OSCAR PLANET、区切り

 ここ数年、4月末は区切りの時期のように感じている。区切り…なんて書くとまるでサイトを閉めてしまうみたいだけれど、もちろんそうではない。フォローしてきたアカデミー賞の一年を締める区切りのとき、という意味での区切り。昨年の5月1日から始まった第84回アカデミー賞授賞式のフォローが、4月30日で終わる。そしてまた5月1日から、今度は第85回アカデミー賞授賞式に向けてのフォローが始まる。

 第一弾予想の準備はとっくに整っている。前年から毎日ちょこちょこ書き溜めていたものを手直ししただけ。最も前に書いたのだと一年前のものなので、全く記憶にないのだけど、その一年の間に状況が変わっている人もいたりして、読み返すと、面白い。自分だけ、面白い。まさに自己満足の世界(当然手直しはする)。

 自己満足と言えば、毎度この時期の予想は自己満足以外の何物でもない。前年頑張った人をひいきしながら、絶対に候補には挙がらないだろうと心の中では思っている人も入れたりして、ニヤニヤしている。自分のサイトだから、これで良いのだ。別に予想して儲けているわけじゃないのだから。

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英雄の証明

英雄の証明 “Coriolanus”

監督・出演:レイフ・ファインズ

出演:ジェラルド・バトラー、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、
   ブライアン・コックス、ジェシカ・チャステイン、
   ジェームズ・ネスビット、ジョン・カニ、ポール・ジェッソン、
   ルブナ・アザバル、アシュレフ・バルフム

評価:★★




 ウィリアム・シェイクスピア劇の舞台を現代に移し変えての映画化と言うと、バズ・ラーマン監督の「ロミオ&ジュリエット」(96年)が有名だけれど、「コリオレイナス」をレイフ・ファインズが監督した『英雄の証明』には、同じような匂いは露ほども感じない。深刻なのだ。扱っている題材ゆえということも多分にあるだろうけれど、それよりもシェイクスピアへの向き合い方、作り手の姿勢によるところが大きい気がする。何しろファインズはロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの出身だ。

 ファインズは徹底的に生々しさを求めていく。独裁的傾向の強い主人公コリオレイナスの中に、今の時代に通じる怪物性を見つけ、その欠点を迷うことなく露にしていく。したがって彼は、好感度の高い人物ではない。むしろ不快さを誘う。そしてファインズは、そう見せることを恐れない。

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キリング・ショット

キリング・ショット “Catch .44”

監督:アーロン・ハーヴェイ

出演:ブルース・ウィリス、フォレスト・ウィテカー、マリン・アッカーマン、
   ニッキー・リード、デボラ・アン・ウォール、シェー・ウィガム、
   ジル・ストークスベリー、ブラッド・ダーリフ

評価:★★




 突如始まるストーリーとは関係ない無駄口。展開とはミスマッチな音楽。時制のシャッフル。いきなり沸点に達する暴力。バカバカしいほどのふざけ方。…とくればこれはもう、クエンティン・タランティーノ映画だ。『キリング・ショット』はしかし、タランティーノは一切関わっていない。アーロン・ハーヴェイ監督はおそらく、タランティーノに強烈に憧れている人なのだろう。そこかしこでタランティーノを意識した演出がなされている。

 ここで考え込むのは、憧れを自分のスタイルへと昇華させるにはどうしたら良いのかということだ。映画監督を志すような人は、映画を撮りたいと思ったきっかけの作品があるはずだし、勉強のために色々な作品を観ることもあるだろう。そうすれば、その影響を少なからず受けることになる。どんな名匠でも例外はないと思う。しかし、タランティーノの映画を観て、彼のスタイルを疑う者はいない。マーティン・スコセッシもコーエン兄弟も自分の技を持っている。クリストファー・ノーランやデヴィッド・フィンチャーのスタイルも、唯一無二のものだ。

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April 20 - 22 weekend, 2012

April 20 - 22 weekend, 2012

1 Think Like a Man|$16,693(2015)$33,636,303
2 Darling Companion|$9,991(4)$39,962
3 一枚のめぐり逢い|$7,137(3155)$22,518,358

4 ぼくたちのムッシュ・ラザール|$4,609(33)$305,752
5 ハンガー・ゲーム|$3,909(3752)$357,066,467
6 The Cabin in the Woods|$2,852(2811)$27,246,247
7 The Three Stooges|$2,804(3482)$29,919,660
8 Damsels in Distress|$2,486(46)$311,623
9 ローマ法王の休日|$2,342(19)$164,661
10 ハンター|$2,246(13)$96,170


