21ジャンプストリート

21ジャンプストリート “21 Jump Street”

監督:フィル・ロード、クリストファー・ミラー

出演:ジョナ・ヒル、チャニング・テイタム、ブリー・ラーソン、
   デイヴ・フランコ、ロブ・リグル、アイス・キューブ、
   ダックス・フレイム、クリス・パーネル、エリー・ケンパー、
   ピーター・デルイーズ、ジョニー・デップ

評価:★★★★




 カメオで顔を見せるジョニー・デップのブレイク作として知られるTVシリーズ(88年~91年)は未見なので、『21ジャンプストリート』がオリジナルの精神をどう引き継いでいるのかは比較しようがない。ただ、かなり大胆な方向転換が図られているのではないかと察する。童顔のでこぼこ二人組警官が高校に潜入捜査に入るという大枠の中で、活きの良い笑いがあちらこちらで弾ける。感性が若いのだ。

 笑いの多くが、昔とはまるで違う今の高校事情・若者事情を反映させたものになっているのがポイントだ。今はスポーツマンタイプは流行らない。漫画好きで、環境意識が強く、寛容なインテリタイプが学園のトップに君臨する。彼らのバイブルはズバリ、「glee/グリー」(99年~)だ。斯くして、高校時代は日陰者だった者が思いがけず人気を博し、輝かしい日々を送った者が肩身の狭い思いをする。この画が大変効いている。可笑しくて、でも切ない。身に沁みて、だけど大笑い。

 ジョナ・ヒルとチャニング・テイタムのコンビネーションが冴え渡る。高校生活が暗かったヒルと明るかったテイタムが警察学校で仲良くなるところからして嬉しくなる。二人組となると、ボケとツッコミに分かれてしまうものだけれど、このふたりの場合、そういう括りは無意味だ。ヒルが柄に合わない人気者ゾーンで奮闘し、テイタムが雑な扱いにしょぼくれる。どちらも明朗な笑いに繋がっている上、同じ画面に入ると活気が何倍にも膨れ上がる。

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キャビン

キャビン “The Cabin in the Woods”

監督:ドリュー・ゴダード

出演:クリス・ヘムズワース、クリステン・コノリー、アンナ・ハッチソン、
   フラン・クランツ、ジェシー・ウィリアムス、リチャード・ジェンキンス、
   ブラッドリー・ウィットフォード、シガーニー・ウィーヴァー

評価:★




 ブルネットの処女とブロンドのくるくるパー子。筋肉マッチョに誠実なハンサム。おまけにオタクもいる。キャンピングカーに乗り込んだ彼らが、いかにも何か出そうな山中のキャビンへ遊びに行く。昼間は湖でいちゃこき、夜は別荘とは到底呼べないキャビンの中を探検する。そして、はい、当然のように殺戮劇が始まる。生き残るのが処女であることは火を見るよりも明らか。処女がいきなりシャツにパンティ姿というのがよろしい。パー子が突如森の中でおっぱいを見せるのもグッジョブだ。

 一見古くから腐るほど作られてきたB級ホラーの外観なのだけど(オマージュと呼ぶには定番が過ぎる)、どっこい売りは全く別のところに存在する。それについてはある程度物語が進んでからバラせば良いのに、若くて我慢が効かないのか、序盤から構図が明け透けになっている。若者たちは言わば、モルモット。彼らを監視するどこかの組織により操られているらしい。そして、逃げ惑う彼らを眺めて楽しんでいる輩もいるらしい。リアリティショウだとか「トゥルーマン・ショー」(98年)を思い出す。

 物語はこの後にも急展開が用意されていて、ジャンルがころころ変わる。スラッシャー映画かと思えば、ホラー映画になり、ゲーム要素の強いスリラーの方向に転がったかと思えば、モンスターパニックムービーと化す。果ては神話やらSFやらの世界に突入する。これが全く面白くないのは、作り手が捻りだと思い込んでいるものが結局、何でもありのフィールドで繰り広げられているに過ぎないからだ。

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March 22 - 24 weekend, 2013

March 22 - 24 weekend, 2013

1 Gimme the Loot|$23,400(1)$23,400
2 The Croods|$10,786(4046)$43,639,736

3 コクリコ坂から|$9,949(6)$131,927
4 エンド・オブ・ホワイトハウス|$9,804(3098)$30,373,794
5 The Sapphires|$9,593(4)$38,372

6 オズ はじまりの戦い|$5,669(3805)$177,097,090
7 スプリング・ブレイカーズ|$4,401(1104)$5,265,802
8 The Call|$3,550(2507)$31,105,056
9 NO|$3,292(60)$989,980
10 Ginger & Rosa|$2,903(34)$118,788

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズさんは驚異的な夜のスタミナの持ち主だそうです。同じメンバーであるナイル・ホーランさんによると、ツアー中、既に数え切れないほどの女の子を部屋に連れ込んでいる模様。昼間はたっぷり寝て、コンサートをして、夜は女の子たちと遊びまくる…というライフスタイルだそうな。19歳ですからね…という言葉だけでは説明できないタフっぷりと言えましょう。ワタクシなんか、駅の階段の昇り降りだけでハアハア言っていますよ…。あぁ、老いてるわ…。

