君のいないサマーデイズ

君のいないサマーデイズ “Les petits mouchoirs”

監督:ギョーム・カネ

出演:フランソワ・クリュゼ、マリオン・コティヤール、ブノワ・マジメル、
   ジル・ルルーシュ、ジャン・デュジャルダン、ロラン・ラフィット、
   ヴァレリー・ボネトン、パルカル・アルビロ、アンヌ・マリヴァン

評価:★★★




 「唇を閉ざせ」(06年)では骨格の太いミステリーを堂々たる風格を持って描き出したギョーム・カネだけれど、『君のいないサマーデイズ』では力を抜いて映画で遊んでいる。おそらく出演しているのは気心の知れた仲間たちばかりなのだろう。彼らと一緒に映画の世界で戯れている印象だ。サマーシーズン、一人が大事故に遭って躊躇うものの、恒例のバカンスに出かける友人たちを描く。

 力を抜いてと言っても、別に怠けているわけではもちろんない。これだけ登場人物が多いのに混乱を巧妙に避けるところに技がキラリ。最初こそ戸惑うものの、いつしか出し入れの巧さのおかげで、人間関係が霧が晴れるようにくっきり見えてくる。ボルドー近郊のリゾート地カップ・フェレ、画面に涼しげな風を吹かせたのも大きな功績だろう。「再会の時」(83年)「インディアン・サマー タマクワの英雄たち」(93年)といった同系列の映画同様、苦味ある時間が流れるのも、この手の物語のお約束とは言え味わい深い。

 バカ騒ぎしても、アメリカのように能天気にはならないのはフランスらしい。いや、彼らもハメを外す。日頃の緊張から解放されて、愚かな行動にも走る。それでも冷静さが見え隠れする。浴びるように飲むのがビールではなくて、必ずワインなのが可笑しい。気取ってるようで、でもおフランスはこうでなくては。

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November 23 - 25 weekend, 2012

November 23 - 25 weekend, 2012

1 ヒッチコック|$16,924(17)$287,715
2 Anna Karenina|$13,580(66)$1,534,832
3 君と歩く世界|$13,577(2)$27,154
4 リンカーン|$12,724(2018)$62,840,796
5 Silver Linings Playbook|$11,945(367)$6,209,767
6 トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2|$10,723(4070)$227,366,118
7 007/スカイフォール|$10,069(3526)$221,144,122
8 ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日|$7,670(2927)$30,573,101
9 Rise of the Guardians|$6,508(3653)$32,341,090
10 Red Dawn|$5,241(2724)$21,689,162


【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 ニューアルバムのリリースを記念して7日間で世界の7大都市を回るツアーを敢行したリアーナさんですが、移動に使うためのプライヴェート飛行機に時間通りに乗り込まないため、超過料金がとんでもない額になっているそうです。例えばメキシコからカナダへのフライトは4時間遅れになった他、スウェーデンやフランスでのフライトも大幅に遅刻してやってきたとか。超過料金は20万ポンド(今だと2,600万円ぐらい?)。まあ、あのクリス・ブラウンさんと復縁する人ですからね。凡人のハートじゃありませんよ。お姫様扱いしてくれないと、嫌なの!ってタイプでしょう。毎度すぐに別れる恋人のことを歌にしてばかりのテイラー・スウィフトさんにも同じような匂いを感じますが、こちらは普段のお行儀が良いせいか、誰にも賛同してもらえませぬ。寂しー。

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思い出

 今年の2月、名古屋の映画ファンにはお馴染み、ゴールド劇場・シルバー劇場が閉館した。映画を映画館で観るようになってから20年以上経っている。その間、お世話になった映画館が次々消えていった。その度に寂しい気持ちになったことを思い出す。20年前から残っている映画館は僅かになった。あぁ、時は流れている。

 30代半ばになり、最近思い出せないことが多くなってきた気がするのだけれど、それでも、どの映画をどの映画館で観たのかということについては、結構覚えている。もちろん全部ではない。ただ、心の片隅に残っている記憶は確かに存在する。いつかは忘れてしまうかもしれない。覚えている今の内に、少しだけでも文字に残しておこう。



 グランド1。名駅の映画館の中でも王様の風格があった劇場。ここでかかる映画は間違いなくメジャー大作だった。携帯電話を忘れるという失態をやらかしたことも思い出深いけれど、それよりも高校生のとき、同級生たちと一緒に大人数で観にきたことの方が印象に残っている。なんと立ち見だったのだ。しかも大変つまらないケヴィン・コスナー主演作『ワイアット・アープ』(94年)だったのだ。上映終了後は疲労と退屈により皆無言。昼食だけ食べて、解散となった。

 グランド6(多分。あ、でもグランド5かも)。名駅地下にあった中規模劇場。ここでは「観られなかった映画」を覚えている。その映画とは二本立て上映だったクリスチャン・スレーター、マリサ・トメイ主演の『忘れられない人』(93年)とジョニー・デップ、メアリー・スチュアート・マスターソン主演の『妹の恋人』(93年)。ちょっとしたデートムービーブームが巻き起こっているときに封切られた二本。あの頃から映画は一人で観ることにしていたのだけど、どこからどう見てもラヴストーリーなこの2タイトルを一人で観るのは抵抗があったのだった。一緒に観る相手など、もちろんいない。映画館の前まで行きながら、そして散々悩みながら、結局観られず。ちゃらーん…。