【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 シャーリズ・セロンさんに二股疑惑がかけられています。先日養子を迎えてシングルマザーになったばかりのセロンさん、天秤にかけているのはキアヌ・リーヴスさんとアレクサンダー・スカルスガルドさんです。息子のジャクソンくんに既に会っているのはリーヴスさんだけとのことで、リーヴスさんが父親候補としてリード?いや、パートナーに選ぶならスカルスガルドさんの方が良い気がします。リーヴスさんは演技してないとき(演技しているときも?)、ホントに何も考えてないみたいに思えるので…(そこが良いんですが)。…ってここまで書いておきながら何ですが、どうにもこうにも胡散臭い話。まあ、セロンさんが男たちが放っておかない美女と言うことでありましょう。ブサイクもんには一生縁のないゴシップです。

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DATSUGOKU 脱獄

DATSUGOKU 脱獄 “The Escapist”

監督:ルパート・ワイアット

出演:ブライアン・コックス、ジョセフ・ファインズ、リアム・カニンガム、
    セウ・ジョルジ、ドミニク・クーパー、スティーヴン・マッキントッシュ、
    ダミアン・ルイス、ネッド・デネヒー

評価:★★★




 基本的に脱獄物は面白い。90年代では「ショーシャンクの空に」(94年)という傑作があったし、21世紀に入ってからはTVシリーズとして「プリズン・ブレイク」(05年~09年)が気を吐いた。『DATSUGOKU 脱獄』もその流れに入る。一見したところ当たり障りのない脱獄劇のようだけれど、その細部には魂が感じられる。知恵も塗されている。味わいは多面的だ。

 話自体は「プリズン・ブレイク」ファーストシーズンが最も近いだろうか。娘の容態が芳しくないことを知った老囚人が、使える仲間を集めて脱獄を試みるというもの。個性的な仲間たちがそれぞれに役割を務めながら準備を進め、そして遂に脱獄を決行する。このシンプルな話に注ぎ込まれるルパート・ワイアット監督の創造力と想像力こそが、見ものだ。

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ミスター・アーサー

ミスター・アーサー “Arthur”

監督:ジェイソン・ウィンター

出演:ラッセル・ブランド、ヘレン・ミレン、ジェニファー・ガーナー、
   グレタ・ゲルウィグ、ジェラルディン・ジェームズ、
   ルイス・ガスマン、ニック・ノルティ、クリスティナ・カルフ

評価:★




 あまり大きな声では言えないのだけど、基本的にラッセル・ブランドは好きなコメディアンだ。いつも落ち着きがなく、甲高い声で喚き立て、その動きはクラゲが海の中を浮遊しているように掴み所がない。他人がどう思おうと構わない。いつでもどこでもマイペースを通し、目の前にある障害をウサギの跳躍力でぴょーんと容易く飛び越えていく。しかも、そういう自分に酔っている。本来、自己陶酔に走る俳優には興味がない。ところが、ブランドは不思議と嫌悪感を抱かせない。

 ただ、彼にあんぽんたんの役を演じさせるのは、当たり前が過ぎるというものだ。世間があんぽんたんに対して抱いているイメージが、ブランドというコメディアンの箱にすっぽり入れられる。ただし、ブランドの器はそれだけで埋まってしまうものではなく、箱にはまだまだ余白がたっぷり残されている。そして、その余白の部分こそがブランドの持ち味なのだ。『ミスター・アーサー』はあんぽんたんのイメージしか活用しようとしない。その時点で負けは決まったようなのものだ。彼を主人公に置くというのだから、なおさらだ。

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ザ・クリミナル 合衆国の陰謀

ザ・クリミナル 合衆国の陰謀 “Nothing But the Truth”

監督:ロッド・ルーリー

出演:ケイト・ベッキンセール、マット・ディロン、ヴェラ・ファーミガ、
   アラン・アルダ、アンジェラ・バセット、デヴィッド・シュワイマー、
   コートニー・B・ヴァンス、ノア・ワイリー、プレストン・ベイリー

評価:★★




 大統領暗殺未遂事件が起こり、アメリカはヴェネズエラがそれに関与したとして報復する。CIAから関与は事実無根との報告が挙がるものの、政府はそれを揉み消す。『ザ・クリミナル 合衆国の陰謀』は、その事実をスクープする女性ジャーナリストの物語。彼女は情報源を明かすよう政府に求められるもそれを拒否、窮地に立たされる。真っ先に思い出すのはヴァレリー・プレイム事件だ。CIAエージェントが実名で報道され、それに絡んだ人々の人生が狂わされていく。実際、映画もそれをヒントにしているところがある。プレイム事件の方はダグ・リーマン監督の「フェア・ゲーム」(10年)が詳しい。一緒に観ると、多角的な見方ができて面白いだろう。