 Box Office。公開3週目の『オズ はじまりの戦い』が興収1億5,000万ドルを超えました。最近、ジェームズ・フランコに弟がいることを知りました。作品も結構、見ていました。なるほど、似ている気がします。ザック・エフロンも入っているような気もしますが…。

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野蛮なやつら/SAVAGES

野蛮なやつら/SAVAGES “Savages”

監督:オリヴァー・ストーン

出演:アーロン・ジョンソン、テイラー・キッチュ、ブレイク・ライヴリー、
   ベニチオ・デル・トロ、ジョン・トラヴォルタ、サルマ・ハエック、
   デミアン・ビチル、エミール・ハーシュ、サンドラ・エチェベリア

評価:★★




 いかにもオリヴァー・ストーンが目をつけそうな題材だ。『野蛮なやつら/SAVAGES』はアメリカの若者ふたりが築き上げたマリファナビジネスに、メキシコの巨大カルテルが提携を持ちかけたことか起きる物語。このところ柄に合わない作品に手を出していた反動だろうか、ストーンが本来のフィールドで大暴れ。

 ストーンの大暴れが嫌なのは、題材や人物を見世物小屋のそれとして飾り立て、自己陶酔に浸っていることが透けて見えるからだ。青春アクションにもなりそうな展開を見せながら、ストーンが嬉々として映し出すのは、青春の輝きや危うさなんかではない。

 飛び交う銃弾。派手に飛び散る粘着質の血潮。舞い上がる肉片。転がる首。気がつけば人間は、穴だらけか火だるまだ。ショッキングなカットを矢継早に畳み掛け、その一瞬の吸引力に賭ける。若者ふたりが大成功を収めたマリファナの基になった種が、傭兵だったひとりがアフガニスタンから直接持ち帰った最高級のそれだという皮肉など、見向きもしない。あざとい画を、ただ、連発する快感に酔っている。

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エイリアン バスターズ

エイリアン バスターズ “The Watch”

監督:アキヴァ・シェイファー

出演:ベン・スティラー、ヴィンス・ヴォーン、ジョナ・ヒル、
   リチャード・アイオアディ、ローズマリー・デウィット、
   ウィル・フォーテ、メル・ロドリゲス、ダグ・ジョーンズ

評価:★★




 ベン・スティラーが演じるのはスーパーマーケットの店長だ。何事にもやる気満々。ジョギングクラブを始め、町の活性化を目指して様々なサークルを興すほどに一生懸命。ほとんど神経質な立ち振る舞いで物事にぶち当たる。立派だけれど、傍にいたら非常に面倒臭い。暑苦しい張り切りオッサンは、スティラーの十八番的役柄とも言える。

 ヴィンス・ヴォーンはと言うと、その対極に生きるような男。仲間と一緒に楽しく酒が飲めればそれで良しという男。大らかというより大雑把。細かいことを気にせずにのんびり構えたオッサンはやはりヴォーンの十八番的役柄だろう。年頃の娘のことが心配で堪らないという設定は、ちょっとした隠し味だ。

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ストレンジャー

ストレンジャー “Main Street”

監督:ジョン・ドイル

出演:コリン・ファース、エレン・バースティン、
   パトリシア・クラークソン、オーランド・ブルーム、
   アンバー・タンブリン、マーゴ・マーティンデイル、
   アンドリュー・マッカーシー、ヴィクトリア・クラーク

評価:★




 『ストレンジャー』の舞台となるのはノースカロライナの寂れた町だ。若い人は都会に出ていき、建物は錆びつき、名物と呼べるものはなく、誰もが不安を抱えて生きている。そこにある倉庫を観光サーヴィス会社が借りたことから始まる静かな物語。「静かな」なんて書くと、節度のある大人の映画を連想するものの、全然違う。何も起こらないだけなのが困りもの。

 田舎の寂寥感は悪くない。時間が止まったような町。寒くもないのに肌に沁みる空気。暮らしを営む者は残された者か出ていく勇気を持てない者。淋しさに説得力がある。弁護士になりたい警官。妻子持ちに引っ掛かり傷つく女。金に困り長年住んでいる屋敷を売ろうとする老婆とその姪。取り上げられる人物もいかにもといった感じだけれど、その淋しがり屋なところを映し出すだけなのはどうか。

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最強のきずな

最強のきずな “Happy Tears”

監督:ミッチェル・ヒリテンシュタイン

出演:パーカー・ポージー、デミ・ムーア、リップ・トーン、
   エレン・バーキン、T・ライダー・スミス、ビリー・マグヌッセン、
   クリスチャン・カマルゴ、ヴィクター・スレザック

評価:★★




 インディーズ映画はどうしても家族問題を扱った映画が多くなる。予算の関係だろう。身近にある問題を身近な現場で身近に描く。それは一向に構わないのだけど、どれもこれも似たり寄ったりの内容になってしまうのには、食傷気味だ。どこの家族に問題はあるものだ。大袈裟に騒ぎ立てるだけでは苦しい。

 『最強のきずな』には姉妹が出てくる。当然どろどろした愛憎劇を想像する。ところが、これが実に物分かりの良い姉妹で拍子抜けする。多少の言い争いはあっても、関係が壊れてしまうような大喧嘩はない。基本的に互いを想い合い、助け合い、そして平和に事態を切り抜けようとする。演じるのはデミ・ムーアとパーカー・ポージーだというのに!あんたら、絶対何か企んでるでしょう?