 ピカデリー1。実はグランド1よりも大きな劇場。マット・デイモン、ジュード・ロウ主演の『リプリー』(99年)はここで。なぜそれを覚えているのかというと、ビル一階のチケット販売の女の接客態度があまりにも不愉快だったから。自分で言うのもナンだけれど、滅多に人には怒らない(心の中で怒っていることは多いけど)。でも、このときは怒った。そんでもってそれだけでも我慢ができず、上の人間にまで文句を言った。そしたら女は自分の非を認め…クビになった。ちなみに初めて洋画を大画面で観たのもこの劇場で、『ミクロキッズ』『ターナー&フーチすてきな相棒』(89年)の二本立てだった。『氷の微笑』(92年)をドキドキしながら観たのも覚えている。

 ピカデリー4。小さな映画館だったけれど、ここではイアン・マッケラン主演の名作『ゴッド・アンド・モンスター』(98年)を上映してくれたことが忘れられない。公開に向けて始まった運動、もう10年以上前のことになるのか…。

 毎日ホール。新聞の上映時間案内ではグランドよりも先に紹介されていたせいか、意味なく「出席番号1」のイメージ。『メリーに首ったけ』(98年)はここで観た。『メリー』と言ったら、ベン・スティラーのアレがチャックに挟まれちゃう場面、キャメロン・ディアスの前髪が立っちゃう場面、スティラーが犬と格闘する場面…等爆笑場面がてんこ盛り。劇場があんなに大笑いになったことはなかった。そして…思い出し笑いが得意な自分は、上映の間中、別に笑うところじゃなくても思い出して笑いそうになりそれを堪える…の繰り返し。ある意味、無茶苦茶体力を使う鑑賞だった。

 名鉄東宝。名古屋名物ナナちゃん人形のある通りの巨大劇場。初めて行ったのはクリストファー・ランバートとダイアン・レインがまだ夫婦だった頃に共演した『美しき獲物』(92年)。アレだけ広いのに客が2、3人しか入っていなかったことに驚いた。それから間違いなくトム・クルーズの代表作である『ザ・エージェント』(96年)はここで観た。それも2回観た。公開直後にさっさと観たのだけれど、後日友人とダブルデートすることになってしまい、もう観たから別の映画にしてと頼んだのに、叶わず再び観ることに。まあ、最高に面白かったのでいいかという気分で…。ところが、観終わった後、女のひとりが映画について延々文句を言い始めて…気分が台無しに。まったくもう…。

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思秋期

思秋期 “Tyrannosaur”

監督:パディ・コンシダイン

出演:ピーター・ミュラン、オリヴィア・コールマン、エディ・マーサン

評価:★★★




 主演は地味を極めるピーター・ミュランとオリヴィア・コールマン。岩崎宏美は出てこないのに邦題は『思秋期』。俳優が監督していると言っても、パディ・コンシダインは「スター」という言葉とは無縁のキャラクターアクター。物語は暗く沈み、目を背けたくなる描写も多い。全く、容赦なく、ストレートに重い気分を誘われる。

 原題は『Tyrannosaur』。ミュランが演じる男は「ティラノサウルス」は死んだ妻のあだ名だと言う。ティラノとはもちろん、白亜紀を代表する獰猛な肉食恐竜。酒浸りで、怒りのコントロールができず、感情を全て外にぶつけるミュランが内に飼っているもの…というのが本当のところだ。ティラノなミュランはいきなり、飼い犬を蹴り殺す。むしゃくしゃしていたときに目の前にいたからという以上の理由はない。最低だ。

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ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女

ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女 “Game Change”

監督:ジェイ・ローチ

出演:ジュリアン・ムーア、ウッディ・ハレルソン、エド・ハリス、
   ピーター・マクニコル、サラ・ポールソン、ロン・リヴィングストン、
   ジェイミー・シェリダン、ブルース・アルトマン、コルビー・フレンチ

評価:★★★




 2008年のアメリカ合衆国大統領選の主人公はもちろん、民主党バラク・オバマだ。しかしもうひとり、強烈な印象を残した人物がいる。共和党ジョン・マケインではない。彼が副大統領候補として選んだサラ・ペイリンがその人物だ。…なんて紹介も必要ないだろう。それぐらいペイリンはインパクトがあった。素晴らしく魅力的だったからではない。その無知の数々が人々の脳裏に彼女の姿を焼き付けた。

 『ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女』はペイリンを主人公にしているのだから、暴かれた無知の数々を描かないわけにはいかない。英国の政治的トップが女王だと信じていたり、ドイツの位置を知らなかったり、息子が戦地に趣いているのにイラク戦争の動機すら答えられない。知識がないというより常識に欠ける。ペイリンが無知を晒す度に笑ってしまう。中学生でも答えられるだろう。けれど同時に、怖くもなる。寒気を覚える。彼女が本当に副大統領になる可能性があったのだ。

 ペイリンの姿を通してアメリカの選挙制度の問題点が見えてくる。リアリティショウという言葉も飛び出すように、良くも悪くも選挙がエンターテイメントになっている。思わず「ハンガー・ゲーム」(12年)を思い出す。何しろオバマのカリスマ性に対抗するためのペイリン抜擢の理由が、女性票を見込んでの見映えの良さというのだもの。共和党の選挙チームは通常ならば4週から8週かけて行う身辺調査をたったの5日で済ませる。ペイリンに本音を言う人物がいないことも含め、ペイリンはある意味、犠牲者でもある。

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ゲットバック

ゲットバック “Stolen”

監督:サイモン・ウエスト

出演:ニコラス・ケイジ、ジョシュ・ルーカス、マリン・アッカーマン、
   サミ・ゲイル、ダニー・ヒューストン、M・C・ゲイニー、
   マーク・ヴァレー、エドリック・ブラウン、バリー・シャバカ・ヘンリー