 「フェア・ゲーム」は名前をリークされたCIAエージェントの物語だったけれど、この映画はリークした側を描き出す。彼女は決して情報源を明かさない。拘置所にどれだけ拘束されることになっても、口を割ることがない。ジャーナリズムとは何か。表現の自由を武器に、彼女は戦う。その姿がなかなか凛としていて良い。演じるケイト・ベッキンセールは身体の線が細く、あまりスケール感が感じられないのが好みではないのだけれど、ここではそれがプラスに働いている。瞳に強い意思を込めることに成功している。

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恋するモンテカルロ

恋するモンテカルロ “Monte Carlo”

監督:トーマス・ベズーチャ

出演:セレーナ・ゴメス、レイトン・ミースター、ケイト・キャシディ、
   ピエール・ブーランジェ、ルーク・ブレイシー、コーリー・モンティース、
   アンディ・マクドウェル、ブレット・カレン、
   アマンダ・フェアバンク=ハインズ、シェイ・カンリフ

評価:★★




 ずっと気になって気になって仕方がなかったことがある。それは…主演のセレーナ・ゴメスが小学生にしか見えないということだ。高校を卒業したばかり、大人の女性への階段を駆け上がっていく役柄だというのに、どの場面でも、どの角度からでも、どんなに大人っぽいメイクや衣装でも、やっぱり小学生なのだ。ジャスティン・ビーバーが惚れるのは分かる。オコチャマ同士、お似合いだ。だけれど、これは映画なのだ。役柄にしっくり来ないまま、それをずっと見せられるのは辛い。せめて相手役をビーバーにできなかったのか。無理な相談か。そうなのか。

 いや、でもやっぱり、別に良いんじゃないか。『恋するモンテカルロ』はアイドル映画らしく、ヒロインが魅力的に見えればそれで良しという映画だ。旅先のパリやモンテカルロで人気セレブリティ(察するにパリス・ヒルトン風のバカセレブ?)に間違われたことをきっかけに、用意された豪華絢爛なホテルやそのサーヴィス、ドレスやジュエリー、パーティを堪能してしまおうというもの。もちろんオプションとして恋と喧嘩がついてくる。見所はズバリ、誰だって夢見る金持ちライフに浸るゴメスの画だ。アン・ハサウェイが王女様になった「プリティ・プリンセス」(01年)と同じ快感を狙っている。分かりやすくて何よりだ。

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バンバン・クラブ 真実の戦場

バンバン・クラブ 真実の戦場 “The Bang Bang Club”

監督:スティーヴン・シルヴァー

出演:ライアン・フィリップ、マリン・アッカーマン、テイラー・キッチュ、
   フランク・ローテンバック、ニールス・ファン・ヤーレスヴェルト

評価:★★




 バンバン・クラブとは、命知らずの戦場カメラマングループにつけられた愛称だ。1990年代初頭、アパルトヘイト末期で内戦が激化する南アフリカ。そこで身体を張って生々しい写真を撮り続ける男たち。街中が殺し合いの場となり、死が今そこにある状況で、過酷な現実に果敢に立ち向かう。『バンバン・クラブ 真実の戦場』はそのメンバーによる手記の映画化になる。

 意表を突くのは、バンバン・クラブの仲間たち4人が仲良しこよしである点だ。どうやら彼らは、人間ならば誰もが抱えていて当然である、仕事に対しての俗な欲望を持っていない聖人らしい。互いの仕事を讃えることはあっても貶すようなことはない。それどころか的確なタイミングで上手なアシストを出し、その成功を自分のことのように喜ぶ器の持ち主ばかりだ。ここには愛憎なんて見当たらない。些細な嫉妬の匂いすらなく、ひたすら写真に賭けている。子どものように被写体にカメラを向ける男たち。まことに結構なことだけれど、そんな仲良しこよしの様ばかりを見せられて面白いだろうか。同じ現場に出かけることはあっても、基本は単独行動。チームプレイではないのに。

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April 13 - 15 weekend, 2012

April 13 - 15 weekend, 2012

1 Woman Thou Art Loosed: On the 7th Day|$6,290(102)$641,542
2 ぼくたちのムッシュ・ラザール|$5,905(19)$112,190

3 ハンガー・ゲーム|$5,387(3916)$336,666,363
4 The Cabin in the Woods|$5,245(2811)$14,743,614
5 The Three Stooges|$4,892(3477)$17,010,125
6 A Simple Life|$4,819(9)$43,372

