懐中電灯を頼りに逃げ惑う姿を楽しむ。気持ち良いぐらいに装飾がなされていない。飾らないことが工夫とでも言っているかのようだ。

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キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け

キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け “Arbitrage”

監督:ニコラス・ジャレッキ

出演:リチャード・ギア、スーザン・サランドン、ティム・ロス、
   ブリット・マーリング、レティシア・カスタ、ネイト・パーカー、
   スチュアート・マーゴリン、クリス・アイグマン、グレイドン・カーター

評価:★★




 リチャード・ギアほどイメージの変わらない人も珍しい。ふさふさ髪とへらへら顔のコンビネーション芸により、30年以上ハリウッドのトップグループにいるのだからたいしたものだ。これだけ頑なに基本イメージを守ると退屈ではないのかと心配してしまうけれど、ヒュー・グラント同様、ギアは平気らしい。最近はもはや、この姿勢に尊敬の念さえ抱いている。

 『キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け』のギアは、これまでの集大成と言って良い役柄で登場する。金融業界の大物という設定こそマイケル・ダグラスみたいだけれど、ここでは単に大金持ちと考えれば良い。高級アパート、リムジン、召使い、部下、別荘、美しい妻と愛する子どもたち。ある種類の人たちにとっては、これ以上ないくらいに満ち足りたリッチライフ。もちろんギアには愛人がいる。

 ギアの生活を観察するところから始まる。投資の失敗で大ピンチだというのに、僅かでも時間ができると、愛人にメールしたり直接会いに行ったりするのが可笑しい。帰宅すると誕生日のサプライズパーティ。疲れているのをおくびにも出さずに笑顔を振り撒き、「いちばん大切なのは家族です」。パーティがようやく終わっても、ベッドに入らない。いそいそと愛人宅へ向かうのだ。このマメ男!バイタリティを形作っているものが女好きの精神というのが素晴らしいではないか。

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April 26 - 28 weekend, 2013

April 26 - 28 weekend, 2013

1 コン・ティキ|$11,084(2)$22,168
2 The Reluctant Fundamentalist|$10,307(3)$30,920

3 In the House|$7,257(4)$74,943
4 Pain & Gain|$6,178(3277)$20,244,505
5 Mud|$6,103(363)$2,215,460

6 オブリビオン|$4,695(3792)$65,090,925
7 Kings Faith|$4,608(6)$27,648
8 42|$3,130(3405)$69,011,815
9 The Big Wedding|$2,883(2633)$7,591,663
10 Disconnect|$2,360(111)$770,000

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 世界ツアーで大きな話題を呼ぶビヨンセさんが、許可したカメラマン以外によるツアー写真の撮影を禁止しました。アメフトの祭典、スーパーボウルでパフォーマンスした際、パフォーマンス中のスンゴイ形相がとあるサイトにたっぷりアップされてしまったたことが原因だそうです。ビヨンセさんがそのサイトにブサイク写真の削除を求めたところ、サイト側は「削除を求められた写真」として再び写真を紹介。それをきっかけに、ビヨンセさんがハルクになったり、ゴリラになったり、ロブスターになったり、重量挙げ選手になったり、中島知子さんになったり(嘘)…と加工したものまで出回るハメになりました。しかし…ビヨンセさんのパフォーマンス中の顔って、スーパーボウル時のものに限らず、ホントに強烈。物の怪って本当にいるんだなぁと…。

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君と歩く世界

君と歩く世界 “De rouille et d'os”

監督:ジャック・オディアール

出演:マリオン・コティヤール、マティアス・スーナールツ、
   アルマン・ヴェルデュール、セリーヌ・サレット、コリンヌ・マシエロ、
   ブーリ・ランネール、ジャン=ミシェル・コレイア

評価:★★★




 女はシャチの調教師だ。自分の身体に自信を持っている。けれどある日事故により、両脚を切断することを余儀なくされる。男は姉夫婦を頼って町に出てきたばかりのシングルファーザー。可愛い息子がいる。しかしその立ち振る舞いは一人前の大人の男とは言い難い。このふたりが出会う。「最強のふたり」(12年)のように快楽的な方向に向かうことも可能な題材ではあるものの、ジャック・オディアールはより現実を掘り下げ、人間の闇の部分を探っていく。

 『君と歩く世界』の最大の魅力は人物造形にある。絶望に打ちのめされ、真っ暗闇から這い上がる女のタフさが頼もしい。男はむしろ欠点が目立つ。喰うために盗みをする。息子に手が出ることもある。言葉遣いは汚い。他人への気遣いはほとんどない。オディアールは人間の「醜」の部分を露にすることを恐れない。

 このふたりが奏でるラヴストーリーだ。一筋縄で行くわけがない。女は自分を娼婦呼ばわりした男を呼び出す。女が男のデリカシーに欠ける言動にかえって惹かれる最初こそ恋愛の基本だけれど、その後は男と女の間に流れて然るべきはずのものがちっとも明確にならない。シリアスな関係ではないと割り切ったふたりの心の揺らぎが面白い。男と女ではなく、人間と人間が引き寄せ合っている感じがよく出ている。

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