ローマ法王の休日

ローマ法王の休日 “Habemus Papam”

監督:ナンニ・モレッティ

出演:ミシェル・ピッコリ、イエルジー・スチュエル、レナート・スカルパ、
   マルゲリータ・ブイ、フランコ・グラツィオージ、カミーロ・ミッリ、
   ダリオ・カンタレッリ、ロベルト・ノービレ、ジャンルカ・ゴビ

評価:★★




 これはかなり意表を突く結末ではなかろうか。新ローマ法王が「自分の場所」に戻り、気持ち良く話がまとまると想像する人が大半なのではないか。それをシラッと裏切るまとめ方と言うか、放り出し方と言うか。まあ、ナンニ・モレッティが監督なのだから、そう驚くことでもないのか。

 『ローマ法王の休日』はそもそも、邦題から連想されるような、ほのぼのムードの映画ではない。一人の男が思いがけない出来事に直面し、自分という存在と向き合うことを強いられる。浮上するのは、弱さ。人を指導する立場でありながら男はしかし、己の弱さをなかなか受け入れられない。それが逃亡という形になって表れる。

 邦題は内容に合っていないものの、そうつけたくなる気持ちは分からないではない。話の舞台はなんとカトリック教会の頂点ヴァチカン。コンクラーベ(法王選挙)で選ばれてしまったダークホースが、プレッシャーから我をなくし、町へと飛び出していく。現実味はない。ハリウッド映画ならファンタジーとして見せるところだろう。言うまでもなく、モレッティはハリウッド式を避ける。いつもように登場人物に親密に寄り添うことを選ぶ。

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The 19th Planet Movie Awards/第19回プラネット映画賞 ノミネーション投票データ一部公開

The 19th Planet Movie Awards/第19回プラネット映画賞の
ノミネーションの投票データを一部公開しました。

各部門の6位~10位は以下の通りです。

詳細はOSCAR PLANETをご覧下さい。


◆作品賞
 6. 裏切りのサーカス(トーマス・アルフレッドソン監督)
 7. ミッドナイト・イン・パリ(ウッディ・アレン監督)
 8. ヒューゴの不思議な発明(マーティン・スコセッシ監督)
 9. 別離(アスガー・ファルハディ監督)
10. 私が、生きる肌(ペドロ・アルモドヴァル監督)

◆監督賞
 6. マーティン・スコセッシ(ヒューゴの不思議な発明)
 7. アスガー・ファルハディ(別離)
 8. トーマス・アルフレッドソン(裏切りのサーカス)
 9. スティーヴ・マックイーン(SHAME シェイム)
10. ペドロ・アルモドヴァル(私が、生きる肌)

◆主演男優賞
 6. マイケル・シャノン(テイク・シェルター)
 7. ダニエル・クレイグ(ドラゴン・タトゥーの女)
 8. オーウェン・ウィルソン(ミッドナイト・イン・パリ)
 9. アントニオ・バンデラス(私が、生きる肌)
 9. レオナルド・ディカプリオ(J・エドガー)

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リンカーン弁護士

リンカーン弁護士 “The Lincoln Lawyer”

監督:ブラッド・ファーマン

出演:マシュー・マコノヒー、マリサ・トメイ、ライアン・フィリップ、
   ジョシュ・ルーカス、ジョン・レグイザモ、マイケル・ペーニャ、
   フランシス・フィッシャー、ボブ・ガントン、ブライアン・クランストン、
   ウィリアム・H・メイシー、キャサリン・メーニッヒ、マイケル・パレ

出演:★★★




 『リンカーン弁護士』なんて言うから、アメリカ大統領を連想してしまうものの、ここにおけるリンカーンとはフォード製造による高級車のことだ。まあ、車名が大統領から取られているので、あながち連想も間違いではない。主人公弁護士ミック・ハラーはリンカーンに乗っている。それだけではない。リンカーンをオフィスとして活用している。思わず身を乗り出す設定だ。なぜ彼は車を事務所代わりにするのか。弁護士としての利用価値はどこにあるのか。この車がどんな走りを見せるのか。ところがこのリンカーン、車体を黒光りさせるばかりでちっとも活躍しないのだ。アクション場面に出てくることすらない。

 勿体無い。なぜならハラーの描き込みは悪くないからだ。ハラーは依頼人の求刑をできるだけ軽くするべく大金を利用、達者な言葉でわざと罪を認めさせることもある。要するに真正直な「正義」とは縁遠い人物だ。依頼人が得られる最大の利益を目指して、臨機応変に対処する。そのためには多少道を踏み外しても気にしない。小ずるい性分を隠すことなく、彼はいつも笑顔だ。人物描写に不安があるとするなら、演じるのがマシュー・マコノヒーという点だろう。

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ヴァルハラ・ライジング

ヴァルハラ・ライジング “Valhalla Rising”

監督:ニコラス・ウィンディング・レフン

出演:マッツ・ミケルセン、マールテン・スティーヴンソン、
   ユアン・スチュワート、ゲイリー・ルイス、アレクサンダー・モートン、
   マシュー・ザヤック、ジェイミー・シーヴェス

評価:★★★




 マッツ・ミケルセン演じる奴隷兵士は少年に、ワン・アイと名づけられる。右目しかないからだ。左目は見えないというより、潰れている。瞼を焼いて閉じたようにただれている。右目の周りには大きな傷がある。ワン・アイは地獄から来たと言われる。しかしむしろ、土の中から生を受けたのではないか。泥の中から指を突き出し、次いで頭を捻り出し、全身傷だらけ血だらけになりながら…なんて絵を簡単に想像する。