7 Damsels in Distress|$3,746(22)$167,644
8 American Reunion|$3,270(3203)$39,712,535
9 ハンター|$3,022(9)$54,982
10 Lockout|$2,700(2308)$6,231,836


【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 モーガン・フリーマンさんが義理の孫娘と恋愛関係にあるという報道を否定しました。フリーマンさん74歳は、47歳年下の血の繋がりのない孫娘27歳と男と女の関係にあると、長らく噂されていました。あぁ、ちょっとだけ残念な気分なのは、ワタクシの根性がひん曲がっているからでありましょう。フリーマンさんはそうかー、まだ74歳なのか。クリストファー・プラマーさんやマックス・フォン・シドーさんと比べると、まだまだひよっこ。あと30年は映画に出続けてもらいましょう。頑張れジイチャン!

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ドライヴ

ドライヴ “Drive”

監督:ニコラス・ウィンディング・レフン

出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、アルバート・ブルックス、
   ブライアン・クランストン、オスカー・アイザック、
   クリスティナ・ヘンドリックス、ロン・パールマン

評価:★★★★




 そもそもオープニング場面だけ観れば、『ドライヴ』が傑作であることは察しがつく。名前も過去も語られない男は、犯罪現場からの逃走専門のドライヴァーだ。「5分だけ待つ。何が起こっても5分だけ俺は君のものだ」。たったこれだけの言葉を残し、突然の逃走劇が始まる。闇に包まれたロサンゼルスの道という道を知り尽くした男は、すぐ傍に警察が迫っていることに動揺することなく、逃走を成功に導く。

 ニコラス・ウィンディング・レフン監督はタイトルクレジットが出るまでの数分で、主人公を説明してしまう。一流の運転技術、地理に対する造詣、知性、判断力、それらを最大限に活かす冷静沈着さと度胸が男の細胞を形成する。言葉は少ない。表情も滅多に変わらない。ボンバージャケットを羽織り、その背中には大きな金色のさそりと孤独を背負っている。最低限にして効率的な情報がたっぷり詰め込まれる。

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センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島

センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島 “Journey 2: The Mysterious Island”

監督:ブラッド・ペイトン

出演:ドウェイン・ジョンソン、ジョシュ・ハッチャーソン、マイケル・ケイン、
   ヴァネッサ・ハジェンズ、ルイス・ガスマン、クリスティン・デイヴィス

評価:★★




 3D映画『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』が完成していちばん悔しい思いをしているのはスティーヴン・スピルバーグではないか。3Dになるに違いない「ジュラシック・パーク」(93年)シリーズの四作目よりも先に作られた意味は大きい。舞台は南太平洋の真ん中にある神秘の島。巨大生物が立体的に動き回り、画面狭しと飛び出てくる。草木がうっそうと茂る中、巨体がハイスピードで突進してくる様は、ほとんど恐竜風だ。自分が食われてしまうのではないかという恐怖。スピルバーグも「ジュラシック・パーク」で狙ってくるのは確実だ(ただしプロデュースに回る模様)。

 暴れ回るのは恐竜ではない。出てくるのはトカゲであり小鳥だ。ここでは小さな生物が大きくなり、大きな生物が小さくなる。したがって怖いのは、普段なら踏みつけてしまいそうになる生き物だ。思い出すのは「ミクロキッズ」(89年)の世界だ。「ドラえもん」でもよく見かける設定のような気がする。つまり作り手が期待するほどに独創性はない。しかも、出てくる生き物の数があまりに少ない。大小逆転の法則も、ほとんど出オチ的扱いしかなされない。恐竜が小動物に変わっただけ。

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スーパー・チューズデー 正義を売った日

スーパー・チューズデー 正義を売った日 “The Ides of March”

監督・出演:ジョージ・クルーニー

出演:ライアン・ゴズリング、フィリップ・シーモア・ホフマン、
   ポール・ジャマッティ、マリサ・トメイ、ジェフリー・ライト、
   エヴァン・レイチェル・ウッド、マックス・ミンゲラ、
   ジェニファー・イーリー、グレゴリー・イッツェン、マイケル・マンテル

評価:★★★




 身内でゴタゴタしているだけで不愉快にはなっても面白くも何ともないどこかの国と違って、アメリカの大統領選挙に絡んだ攻防は、予備選挙も含めて見応えがたっぷりある。何でもエンターテイメントにしてしまう国だから、もちろん選挙戦からも娯楽の匂いが大量に発散される。…なんて書くと、明るいイメージが浮上するけれど、その裏側にある選挙戦のどす黒さ、暗い部分こそが娯楽のキモとなる。いつも知的なジョージ・クルーニーもそこのところは承知している。民主党内でライヴァル関係にある二つの陣営の暗部と暗部を擦り合せることで、話を展開させていく。