評価:★★




 サイモン・ウエスト監督とニコラス・ケイジと言ったら「コン・エアー」(97年)だ。ラスヴェガスの街中に飛行機を着陸させるというあんぽんたんアクション。ハリウッドのダメなところを全部詰め込んだような、真正面から大味な仕上がりだったけれど、それでもいかにも大金次ぎ込んでまっせ的な大スケールだけはスゴカッタ。あれから15年。彼らが再び組んだ『ゲットバック』はすっかりB級、C級アクションの趣。思い切りスケールダウン。あぁ、栄枯盛衰。

 予想はついていたものの、話は酷い。演出も酷い。娘を誘拐された元銀行強盗による救出劇。一見ケイジ版「96時間」(08年)のようだけれど、どの場面も中途半端かつ行き当たりばったり。オープニングの強盗場面はミスリードがヘタクソだし、FBIは人海戦術に頼るばかりの無能だし、娘は懐かしのアンナ・クラムスキーのバッタモンみたいだし、ジョシュ・ルーカスはドクター・マシリトみたいだし、ニューオーリンズの街並もパレードも生かされないし、金塊強奪は簡単に成功し過ぎだし…。

 いちばん恥ずかしいのは、こうした失敗の数々をウエストがカッコ良いと思っていることで、それが透ければ透けるほどコントにしか見えなくなってくる。FBI役のダニー・ヒューストンなんて、ずっとハットを被っていて、完全にハードボイルド気取り。でもせいぜい、時代錯誤のおのぼりさんだ。

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声をかくす人

声をかくす人 “The Conspirator”

監督:ロバート・レッドフォード

出演:ジェームズ・マカヴォイ、ロビン・ライト、ケヴィン・クライン、
   エヴァン・レイチェル・ウッド、ダニー・ヒューストン、
   ジャスティン・ロング、アレクシス・ブレデル、ジョニー・シモンズ、
   コルム・ミーニー、トム・ウィルキンソン、ジェームズ・バッジ・デイル、
   トビー・ケベル、ジョナサン・グロフ、スティーヴン・ルート、
   ジョン・カラム、ノーマン・リーダス

評価:★★




 第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンが南軍の残党に暗殺されるところから始まる。リンカーンが銃弾を受け、残党が方々に散っていくまでの流れが、滑らかになされない。アクションの足元がぐらついている。尤も、アクションらしいアクションはこれぐらいで、その後は裁判劇の方向に傾いていく。ロバート・レッドフォード監督の興味は暗殺事件の真相を解き明かすところにはない。

 『声をかくす人』でレッドフォードが目を向けるのは司法だ。暗殺事件の逮捕者の中には女がいた。名をメアリー・サラットと言う。彼女は民間人でありながら軍法会議にかけられ、そして遂には処刑される。なぜ彼女は処刑されなければならなかったのか。レッドフォードはどうやら、相当にこの史実に怒っているようで、その問題を執拗に追いかける。正義とは何か、問い掛けながら。

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November 16 - 18 weekend, 2012

November 16 - 18 weekend, 2012

1 トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2|$34,660(4070)$141,067,634
2 Silver Linings Playbook|$27,688(16)$443,003
3 Anna Karenina|$20,043(16)$320,690

4 リンカーン|$11,859(1775)$22,468,242
5 007/スカイフォール|$11,727(3505)$160,941,621
6 シュガー・ラッシュ|$5,131(3622)$121,750,227
7 フライト|$3,370(2612)$61,523,691
8 A Royal Affair|$2,446(32)$138,125
9 Dangerous Liaisons|$2,163(6)$39,588
10 Holy Motors|$2,113(23)$193,100


【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 グウィネス・パルトロウさんが自分とランチデートする権利をオークションに出品しました。先日、アメリカ東部を襲ったハリケーン サンディの被害者へのチャリティとのこと。パルトロウさんだけでなく、カリスマシェフと言われるマリオ・バターリさんも漏れなくついてくるというのが、なんだか余計な気もしますが、ファンの皆様、どうぞ頑張って落札して下さい。個人的にはVogue誌の鬼(?)編集長アナ・ウィンターさんとファッションウィークを観覧する権利が気になります。怖いよー。ショウになんて、絶対集中できないと思ふ…。

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今日、キミに会えたら

今日、キミに会えたら “Like Crazy”

監督:ドレイク・ドレマス

出演:アントン・イェルチン、フェリシティ・ジョーンズ、
   ジェニファー・ローレンス、チャーリー・ビューリー、
   アレックス・キングストン、オリヴァー・ミュウアヘッド、
   フィノラ・ヒューズ、クリス・メッシーナ、ジェイミー・トーマス・キング

評価:★★★★




 いきなり初々しい。アメリカ、ロサンゼルスの男子大学生。イギリスからの女子留学生。授業中の堂々とした態度。それを眩しげに見つめる目。置手紙のメッセージ。電話での呼び出し。カフェでのぎこちない会話。初めての部屋。離れ難い帰り際。窓越しに重ね合う手の平…。

 そんなわけでふたりは、瞬く間に相思相愛となる。ちょっと離れるだけが一生涯の別れに思えたり、ベッドの上がどんな名所よりも楽しい。どこにでも転がっている恋愛が、しかし、何ともまあ生々しく、清々しく、鮮烈に浮かび上がることか。ふたりは法律により離れ離れになる。悪いのはふたりであることは間違いないのに、それでも彼らに肩入れする。切ないほど好き。この感情が物語の重心に置かれ、しかもそれが真実として見えるからだ。正しいアプローチだ。