 中心人物が自然に密着しているのだ。ニコラス・ウィンディング・レフンが自然描写に力を入れるのも無理はない。岩だらけの山々。泥に塗れ風が吹きつける決闘場。霧に包まれ波のない海。荒涼たる平原。レフンはその静寂を緻密に切り取る。じっくり焦らず、神々しさを湛えた構図に収める。この世界では人も自然の一部だ。しかし多くはそれに逆らう。なんと小さく、愚かしく、哀れな生物。

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The 19th Planet Movie Awards/第19回プラネット映画賞 ノミネーション発表

The 19th Planet Movie Awards/第19回プラネット映画賞の
ノミネーションを発表しました。以下の通りです。


◆作品賞
 アーティスト(ミシェル・アザナヴィシウス監督)
 ファミリー・ツリー(アレクサンダー・ペイン監督)
 ドライヴ(ニコラス・ウィンディング・レフン監督)
 ドラゴン・タトゥーの女(デヴィッド・フィンチャー監督)
 ヘルプ 心がつなぐストーリー(テイト・テイラー監督)

◆監督賞
 ウッディ・アレン(ミッドナイト・イン・パリ)
 デヴィッド・フィンチャー(ドラゴン・タトゥーの女)
 ミシェル・アザナヴィシウス(アーティスト)
 アレクサンダー・ペイン(ファミリー・ツリー)
 ニコラス・ウィンディング・レフン(ドライヴ)

◆主演男優賞
 ジョージ・クルーニー(ファミリー・ツリー)
 ジャン・デュジャルダン(アーティスト)
 マイケル・ファスベンダー(SHAME シェイム)
 ライアン・ゴズリング(ドライヴ)
 ゲイリー・オールドマン(裏切りのサーカス)

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July 20 - 22 weekend, 2012

July 20 - 22 weekend, 2012

1 ダークナイト ライジング|$36,532(4404)$160,887,295
2 Easy Money|$7,333(2)$52,051
3 Beasts of the Southern Wild|$5,918(129)$2,855,142
4 一命|$5,460(2)$10,920
5 Ice Age: Continental Drift|$5,254(3886)$88,840,284
6 最強のふたり|$3,446(91)$4,086,369
7 The Well-Digger's Daughter|$3,424(3)$10,273
8 Ted|$3,115(3214)$180,431,425
9 アメイジング・スパイダーマン|$2,901(3753)$228,611,425
10 Trishna|$2,627(16)$84,667

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 ジェシカ・アルバさんが京都にハマっているそうです。4月に家族で京都を訪れて以来、雑誌のインタヴューやSNSを利用して京都の良さを猛アピールしているらしいアルバさん。Vanity Fair誌の中では「京都は最高よ。竹林や美しいお寺での瞑想、料理…全てがロマンティックだったわ!」と大興奮。食通ゆえ初めて見る料理の写真も次々撮っていたそうです。近い将来また行くわよ!と言っているアルバさん、その際にはワタクシが観光案内をしましょう。いや、数回しか行ったことがありませんが。

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きっと ここが帰る場所

きっと ここが帰る場所 “This Must Be the Place”

監督:パオロ・ソレンティーノ

出演:ショーン・ペン、フランシス・マクドーマンド、ジャド・ハーシュ、
    イヴ・ヒューソン、ケリー・コンドン、ハリー・ディーン・スタントン、
    ジョイス・ヴァン・パタン、デヴィッド・バーン、オルウェン・フエレ

評価:★★★




 まず、何より先に触れなければならないのは、ショーン・ペンの外見の作り込みだろう。ペンが演じるのは80年代絶頂を極めた元ロックシンガーだ。ヴィジュアルの派手さが重要視されていた時代。白く塗りたくった肌。真っ赤な唇。軽くウェイブのかかった長髪は、彼方此方に爆発している。それから30年、厚化粧でも隠せない老い。とりわけおでこのシワとほうれい線が強烈だ。

 『きっと ここが帰る場所』のペンのヴィジュアルは、化石を思わせるところがある。玉手箱を開けた浦島太郎のように、絶頂時の引退の日から今日まで、一瞬に老けたかのようだ。誰しもが逆らえない時間の流れ。止まっても走っても時は歩みをやめない。ただ、それだけで人生の哀れを誘う。その上、ペンの動きはほとんどおじいちゃんなのだ。ボソボソと聞き取り難い喋り。覚束ない足取り。音を立てるキャリーバッグが杖代わりだ。

 ところがこの男、そういうちょっと感傷にも似た何かを、あっさり吹き飛ばしてしまうから可笑しい。言葉にさらりと毒を滑り込ませるわ、お節介おばさんのように他人の人間関係に首を突っ込むわ、頼まれたら渋々でもそれを引き受けるわ。ちゃっかり株で儲けたり、ピザが好物だったり、ダブリンの豪邸では優雅そのものの隠居ライフ。その身体からは哀愁を漂わせ、そのくせ、したたかに人生をサヴァイヴァルしている。大体妻はあのフランシス・マクドーマンドなのだ。しっかり夫婦関係も持続している。ペンはそういう不思議なところのある男に命を吹き込んでいる。最初こそバケモノ風に見えたヴィジュアルに、愛嬌が浮上し始める。

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だれもがクジラを愛してる。

だれもがクジラを愛してる。 “Big Miracle”

監督:ケン・クワピス

出演:ドリュー・バリモア、ジョン・クラシンスキー、クリステン・ベル、
   ダーモット・マルロニー、ヴィネッサ・ショウ、ジョン・ピンガヤック、
   アマウォーク・スウィーニー、テッド・ダンソン、ジェームズ・レグロス

評価:★★★




 1988年代アラスカ、バローという町で実際に起こった、クジラ救出作戦をベースにしている。…と聞くと、途端に警戒してしまうのも無理はない。人情を無理矢理押しつけ、善意を武器に難関を突破する、破廉恥な映画なのではないか。ベタベタした人間関係を崇め、それに寄り掛かった、しかしその正体は厚かましいだけの映画なのではないか。『だれもがクジラを愛してる。』はしかし、それを笑いながら吹き飛ばす。意外だ。ホント、意外だ。