 ふたりの共通の悩み、それは父だ。認知症が進行中で、医者からは2年は持たないと言われている。序盤は父の介護描写がメインになる。認知症の者が身近にいた人ならば身に沁みる状況であることは間違いない。けれど、それも束の間だ。なんせパーカーは金持ちで、それにものを言わせればどうにでもなりそうだ。素手で父親の便を触ってしまうぐらい、我慢しなさい。

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ザ・フォース

ザ・フォース “De force”

監督:フランク・ヘンリー

出演:イザベル・アジャーニ、エリック・カントナ、シモン・アブカリアン、
   ティエリー・フレモン、アンヌ・コンシニ、リン・ダン・ファン

評価:★★




 何から攻めるべきかと言ったら、やっぱりイザベル・アジャーニになるだろう。20年ぐらい前から歳を取るのをやめたアジャーニは、最近はいよいよサイボーグ化が進行。もうすぐ還暦だというのに、全く老けが表面化していない「異常事態」。信じ難い若さをキープしている。『ザ・フォース』でも若い。口回り・頬回りの重力抵抗、唇の膨らみ、髪の毛によるおでこや首隠しに若干の不自然さを感じるのは気にするべきではない。アジャーニを見るとき、それは不老不死の薬の存在を信じるべきときなのだ。美容とは、あぁ、なんと恐ろしい。

 アジャーニが演じるのは強盗鎮圧班の刑事だ。頻発する強盗グループを摘発するため、仮出所に向けて真面目に刑務所暮らしを送る元犯罪のプロ(エリック・カントナ)を無理矢理脱獄させ、潜入スパイとしてグループに入り込むことを強要する。アジャーニを篠原涼子、カントナを堤真一か椎名桔平あたりで作れそうなプロットだ。

 …という無茶苦茶な設定を書くと思い切りエンターテイメント色の強い内容を想像する。ところが、これはフランス映画、常に冷静沈着、決してバカにならないのだ。褒めてはいない。気取りが鼻につく場面の方が圧倒的に多い。

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March 15 - 17 weekend, 2013

March 15 - 17 weekend, 2013

1 スプリング・ブレイカーズ|$87,667(3)$263,002
2 コクリコ坂から|$28,793(2)$57,585
3 Ginger & Rosa|$14,279(3)$42,838

4 オズ はじまりの戦い|$10,545(3912)$144,056,326
5 The Call|$6,828(2507)$17,118,745
6 NO|$3,772(48)$725,645
7 The Incredible Burt Wonderstone|$3,221(3160)$10,177,257
8 Stoker|$2,818(94)$645,657
9 アップサイドダウン 重力の恋人|$2,611(11)$28,722
10 終戦のエンペラー|$2,011(311)$2,028,581

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 ダニエル・クレイグさんがファンと一触即発の事態となる事件があったそうです。買い物中だった自分と妻レイチェル・ワイズさんを、ケータイで許可なく写真を撮っているファンに気づいたクレイグさんは、ケータイを取り上げ、「食料を買っている姿が、そんなに面白いかよ!」と激昂。今にもケータイを破壊しそうに怒鳴りまくったとのこと。その場を収めたのがワイズさんで、大変冷静に事に対処したそうです。ふむ、ワイズさん、デキる妻のようです。それにしても…前々から思っていましたが、ケータイで写真を撮るって(許可を得たとしても)失礼では?せめてデジカメぐらい使えよと思うのです。人だかりができたところで、ケータイを上にかざして写真を撮っている光景をよく見ますが、滑稽にしか見えないのはワタクシだけですか?

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ウェイバック 脱出6500km

ウェイバック 脱出6500km “The Way Back”

監督:ピーター・ウィアー

出演:ジム・スタージェス、エド・ハリス、
   シアーシャ・ローナン、コリン・ファレル、マーク・ストロング、
   グスタフ・スカルスガルド、アレクサンドル・ポトチェアン、
   セバスチャン・アーツェンドウスキ、ドラゴス・ブクル

評価:★★★




 ただ、ひたすらに歩き続ける映画だ。シベリア収容所からの脱走を試みる6人の男たちの旅路。西に行けばソ連の領土を横断しなければならない。東に行けば太平洋に出てしまう。それならば南へ行くしかない。国境まで1,000キロ。辿り着いたとして、でもそこは通過点でしかない。ソ連、モンゴル、中国、チベット、そしてインドへ。ただ歩き続ける、それだけなのに、心がざわざわする。