 クルーニー監督は配役センスに長けた人で、『スーパー・チューズデー 正義を売った日』でもそれは感じられる。性格俳優たちが適材適所で配置される。中でも際立つのは、対立する両陣営の最重要ブレーンにフィリップ・シーモア・ホフマンとポール・ジャマッティを置いたところだ。どちらも修羅場をくぐってきた頭脳と冷徹さを具えた人物。どちらが先に仕掛けるか。そして仕掛ける方法は何か。中盤に張り巡らされる、単純にして巧緻、そして卑劣な罠の全体像が見えてくるにつれ、その非情さが際立っていく。ホフマンとジャマッティ、白ブタと黒ダヌキが声を荒げないままに凄味を効かせれば効かせるほどに、政治の世界の闇が深くなっていく。

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ヘルプ 心がつなぐストーリー

ヘルプ 心がつなぐストーリー “The Help”

監督:テイト・テイラー

出演:エマ・ストーン、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、
   ジェシカ・チャステイン、ブライス・ダラス・ハワード、
   アリソン・ジャニー、シシー・スペイセク、シシリー・タイソン、
   メアリー・スティーンバーゲン、クリス・ローウェル、マイク・ヴォーゲル

評価:★★★




 『ヘルプ 心がつなぐストーリー』は気持ち良い映画だ。気分を害したり不愉快な気分を誘ったりする類の映画ではない。1960年代、公民権運動が活発化している時代。南部ミシシッピー州に依然根強く残る黒人差別を取り上げ、人間の尊厳を問い掛けていく。いかにこの問題が深刻なものか、真摯に向き合い、しかし軽快さが忘れられることなく語られていく。

 気持ち良くなった最大の理由は女優たちのアンサンブルにある。教養と心根の優しさから黒人が受けている扱いに疑問を抱くエマ・ストーンは、溌剌としていてかつ痛快。散々耐えてきた過酷な状況を打破しようと勇気を見せるヴィオラ・デイヴィスは、慈しみに溢れる眼差しが強烈な印象を残す。冷酷な仕打ちに負けずユーモアと毒舌で乗り切るオクタヴィア・スペンサーは、まるでバレエダンサーのような優雅さで魅了する。変わったところがあるゆえ仲間外れにされるジェシカ・チャステインは、心の純粋さに嫌味がない。美しく着飾りながら心の貧しさは隠し切れないブライス・ダラス・ハワードは、潔くヒールに徹している。他の女優も含め、彼女たちのアンサンブルは調和というものが取れている。自分の出し方に節度がある。それが快感に繋がっていく。

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マシンガン・プリーチャー

マシンガン・プリーチャー “Machine Gun Preacher”

監督:マーク・フォースター

出演:ジェラルド・バトラー、ミシェル・モナハン、マイケル・シャノン、
   キャシー・ベイカー、スレイマン・スイ・サヴァネ、マデリン・キャロル

評価:★




 不快さに満ちた『マシンガン・プリーチャー』で唯一救いがあるとするならば、主人公を聖人として見てはいない点ということになるだろうか。マシンガンをぶっ放しながら、スーダンの非情な反乱軍LARに立ち向かう男を、英雄視しない。家庭を顧みることなく、暴力を使って敵に向かっていく行為に疑問を投げ掛けながら、スーダンの今を訴えていく。それでもあなたは、甘ったるく現実を見過ごすのですか。

 つまり作り手は本気なのだ。真面目なのだ。主人公サム・チルダースの矛盾に支配された内面やスーダンの悲劇的現状に真正面から向き合い、しかし、それにこだわるばかりに雁字搦めになり、映画の語り手としては致命的だろう、柔軟さを失ってしまった。結果観る側は提示される出来事を多角的に見ることができず、主人公には近寄りたくない、そんなことならスーダンとは関わらない方がマシ…という最もあってはならない方向に向かうことになる。何という不幸。

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April 6 - 8 weekend, 2012

April 6 - 8 weekend, 2012

1 Damsels in Distress|$14,647(4)$58,589
2 ローマ法王の休日|$10,456(3)$31,368

3 ハンガー・ゲーム|$8,004(4137)$302,450,722
4 American Reunion|$6,740(3192)$21,514,080
5 タイタンの逆襲|$4,156(3545)$58,614,212
6 21 Jump Street|$3,324(3009)$109,413,763
7 Mirror Mirror|$3,067(3618)$36,773,242
8 The Raid: Redemption|$2,990(176)$1,249,902
9 少年と自転車|$2,217(57)$523,601
10 Footnote|$2,106(65)$817,736