 出てくるのは打算的な人間ばかりだ。彼らはクジラを助けるより先に、この機会を利用して、今の自分の置かれている状況を打破しようと極寒の地に乗り込んでくる。実績に乏しい青年ディレクター兼レポーター。野心家の女レポーター。クジラを食料としているイヌピアック族。「良い人」をアピールしたい知事。地元の理解が欲しい石油発掘業者。商品を売り込みたい零細企業。仕方なく任務を負う州兵。遂には選挙を意識したホワイトハウスが、さらには国境を越えてソ連まで出てくる。いずれもが、クジラと一緒に起死回生を狙う。

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ブラック・ブレッド

ブラック・ブレッド “Pa negre”

監督:アウグスティ・ビリャロンガ

出演:フランセスク・コロメール、マリナ・コマス、ノラ・ナバス、
   ルジェ・ガザマジョ、セルジ・ロペス

評価:★★★




 反射的にミヒャエル・ハネケ監督の「白いリボン」(09年)を連想する。第一次世界大戦前夜、ドイツの片田舎。村全体に悪意が満ちていく様が、モノクロの画面に冷たく定着していた。『ブラック・ブレッド』の舞台となる1940年代スペイン、カタルーニャの町にも似た匂いが立ち込める。ただし、こちらはもっと生々しく、禍々しい。

 禍々しさの中心にあるのは、ピトルリウアという名の怪物だ。森深くの洞穴に棲み、羽根を持っているという。ピトルリウアの棲む森で陰惨な事件が起こる。父と幼い息子が崖から馬車馬ごと転落する。事故に見えたそれは、実は殺人事件だった。死ぬ直前、子どもが口にする怪物の名が謎を深める。ピトルリウアこそ犯人なのだろうか。フードを深く被りほとんど死の使いのような犯人は、石を使い、何度も顔を打つ。背筋が凍る。

 軸として置かれるのは、犯人が誰なのかを解き明かす推理劇だ。主人公の少年は殺害現場の第一発見者にして、殺された子どもの幼馴染だった。物語は彼の目を通して語られる。まだ汚れを知らない魂は、真実に耐えられるだろうか。

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崖っぷちの男

崖っぷちの男 “Man on a Ledge”

監督:アスガー・レス

出演:サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、ジェイミー・ベル、
   アンソニー・マッキー、エド・ハリス、エドワード・バーンズ、
   タイタス・ウェリヴァー、ジェネシス・ロドリゲス、
   ウィリアム・サドラー、カイラ・セジウィック

評価:★★★




 はっきり言ってしまうと、主人公の計画には穴がある。偶然に左右されている展開が目立つ。下準備の周到さは不自然だ。結局身体を張る方向に走るのも腑に落ちない。主人公が計画を遂行できるかどうかが物語の軸に置かれていることを考えると、計画の乱れは致命傷ではないか。ところが、『崖っぷちの男』はまさに崖っぷちで踏み止まる。ご都合主義を豪快と言い包める。気の抜けたところを愛嬌として見せる。

 ニューヨーク、ルーズヴェルト・ホテルの21階の窓から男が飛び降りようとしているのが見える。アッという間にビルの下は野次馬の人だかり。マスコミは生中継を開始。自殺を思い止まらせようと交渉人を含めた警官が終結する。衆人環視の中、男はしかし、すぐには飛び降りない。どうやら何かを企んでいるようだ。男が交渉人の女刑事と対峙するあたりは「交渉人」(98年)を思わせるし、ビルの窓の縁からほとんど動けない状況下は昨今量産されているワンシチュエーションスリラーの趣が大だ。ただ、最も強く心に思い起こしたのはロン・ハワード監督、メル・ギブソン主演の「身代金」(96年)だ。

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The 19th Planet Movie Awards/第19回プラネット映画賞 ノミネーション投票受付終了

The 19th Planet Movie Awards/第19回プラネット映画賞の
ノミネーション投票の受付は7月20日まででした。

投票して下さった皆様、どうもありがとうございました。

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フェイシズ

フェイシズ “Faces in the Crowd”

監督:ジュリアン・マニャ

出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジュリアン・マクマホン、
   サラ・ウェイン・キャリーズ、マイケル・シャンクス、
   セバスチャン・ロバーツ、デヴィッド・アトラッキ、
   マリアンヌ・フェイスフル

評価:★




 「ブリンク 瞳が忘れない」(94年)を思い出す。同じく視覚障害を扱っているからだ。「ブリンク」のマデリン・ストウは角膜移植の後遺症で実際に見たものをその場で判断できず、しばらく経った後に認識することを強いられる。それに対して『フェイシズ』のミラ・ジョヴォヴィッチは、人の顔だけが認識できなくなる。誰かと対面する度、ころころその顔が変わっていくのだ。相貌失認と呼ぶらしい。恐ろしい障害だ。作り手も恐ろしいと踏んだらしい。スリラーとしてイケる!ところが…。

 ところがしかし、『フェイシズ』はスリラーというよりコメディの匂いの方が断然濃い。場面が切り替わる毎にヒロインには人の顔が違って見えるので、同じ役柄のために役者を大量に揃えなければならない。ちょっと目を離しただけで人の顔がシャッフル。エンドクレジットなんて、同じ役柄名に違う役者名がズラリ。

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July 13 - 15 weekend, 2012

July 13 - 15 weekend, 2012

1 Farewell, My Queen|$18,025(4)$72,100
2 Easy Money|$12,342(2)$27,783
3 Ice Age: Continental Drift|$12,015(3881)$46,629,259