 いちばんの見ものが生にしがみつく男たちのサヴァイヴァル術にあることは間違いない。木の皮で作る顔面マスク。雪を使ったシラミ退治。木の枝による風除け。草やコケによる方向判断。オオカミの餌の横取り。蚊の襲来とのそれを防ぐ術。蜃気楼。砂嵐。あまりにも美しい星空。ナチスから逃れる追跡劇の趣は最初だけで、男たちが立ち向かわなければならないのは、自然の脅威だ。

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ジャンゴ 繋がれざる者

ジャンゴ 繋がれざる者 “Django Unchained”

監督・出演:クエンティン・タランティーノ

出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、
   レオナルド・ディカプリオ、ケリー・ワシントン、
   サミュエル・L・ジャクソン、ドン・ジョンソン、
   ジョナ・ヒル、ウォルトン・ゴギンズ、デニス・クリストファー

評価:★★★★




 マーティン・スコセッシが「映画事典」なら、クエンティン・タランティーノは「映画雑記帳」と言ったところか。演出力も超のつく一流のタランティーノだけれど、その根底にはオタク的映画愛が溢れている。キーワードは血と暴力。その細胞を形作っているのは往年のギャング映画であり、ブラックスプロイテーションであり、仁侠映画であり、戦争映画であり、マカロニウエスタンだ。タランティーノ映画はそうした偏愛映画へのラヴレターと言って良い。そんなわけで『ジャンゴ 繋がれざる者』、タランティーノが最初から最後まで飛ばす飛ばす。

 マカロニウエスタンへのオマージュが散りばめられた物語で真っ先に目につくのは、タイトルロールのジャンゴが黒人の賞金稼ぎという点だ。南北戦争前の1858年、奴隷から賞金稼ぎとなったジャンゴが、元歯科医と共に、売られてしまった妻の奪還に乗り出す。奴隷制度が大胆に物語に組み込まれる。当然のように不敵な表情を見せる。

 痛みとおかしみが一緒くたになった画が次々登場する。巨大な歯のシンボルを屋根に装着した馬車。ガンマン姿の「ニガー」。荒野を駆ける馬と「ニガー」。撃たれた者は派手に吹っ飛び、血は花火のように飛び散っていく。雪だるまを的にした射撃訓練や、生き物のようにしなる鞭。血に染まる綿帽子。骸骨の切断。逆さ吊りにされた人の股から覗く顔。従僕に化けたジャンゴのインチキマジシャン風の青い装いには大笑い。靴まで青でトドメを刺される。

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フライト

フライト “Flight”

監督:ロバート・ゼメキス

出演:デンゼル・ワシントン、ドン・チードル、ケリー・ライリー、
   ジョン・グッドマン、ブルース・グリーンウッド、メリッサ・レオ、
   ブライアン・ゲラティ、タマラ・チュニー、ナディーン・ヴェラスケス、
   ジェームズ・バッジ・デイル、ガーセル・ボヴェイ

評価:★★★




 序盤の見せ場はもちろん、旅客機の墜落場面になる。オーランドからアトランタに向けて出発した旅客機が突如制御不能となり、急降下を始める。車輪を出す。燃料を捨てる。考え得る手を次々繰り出すものの、高度は上がらない。そこで機長は機体を上下逆さまにしてバランスを保つ策に出る。ロバート・ゼメキスが得意のアクション場面のリズムを大胆に活用。見事な緊迫感を作り出している。背面飛行の画から言いようのない不安感が溢れ出す。

 …とは言え、この描写は『フライト』の掴みに過ぎない。本当のドラマは後に起こる。血液検査の結果、機長の身体から基準値を大幅に超えるアルコールが検出されるのだ。多くの乗客を救った機長は、英雄なのか、それとも…というのがストーリーだ。ここで注目すべきは墜落時の機長の判断力と決断力、そして実行力がしっかり見せられている点で、つまりそれは技術的には素晴らしい人物だと分かっていることを意味する。ゼメキスが揺さぶるのは、英雄である彼の責任の先にある、心の弱さということだ。ゼメキスは冒頭、さり気なく機長のアルコール摂取場面を見せる。退院後、農場でアルコールを次々棄てるという不可解な行動も見せる。彼をどう捉えたら良いのか不安になる。

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逃走車

逃走車 “Vehicle 19”

監督:ムクンダ・マイケル・デュウィル

出演:ポール・ウォーカー、ナイマ・マクリーン、ジス・ドゥ・ヴィリエ、
   レイラ・ヘイダリアン、ツシェポ・マセコ、アンドリアン・マジヴ

評価:★★




 『逃走車』の物語は、全て車の中から語られる。南アフリカのヨハネスブルク、ポール・ウォーカーがレンタルしたミニバンの中から、カメラが出ることがないのだ。停車中も走行中もカメラはこのルールを守る。安全運転中もスピード違反中も守る。あぁ、なんて律儀なカメラさん。でも…。

 でも、「だから何なの?」としか言いようがない。車内と言っても、固定はされていない。編集の力も借りて、意外なほど臨機応変に動き回る。角度も凝っている。切り換えの速度も自由だ。ウォーカーと同じように状況を体感させたいということだろうか。ウォーカーはちょくちょく車から降りちゃうのに?意味ないじゃーん!

