アーサー・クリスマスの大冒険
監督:サラ・スミス
声の出演:ジェームズ・マカヴォイ、ヒュー・ローリー、ビル・ナイ、
ジム・ブロードベント、イメルダ・スタウントン、アシュリー・ジェンセン、
マーク・ウートン、ローラ・リニー、エヴァ・ロンゴリア、
ジョーン・キューザック、アンディ・サーキス、ドミニク・ウエスト
評価:★★★
最近作られるクリスマス映画を観ては苦々しく思っていたことがある。サタンクロースの世界がすっかりハイテク機器に塗れている点だ。プレゼントがコンピュータで決定される様、プレゼントがベルトコンベアーに乗せられて移動していく様、サンタがそれを当然のことのように受け入れている様…。時代は21世紀、サンタの世界も旧式のままじゃいられないということなのだろうけれど、そうした画面を観て感じるのは味気なさばかりだ。人の心が大切に想われるこの日に、なぜ機械化された画を見せられなければならないのか。『アーサー・クリスマスの大冒険』でもハイテク化は進んでいる。妖精たちがパソコンと睨めっこ、プレゼントを仕分けし、サンタがステルス式宇宙船(ただしソリ型)に乗って世界各地にプレゼントを配るのだ。あぁぁぁ…。
ため息が漏れる。ところが、だ。この映画はここからそれに首を傾げるような表情を見せ始める。引退したじいさんサンタはハイテク化に納得がいかず、昔ながらのソリとトナカイのあのスタイルが忘れられない。主人公のアーサーはわけあって、じいさんサンタと共に旧式スタイルでプレゼントを届ける冒険に出ることになる。つまり「新式」と「旧式」が衝突する。そしてそこに見える価値観こそ、テーマのひとつになっている。