4 Beasts of the Southern Wild|$9,760(81)$1,692,675
5 Trishna|$9,713(3)$29,140
6 アメイジング・スパイダーマン|$8,019(4318)$200,500,351
7 Ted|$6,785(3303)$159,257,250
8 最強のふたり|$4,293(83)$3,581,488
9 ムーンライズ・キングダム|$4,009(924)$32,483,002
10 Savages|$3,565(2635)$32,125,290

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 先日妊娠が発表された英国最強の歌姫アデルさんですが、一部では既に妊娠8か月に突入、9月にも出産するのではないかと噂されています。関係者は「この何か月外出を控えていたので妊娠を隠せた」と発言していますが、アデルさんのふくよかな体型を知っている世界中がそれに突っ込みを入れていることでしょう。9月出産が本当であって欲しいなぁ。肝っ玉母ちゃんになる絵が簡単に想像できるわー。個人的な希望としては、オリンピックの開会式だか閉会式だかにサプライズ登場して、妊娠後期の歌声を世界中に響かせて欲しい!あ、ワタクシ、今年の後半になっても週に2回はアデルのアルバム、聴いてます…。夏に聴くにはちょいと濃過ぎますけどね。

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少年は残酷な弓を射る

少年は残酷な弓を射る “We Need to Talk About Kevin”

監督:リン・ラムジー

出演:ティルダ・スウィントン、ジョン・C・ライリー、
   エズラ・ミラー、ジャスパー・ニューウェル、
   ロック・ドゥアー、アシュリー・ガーラシモヴィッチ、
   シオバン・ファロン・ホーガン、アースラ・パーカー

評価:★★★




 映画で母と子どもの関係が描かれるときは、ハートフルにまとめられるのが常だ。何があっても母と子の間には揺るがない絆があるとする。確かにそれに救われることは多々ある。ただ、母が子を思う気持ち、子が母を思う気持ちを絶対的なものとして置くのは安易であると同時に、危険でもあるだろう。『少年は残酷な弓を見る』はそこのところを鋭利に突く。

 リン・ラムジーが選んだのはホラーとして撮るという作法だ。お腹を痛めて産んだ我が子。母は当然、惜しみない愛を注ぐも、息子はそれに逆らうような問題行動を連発する。愛らしい顔の裏側には、母への憎しみとしか取れない何かを感じさせる。ラムジーは幾度となく息子の憎しみと母の愛情を衝突させる。それにより生じる亀裂が恐怖に直結していく。じわじわと薄ら寒く、不快で息苦しく、怖ろしい。

 周到にイメージが創り上げられていく。絵画のような構図と優れた色彩感覚の画面で強く心に残るのは、赤のイメージだ。血を連想させる赤から、母は決して逃れられない。トマト、ペンキ、ドア、椅子、ライト、ネオン、ボール、ぬいぐるみ、ジャム、缶詰…。赤は憎しみの炎にも罪の傷跡にも、深い愛情にも底の見えない恐れにも変態する。赤が出現する度、緊張が走る。

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サルベーション

サルベーション “Salvation Boulevard”

監督:ジョージ・ラトリフ

出演:ピアース・ブロスナン、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、
   グレッグ・キニア、マリサ・トメイ、シアラン・ハインズ、
   イザベル・ファーマン、ジム・ガフィガン、ユル・ヴァスケス

評価:★★★




 何だかんだ言ってハリウッドは開かれている方だから、映画にキリスト教原理主義が出てくるときは、あまり良い風には描かれない。アクション映画における悪役の傍らに置かれたり、スリラー映画の道理として活用されたり…。そもそもそれを中心に据えた作品そのものがほとんどないのは、映画界もデリケートなものだと気づいているからだろう。『サルベーション』はそのタブーに挑む。

 映画の姿勢が揺らぐことはない。キリスト教原理主義が徹底的にからかわれる。公平な視線を保とうだとか、美点も取り上げようだとか、意外な側面を突いてみようだとか、寛容な視線は見当たらない。不条理に通じる思考回路、理不尽としか言いようのない言動を炙り出す。自らの罪を隠蔽することに必死な牧師。夫の言葉に耳を貸すことなく神父に寄り掛かる妻。信仰を守るために罪を重ねることを厭わない友人。距離を置いて見れば、なんと可笑しくて恐ろしい。ジョークで済ませられれば良いのだけれど、しかし…。しかし彼らは、本当にそれが最善だと思っている。

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南の島のリゾート式恋愛セラピー

南の島のリゾート式恋愛セラピー “Couples Retreat”

監督:ピーター・ビリングスリー

出演:ヴィンス・ヴォーン、ジェイソン・ベイトマン、フェイゾン・ラヴ、
   ジョン・ファヴロー、マリン・アッカーマン、クリステン・ベル、
   クリスティン・デイヴィス、カリ・ホーク、タシャ・スミス、ジャン・レノ

評価:★★




 アメリカ映画を観ていて不思議に思うと言うか呆れれると言うか、とにかく白けた気分になるのは、何かあるとすぐに裁判に持ち込むこと、そしてセラピーに頼ろうとすることだ。いや、セラピーに頼るべき状況というのももちろんあるのだけれど、その必要を感じない出来事でも精神科医に寄り掛かり、安易に安心を得ようという場面が、やたら目につく。もっと自分の力を信じようじゃないか。一応はロマンティック・コメディであるはずの『南の島のリゾート式恋愛セラピー』でもセラピーがど真ん中に置かれる。それも南の島の中心で悩みを叫ぶ。