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ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い

ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い “Fire with Fire”

監督:デヴィッド・バレット

出演:ジョシュ・デュアメル、ブルース・ウィリス、ロザリオ・ドーソン、
   ヴィンセント・ドノフリオ、ジュリアン・マクマホン、
   カーティス・ジャクソン、ヴィニー・ジョーンズ、
   アリ・ヴァーヴィーン、エリック・ウィンター、
   ボニー・サマーヴィル、リチャード・シフ、クイントン・ジャクソン

評価:★★




 どのシーンでも真っ先に目に入ってくるのは、ジョシュ・デュアメルのガタイだ。背が高くすらっとしていて、かつ「毎週筋トレ励んでます」的に鍛え上げられた身体のデュアメルは、うん、シルエットが大変美しい。だから彼は物語の大半をTシャツで過ごす。こりゃ女の方々は辛抱堪らんだろう。頼もしいもの。ファーギー姐さんも惚れるわけだ。

 そんなわけで見せ場は、デュアメルの半裸場面となる。必然だ。半裸になったデュアメルのピカピカした身体が眩しい。ヒロインのロザリオ・ドーソンも嬉しそうにセックスに雪崩れ込んでいく。どうせならもっと念入りな描写にすれば良かった。シャワーを浴びながら苦悩する場面、水に打たれながらシャツを身体に貼りつかせる場面、無意味だけれど、売りの分かりやすいアピールが可笑しい。お値段安めの男の魅力、ここにあり。

 惜しむらくは彼の職業を消防士にしてしまったところ。と言うのも、デュアメルのガタイを活かすアクションは皆無、大抵が銃に頼った血生臭いものなのだ。ここは思い切って、格闘技の師範なんて、面白かったんじゃないか。デュアメルの身体があれば、柔道着も空手衣も似合いそうじゃないか。そうしたらアクションのヴァリエーションが増えたんじゃないか。

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March 8 - 10 weekend, 2013

March 8 - 10 weekend, 2013

1 オズ はじまりの戦い|$20,223(3912)$79,110,453
2 Stoker|$6,725(17)$328,814
3 Lore|$5,604(12)$255,984
4 NO|$4,298(35)$493,605
5 終戦のエンペラー|$3,901(260)$1,014,134
6 ジャックと天空の巨人|$2,791(3525)$43,630,504
7 Dead Man Down|$2,443(2188)$5,345,250
8 ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日|$2,354(671)$119,367,614
9 Snitch|$2,179(2340)$31,853,362
10 Identity Thief|$2,110(3002)$116,545,105

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 先日臀部の手術を受けて療養中のレディー・ガガさんが、自宅に水槽を設置したそうです。水槽ぐらい普通のような気もしますが、これが日本から取り寄せたという鯉を27匹も飼うためのものとのことで、それはそれは大きな水槽ではないかと推測されます。このためにかかった費用、実に4万ポンドとのこと。ワタクシ、鯉を飼う良さがイマイチ分からないのです。成金オヤジが黄金の内輪片手に眺めている画が頭に浮かんできてしまって…。鯉を飼うぐらいなら、食べたいなぁ。鯉こくなんて、食べてみたいなぁ。そう言えば、今冬はほとんど鍋料理と縁がないなぁ。くーっっっ。

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バチェロッテ あの子が結婚するなんて!

バチェロッテ あの子が結婚するなんて! “Bachelorette”

監督:レスリー・ヘッドランド

出演:キルスティン・ダンスト、アイラ・フィッシャー、リジー・キャプラン、
   レベル・ウィルソン、ジェームズ・マースデン、アダム・スコット、
   アンドリュー・ラネルズ、アンナ・ローズ・ホプキンス、
   ホレイショ・サンズ、ヘイズ・マッカーサー、カイル・ボーンハイマー、
   アン・ダウド、エラ・レイ・ペック

評価:★★




 いちばんの誤算は、主人公ガールズより、彼女たちがブスだと密かに蔑んでいるレベル・ウィルソンの方が可愛いことだろう。確かに体重はメガトン級だけれど、真ん丸な目とぷっくりした唇をポイントにくるくる変わる表情が大変愛らしい。特に笑顔がハッピーだ。ウェディングドレスも意外なほど似合っている。ガールズは外見からして敗北していて、それなのに自分は美人だという姿勢を崩さない。いや、無理があるから!