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憧れのウェディング・ベル

憧れのウェディング・ベル “The Five-Year Engagement”

監督:ニコラス・ストーラー

出演:ジェイソン・シーゲル、エミリー・ブラント、リス・エヴァンス、
   クリス・プラット、アリソン・ブリー、ローレン・ウィードマン、
   ミミ・ケネディ、デヴィッド・ペイマー、ジャッキー・ウィーヴァー

評価:★★★




 プロポーズ場面から始まる。領収書。レストラン。iPod。花火。友人のサポート。ルビーの指輪。鍵を握るアイテムはたっぷり。男から女へサプライズプランとして決行されるのだ。ところが、これが上手くキマらない。格好つけようとすると、邪魔が入ったり、あらぬ方向に向かったり…。しかし、この「ハズシ」こそが重要だ。

 だって『憧れのウェディング・ベル』の物語は、特別目新しいものではない。婚約したはいいけれど、思いがけない人生の出来事に振り回され、なかなか結婚に辿り着けない。女がミシガン大学での仕事が決まってサンフランシスコから大移動。2年間限定の約束だったのにしかし、事は予定通りには運ばない。現実社会でも普通にあるだろう物語を映画にするのだ。ストレートな部分よりもハズシのそれこそが命となるのは当然だ。

 とは言え、主人公を演じるジェイソン・シーゲルとエミリー・ブラントは、ストレートにナイスカップルだ。ハンサムでもスマートでもないものの、クマのぬいぐるみのような穏やかさを感じさせるシーゲル。きりりとした美しい目鼻立ちと、それが優しく崩れるときのギャップが可愛らしいブラント。シーゲルがブラントを外側から包み込む。ブラントがシーゲルを内側から温める。普段の生活の、何気ないやりとりに価値を見出すことのできるふたりだ。

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最高の人生の選び方

最高の人生の選び方 “The Open Road”

監督:マイケル・メレディス

出演:ジェフ・ブリッジス、ジャスティン・ティンバーレイク、
   ケイト・マーラ、ハリー・ディーン・スタントン、ライル・ラヴェット、
   メアリー・スティーンバージェン、テッド・ダンソン

評価:★★




 病に倒れた母が息子に言う。「お父さんに会わせて欲しい」。息子は願いを叶えようと、離れて暮らす父を迎えに行き、車の旅に出る。オハイオからヒューストンまで。途中メンフィスに迷い込みながら…。久しぶりの再会が彼らの心のどこかを震わせる。…というわけで、『最高の人生の選び方』は実にロードムービーらしいロードムービーだ。

 作りは丁寧だ。丁寧だけれど退屈なのはエピソードの一つひとつが薄っぺらだからだ。無責任を絵に描いたような父親と仕事がスランプの息子。父は殿堂入りするほどの野球の元スター選手。息子もその後を追うように野球を生業にしている。似ているような似ていないような、長嶋茂雄・一茂のようなふたりが、衝突を何度も繰り返す様を繰り返しているに過ぎない。

 多分車の中という空間が生み出す効果に頼り過ぎている。車内というものは通常よりも人と人の距離が近くなる。それゆえそのバランスが簡単に崩れる。ロードムービー特有の効果に寄り掛かり、しかし寄り掛かったままでそこから先の領域に足を踏み入れようとしない。赤いハマーの中には、息子の元恋人で、現恋人にプロポーズされたばかりという女もいるというのに、ちっとも盛り上がらない。それぞれの距離が一定のそれをキープして、全然揺るがない。

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ドン底女子のハッピー・スキャンダル

ドン底女子のハッピー・スキャンダル “Without Men”

監督:ガブリエラ・タリアヴィーニ

出演:エヴァ・ロンゴリア、クリスチャン・スレーター、
   オスカー・ヌニェス、ケイト・デル・カスティーリョ、モニカ・ウルテ、
   イヴェット・イェーツ、マリア・コンチータ・アロンソ、ギレルモ・ディアス

評価:★




 エヴァ・ロンゴリアと言ったら「デスパレートな妻たち」(04年~12年)のガブリエル・ソリス役だ。物質至上主義で、でも意外に情には厚い女をとても華やかに演じている。TVスターが映画に出るときは新しいイメージに挑戦するか、それともTVのイメージを守るかに分かれるものだ。ロンゴリアはもちろん後者だ。誰も彼女に演技力は期待していない。ガブリエルな彼女を見たいのだ。グラマラスに魅力を振り撒いて、かつ高飛車でいてくれたらそれで良い。

 斯くして『ドン底女子のハッピー・スキャンダル』のロンゴリアは、「デスパ妻」と同じ演技だ。間の取り方や表情の作り方、身振り手振りもそのままガブリエルと言って差し支えない。どうせなら服もブランドで固めてくれたら完璧だった。ロンゴリアは革命軍への参加を強要され、神父以外の男がいなくなってしまった村の村長役だ。ガブリエルがアマゾネスな村を自分の思うがままに仕切る。

 どうやらこれは可能性の物語らしい。男が上で女が下という概念の村らしく、女たちは男がいなくなって途方に暮れる。何でもかんでも男に頼りっぱなし。読み書きはできない。労働もしない。電球の付け替えだって一苦労。でも、売春婦はたっぷりいる。一体全体いつの時代の話かと呆れるけれど、その彼女たちが自分たちの価値を知るというのがストーリーの軸にある。どうでもいいけど。

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マーガレット

マーガレット “Margaret”