 このセラピーの奇妙さが第一の見せ場になっている。ところが、これがくだらない。裸になって向き合う。サメが泳ぐ海の中での語らい。卑猥なヨガのポーズでリラックス。集団セラピーを導くのはもはやこんな役ばかりのジャン・レノ先生で、フランス語訛りなのに、なぜだか中華風。後ろ髪を編んでいるあたりはラーメンマンを思わせる。つまらないコントを見せられている気分になるのも仕方ない。

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ラム・ダイアリー

ラム・ダイアリー “The Rum Diary”

監督:ブルース・ロビンソン

出演:ジョニー・デップ、アーロン・エッカート、アンバー・ハード、
   マイケル・リスポリ、リチャード・ジェンキンス、ジョヴァンニ・リビージ、
   アマウリー・ノラスコ、マーシャル・ベル、ビル・スミトロヴィッチ

評価:★★★




 なんだ、普通じゃないか。ハンター・S・トンプソンの自伝的小説をベースにしているというので、どれだけ奇天烈な世界が広がっているのだろうと想像していたのだけど、案外まともなそれで拍子抜けする。若き日のトンプソンが投影された役柄だと思われる主人公にしても、酒浸りという点を除けば、特別な輝きや欠点のあるジャーナリストではない。職を求めてやってきたプエルトリコの新聞社で、ラム酒に塗れながら真のジャーナリスト魂に目覚めていく。かえって心配になる安心感。

 ただし、主人公ポール・ケンプの周りには奇妙な人間が揃っている。気は良いが酒塗れ、トラブルを引き寄せる性質を具えたカメラマン。昼間には滅多に社に顔を出さない、ホームレスのような同僚記者。一発でカツラだと分かる頭で、社の経営に四苦八苦の編集長。人の好さそうな笑顔を振り撒きながら、腹の中は真っ黒なアメリカ人実業家。無意識の扇情的振る舞いにより、男たちを次々虜にしていく美女。前半はほとんど人物紹介のような趣。人物図鑑の充実が、進まない話をフォローする。

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プレイヤー

プレイヤー “Les infidèles”

監督:エマニュエル・ベルコ 、フレッド・カヴァイエ、
   アレクサンドル・クールテ、ミシェル・アザナヴィシウス、
   エリック・ラティゴ、ジャン・デュジャルダン、ジル・ルルーシュ

出演:ジャン・デュジャルダン、ジル・ルルーシュ、ギョーム・カネ、
   サンドリーヌ・キベルラン、アレクサンドラ・ラミー、
   マチルダ・メイ、ジェラルディン・ナカシュ、イザベル・ナンティ、
   マニュ・パイェット、クララ・ポンソ

評価:★★★




 世界を征したフランス映画「アーティスト」(11年)でジャン・デュジャルダンを観たとき思ったのだ。なんて好色な顔つきなのだろうと。口ヒゲのおかげで適度な貫禄も漂わせていたけれど、それを取っ払ってしまうとなんとまあ、いかにもスケベエな匂いが溢れ出てくるではないか。生きているように動く眉毛。優しい垂れ目。伸びている鼻下。ゴムのように形を変える唇。撫でつけられた髪もいやらしい。

 デュジャルダンは自分がどう見えるかということを分かっているのだろうか。『プレイヤー』はそういうデュジャルダンの特質を活かした映画だ。テーマはずばり浮気。デュジャルダンが浮気男に扮してあれやこれやの大騒動。少々変わっているのはオムニバス形式になっているところで、デュジャルダンは何役にも挑戦。様々なタイプの浮気男を演じ分けるのが楽しい。役柄によってヒュー・ジャックマンに見えたり、北村一輝に見えたり、イメージがころころ変わる。

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ブレイクアウト

ブレイクアウト “Trespass”

監督:ジョエル・シュマッカー

出演:ニコラス・ケイジ、ニコール・キッドマン、ベン・メンデルソーン、
   キャム・ギガンデット、リアナ・リベラト、ジョルダーナ・スパイロ、
   ダッシュ・ミホーク、エミリー・ミード、ニコ・トルトレッラ

評価:★




 作中、最もキマったセリフはニコラス・ケイジが口にする。妻と娘を人質に取られ、身体を痛めつけられ、事態を打開する策はない。言うことを聞かなければ、次の瞬間には死が待っているだろう。この状況下でケイジは、犯人一味からある書類を読むよう強要される。そのときのケイジの言葉。「メガネがないと読めねーよ!」。ケイジ、メガネを吹き飛ばされていたのだった。

 押し込み強盗に入られた家族を描く映画は結構ある。デヴィッド・フィンチャー監督の「パニック・ルーム」(02年)やミヒャエル・ハネケ監督の「ファニーゲーム」(97年)あたりが記憶に新しい。もしかしたら自分にも起こるかもしれないと思わせるところが、映画人の興味をそそるのだろうか。演出次第では「パニック・ルーム」のようなトリッキーなスリラーにも「ファニーゲーム」のような心理ドラマにもなる。『ブレイクアウト』はそのどちらとも違う。けれど、珍品には認定して良い。ケイジとニコール・キッドマンが主演しているのに!…だ。

 いちばん不思議なのは旨味たっぷりの豪邸が全く活かされないところだ。人気のない立地。広く入り組んだ迷路のような設計。工事中の部屋。多数設置された防犯カメラ。二重三重のセキュリティ。当然のようにあるプール。ほとんど森林なのではないかというくらいに大きな庭。嫌味を絵に描いたような大邸宅にはサスペンスの種になりそうなものがゴロゴロある。なのに、その一切が無視される。