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 レッドカーペットでコンドームを落として時の人となったばかりのザック・エフロンさんですが、キスシーンを撮る日には朝からたくさんガムを噛むのだそうです。以前ツナサンドの匂いが取れなくて恥ずかしい思いをしたそうで、あらら、でもツナで良かったではないですか。大のペペロンチーノ好きのワタクシは、その日、もう人に会わないことを確認した上で食べていますよ。そんな日に限って宅配が来て、お兄さんにペペロン臭いと思われていますが…多分。

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マリリン 7日間の恋

マリリン 7日間の恋 “My Week with Marilyn”

監督:サイモン・カーティス

出演:ミシェル・ウィリアムス、ケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン、
   ドミニク・クーパー、ジュディ・デンチ、エマ・ワトソン、
   ジュリア・オーモンド、ゾーイ・ワナメイカー、ダグレイ・スコット

評価:★★




 彼女はハリウッドの大スターだ。良い俳優になりたいと願っている。目指すところかもしれない、実績ある俳優が監督する新作に賭けている。既に撮影地であるロンドンに降り立っている。勝負は目の前だ。なのに自信が持てない。周りがどれだけ褒め称えても自信が持てない。それゆえ撮影現場は混乱する。いつも遅刻し、NGも多く、納得できなればそこから前に進めない。監督やスタッフを呆れさせる。

 ミシェル・ウィリアムスはこの女優をとても魅力的に演じている。持ち味である生活感の大半を消し去り、これまで前面に出てこなかった色気を捻り出し、硝子の佇まいの中に「コケティッシュ」を炸裂させる。どれだけ周囲を振り回しても、それでも彼女に肩入れせずにはいられない。そんなに追いつめないで。もう少し心に余裕を。本当の彼女を理解してあげて。ウィリアムスが役の芯に近づけば近づくほど、彼女は確かに輝く。だから、あぁ、だから「マリリン・モンロー」を名乗って欲しくなかった。

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長ぐつをはいたネコ

長ぐつをはいたネコ “Puss in Boots”

監督:クリス・ミラー

声の出演:アントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック、
   ザック・ガリフィアナキス、ビリー・ボブ・ソーントン、エイミー・セダリス、
   コンスタンス・マリー、ギレルモ・デル・トロ、マイク・ミッチェル

評価:★★★




 「シュレック」シリーズ(01年~)からのスピンオフを作るとき、誰を主人公にするべきか。ひょっとすると作り手は、ドンキーかネコか迷ったかもしれない。けれど、そうしてネコを選んだのは、正解と言って良いだろう。ドンキーはエディ・マーフィのヴォイス・パフォーマンスが愉快だったけれど、全編出ずっぱりではさすがに鬱陶しいだろう。けたたましいマシンガントークが、実写よりもアクションが派手になるアニメーションの中では煩く感じられるはずだ。脇にいてこそ輝くキャラクターだ。

 その点、ネコは主人公としての器も具えている。柔らかで美しい毛に包まれた見た目の愛らしさ。キザな振る舞いがやけに可笑しくキマるスマートさ。時折顔を見せる動物の本能のユーモラスな味。ちょいと動きがついて、気の利いたセリフがあれば、ほら、小さな身体のネコが見事な主演男優となる。元々からして「怪傑ゾロ」のオマージュ的キャラクターだったけれど、ラテンヒーローの味がたっぷり注ぎ込まれて、いよいよロマンティックに突っ走る。

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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 “The Iron Lady”

監督:フィリダ・ロイド

出演:メリル・ストリープ、ジム・ブロードベント、オリヴィア・コールマン、
   ロジャー・アラム、スーザン・ブラウン、ニック・ダニング、
   ニコラス・ファレル、イアン・グレン、リチャード・E・グラント、
   アンソニー・ヘッド、ハリー・ロイド、アレクサンドラ・ローチ

評価:★★




 メリル・ストリープとマーガレット・サッチャー。アメリカ人とイギリス人という違いを挙げるまでもなく、まるで共通点が見出せないふたり。しかし、それでもストリープはサッチャーとして魅せてしまうのだ。英国初の女性首相となった鉄の女。寸分の狂いも許さない研ぎ澄まされたコピー能力とメイキャップの力を借りて、ストリープはサッチャーを画面に定着させる。