監督:ケネス・ロナーガン

出演:アンナ・パキン、J・スミス=キャメロン、マーク・ラファロ、
   ジーニー・バーリン、ジャン・レノ、ローズマリー・デウィット、
   アリソン・ジャニー、サラ・スティール、ジョン・ギャラガー・ジュニア、
   マット・デイモン、マシュー・ブロデリック、キーラン・カルキン
   オリヴィア・サールビー、ジョシュ・ハミルトン、マイケル・イーリー

評価:★★★




 冒頭、主人公を演じるアンナ・パキンがむっちむちのミニスカートとブーツで不敵な態度をキメているので、青春の反抗でも描く話かと勘違いしそうになるけれど、そんな呑気な突っ込みは瞬く間にできなくなる。ある日、女子高生は交通死亡事故を目撃。いや、目撃しただけでなく、事件そのものに深い関わりを持たざるを得なくなる。

 この少女の状況が複雑だ。少女がバスの運転手のテンガロンハットに興味を持ち、運転中の彼に話しかけたことをきっかけに脇見運転を誘発。赤信号を確認しなかったことで事故が起こるのだ。つまり彼女は直接的な加害者ではないものの、その原因の発生源となる。当然少女は罪悪感を感じる。人が死んでしまった。被害者に申し訳ない。けれど、加害者の人生も守る必要があるのではないか。しかし、自分も守ねばならない。結果、彼女は極めて苦しい心理状態のまま、宙ぶらりんに置かれる。被害者が死んでいくところをいちばん近くで見守ったり、加害者が自分の非の一切を認めなかったり、事態はいよいよ混迷を極める。

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November 9 - 11 weekend, 2012

November 9 - 11 weekend, 2012

1 リンカーン|$85,846(11)$944,308
2 007/スカイフォール|$25,211(3505)$90,564,714

3 シュガー・ラッシュ|$8,799(3752)$93,647,405
4 フライト|$7,223(2047)$47,455,396
5 A Royal Affair|$5,459(7)$38,212
6 The Sessions|$4,262(128)$1,655,222
7 Dangerous Liaisons|$3,005(6)$18,027
8 A Late Quartet|$2,881(62)$288,916
9 きっと ここが帰る場所|$2,842(11)$44,615
10 Starlet|$2,610(6)$15,662


【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 日本では石川遼選手の2年ぶりのツアー勝利が話題のゴルフ界。アメリカのプロゴルファーと言ったら、やっぱりタイガー・ウッズさんでしょう。妻がありながらたくさん女性とオイタをしていたことが有名ですが、愛人続々発覚騒動の際、8番目の女として名乗りを上げたポルノ女優、ジョスリン・ジェームズさんが、12月にネヴァダの合法売春宿にて売春をすることが発表されました。宿の経営者によるとジェームズさんは、三つの穴、全てを提供するそうです。何てあからさまな!素晴らしいのがキャッチコピー。「とうとう、タイガーの女を味わえる日が来ました。(Now you can finally have a piece of Tiger's tail.)」[TVGroove訳]。ぷぷぷっ。セレーナ・ゴメスさんとお別れしたばかりのジャスティン・ビーバーさん、どうです?試してみませんか?筋トレの成果を見せる良い場かもしれませんよ。

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フライペーパー! 史上最低の銀行強盗

フライペーパー! 史上最低の銀行強盗 “Flypaper”

監督:ロブ・ミンコフ

出演:パトリック・デンプシー、アシュレイ・ジャド、メキ・ファイファー、
   ティム・ブレイク・ネルソン、プルイット・テイラー・ヴィンス、
   オクタヴィア・スペンサー、マット・ライアン、
   ジェフリー・タンバー、ジョン・ヴェンティミリア、
   カーティス・アームストロング、ロブ・ヒューベル

評価:★★




 とある銀行が舞台になる。閉店時間間際、銀行員と数人の客だけしかいない寂しい空間。そこに現れるのが二組の強盗だ。一方は完全武装のデキる三人組。もう一方は覆面すら装着しないマヌケ面の二人組。突如始まる銃撃戦。さて、その後は…。『フライペーパー! 史上最低の銀行強盗』は断わるまでもなく、コメディだ。

 細部の創り込みに面白いところがある。強盗たちが指名手配ランキングの順位に一喜一憂する件。マヌケ面二人組が互いをピーナッツバターとジャムで呼び合う件。人質をチーム分けする件。人質側もいまいち緊迫感に欠けていて、大胆不敵に銀行内をうろちょろ、強盗の計画を探りにかかる。

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ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋

ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋 “W.E.”

監督:マドンナ

出演:アビー・コーニッシュ、アンドレア・ライズボロー、
   ジェームズ・ダーシー、オスカー・アイザック、リチャード・コイル、
   デヴィッド・ハーバー、ローレンス・フォックス、ナタリー・ドーマー、
   ジェームズ・フォックス、ジュディ・パーフィット、
   ハルク・ビルギナー、ジェフリー・パーマー

評価:★★★




 「英国王のスピーチ」(10年)ではすっきり軽薄に描かれていたエドワード八世とウォリス・シンプソンが取り上げられる。何でも当時はスキャンダラスな関係として世界中で騒がれたらしい。確かに英国王が夫のいる女と、しかも米国女性と恋に落ちるというのは、なかなかあることではない。けれど『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』はそれよりも、別の一点において、より注目すべきだ。

 もちろん監督をマドンナが手掛けていることだ。現代社会において最も有名な女のひとり。歌手だとか俳優だとかの枠に収まらない真のエンターテイナー。熱烈に愛される一方、彼女を嫌悪する「敵」も相当数に上る。その言動は良くも悪くも、必ず注目の的となる。マドンナが世界を敵に回したウォリスに興味を持つのは必然だ。