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July 6 - 8 weekend, 2012

July 6 - 8 weekend, 2012

1 Beasts of the Southern Wild|$19,687(19)$743,846
2 アメイジング・スパイダーマン|$14,360(4318)$137,022,258
3 Ted|$9,890(3256)$119,849,740
4 Savages|$6,095(2628)$16,016,910
5 ムーンライズ・キングダム|$5,112(884)$26,780,989
6 メリダとおそろしの森|$5,040(3891)$173,969,341
7 Magic Mike|$5,014(3120)$72,829,107
8 Tyler Perry's Madea's Witness Protection|$4,709(2161)$45,822,984
9 最強のふたり|$4,547(60)$3,095,889
10 To Rome with Love|$3,852(806)$4,863,538

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 イタリア、コモ湖の別荘で恋人ステイシー・キーブラーさん、愛犬アインシュタインくんと休暇を楽しんでいるのはジョージ・クルーニーさん。キーブラーさんとクルーニーさんはレストランでの食事が原因で食中毒になったそうですが(レストラン側は否定)、アインシュタインくんは優雅そのものの毎日。グルーミングセンターではトリミングやマッサージを受け、暇なときはご主人と一緒にボートに乗って遊んでいるそうな。アインシュタインくんはアメリカン・コッパー・スパニエルという犬種だそうで、…となると毛が長いはず。暑さ対策は万全にお願いしますよ。あ、キーブラーさん、来年もここで過ごせるといいですネ!

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ワン・デイ 23年のラブストーリー

ワン・デイ 23年のラブストーリー “One Day”

監督:ロネ・シェルフィグ

出演:ジム・スタージェス、アン・ハサウェイ、パトリシア・クラークソン、
   ケン・ストット、ロモーラ・ガライ、レイフ・スポール、
   トム・マイソン、ジョディ・ウィテカー、ジョージア・キング、
   アマンダ・フェアバンク=ハインズ、トビー・レグボ

評価:★★★




 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』は、大学の卒業式で出会った男と女のロマンス劇。友達でいようと始まったふたりの関係が、1988年から2011年までの23年間に渡って描かれる。まるで「恋人たちの予感」(89年)のようだけれど、それとは決定的に違うのは、7月15日しか出てこないという点だ。別にふたりが、一年に一回しか会わないというのではない。ただ、7月15日しか出てこない、23年間、23日の物語。

 男をジム・スタージェスが演じる。一言で言うなら、チャラチャラしている。人生のことなど深く考えない。今が楽しければそれで良いというタイプ。しかも、就職先はテレビ業界。露出度の高い服を着た女たちをはべらせる番組の司会までやってのける。ちゃらんぽらんで甘えた振る舞いの数々はスタージェスの資質に合っているとは思えず、少々気恥ずかしい。もう少し落ち着いても良かった。

 女に扮するのはアン・ハサウェイだ。男と違って真面目。作家を夢見ながら教師として働く。さすがにもう少し遊んでも良いだろうと言いたくなる毎日。彼女の弱みは男に本気で惚れていること。それを隠している。或いは気づかないふりをしている。いじらしく、切ない恋心。ハサウェイが落ち着いた物腰でしっとり演じている。

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アタック・ザ・ブロック

アタック・ザ・ブロック “Attack the Block”

監督:ジョー・コーニッシュ

出演:ジョン・ボイエガ、ジョディ・ウィテカー、アレックス・エスメイル、
   フランツ・ドラメー、リーオン・ジョーンズ、サイモン・ハワード、
   ルーク・トレッダウェイ、ジャメイン・ハンター、ニック・フロスト

評価:★★★




 毎度お馴染み、エイリアンが襲撃してくる。ただし、政府は動かない。軍も気づかない。警察にいたってはエサとしての用途しかなさない。『アタック・ザ・ブロック』はエイリアン襲来映画でありながら、極めて個人的なそれとして描き出したところが面白い。英国映画はハリウッド映画と違って、切り口が風変わりだ。

 …なーんて感心するのは気が早いだろう。英国気質がそう見せているところも確かにある。けれど、より大きな意味を持つのは「金がない」という点ではないか。できることなら視覚効果を存分に使いたい。大スターも起用したい。話を大きく広げたい。ロケーションだってたっぷり取り入れたい。でも、金がないんだ、仕方がない。かくして金がない分を、想像力、創造力で補う。まことに健全かつ正しい判断だ。

 そんなわけでエイリアンがやってくるのはロンドンだ。と言っても観光名所なんか出てこない。ヤツらが襲い掛かるのは公営住宅だ。そこから決して飛び出そうとはしない。ピンポイントにも程がある。でも、それがかえって良い味を出している。インディペンデント精神が可愛らしい表情となって表れた、幸運な一例だ。

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アメイジング・スパイダーマン

アメイジング・スパイダーマン “The Amazing Spider-Man”

監督:マーク・ウェブ

出演:アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、リス・エヴァンス、
   デニス・リアリー、キャンベル・スコット、エンベス・デヴィッツ、
   イルファン・カーン、マーティン・シーン、サリー・フィールド

評価:★★★★




 兎にも角にもアンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンが同じ画面に入ることで生じる化学反応が素晴らしい。それぞれ一人だけでも若い命の炎が燃えていることが伝わる肉体だけれど、掛け合いを見せるとその炎が何倍も高くなる。しかも、炎の中に風が通っている。涼しさを感じさせる炎。運命のカップルと呼ぶに相応しい。

 「その上」と言うべきか、「だから」と言うべきか、手掛けているのはマーク・ウェブだ。「(500)日のサマー」(09年)で見せたように、男と女の距離感を彼ほど魅力的に飾り立てられる監督はなかなかいないだろう。ガーフィールドとストーンの間が縮んだり広がったりする度、サスペンスが生まれる。しかもそのサスペンスは、ハートと密着している。遠くからしか眺められないとき、近くにいるのに遠く感じるとき、遠くにいても傍にいるように思えるとき…。若い命の呼吸だから、余計に眩しく可愛らしい。本当に好き合っていることが伝わる。

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ザ・ガード 西部の相棒

ザ・ガード 西部の相棒 “The Guard”