 おそらくストリープの技術力は世界最高峰だ。身体全体をコントロールする術に長けていて、要求されるものを頭に思い描いた通りに動かすことができる。頬の赤らめ方、指先の微妙な揺らめき、歩くときの呼吸…ストリープは全てを支配する。自身をサッチャーのように見せること自体は、だからそれほど難しいことではないのかもしれない。誰もが知っているシンボルの仕草や立ち振る舞いをものにし、表情に説得力を与え、声までもがあの独特のものとなる。よくもここまでサッチャーに近づけた。技術力が限界を超えた瞬間を目撃した気分だ。

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フットルース 夢に向かって

フットルース 夢に向かって “Footloose”

監督:クレイグ・ブリュワー

出演:ケニー・ウォーマルド、ジュリアン・ハフ、デニス・クエイド、
   アンディ・マクドウェル、マイルズ・テラー、ザイア・コロン、
   レイ・マッキノン、パトリック・ジョン・フリューガー、キム・ディケンズ

評価:★★★




 80年代を代表する青春ダンス映画と言ったら「フラッシュダンス」(83年)か「フットルース」(84年)になるのだろうか。肝心のダンスが思い切りスタントによる吹き替えで、矢継早のカット割りにより気分を煽っていただけの前者には白けたけれど、後者はそこそこ楽しんだ。ケヴィン・ベーコンの出世作であることを思うと、余計に貴重に思える。『フットルース 夢に向かって』はそのリメイクとなる。

 時代は21世紀だ。おそらくリメイクというより、21世紀ヴァージョンを作るというのが、意識としてあったのではないか。ところが、これがどうも21世紀の話に見えない。iPodや携帯電話は出てくるし、衣装にも80年代テイストは感じられない。映像も80年代の色を植えつけようだなんて、さらさら思っていない。それなのに80年代っぽいのは、「ダンス禁止の田舎町」という舞台設定の古臭さ、そしてケニー・ロギンスによるあのテーマ曲が冒頭で流れるのが大きいのではないか。今や映画もテーマ曲も、80年代の象徴なのだ。それを吹き飛ばして新しい匂いを植えつけるのは予想以上に難しい。

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シャーロック・ホームズ/シャドウ ゲーム

シャーロック・ホームズ/シャドウ ゲーム “Sherlock Holmes: A Game of Shadows”

監督:ガイ・リッチー

出演:ロバート・ダウニー・ジュニア、ジュード・ロウ、ノオミ・ラパス、
   レイチェル・マクアダムス、ジャレッド・ハリス、スティーヴン・フライ、
   エディ・マーサン、ケリー・ライリー、ジェラルディン・ジェームズ

評価:★★




 やっぱりロバート・ダウニー・ジュニアとジュード・ロウの相性は抜群だ。ふたりがシャーロック・ホームズとジョン・ワトソンに扮する、このアイデアだけでどんな退屈な画面でも何とか持ってしまうのだから。ガイ・リッチーもそれに気づいたのか、ふたりのコンビネーションに寄りかかっている。と言うか、もはやふたりが恋愛関係にあるような見せ方を選んでいる(新加入のノオミ・ラパスには全く力が入れられていない)。ただ、こういうのはあからさまにやられると、妙に冷めてしまうものだ。リッチーがホームズとワトソンの間に流れる微妙な空気を意識すればするほど、それがバカらしく映る。ダウニーとロウの掛け合いを楽しみながら、次第に残念な気分に気づく。

 でもまあ、ホームズとワトソンの関係に恋愛要素を持ち込まなくても、残念な気分は避けられないだろう。リッチーの演出はいよいよ救いがない。ジッとしていられない子どものように、動いていないと気が済まない性分らしい。あまりの落ち着きのなさに、注意深く観察したところ、画面が静止状態を保てているのはせいぜい20秒だった。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

March 30 - 1 weekend, 2012

March 30 - 1 weekend, 2012

1 ハンガー・ゲーム|$14,153(4137)$248,483,901
2 タイタンの逆襲|$9,438(3545)$33,457,188
3 The Raid: Redemption|$5,880(46)$582,442
4 Mirror Mirror|$5,032(3603)$18,132,085
5 21 Jump Street|$4,711(3148)$92,882,690
6 Footnote|$4,003(60)$605,506
7 少年と自転車|$3,657(37)$349,113
8 The Deep Blue Sea|$3,355(49)$338,016
9 Salmon Fishing in the Yemen|$2,635(483)$3,169,623
10 Dr. Seuss' The Lorax|$2,385(3264)$189,332,445