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リンカーン 秘密の書

リンカーン 秘密の書 “Abraham Lincoln: Vampire Hunter”

監督:ティムール・ベクマンベトフ

出演:ベンジャミン・ウォーカー、ドミニク・クーパー、アンソニー・マッキー、
   メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ルーファス・シーウェル、
   マートン・ソーカス、ジミ・シンプソン、ジョセフ・マウル、
   ロビン・マクリーヴィー、エリン・ワッソン

評価:★★




 第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンはヴァンパイアハンターだった…という奇想はどこから出てきたのだろう。ひょっとすると都市伝説のようなものでも存在するのだろうか。ともかく『リンカーン 秘密の書』ではリンカーンがヴァンパイアハンターになる過程、そしてヴァンパイアの大ボスを倒すまでが描かれていく。それも史実に即しながら。

 断わるまでもなく、見所はリンカーンのアクションヒーロー化にある。ヴァンパイアに母を殺され復讐に燃えるリンカーンが、同じヴァンパイアハンターである謎の男と出会い、訓練を受ける。リンカーンは彼からの指令を受けて、一人また一人とヴァンパイアをやっつける。ターゲットがヴァンパイアでなければ暗殺者に見えることだろう。リンカーンが見せるアクションはさほど面白くない。ターゲットがヴァンパイアの正体を表す際に使われる視覚効果の方が目立っている。

 その上、演じるベンジャミン・ウォーカーに魅力がない。ガタイが良いからというわけでもないけれど、「リーアム・ニーソン30年前五割引き」みたいな印象。華らしい華がなく、ドミニク・クーパーやアンソニー・マッキーといった脇の性格俳優たちに次々喰われていくのが、いっそ痛快だ。話が後半に入ると、あのお馴染みのリンカーンの顔にメイクされる。これがまた、実に不自然な仕上がり。マネキンでも眺めている気分になる。

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パラノーマル・アクティビティ4

パラノーマル・アクティビティ4 “Paranormal Activity 4”

監督:ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン

出演:ケイティ・フェザーストン、キャスリン・ニュートン、
   エイデン・ラヴカンプ、ブレイディ・アレン、マット・シヴリー、
   スティーヴン・ダンハム、アレクソンドラ・リー

評価:★★




 「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの最大の功績は、固定カメラが生み出す恐怖を世に知らしめたところにある。心霊現象自体は新味がなくとも、静止映像にこだわることで、悪夢を何倍にも膨れ上がらせる。観客の想像力との密着法が優れている。

 ただ、それでも回を重ねれば、飽きが来る。結局同じことの繰り返し。観客が映像に慣れてしまう。そこで「3」(11年)ではシリーズ初となる首振りカメラによる映像が導入された。なるほど、作り手も考えてはいるのだ。扇風機の要領で動くカメラ。あと一歩でコントになるところを踏ん張った。「2」(10年)で赤ん坊が登場人物に入れられたのも、単調な空気の停滞を打破する狙いがあったのかもしれない。好意的に解釈すれば…。

 では『パラノーマル・アクティビティ4』はと言うと、パソコンを用いたビデオチャットなるものが新しく取り入られている。パソコンのカメラを通じて外部の人間と接触しながらの心霊現象。「志村、後ろ後ろ!」に通じる突っ込みが入る。また、赤外線カメラの映像も採用されている。「マトリックス」(99年)風の緑の映像が鮮やかで、でも不気味なムードを創り出す。

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ラブ&マネー

ラブ&マネー “One for the Money”

監督:ジュリー・アン・ロビンソン

出演:キャサリン・ハイグル、ジェイソン・オマラ、ダニエル・サンジャタ、
   ジョン・レグイザモ、シェリー・シェパード、デビー・レイノルズ、
   デブラ・モンク、ネイト・ムーニー、アダム・ポール

評価:★★




 最初キャサリン・ハイグルが保険のオバチャンにしか見えなくてマイッタ。赤いシャツ、ハイヒールはともかく、膝丈スカートが窮屈そうで。これでカッコ良く魅せようと思われてもなぁ。化粧は水商売風だし(特にアイメイク)…。後半になって盛り返す。ブルーのシャツ、革ジャン、ジーンズにブーツ。ボリュームあるハイグルのスタイルにも合っている。ホッとする。

 …と言っても、それでも違和感はある。おそらくハイグルが黒髪に近いブルネットにしているからではないか。ただでさえリッキー・マーティン顔のハイグルは、くどい。綺麗だけれど、くどい。この顔には結局、いつものブロンドがベストということなのだろう。全体的に重い。

 ハイグルが演じるのは逃亡者逮捕請負人。所謂バウンティ・ハンターだ。『ラブ&マネー』は彼女の初めての仕事を追い掛けるアクション・コメディ仕様になっている。当然狙うべきはヒロインの颯爽たる姿になる。ところが、これがもうひとつキマらない。ロマンス要素を過剰に意識したから…だけではない。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

November 2 - 4 weekend, 2012

November 2 - 4 weekend, 2012

1 フライト|$13,217(1884)$24,900,566
2 シュガー・ラッシュ|$13,070(3752)$49,038,712
3 A Late Quartet|$8,364(9)$75,279

4 The Sessions|$6,787(69)$943,230
5 The Man with the Iron Fists|$4,235(1868)$7,910,980
6 アルゴ|$3,680(2774)$75,860,240
7 ビッグ・ピクチャー|$3,116(7)$95,344
8 Holy Motors|$3,047(5)$83,665