監督:ジョン・マイケル・マクドノー

出演:ブレンダン・グリーソン、ドン・チードル、リアム・カニンガム、
   マーク・ストロング、デヴィッド・ウィルモット、
   ロリー・キーナン、フィオヌラ・フラナガン

評価:★★★




 スポーツカーが道をハイスピードで駆け抜けるところから始まる。美しいフォルムを舐めるように撮る。空撮を取り入れ、カットを短く畳み掛け、バックにはヒップホップミュージックをガンガン鳴らす。MUSIC VIDEOと勘違いしてしまいそうにご機嫌。なるほどいかにもバディムービーらしい画かもしれない。…と思わされたのも束の間、次のショットでは横転した車と、そこから投げ出された若者が見える。傍らにはそれを退屈そうに眺める初老の制服警官(ガード)。寂しい風景もため息をついているみたいだ。『ザ・ガード 西部の相棒』は案の定、ハリウッド製バディムービーとは違う。オープニングでそれを宣言する。

 なぜならこれはアイルランド映画だ。舞台はアイルランド西部の海辺の田舎だ。地元の刑事とアメリカからやってきたFBI捜査官がコンビを組み、麻薬密輸事件を調査するという軸となる物語こそ、ありふれたハリウッド仕様だけれど、その装飾にはアイルランドの魂が見える。いや、魂なんて大袈裟なものではないか。アイルランド人が飲んだくれながら、でも自分のアイデンティティーは守ってやるぜ、とささやかな気概を見せる。バカだけど、なんだか可愛らしい。

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セクレタリアト 奇跡のサラブレッド

セクレタリアト 奇跡のサラブレッド “Secretariat”

監督:ランダル・ウォレス

出演:ダイアン・レイン、ジョン・マルコヴィッチ、ディラン・ウォルシュ、
   マーゴ・マーティンデイル、ネルサン・エリス、オットー・ソーワース、
   フレッド・トンプソン、ジェームズ・クロムウェル、スコット・グレン、
   アマンダ・ミシェルカ、ケヴィン・コノリー、ディラン・ベイカー、
   ネスター・セラーノ、エリック・ラング、ドリュー・ロイ

評価:★★★




 『セクレタリアト 奇跡のサラブレッド』とあるのは馬の名前だ。アメリカ競馬史上最強馬と言われる。美しい赤毛から「ビッグ・レッド」と親しまれ、1973年のケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークスの三大レースを全て勝利で飾る。後方から追い上げて軽やかに抜き去る走り方は優雅で、なおかつレコードも凄まじい。実際の映像を見ると、あまりの強さに唖然とする。走りだけで感動を呼び起こす。

 …となると、あまり映画向きの馬ではないだろう。強い。あまりに強い。ケンタッキーの前哨戦ウッドメモリアルステークスこそ体調不良で失速するも、それ以外は圧勝という言葉が相応しい。次元が違う。特にベルモントの走りは信じ難い。努力の末に栄光を掴むのではない。不運に泣かされるわけでもない。挫折を経験して這い上がるのでもない。そう、セクレタリアトはエリート馬だ。母馬の中から産まれた直後に立ち上がるという奇跡を見せてから、ずっとエリート馬だ。映画には努力が要る。運も必要だ。挫折を乗り越えるところに人は何かを思う。そういう要素がセクレタリアトには欠けている。

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一枚のめぐり逢い

一枚のめぐり逢い “The Lucky One”

監督:スコット・ヒックス

出演:ザック・エフロン、テイラー・シリング、ブライス・ダナー、
   ライリー・トーマス・スチュワート、ジェイ・R・ファーガソン

評価:★★




 どうも違和感を感じると思ったら、ザック・エフロンの立ち姿が変なのだ。胸を張った姿勢を頑なに維持している。いや、張るというより突き出している。そうして気づく。エフロンは自分の厚い胸板をアピールしたいのに違いない。エフロンの役柄はイラク帰りの海兵隊軍曹。ならば身体をそれらしく見せなければならない。おそらくトレーニングに相当な時間をかけたのではないか。その成果をアピールしない手はないだろう。そのための突き出し。そんなわけで静止しているときも歩いているときもエフロンの胸板の立派さは存分に伝わる。Tシャツから覗く二の腕は迫力がある。しかし、全体の印象がむっちむちなのはどうか。

 そもそもエフロンはあの童顔とソフトに鍛えられた肉体美のアンバランスが売りの俳優だ。ここまで身体を創り上げる必要はなかったのではないか。これまでのスラリとしたイメージのまま、「100万人の弟」のキャッチコピーと共に伸び伸びラヴストーリーに専念するべきだったのではないか。むっちむちになったエフロンは筋肉を大幅に増やしたおかげで、丸みも出てきた。顔はまん丸で肉団子と間違えられるかもしれない。演技派として認められたいという欲求の表れだろうけれど、無理なイメージの破壊は必ずしも魅力に繋がらない。ちょっと前のブラッド・ピットを思い出す。

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June 29 - 1 weekend, 2012

June 29 - 1 weekend, 2012

1 Beasts of the Southern Wild|$42,426(4)$220,913
2 To Rome with Love|$23,872(29)$1,232,972
3 Ted|$16,800(3239)$54,415,205
4 Magic Mike|$13,354(2930)$13,354
5 Tyler Perry's Madea's Witness Protection|$11,749(2161)$25,390,575

6 メリダとおそろしの森|$8,188(4164)$131,768,334
7 ムーンライズ・キングダム|$5,769(854)$18,465,954
8 Unforgivable|$5,571(5)$27,857
9 最強のふたり|$4,599(68)$2,579,382
10 テイク・ディス・ワルツ|$4,567(30)$137,019

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 7月3日の50歳の誕生日を目前にケイティ・ホームズさんに離婚を突きつけられてしまったトム・クルーズさんは、「スター」の若さを維持するため、徹底したトレーニング&ケアを心がけていることで有名。その彼が最近ハマっているのは、ウグイスの糞を使ったフェイシャルトリートメントとのこと。えーっと、顔に糞(からできているケア用品)を塗りたくるってことで良いのでしょうか。ワタクシもほうれい線が気になるお年頃に差し掛かってきましたが、塗った方が良いでしょうか。日本でも古くから知られる美容法とのことですが、買うと高いのかな。ウグイスを飼っている方はラッキー。タダで美容対策ができますよ!