 でもまあ、綺麗だった過去の栄光を引きずって生きるイタイ女の生態として見る分には間違いないのか。高校時代の輝きなんて社会では何の力にもならない。自分を磨くことを怠っては堕ちていくだけ。それを見せる上でのキルスティン・ダンスト、アイラ・フィッシャー、リジー・キャプランの配役はありなのかもしれない。

 いや、でもなぁ。まつ毛盛り過ぎ・横顔がモアイ像そっくりのキャプランは根は純情という設定が死ぬほど不釣り合いだし、相変わらずのバカキャラクターで突っ走るフィッシャーもさすがに薹が立った。中心的役柄を演じるダンストはというと、老け顔をさらに追求して、何と言うか、哀れさ、それも笑えない哀れさを感じさせるのが気になって…。

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世界にひとつのプレイブック

世界にひとつのプレイブック “Silver Linings Playbook”

監督:デヴィッド・O・ラッセル

出演:ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、
   ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァー、クリス・タッカー、
   アヌパム・カー、ジョン・オーティス、シェー・ウィガム、
   ジュリア・スタイルズ、ポール・ハーマン、ダッシュ・ミホーク

評価:★★★★




 これはかなり際どい。パットは妻の浮気相手に襲い掛かったことで入っていた精神病院を退院したばかりだ。ティファニーは夫を亡くしたショックで11人の同僚とベッドを共にして会社を首になる。つまりふたりは心を病んでいる。右に転べば哀れな男女のラヴストーリーになっていただろう。左に転べばその普通ではない心象を見世物にした破廉恥なコメディになっていただろう。デヴィッド・O・ラッセルはそのギリギリのところを突っ切る勇気を見せる。

 主人公男女の危うい人物設定に吸い寄せられるように、画面の隅々までユニークな光景が広がっている。パットとティファニーの言葉は明け透けだ。掛け合いは肌に直接突き刺さる。周りに潜む人々もクセが強い。突飛な行動の数々は予測不能の展開に繋がる。アメリカン・フットボールの賭けやダンスコンテストが思いがけない小波を起こす。愛は迷走を極める。

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ゼロ・ダーク・サーティ

ゼロ・ダーク・サーティ “Zero Dark Thirty”

監督:キャスリン・ビグロー

出演:ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、ジョエル・エドガートン、
   ジェニファー・イーリー、マーク・ストロング、カイル・チャンドラー、
   エドガー・ラミレス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、クリス・プラット、
   ハロルド・ペリノー、テイラー・キニー、レダ・カテブ

評価:★★★




 2011年5月11日、アルカイダの最高指導者であるオサマ・ビン・ラディンは暗殺された。記憶に新しいこの歴史的トピックについて、実はまだ知らないことだらけだと気づかされる映画だ。ビン・ラディンの隠れ家を突き止めたのは若い女性分析官で、しかもこれがCIAにおける初任務だったという。高卒後にリクルートされた人材というのも意表を突く。『ゼロ・ダーク・サーティ』は彼女の10年に渡る戦いを描く。

 監督のキャスリン・ビグローと脚本家のマーク・ボールはビン・ラディン追跡劇を描くため、徹底したリサーチを敢行したという。日が浅いからこそ、余計に神経を尖らせたことは想像に難くない。そうして見えてくる悪の首謀者を追い詰める過程は、生々しい迫力に満ちている。例えば拷問場面だけ取り出してみても、そこには見慣れた光景などない。暴力行為の他に見せられるのは、女の前で裸にされる辱め、犬の首輪の装着、手足を畳まないと入らない箱への詰め込み…。水責めの際は、布で顔を覆い、そこに水を振り掛ける。派手さはなくても陰惨な匂いがこびりつく。

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レッド・ライト

レッド・ライト “Red Lights”

監督:ロドリゴ・コルテス

出演:ロバート・デ・ニーロ、キリアン・マーフィ、シガーニー・ウィーヴァー、
   エリザベス・オルセン、トビー・ジョーンズ、ジョエリー・リチャードソン、
   クレイグ・ロバーツ、レオナルド・スバラグリア、
   アドリアーニ・レノックス、バーン・ゴーマン

評価:★★




 大学で物理学を教えるふたりの博士が取り組んでいるのは、超常現象の科学的解明だ。超能力や透視、霊媒等を調査し、そのイカサマを暴く。掴みの設定はレベッカ・ホール主演の「アウェイクニング」(11年)と全く同じだ。違うのは時代背景だけではない。超常現象が向かう先にあるものが全く異なっている。

 「アウェイクニング」が映画的ケレンを霊の存在に見つけていたのに対し、『レッド・ライト』は頭の良い博士ふたりによる、真相の科学的解明にこだわる。彼らは基本的に超常現象を信じない。信じた方が楽しいときもあるだろうことを承知しながら、それでも自らの秘めた信念を折り曲げることなく、詐欺行為を暴いていく。何とも地味な作業だ。物事をすべて理論で突破していく。当然映像のケレンはおとなしいものとなる。

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The 20th Planet Movie Awards/第20回プラネット映画賞 最終投票データ完全公開

The 20th Planet Movie Awards/第20回プラネット映画賞の
最終投票データを完全公開しました。

各部門の1位~5位は以下の通りです。

詳細はOSCAR PLANETをご覧下さい。


◆作品賞
 1. アルゴ(ベン・アフレック監督)
 2. 007/スカイフォール(サム・メンデス監督)
 3. ダークナイト ライジング(クリストファー・ノーラン監督)
 4. レ・ミゼラブル(トム・フーパー監督)
 5. 最強のふたり(オリヴィエ・ナカシュ、エリック・トレダノ監督)
 6. アベンジャーズ(ジョス・ウェドン監督)