【タイトル|一館あたりの興収(公開館数)累計興収】赤字:初登場作品 青字:上昇作品

 アン・ハサウェイさんがダイエット中だそうです。トム・フーパーが超豪華キャストによりミュージカルとして映画化する「レ・ミゼラブル」で死にゆくファンティーヌ役を演じるハサウェイさんは、15~20日という短期間で約7キロ、服のサイズが2つ小さくなるほどのダイエットを敢行しているとのこと。そのため現在ハサウェイさんは、一日でリンゴふたつとプロテインシェイクしか口にしないそうです(ただし、広報は否定)。あぁ、ちゃんと腹回りから肉がとれてくれるなら、ワタクシも真似しても良いんですけどねー。ちなみに、体重キープ(減らすのではない)のため最も効果的なのは何か、ワタクシが出した結論は…、頻繁に体重計に乗るということ。体重は変わらなくても脂肪は変わりそうなのがネックですが…。

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テーマ : 興行収入ランキング
ジャンル : 映画

運命の元カレ

運命の元カレ “What's Your Number?”

監督:マーク・マイロッド

出演:アンナ・ファリス、クリス・エヴァンス、
   アリ・グレイナー、ブライス・ダナー、エド・ベグリー・ジュニア、
   クリス・プラット、ジョエル・マクヘイル、マイク・ヴォーゲル、
   アンディ・サムバーグ、アンソニー・マッキー、トーマス・レノン、
   デイヴ・アナベル、マーティン・フリーマン、
   オリヴィエ・ジャクソン=コーエン、ヘザー・バーンズ

評価:★★




 リストラに遭ったばかりの女が、雑誌のある特集記事に目を留める。それによると、女性が生涯ベッドを共にする男の数は平均10.5人だという。そして、寝た男の数が多ければ多いほど、結婚からは遠のくというのだ。さらに、20人を超えたら、未婚率は96%だというのだ。占いを信じ心を支配されたかのように、異性経験豊富な女は焦り出す。自分はもう新しい男とは寝られない。それならば過去の男たちの中に運命の人がいるのではないかと思い込む。おいおい、その前に仕事探せよ!

 ここから分かるのはもちろん、女があんぽんたんだということだ。かくして始まる運命の男探しの調査。もちろん過去の恋人にすがって生きている人はあまりいないから、運命の男にはなかなか巡り会えない。調査に協力するお向かいさんのプレイボーイと結ばれることは、火を見るよりも明らかだ。『運命の元カレ』は予定調和のまま語られるロマンティック・コメディ。あんぽんたん、もうちょっとぶっ飛んでくれよ。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

ロストガール

ロストガール “Welcome to the Rileys”

監督:ジェイク・スコット

出演:ジェームズ・ガンドルフィーニ、クリステン・スチュワート、
   メリッサ・レオ、ジョー・クレスト、アリー・シーディ、
   ティファニー・コティ、エイサ・デイヴィス、ランス・E・ニコルス

評価:★★




 世の中には喪失感が溢れている。誰もが誰かを亡くし、嘆き、絶望し、打ちのめされ、しかしそこから何とか這い上がる。亡くした人がいなくても、心が言いようのない虚無感に支配されることも少なくない。それでもそこを踏ん張り通す。それを繰り返す。人生で避けては通れない。喪失と再生がテーマになった映画が多いのも致し方ないことかもしれない。

 だけれどしかし、映画で喪失と再生を取り上げるならば、見せ方に独自性を持たせるべきだ。世の中に溢れているのなら、どうしても似通ったものになるのもまた、当然のことだからだ。『ロストガール』はそれを怠る。15歳の一人娘を亡くした夫婦の物語が、丁寧には違いないものの、驚きなく、無個性に紡ぎ出されていく。喪失感に正直であることは間違いない。再生にも正直に向き合っている。でも、正直は正直でも、バカ正直だ。褒めてはいない。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

SHAME シェイム

SHAME シェイム “Shame”

監督:スティーヴ・マックイーン

出演:マイケル・ファスベンダー、キャリー・マリガン、
   ジェームズ・バッジ・デイル、ルーシー・ウォルターズ、
   ニコール・ベハリー、マリー=アンジュ・ラミレス

評価:★★★




 男は不自由していない。容姿に恵まれ、充実した仕事があり、誰もが羨む高級マンションに住んでいる。ただし、セックス依存症だ。それが、ただそれだけが、男の心を天国にも地獄にも変える。その魂は夜のニューヨークを彷徨う。行き場をなくして、行き場を探して、当てもなく彷徨う。なんとせつないのだろう。

 いや、その魂はしかし、同情を拒否する。哀れと思われたくないと、隙を与えない。男の一日はセックスで占められている。マンションはもちろん、バーも、電車も、道端も、仕事場も、全てはセックスに通じている。呼吸の合間にセックスが潜り込み、自分の感情も他人の感情も寄せつけない。身体をどれだけ重ねても、そこに愛が受け入れられる余地はない。

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