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ハングリー・ラビット

ハングリー・ラビット “Seeking Justice”

監督:ロジャー・ドナルドソン

出演:ニコラス・ケイジ、ジャニュアリー・ジョーンズ、ガイ・ピアース、
   ハロルド・ペリノー、ジェニファー・カーペンター、ザンダー・バークレイ

評価:★




 ある晩妻がレイプされ、夫は病院に駆けつける。痛々しく横たわる妻の姿を見て途方に暮れる夫に、見知らぬ男が声をかける。「犯人を代わりに殺してやる」。男は社会に野放しになっている凶悪犯や性犯罪者を処刑する、世直し組織のメンバーなのだ。それを受け入れた夫は半年後、今度は自分が殺しを強要される。

 何という無茶な設定。巨大であることが仄めかされるも、この簡単な説明だけで事足りる組織。細部描写を完全放棄して、「どうだ、俺たちに乗っからないか?」と語り掛けて満足しているのが、実にあんぽんたんだ。当然組織と関わりを持っちゃう夫もあんぽんたんなわけだけれど、演じているのがニコラス・ケイジだからシャレにならない。ただでさえアホ面(褒めている)のケイジが、あんぽんたんな組織に振り回される様、似合い過ぎだ。国語の高校教師という役柄は全く似合わないのに!まさかその罰でも受けているのか。「罰ゲームきついよ」という呟きが聞こえる。

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スノーホワイト

スノーホワイト “Snow White and the Huntsman”

監督:ルパート・サンダース

出演:クリステン・スチュワート、シャーリズ・セロン、クリス・ヘムズワース、
   サム・クラフリン、イアン・マクシェーン、ボブ・ホスキンス、
   レイ・ウィンストン、ニック・フロスト、トビー・ジョーンズ、
   エディ・マーサン、スティーヴン・グラハム、リリー・コール

評価:★★★




 断わるまでもなく、『スノーホワイト』のいちばんの見ものはシャーリズ・セロンだ。グリム童話に収められていることでも馴染み深いドイツの民話「白雪姫」を、アクション・アドヴェンチャーとして蘇らせる。この試み自体はハリウッドが得意とするところで、もはや新味はない。ただし、白雪姫の継母にして悪の女王ラヴェンナは例外だ。セロンはあの美貌を惜しみなく活用する。ダークカラーのドレスを鮮やかに魅せる。永遠の若さと美しさに固執して醜くなることを躊躇わない。邪悪な華が咲き誇る。火の打ちどころがない美女ゆえの説得力。

 セロンが創り出した女王がもたらすヴィジュアルのインパクトが素晴らしいゆえ、細部の粗が目立つのは皮肉だ。悪の女王が若さと美しさに囚われる理由があっさり処理されるのは拍子抜け。女王が使う魔術が生み出す衝撃も物足りない。セロンの美貌ほどに輝かない。そして、最大の問題はセロンが出てこない場面が活気づかないことで(猟師役のクリス・ヘムズワースは健闘しているが…)、姿が見えなくなる度に画面が錆びつく。

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ポルノ☆スターへの道

ポルノ☆スターへの道 “Bucky Larson: Born to Be a Star”

監督:トム・ブラディ

出演:ニック・スウォードン、クリスティーナ・リッチ、ドン・ジョンソン、
   スティーヴン・ドーフ、イドー・モセリ、ケヴィン・ニーロン、
   エドワード・ハーマン、マリアム・フリン、ジミー・ファロン

評価:★




 ポルノ業界を舞台にした映画というと、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ブギーナイツ」(97年)を思い出す。業界に生きる者たちのプライドが逞しく描かれた傑作だ。ポルノという人からからかわれがちな事柄により飯を食う人々に哀れみや嘲りの眼差しを向けることなく、人生を美しく謳い上げていた。『ポルノ☆スターへの道』はそのパロディにもならない。

 …なーんてことは最初から分かっている。大真面目に分析する者がいるとしたら、そちらの方が問題かもしれない。何しろ主人公の造形からしてふざけている。ニック・スウォードンが主人公バッキー・ラーソンを演じる。前歯がビーバーのように出ている。もちろん付け歯だ。するとこれがアダム・サンドラーに見えるからギョッとする。普通にしていれば全然似ていないスウォードンがサンドラーと化す。プロデューサー・脚本にサンドラーの名前があるのは偶然か。また、ヘアスタイルはおかっぱだ。連想するのは「ノーカントリー」(07年)のアントン・シガーだ。ハヴィエル・バルデムが演じた無慈悲な殺人マシーン。サンドラーでシガーなスウォードンが、バカを純粋と言い包めた役柄で笑いの爆弾を次々投下する。そしてその全てが不発に終わる。

 どういう類の笑いが落とされるのかというと…、例えば映画のオーディション場面。ポルノ映画ではなくCMのオーディションだというのに、ラーソンは突如パンツを下ろし、猛烈な勢いでアレをしこしこやり出すのだ。その醜悪さはバナナマン日村勇紀の芸を思わせるもものの、日村と違い愛嬌が全くないのがとんでもない。ただ、おぞましい。

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