9 もうひとりの息子|$2,948(52)$330,423
10 クラウド アトラス|$2,672(2013)$18,391,743

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 ペネロペ・クルスさん、ドリュー・バリモアさんが相次いで女優業以外の分野に進出します。クルスさんはヴィヴィアン・ウエストウッドさんの息子ジョセフ・コーレさんが立ち上げたランジェリーブランド、エージェント・プロヴォケイターを通じて、ラグジュアリー&セクシーを目指したランジェリーをデザイン。バリモアさんはイタリアのコスメブランド、インテルコスの協力の下、自身のコスメラインを立ち上げます。まあ、俳優業は浮き沈みが激しいですから、稼げるときに稼いでおいた方が良いでしょう。女子の方々はクルスさんやバリモアさんのようになりたいと思って購入するのでしょうか。ランジェリーを装着、コスメをパーフェクトにして鏡に映ればほら、あぁ、私ってプリンセス?みたいな???いや、ベースって大切ですよね…。

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魔法の恋におちたら

魔法の恋におちたら “All's Faire in Love”

監督:スコット・マーシャル

出演:クリスティーナ・リッチ、オーウェン・ベンジャミン、
   マシュー・リラード、ルイーズ・グリフィス、
   アン=マーグレット、セドリック・ジ・エンターテイナー、
   サンドラ・テイラー、デイヴ・シェリダン、

評価:★




 そもそも背景として用意されるルネサンス祭なるものが面白くない。文明から切り離された場所で当時の衣装に身を包み、その時代ならではの催しで客を迎え入れる。ルネサンス時代の暮らしがどういうものだったのかを遊びながら学ぼうという企画自体は悪くないと思いつつ、出し物のいちいちが子ども騙し以外の何物でもない。そこには女王がいる。王子がいる。騎士がいる。番人がいる。魔女までいる。でもその完成度が、学芸会レヴェル。

 画面がさほど綺麗でないのは意図的なのか。自然が残った場所が舞台ゆえ、茶色ベースになるのは仕方ないにしても、原色もたっぷり使われる衣装も全然美しく見えない。それこそママに作ってもらった学芸会ドレス的微笑ましさ。仮装パーティだって、もう少しマシだろう。映画の魔法がかからない。

 『魔法の恋におちたら』の主役男女はルネサンス祭で働くことになる。ちょっぴり恥ずかしくもある衣装をまとった彼らは、雑用係として様々なことにチャレンジ。あれこれドタバタを繰り返す。その際の笑いがくだらなくてくだらなくて…。衣装が小さくて尻が見えてしまうだとか、ヤギに尿を引っ掛けられるだとか、女王とお付きの者に踏みつけにされるだとか…。こんな安い笑いに包まれた恋だなんて、主人公カップルはそれでいいのか。

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危険なメソッド

危険なメソッド “A Dangerous Method”

監督:デヴィッド・クローネンバーグ

出演:キーラ・ナイトレイ、マイケル・ファスベンダー、ヴィゴ・モーテンセン、
   ヴァンサン・カッセル、サラ・ガドン、アンドレ・ヘンニック、
   アルンドゥト・シュヴェリング=ゾーンレイ、ミニヨン・ルメ

評価:★★




 デヴィッド・クローネンバーグがカール・ユングとジークムント・フロイトを取り上げる。一見意外だ。精神分析を語る上で避けては通れないふたりの大家。変態的暴力性を凝視してきたクローネンバーグは、畑違いではないのか。ユングとフロイトの知性がクローネンバーグの味を呑み込んでしまうのではないか。

 『危険なメソッド』におけるそうした不安は杞憂に終わる。ユングとフロイトの出会いと別れ、互いに与え合う影響の物語を借りながら、クローネンバーグが見つめるのは、彼らの身体の中で静かに妖しく蠢くものであるからだ。それを内なる暴力性と呼ぶのは容易いものの、クローネンバーグはそうした一面的な見方は嫌うのではないかと察する。理論だけでは突破できない人間の複雑怪奇な心を密着させることで、その正体を探る。

 均整の取れた画面が目に焼きつく。澄み渡った空気の中に見える景色。柔らかな光。塵の見えない部屋。品を湛えた家具や食器。繊細に流れるペン。カメラワークは左右対称とは行かないまでも、規律を守ったそれが選ばれている。クローネンバーグは対象物に近づく。そして、その裏にある狂気を絡めとる。美しくて、でもそれが歪みを引き出していく。

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シャドー・チェイサー

シャドー・チェイサー “The Cold Light of Day”

監督:マブルク・エル・メクリ

出演:ヘンリー・カヴィル、シガーニー・ウィーヴァー、ブルース・ウィリス、
   ヴェロニカ・エチェギ、ジョセフ・マウル、キャロラリン・グッドオール、
   ラフィ・ガヴロン、エマ・ハミルトン、マイケル・バッド、ロシュディ・ゼム

評価:★★




 ブルース・ウィリスがアッという間に退場してしまうから驚く。主人公の父親として登場するウィリスは、序盤の序盤に一暴れしたところであっさり銃弾に倒れる。一暴れなんて言っても、画面が暗くてウィリスがどんな活躍をしたのか判断し辛い。その程度の動きを見せて消える。しかし、それよりももっと衝撃的なのは、ウィリスの息子がヘンリー・カヴィルという点だ。タコ入道から正統派美青年の誕生。遺伝子の摩訶不思議。

 『シャドー・チェイサー』は最初からB級映画の線を狙った映画だ。父の正体を知り、母と弟を誘拐された青年が、その救出のためスペインの街を奔走する。アクションやサスペンスを次々畳み掛け、整合性は後回しにして、視覚的な刺激を優先する。もちろんその中心には活きの良い若手スターを置く。オスカーになんか絶対に絡まない。だけれど、ちょっとした暇つぶしには良いんじゃない?ディナーには物足りなくても、三時のおやつには手頃だろう?作り手がそれを意識しているのが透けている。野暮だけれど、まあ、寛容な気分。