◆監督賞
 1. ベン・アフレック(アルゴ)
 2. サム・メンデス(007/スカイフォール)
 3. クリストファー・ノーラン(ダークナイト ライジング)
 4. トム・フーパー(レ・ミゼラブル)
 5. ピーター・ジャクソン(ホビット 思いがけない冒険)
 6. ジョス・ウェドン(アベンジャーズ)

◆主演男優賞
 1. ヒュー・ジャックマン(レ・ミゼラブル)
 2. ベン・アフレック(アルゴ)
 3. ダニエル・クレイグ(007/スカイフォール)
 4. オマール・シー(最強のふたり)
 5. ポール・ジャマッティ(WIN WIN/ダメ男とダメ少年の最高の日々)
 6. フランソワ・クリュゼ(最強のふたり)

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テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

March 1 - 3 weekend, 2013

March 1 - 3 weekend, 2013

1 Stoker|$22,935(7)$160,547
2 NO|$9,219(11)$308,444
3 ジャックと天空の巨人|$7,717(3525)$27,202,226
4 ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日|$3,795(626)$117,018,625
5 21 and Over|$3,159(2771)$8,754,168
6 世界にひとつのプレイブック|$3,117(1836)$115,302,649
7 Snitch|$3,094(2511)$24,478,730
8 Identity Thief|$3,005(3230)$107,433,250
9 The Last Exorcism Part II|$2,862(2700)$7,728,354
10 カルテット! 人生のオペラハウス|$2,457(725)$11,181,316

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 「アメイジング・スパイダーマン」(12年)がきっかけで交際中のアンドリュー・ガーフィールドさんとエマ・ストーンさんがシリーズ第2弾を撮影中のニューヨークで、デートする姿が度々目撃されています。先日は朝食の後、ウエストヴィレッジを手を繋いで散歩、気づいたファンに手を振って応えていたとのこと。ふたりともニット帽にコートというファッションで、大変可愛らしかったそうです。手繋ぎデートかー、若いわー。ちゅーか、若いときもやったことないわー。美男美女にしか許されないと行為だと頭に刷り込まれていましたからねー。今なら全然恥ずかしくもなんともないのにねー。さあ、若い皆さん、勇気を出してレッツゴー。

 Box Office。『Identity Thief』が公開4週目にして興収1億ドルを突破しました。オスカーのときのメリッサ・マッカーシーの格好、スゴカッタ。雑巾を巻いているだけにしか見えないというか、ほとんどゾウと区別するのが不可能というか。いちばん痛かったのは、ポール・ラッドとの掛け合いが、完全に滑っていたことですが…。

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テーマ : 興行収入ランキング
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ダイ・ハード ラスト・デイ

ダイ・ハード ラスト・デイ “A Good Day to Die Hard”

監督:ジョン・ムーア

出演:ブルース・ウィリス、ジェイ・コートニー、セバスチャン・コッホ、
   ラシャ・ブコヴィッチ、コール・ハウザー、ユーリヤ・スニギル、
   メアリー・エリザベス・ウィンステッド、アウマリー・ノラスコ

評価:★★




 冒頭のジョン・マクレーン刑事はちょっとショックだった。一作目(88年)から25年近く経ち、めっきり老け込んでしまった彼がいたからだ。特に頭部にそれが顕著だ。演じるブルース・ウィリスも歳を重ねたのだから仕方がないとは思う。ただ、何と言うか、「男性ホルモンの力により思い切り禿げてみました!」というよりは、「流れ行く年月に逆らえずにしょぼくれちゃいました…」みたいな佇まいだったのだ。だからというわけでもないだろうけれど、マクレーン刑事がランニング一丁にならない。Tシャツが限界だ。うぉー!

 今回マクレーンが大暴れするのはモスクワだ。ロシアの地でテロ事件に遭遇し、案の定「なんで俺が…」みたいにブツブツ言いながら敵をなぎ倒していく。単純過ぎる物語に文句を言うつもりはない。問題はアクション演出が愚かしいところで、矢継早に繰り出されるおかげで退屈することはなくても、高揚感はちっとも刺激されない。

 守られているものは明快だ。銃ではなく機関銃。器物破損ではなく建物崩壊。爆発ではなく大爆発。絶対に死ぬアクションではなく死んだもん勝ちみたいなアクション。どうせ映画の世界なのだから派手にやれば良いと、それが大味になることに繋がるとは気づかないまま、行け行け押せ押せ。事件に無関係の一般人が巻き込まれてもお構いなし。チェルノブイリで大暴れしても無問題。高層ビルや空港といった限定された空間の中で知恵が絞られたシリーズ序盤が懐かしい。

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テーマ : 映画感想
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海の上のバルコニー

海の上のバルコニー “Un balcon sur la mer”

監督:ニコール・ガルシア

出演:ジャン・デュジャルダン、マリー=ジョゼ・クローズ、
   サンドリーヌ・キベルラン、ミシェル・オーモン、
   クラウディア・カルディナーレ、トニー・セルヴィッロ