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アルゴ

アルゴ “Argo”

監督・出演:ベン・アフレック

出演:ブライアン・クランストン、アラン・アーキン、ジョン・グッドマン、
   ヴィクター・ガーバー、テイト・ドノヴァン、クレア・デュヴァル、
   スクート・マクネイリー、ロリー・コクレイン、クリストファー・デナム、
   カイル・チャンドラー、クリス・メッシーナ、ボブ・ガントン、
   リチャード・カインド、ジョン・ボイド、テイラー・シリング

評価:★★★★




 嘘が大きければ大きいほど人は信じやすい。…と言ったのはアドルフ・ヒトラーだけれど、なるほど、本当かもしれない。『アルゴ』の物語からは、それはそれは大きな嘘が飛び出してくる。1979年イラン、テヘランで起きたアメリカ大使館占拠事件。カナダ大使の私邸に匿われた6人の大使館員を国外へ脱出させるため、ハリウッド協力の下、CIA主導により、アメリカが偽の大作映画を撮ってしまうというのだ。大使館員たちを映画クルーに見せかける。そんなバカな!?でも、これが事実だから恐れ入る。

 『アルゴ』とはそのフェイクムービーの名前だ。その細部の創り込みが念入りを極める。本物のメイキャップアーティストと大物映画プロデューサーを引っ張り出し、山ほどある脚本の中からぴったりな題材のものを探し出し、製作発表の会見を行い、業界紙に広告を打つ。フェイクムービーがSF映画というのが、なるほど納得。「スター・ウォーズ」(77年)をきっかけに、ハリウッドはSFブーム。異国の地を表現するのに砂漠の地はベストチョイスだ。主人公のCIAエージェントが「最後の猿の惑星」(73年)からヒントを得るのが可笑しい。大きな嘘が完璧に仕上げられる。

 主演も務めるベン・アフレック監督はしかし、緻密な嘘を積み重ねることで真実が見えてくることも知っている。ここで言う嘘とは、時代描写のことだ。70年代後半の風俗を丁寧に描き出す。髪型や衣服といったファッションはもちろん、電話やテレビ、シュレッダーといった小道具が時代を映し出す。アメリカもイランも今とは明らかに異なる空気をまとっている。エンドクレジットでは当時の写真と映画の場面写真が比較して映し出される。事件の再現の隅々が物語に奥行きを与えている。ドキュメンタリー風だったり70年代風だったり、画面の色合いも見事だ。

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エクスペンダブルズ2

エクスペンダブルズ2 “The Expendables 2”

監督:サイモン・ウエスト

出演:シルヴェスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、
   ドルフ・ラングレン、チャック・ノリス、テリー・クルーズ、
   ランディ・クートゥア、リアム・ヘムズワース、スコット・アドキンス、
   ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ユー・ナン、
   ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガー

評価:★




 何も変わっていない。ネパールの奥地を舞台にした掴みのエピソードだけで分かる。何百人もの兵士、何重にも張り巡らされた有刺鉄線、頑丈な建物に守られた武装反乱軍の要塞に何者かが囚われている。人質を救い出すのが消耗品軍団の任務だ。軍団に作戦はない。ない知恵は絞れない。何台かの武装ジープに散らばり、マシンガンを乱射、フェンスも家屋も力ずくで吹き飛ばし、真正面から大殺戮を繰り広げるのみ。脱出する際には桟橋に集まる敵を飛行機からのミサイルで火だるまにする。俺たち、強いぜ!

 そんなわけで『エクスペンダブルズ2』は一作目(10年)と同じことを繰り返す。アクション映画や格闘技の世界で名を揚げた者たちを集め、悪いヤツを懲らしる(場合によっては殺しちゃう)。その過程でそれぞれに見せ場を作り、でも美味しいところはシルヴェスター・スタローンが全て持っていくという映画。

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October 26 - 28 weekend, 2012

October 26 - 28 weekend, 2012

1 The Sessions|$10,868(20)$376,996
2 The Loneliest Planet|$7,845(2)$15,689
3 The Thieves|$4,802(22)$532,699
4 クラウド アトラス|$4,787(2008)$9,612,247
5 アルゴ|$4,233(2855)$60,510,347
6 もうひとりの息子|$3,066(41)$125,691
7 ビッグ・ピクチャー|$2,970(6)$38,953

8 モンスター・ホテル|$2,883(3276)$130,380,355
9 Silent Hill: Revelation 3D|$2,735(2933)$8,023,036
10 96時間 リベンジ|$2,577(2995)$117,105,577

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 Polldaddy.comというサイトが「横チチが最もホットなセレブは誰か」というオンライン投票をしているそうです。ノミネートされているのはサラ・ミシェル・ゲラーさん 、ケイティ・ペリーさん、ハイディ・クラムさん、アシュリー・グリーンさん、ジェニファー・アニストンさん、アンジェリーナ・ジョリーさん、キム・カーダシアンさん、マイリー・サイラスさん、レディー・ガガさん、エヴァ・メンデスさん、オリヴィア・マンさん。現在トップはサイラスさんだそうで、まあ、インターネットだしね…という感想しか出てこないわけですが、候補に挙がってる皆さんはつまり、これまで横チチを披露したことがあるというわけですネ!皆さん、自信満々で何よりです。チチはデカければ良いわけではない。形もバランスも大切なのだ!…という世のオヤッサンたちの声が聞こえてきます。

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