評価:★★★




 マリー=ジョゼ・クローズの佇まいに魅せられる。黒く縁取られた目。しわが入り始めた目尻。黒が混じったブロンド。艶が滲み出るうなじ。マゼンタカラーの唇。登場場面からミステリアスな空気を発散、画面を美しく優雅に盗んでしまう。アルフレッド・ヒッチコック映画のヒロインみたいだ。男が見入ってしまうのも無理はない。

 男はジャン・デュジャルダンが演じる。デュジャルダンとクローズは幼少時代、フランス支配下のアルジェリアで一緒に過ごした仲。お互い初恋の相手だ。独立戦争の混乱により離れ離れになっていたのが、数十年ぶりに再会を果たす。いかにも映画的な設定と展開。当然ふたりは気にし合う。惹かれ合う。求め合う。分かっていても、うっかり彼らと同じように盛り上がる。

 ふたりが遂にセックスへと突入するときの感じがいやらしくて良い。回想場面では幼い顔と身体で、初々しい初恋を演じていたふたりが、あぁ、思いがけない再会を情熱に変換させ、熱く抱き合う画よ。「貪り食う」なんて言葉が似つかわしい息遣いにぞくっとくる。人間は、誰しも成長する。成長するというのはこういうことでもあるのだとよく分かる。不穏な空気の漂うアルジェリア、幼少期の思い出の共有が隠し味になっているのは言うまでもない。

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PARKER パーカー

PARKER パーカー “Parker”

監督:テイラー・ハックフォード

出演:ジェイソン・ステイサム、ジェニファー・ロペス、マイケル・チクリス、
   ボビー・カナヴェイル、ニック・ノルティ、ウェンデル・ピアース、
   クリフトン・コリンズ・ジュニア、パティ・ルポーン、カルロス・カラスコ、
   エマ・ブース、ダニエル・バーンハード、キップ・ギルマン

評価:★★★




 リチャード・スタークによる「悪党パーカー」の物語は前にも映画化されている。メル・ギブソンが主演した「ペイバック」(99年)がそれだ。いちばんの違いはどこにあるかというと、主演スターの資質としか言いようがない。今回の主演はジェイソン・ステイサム。そう、ステイサムがまたしてもB級パワーを発揮する。『PARKER パーカー』は悪党パーカー映画であるよりも先に、ジェイソン・ステイサム映画だ。

 …というわけで、ステイサム映画好きには堪らない作品かもしれない。人気小説を基にしているからキャラクターが立っているし、監督はテイラー・ハックフォードという一流どころ。脇役としてニック・ノルティがヒョイッと顔を出すし、ヒロインはジェニファー・ロペスというステイサム映画では考えられない上玉だ。いや、これは元々作り手が、ステイサム映画ではなく、人気小説をベースにした強盗映画として作るつもりだった証拠でもあるのだけど、まあ、良いじゃないか。

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The 20th Planet Movie Awards/第20回プラネット映画賞 最終結果発表

The 20th Planet Movie Awards/第20回プラネット映画賞の
最終結果を発表しました。以下の通りです。



◆作品賞:アルゴ(ベン・アフレック監督)

◆監督賞:ベン・アフレック(アルゴ)

◆主演男優賞:ヒュー・ジャックマン(レ・ミゼラブル)

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ムーンライズ・キングダム

ムーンライズ・キングダム “Moonrise Kingdom”

監督:ウェス・アンダーソン

出演:ジャレッド・ギルマン、カーラ・ヘイワード、ブルース・ウィリス、
   エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンド、
   ティルダ・スウィントン、ジェイソン・シュワルツマン、ボブ・バラバン

評価:★★★★




 思い返すとウェス・アンダーソンは、これまでずっと家族の肖像を描いてきた。凝視するのは、その関係に不意に現れる裂け目だ。そして、裂け目にハマる彼らの歪さを愛してきた。『ムーンライズ・キングダム』では対象が子どもの恋心に移ったものの、その姿勢に変わりはない。即ち、小さな島に住む少年少女の風変わりな恋模様を眺めながら、その歪さを愛する。愛することに全力を注ぐ。

 話はありそうでないものだ。とある劇の楽屋で出会ったサム(大木凡人を思わせるジャレッド・ギルマン)とスージー(少女と呼ぶには妙に色っぽいカーラ・ヘイワード)が、一年間の文通を経て、駆け落ちを決行する。子ども時代の時間の流れの遅さ、飽きっぽさ、移り気はしかし、ここでは無意味だ。彼らはサムが憧れている美しい入り江を目指す。サムのボーイスカウト活動が活かされるのが可笑しい。

 「リトル・ロマンス」(79年)を思い出さずにはいられないふたりの恋がスペシャルなものになったのは、アンダーソンによる細部の創り込みが緻密だからに他ならない。スタイルというものを持った作家、それも唯一無二の個性を持った作家の強み。細部に凝れば凝るほどに、画面が独特の色に染まっていく。

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